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埋葬された夏
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埋葬された夏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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1984年初夏、海辺の町で起きた殺人事件で、ひとりの少女が容疑者として逮捕される。20年後、その事件に新たな証拠が出現し、容疑者の弁護士から雇われた私立探偵が調査に入る。私立探偵の捜査過程と、殺人に至るまでの一年間の犯人とされた少女と周囲の人らの出来事が交差されて描かれてゆく。読み辛かった。まず誰が殺されたのか自体後半になるまで分からない。トリックがあるわけではないから、殺害時が分かれば自動的に真犯人も、犯人とされた娘の状況、もとより被害者も判明してゆくわけだから、謎を伏せ、少しずつ明らかになってゆくことが狙いだとは理解はするものの。また、なんというか、中途半端な印象ももつ。魔術だとか魔女狩りというモティーフを用い、そういう能力をもつらしいものもありながら、単なる小道具で活かしきれていない、と私は思う。むしろ不要であったとも。人間模様、人間の残酷さももっと強く深く描いていいし、描き込むべきだろう。致命的なところはキャラクターに魅力がないこと、だろうか。題名に惹かれて手にとったものだが、邦題に見あうような出来ではなかった。原題は「weirdo」で、犯人とされた娘の通称だが、むしろ直訳の方がよかったのではないか。 | ||||
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音楽ライターとしてキャリアを積み独自の手法で小説世界に取り入れて話題作を発表し続ける英国女流ミステリー作家アンズワースの期待の初紹介作です。本書の原題「異形」或いは「キモいやつ」が日本での紹介に当たって「埋葬された夏」という詩的で穏やかな訳題に変更されている訳ですが、まあ極端に過激な印象が抑えられており私達日本人好みの落ち着いた風情が漂っていて結果的に正解だと思いましたね。でも内容的には女流作品とは言っても殆ど甘さが感じられない相当に陰鬱でハード(非情)なストーリーですのでくれぐれも覚悟してお読み頂きたいと思いますね。 元刑事上がりの私立探偵ショーンが弁護士の依頼により約20年前の1984年にイギリスの海辺の町で起きた殺人事件の再調査をすべくアーネマスを訪れる。一方で事件発生から遡る事一年前の裁かれた少女コリーンを中心とする人間関係のドラマが語られて行く。 私は相当に我慢強い方だと自分でも思うのですが、久々に本書には正直かなり苦戦致しまして途中で読む気力が挫けかけて何度も投げ出しそうになりましたね。そもそも一体誰が殺されたのか?というメインの事実を意図的にわざと隠して延々とストーリーを進行するのは読み手にとって本当に苦痛その物ですし、かなり不自然で常識的にも無理があると思いましたね。まあ読み終えてから感じたのは、もしストレートに書いたならば真相がすぐにバレてしまうだろうという恐れからこんな変則的な手法を取られたのだと思いますね。ミステリーにもいろんな物があって何事も勉強だよなとは思いますが、こういう構成の作品はもう当分読みたくないなというのが今の率直な気持ちですね。かなりの苦労をして通して読み終えた作品の感想はそれ程に悪くはないのですが、どうしてもこの読み難さだけは如何ともし難くて仕方なく★3つの評価にせざるを得ませんでした。さて、でも徹底的に非情だとは言え人間ドラマの面ではいろいろと考えさせられる部分が多かったですね。まず悪人なのですが、悪女はその悪行からやがては自業自得で孤立する事となる運命とはいえ精神的に追い詰めるのは危険で最悪の事態を招く前にもっと思い遣りを持って気持ちを理解してあげる必要があったでしょうね。それからビッグ・ボスについてはコリーンとの関係性を思えば冷たい仕打ちがどうにも信じられないですが、でも人間は己が全能だと思い上がるのは絶対に駄目で何時かは必ずツケを払わされるのでしょうね。それから善悪に中途半端な人達では、スモレットとグレイの両刑事の目の前にある悪を見て見ない振りをする正義感の欠如がどうにも嘆かわしいですが、でも遅かったとは言え20年後に漸く正義に目覚めた事でどうにか許そうと思います。またデビーらクラスメートは友人なのにどうしてコリーンの無実を信じてあげなかったのか?ノージも当時どうして無関心だったのかと首をひねりますが、彼女(彼どちらでもいいでしょう)は今回の活躍で見事に失地回復しましたね。ついでに今回の黒魔術の効果について信じるか信じないかは読者の自由でしょうね。