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私の消滅
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私の消滅の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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そうなのだが、歪まれた自己を、受け入れられず、その受け入れられない自己を他に押しかぶせ、それを抹殺することによって、もう、他に押しかぶせる必要のなくなった――完全になくなった訳ではない、平凡な妄想のように固執された夢想の実現を一応夢見ているのだから、しかし、そんな夢想が全く実現されず、果たされた歪みを引きずった、果たされたがゆえに、かすのように、残滓のように残った歪みを身につけた自分として生きることも許容する、というような、自己回復、自己定立の物語。 自己はもう気がついたときには、ままならぬ、複雑な解くこともできない自己を抱えているのだから、その、自分にとって外部といえるような、暴風のような自己を抱えた自己は、その暴風雨を手なずける、許容する自己になる他ない、この物語では、なる他なかったというふうに、自己の回復の、自己の定立の物語。 ここで行われる、脳に電気ショックを与えながら、記憶を書き換えるや、その中での、その果てでの殺人や、愛する人が強姦されること、凌辱されることや、少年時代の性的欲動や、母子相姦の願望や、兄妹コンプレクスの憎しみや、同性愛的に憧れられる共犯者や、自己の惨めを投影されたような愛する人やは、どういうのだろうか、登場人物の現実的な、実在的な体験というより、主人公に投影された、ある精神のあり方、主人公を通して主人公に肉付けされた、ある精神のあり方が、招き寄せる概念ドラマのように描かれており、そのような文体的特徴のもとでの、自己回復物語、自己定立物語であるように思える。 | ||||
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不幸な生い立ちの男の陰々滅々な手記である。 読み進めるうちに主人公が誰なのか見失ってしまう「主人公の消滅」な作品とでも言おうか。死んだ恋人のための復讐譚なのか、男のトラウマ話しなのか、マッドサイエンスものなのか、さらっと読むとわけわからんになるので、精読すべし。結局何の話?って言うとネタバレになってしまう。 冒頭、手記を書く男の傍らにある怪しげなトランクの中が、気になりつつラストまで。 純文学的な現実崩壊感が甚だしい上に、ミステリ的な展開で話が進む。どんよりと暗い印象が残るものの、物語の細部となると思い起こすのが困難である。ラストに、タイトルの意味が分かる。 某殺人者論理(作中では実名)は、一読の価値あり、とは思う。 | ||||
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この作家の本は二冊目です。 ほぼ同じパターンでした。幼少期の過酷な状況がもたらしたトラウマ。 それにより人格に著しい障害を受け、その後の人生が狂わされてしまった登場人物たち。 結局はそこに行きつくのかよ、と思った。人間とは何か、世界における人の 存在意義はなんなのか、テーマは大きくて深いがすべてをトラウマにもってくるのは、 他の作家も腐る程書いてて新しくはない。ミステリー的な味付けもいまいち。洗脳をかなり 便利に使ってないか? 実在の元死刑囚の考察に関してもそれ程画期的とは思えなかった。 | ||||
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この作者は、毎回毎回人間のトラウマをわかりやすく書きすぎ! 幼少期の虐待によって傷を負い、それがもとでこころに闇を抱える・・という物語の作り方は、 すでに食傷ぎみだよ、わたしは。 それはこの作者に限ったことじゃないけれども。 心の闇の描き方が型通り過ぎて、逆にうさんくさい。 実際は、心の闇なんてこんなにわかりやすく表にあらわれない。 意識にのぼらない。 こんな明確な虐待が意識化されてるなら、それはもう闇じゃないと思う。 本当にこわいのは、意識化されずにわけもわからず鬱屈している心であり、 そういった「一見、平凡に見えながら危うい心」こそが、現代に生きる「我々の心のありよう」じゃないのか? ようするに、 「虐待などされず、両親も揃い、見かけはいかにも幸せそうなフツーの家族のなかで 育った人間が、ある日、いきなり無差別殺人を起こす」 現代における人間の闇って、そういうものでしょう。 そういうわけのわからぬ怖さを追求しないと、 いつまでたっても「私たちの時代に届く文学」なんか生まれっこないんじゃないの? ただ、 この小説内で言及される、宮崎勤事件の迫力はやはり半端ない。 あの不気味さと、どことなくいまの時代を先取りした空気感と、 彼という人間を思い浮かべる時に感ずる、言いようのない親近感というか、絶望感。 小説自体はいかにも「作り物」でちっとも現代を表現してないが、 宮崎勤事件に言及することで、その余韻を物語に引っ張ってくることに成功している。 純粋に小説としてだけ見ると★2だが、宮崎事件の迫力で★3。 | ||||
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前半はいま語っているのが誰なのかわからなくなり、混乱が多いです。 けど、復讐のために何が行われたかを理解するとスムーズに読めるようになりました。 宮崎勤事件の作者なりの解釈や、パブロフの犬などの心理実験などのネタも興味深く、 作品への理解が深まれば深まるほど、タイトルの意味が重みを増し、ラストは切なかったなぁ・・・。 読んでいて楽しめるストーリーとは言えないし、好きなタイプのお話でもなかったので星は3つ。 だけど、しっかりと練られててうまい。これぞ中村文則な作品でした。 たんに私に合わなかっただけです。 | ||||
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小説の読書は、読んでいる間の集中力で本の世界にぐっと入り込むトリップ感が魅力ですよね。 この本で日常からの別世界へトリップできる感じが気に入りました。 過去の実際の殺人事件に対する独自の見解にちょっと異論があるので星が減りました。 | ||||
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序盤から中盤にかけては宮崎勤の心理分析などが非常に面白く夢中になったものの、終盤にかけてのストーリーは今一つだった。 著者の作品はまだ数点しか読んでいないため、その良さが実感できないが、作品を量産し売れ続けている作家でもあるため、他の作品を読んでみたい。 | ||||
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この作者の作品は、「あなたが消えた夜に」に次いで、2作目だが、2作に共通して言えることは「竜頭蛇尾」。ラスト直前までの、リーダビリティーは完璧。下手なミステリよりはるかに(ミステリ的にも)面白い。本作は、特に冒頭の強烈な「つかみ」。スゲエ! 何だ、これは! そして、畳みかけるような謎。ミステリ顔負けの謎の連発。「あなたが~」は、ストレートに、「~は、なぜだろう?」と謎が出てきたが、本作は、叙述トリック風の書き方の中で、この「僕」は誰なんだろう? 「私」は誰なんだろう? この後、どうなるんだろう? (未来への謎)と、ワクワク、ドキドキ。この辺りの謎の出し方は、ミステリ作家も見習うべき。しかし、「あなたが~」と同じ、脱力系のラスト。叙述トリックもなければ(ミステリではないので、仕方ないか)、ひねりも、ドンデンも何もない。ここまで、謎ふうにストーリー展開させたなら、途中で見えて来たたラストの通りに終われば、それは裏切り。叙述トリック風の凝った構成だけが、むやみに立派に見えてしまう。竜の作り物のように。 | ||||
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主人公がコロコロ入れ替わるので、内容理解に付いていくのに結構疲れる。この作者の本はずーっと読み続けているが、これまでで一番難解だった。 | ||||
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