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埋葬された夏
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埋葬された夏の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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作者のキャシー・アンズワースはたぶん1970年あたりの生まれということ、19歳で英国の有名音楽雑誌に投稿を始め、以後は音楽・カルチャー誌のライターや編集者をしていました。小説デビューは2005年で、この「埋葬された夏」は4作目です。 自分は世代がずれているので詳しくないのですが、作中の登場人物たちが聴いているバンドは、シスターズ・オブ・マーシー、エコー&ザ・バニーメン、サザン・デス・カルトなどで、彼らの曲名がそのまま各章のタイトルになっています。ジャンルとしてはゴシック・ロックの先駆け、ポスト・パンクあたりになるそうです。 物語では、最初は中学生たちの青春模様が描かれます。ただし中学生とはいっても、黒い服を着て髪を真っ黒に染め、頭頂部を逆立たせて脇はそり上げるヘアスタイルに、口紅は紫、濃く黒いアイラインを引いてマニキュアも黒という過激なスタイル。 英国映画では、さえない地方都市で労働者階級の家庭に育った閉塞している若者と音楽を描いたものが多数ありますが、この小説も同様の匂いがします。そんな子たちがパブに集まったり、海岸で大音響で音楽を流してパーティをしたりして、大人たちは眉をひそめて見ていますが、中にはどうしょうもない親の元でつらいめにあっている訳ありの女の子もいて、彼らの中身はこれからの人生をどうしていいかわからないごく普通の子供たちです。 そんなある日、ロンドンから転校生がやってきて、瞬く間にみんなの心を捉えてしまいます。「母親がビッチで、父親と別れて若い男とくっついて、祖父母をたよってこの町にやってきた」という不思議な魅力を持つ少女サマンサ、彼女の祖父はこの町で遊園地を所有する有力者でした。 1983年と2003年の時が交互に描かれます。83年に起きた凄惨な惨殺事件、その犯人である同級生の女性コリーンは20年後の今も精神病院に監禁療養中です。が、ある弁護士が彼女の冤罪を証明する強力な証拠をみつけます。その依頼を受けてやってきたのが、元警官で私立探偵の本作の主人公であるショーンでした。彼は、新聞社の編集長フランチェスカや現地警察署の協力を得て、当時の関係者を順に当たり話を聞き込んでいきます。20年前に起こったのはいったいどういうことだったのか?と。 気をつけて読んでいれば、83年当時に描かれた場所が2003年にもまだそのままそこにあり、同じ人物が住んでいることがわかります。話が進むにつれて少しずつ、事件の裏で人々をあやつっていたのは、本当に悪いやつは誰だったのかがわかってきますが、その冷血無情な悪どさには胸が悪くなるほどです。 果たしてショーンはコリーンの無実を証明することができるのか?それぞれの人物の心情を丁寧になぞりながら、進むスピードはゆっくりですが、ラストに向かって確実に話が収束していきます。 登場する音楽に象徴されるように、話のトーンは暗く絶望的で重いです。が、最後にはちゃんと解決が待っていますのでご安心を。なかなか重厚で読み応えのある作品でした。 | ||||
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現在と過去、二つの時間が交差してゆくミステリ 過去にはティーンエージャーの初恋と友情があり、現在には中年になったおじさん探偵の仕事と出会いがある。 トリッキーな構成ゆえにわかりづらい部分もあるが、少年少女たちが生き生きと描かれていて、当時のヒットナンバーとともに思いだされる(ジャストの年齢は35歳から40歳前後か)。 頭のいいかわいい女の子が、転校してきたよそ者に友達を取られてカッとなったり、なんとも思ってなかった同級生の男子が背が伸びて突然カッコよくみえてきたり。いわゆる誰とでも寝る女の子に、学校の人気者が篭絡されて、ダメになってしまうのも「あるある」だった。 現在部分で、事件を追う探偵も堅実に魅力的である。 だがこれは、胸がきゅんとする初恋の物語である。 美少年、イケメンが女性視点で描写されていることから、女性におすすめ。 | ||||
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