そして正義の人、ショーンは古傷で足を痛めながらも警察を辞しても尚全く懲りずに悪党を追及する姿勢は素晴らしく、今回の町での少ない味方である新聞社の編集長フランチェスカとの間が恋愛に発展しても良さそうなのですが、そこまで甘い物語を書かないのもハードボイルドな著者の流儀なのでしょうね。またチョイ役ですが、ソーシャル・ワーカーのシーラの「ナメられてたまるか!」とばかりの勇ましい活躍もとても良かったですね。最後に当時の少女コリーンは善良で控え目な態度が災いして20年を獄中で棒に振ってしまいましたが、でも思えば本書のラストでも彼女はまだ30代の半ばなのですからまだまだ人生これからで昔の親しかった仲間達と再会して旧交を温め直し、辛い過去は忘れてどうか幸せに逞しく生き抜いて欲しいと思いますよね。 | ||||
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音楽ライターとしてキャリアを積み独自の手法で小説世界に取り入れて話題作を発表し続ける英国女流ミステリー作家アンズワースの期待の初紹介作です。本書の原題「異形」或いは「キモいやつ」が日本での紹介に当たって「埋葬された夏」という詩的で穏やかな訳題に変更されている訳ですが、まあ極端に過激な印象が抑えられており私達日本人好みの落ち着いた風情が漂っていて結果的に正解だと思いましたね。でも内容的には女流作品とは言っても殆ど甘さが感じられない相当に陰鬱でハード(非情)なストーリーですのでくれぐれも覚悟してお読み頂きたいと思いますね。 元刑事上がりの私立探偵ショーンが弁護士の依頼により約20年前の1984年にイギリスの海辺の町で起きた殺人事件の再調査をすべくアーネマスを訪れる。一方で事件発生から遡る事一年前の裁かれた少女コリーンを中心とする人間関係のドラマが語られて行く。 私は相当に我慢強い方だと自分でも思うのですが、久々に本書には正直かなり苦戦致しまして途中で読む気力が挫けかけて何度も投げ出しそうになりましたね。そもそも一体誰が殺されたのか?というメインの事実を意図的にわざと隠して延々とストーリーを進行するのは読み手にとって本当に苦痛その物ですし、かなり不自然で常識的にも無理があると思いましたね。まあ読み終えてから感じたのは、もしストレートに書いたならば真相がすぐにバレてしまうだろうという恐れからこんな変則的な手法を取られたのだと思いますね。ミステリーにもいろんな物があって何事も勉強だよなとは思いますが、こういう構成の作品はもう当分読みたくないなというのが今の率直な気持ちですね。かなりの苦労をして通して読み終えた作品の感想はそれ程に悪くはないのですが、どうしてもこの読み難さだけは如何ともし難くて仕方なく★3つの評価にせざるを得ませんでした。さて、でも徹底的に非情だとは言え人間ドラマの面ではいろいろと考えさせられる部分が多かったですね。まず悪人なのですが、悪女はその悪行からやがては自業自得で孤立する事となる運命とはいえ精神的に追い詰めるのは危険で最悪の事態を招く前にもっと思い遣りを持って気持ちを理解してあげる必要があったでしょうね。それからビッグ・ボスについてはコリーンとの関係性を思えば冷たい仕打ちがどうにも信じられないですが、でも人間は己が全能だと思い上がるのは絶対に駄目で何時かは必ずツケを払わされるのでしょうね。それから善悪に中途半端な人達では、スモレットとグレイの両刑事の目の前にある悪を見て見ない振りをする正義感の欠如がどうにも嘆かわしいですが、でも遅かったとは言え20年後に漸く正義に目覚めた事でどうにか許そうと思います。またデビーらクラスメートは友人なのにどうしてコリーンの無実を信じてあげなかったのか?ノージも当時どうして無関心だったのかと首をひねりますが、彼女(彼どちらでもいいでしょう)は今回の活躍で見事に失地回復しましたね。ついでに今回の黒魔術の効果について信じるか信じないかは読者の自由でしょうね。そして正義の人、ショーンは古傷で足を痛めながらも警察を辞しても尚全く懲りずに悪党を追及する姿勢は素晴らしく、今回の町での少ない味方である新聞社の編集長フランチェスカとの間が恋愛に発展しても良さそうなのですが、そこまで甘い物語を書かないのもハードボイルドな著者の流儀なのでしょうね。またチョイ役ですが、ソーシャル・ワーカーのシーラの「ナメられてたまるか!」とばかりの勇ましい活躍もとても良かったですね。最後に当時の少女コリーンは善良で控え目な態度が災いして20年を獄中で棒に振ってしまいましたが、でも思えば本書のラストでも彼女はまだ30代の半ばなのですからまだまだ人生これからで昔の親しかった仲間達と再会して旧交を温め直し、辛い過去は忘れてどうか幸せに逞しく生き抜いて欲しいと思いますよね。 | ||||
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