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(短編集)

終末のフール



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【この小説が収録されている参考書籍】
終末のフール
終末のフール (集英社文庫)

終末のフールの評価: 3.59/5点 レビュー 203件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.59pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全203件 201~203 11/11ページ
No.3:
(3pt)

伊坂さんならここを書くと思いました

なんだか、読んでいて星新一の『声の網』を思い出しました。
マンションの住人が連続して主人公になっていくという設定の共通点があります。
「3年後に世界が小惑星の追突によって、滅んでしまう」という世界の、とあるマンションに住む人々の物語です。
世界が終わりを迎えるということは、8年前に発表され、それから5年間は混乱した人類による暴動やらが起きていて、それが一段落した段階での物語。
映画ならば破滅が決まったときの人々の混乱を描くか、その破滅の瞬間を描くでしょう。
伊坂さんならその時期は外して、ある程度小康状態になったところを描くか、結局は破滅しなかった世界のどちらかを描くかだな、と思いました。
自分のなかの伊坂さんの世界とある程度一致している内容でした。
伊坂作品によくあるように、ある作品の主人公と他の作品の主人公がちょっと会話をしたり、関わったりします。
まあ、それが伊坂作品の良さなのですが、ちょっと今回のは個人的には展開の予想が当たりすぎて残念というところがありました。
そういった意味で星3つです。
終末のフールAmazon書評・レビュー:終末のフールより
4087748030
No.2:
(4pt)

絶望的状況での日常は意外と和やかだったりもする

小惑星が激突して地球があと数年で地球が滅びる、という状況での仙台某所のマンションに住む住人達がそれぞれ主人公となった短編集。
設定は唐突ですが、終末に向けてのそれぞれの日常を温かく描いています。このような状況下で(所謂パニック映画のような)激しい感情の変化などがありがちですが、あまりそのようなことはなく穏やかに進んでいきます。そこが逆に切なくもあり、温かく感じる所以なのでしょうか。
伊坂作品ですから短編同士のクロストークもちらほらあります。
ミステリーではなくても伊坂作品もおもしろいですね。
終末のフールAmazon書評・レビュー:終末のフールより
4087748030
No.1:
(5pt)

僕らと彼らの終末に

伊坂ファンであり知り合いにその魅力を布教している者だが、正直いって近作の『魔王』と『砂漠』については紹介がしずらかった。だって、伊坂幸太郎風のおもしろさ(と、勝手に特定してしまうのは著者とその愛読者に失礼だが、まあ、ファンってのは不公正な思い込みがなければ成り立ちませんので…)があんまりなかったのだもの。とりあえず、これらは後回しにして『ラッシュライフ』とか『死神の精度』とかを先に読んで、その軽快な物語づくりや会話のセンス、いかにもフィクションな楽しさを味わいながら、でも「人生って何だろうね」をあまり深刻でなく考えられるすごさをどうぞ、ってな紹介をしていたわけだ。
だから、やった。この作品の登場をもって、新作からいきなりすすめられるのである。また思い込みで恐縮だが、この作家の本質は相互リンクを前提とした連作短編である。一つの視点が長いとダレる。しかし一つの世界を複数の視点から構築していく才覚には舌を巻く。講談的でなく、落語的なのだ。お話の神様の視点からエピソードの全体を長々と語りとおすのではなく、実際にその場で生きている人々の声や視線やしぐさが交差しあう様をおもしろおかしく時にかなしく演じてみせる。
今回はテーマは世界=私の人生の終末。まあ、理の必然として「死に照らされてこそ生は耀く」的なニュアンスが前面に出てくるわけだが、しかしもちろん、それだけではない。あと三年、という状況を想像力ゆたかにリアルに描写しつつ(基調としては、大混乱と大量死の嵐のあとの静けさ)、その日の前の異常な日常が、あちらではコミカルに、こちらでは社会風刺的に、全体を通してごく哲学的に(SFはいつも哲学的だが)、そして本作の最大のポイントかなと思うのだが、家族ドラマ的(「家族」はカッコつきがいいかな)にたんたんと語られる。
楽しみながら、考えて。恐怖しながらやさしい涙を流して。そういう傑作である。
終末のフールAmazon書評・レビュー:終末のフールより
4087748030

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