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革命前夜
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革命前夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全55件 41~55 3/3ページ
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ベルリンの壁崩壊までの前夜を、東ドイツに音楽留学した日本人学生の視点で描く同書。 自分は最後まで作品の主題が分からず、「結局この小説は何がしたいんだろう」というモヤモヤが拭えないまま読了した。 登場人物は革命の日が迫るにつれ、目まぐるしく立場や心情を変化させ、成長してゆく。 その面では青春小説と言えるだろうが、肝心の主人公の眞山に主だった変化はない。 当時の国事情を舞台に様々な事件が起こるが、主人公は謂わば事件の渦中にある地元住民の「エスコートキャラクター」と化し、主人公自身の成長は放棄される。 一人称視点で描かれた作品故、主人公に感情移入していった訳だが、読後は「これだけの事件を経てこの主人公は全く成長しなかったな」とがっかりした。 作者の深い歴史理解や膨大な知識、音楽への敬愛が鮮やかな表現で展開される様は大変素晴らしい。が、それが素晴らしいものであるが故に、主人公の空回りが際立っていた。 美しい描写と物語全体に流れる雰囲気に浸り、魅力的な登場人物を楽しみ、日常から一時離れるにはよい作品だと思ったので、星二つです。 | ||||
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私の中ではかつて読んだ物語の中で最高傑作と言えます。 私もピアノをやる者であり、また1989年から1990年にかけて西ドイツにおりました。ただ、家にテレビが無かったので今ひとつドイツ統一までの動きが伝わって来なかったのです。気付いたらベルリンの壁が崩壊していた、という有様でした。この物語を読んで、当時の思いが手に取るように甦り、まるでその場にいるような臨場感でした。作者は音楽の専門家では無いと思われますが、まるで耳元で音楽が流れているかのような音楽的表現、知識の豊富さには脱帽です。 ストーリーも珠玉のもので、最後の2ページ、泣かされました。 スケールの大きな作品ですので難しいかも知れませんが、是非日独合作で映画化して欲しい作品です。 | ||||
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すばらしい作品です。 特に後半になるにつれて、物語に、そして東西ドイツの壁の崩壊を望む人々の熱狂に飲み込まれていきました。 小説として描いているからこそ、冷戦下ドイツの人々の様子をリアリティーを持って伝えることができていると思います。勉強にもなりました。 須賀さんの他の作品もぜひ読んでみたくなりました。 | ||||
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読んでいる間、当時の東ドイツ(DDR)に存在しているかのように感じる程、 読み始めは特に、読者を取り巻く空気は重苦しい。 しかし、安穏と生きてきて軽々しい考えで留学してきた主人公の気持ちとリンクさせ 物語を読み進んで欲しい。 直前に読了したは、軽やかで優しいものだったせいか この本の読み始めの重苦しい感じは、ページをめくる手をかなり重くしたようだ。 また、ピアノ演奏者が主人公という点では、先日読んだ と似ているようにも一瞬思ったが、全く異質なものだ。 そもそも、この著者のがとても良かったので 何も考えずに買って読み始めたのだが、全く別の人が書いたのではないかと感じるくらい驚いた。 「革命前夜」は丁度中盤に、ある市民運動グループの名前として登場するが、それだけではない。 他でも登場するが、ネタバレになるので詳細は割愛する。 しかし、このストーリ自体が時代の大きな転換点を舞台としているので、 いろいろなニュアンスを含んでいると思いながら読んでみればいいと思う。 ベルリンの壁の崩壊は、驚くほど突然にあっけなく、そして 多少の年月が流れた今では風化してしまっているのだが、 この本はどの世代にも読んで欲しい一冊だといえる。 特に若い世代には理解できない隔たりがあるが、そこに目を向ける きっかけになればとても素晴らしいのではないか。 物語は全体を通して暗く重苦しいが、決して損はしない作品だといえる。 | ||||
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また桜の国で を読み、この作者の存在を知った。 史実に基づいた背景を、しっかりとかきこんでいるので、忠実に読み進む。 共産圏のその時代を生きなければならなかった人々を 留学生である、日本人のマヤマの目を通して描いているから 別の国の別の時代のことを、自分が考えながら感じることができるのだと思う。 別の流れとして、音楽がずっと鳴り響いている。 革命前夜 のタイトルの意味を最後に知り、 また感動。 恩田陸の 蜜蜂と遠雷 音楽を言葉で描くという手法、似ていると思うのはわたしだけだろうか。 | ||||
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大バッハにはじまるクラシック音楽の変遷を忠実に追いながら、現代西洋史の大転換を日本人留学生の視点で語った物語です。 東ドイツに留学を果たした日本人青年が東西ドイツの統合劇に巻き込まれていく舞台設定は見事です。 ピアノとヴァイオリンのハーモニーを基調にした音楽の描き方はクラシックファンにはたまらない魅力です。 サスペンスの要素を随所に散りばめた展開はスリリングで最後まで大興奮です。 | ||||
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ベルリンの壁の崩壊を実感しました。東ドイツと西ドイツの違いを行ってみて感じたのですが、この本でまた何かわかった気がします。このような本がもっとたくさんの方に読んでほしいと思います。 | ||||
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ベルリンの壁崩壊直前頃のヨーロッパについての知識はなかったが、旅行で東欧に行ったことがあったのでイメージはしやすかった。 しかし、西ドイツの明るい印象に対比して物語の舞台となる東ドイツはあまりにも暗く、主人公が初めて出会う現地の人々は癖のある人が多く、さらに主人公も留学先で色々な音を聴きスランプに陥ってしまい、前半は読んでいて辛くなったりもした。 後半になるにつれ「密告するか、しないか」がどんどん重要なキーワードになっていって、誰がどこでシュタージだったかが前半とリンクしていった。 「革命前夜」というタイトルにも意味があった。 最後のどんでん返しはいくつあっただろう。 また、同じ敗戦国として日本の高度経済成長は奇跡だと思った。 現在は難民が目指すドイツがこの時代は難民として流出していたことにも考えさせられた。 最後の盛り上がりで前半の辛さが吹っ飛んだので☆5つ。 | ||||
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ベルリン崩壊の背景が垣間見れて勉強になった。 ストーリー的にも楽しめた。 | ||||
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バブル真っ盛りの日本に背を向け、周囲の反対を押し切り、あえて世界のきらわれ者の東ドイツに留学する若きピアニスト眞山柊史。 留学したドレスデンの音楽大学には、天才的な音楽家の卵たちがごろごろしている。 魅力的な若い才能が、ぶつかりあい、絡み合いながら成長していく。しかし、その舞台は崩壊寸前の東ドイツ。音楽以外に関心のない柊史であっても、街をあるけば民主化を求める若者のデモに遭遇するし、「西側への移住申請」をしたばかりに音楽家としての未来を奪われた演奏家とも出会っていく。 このあたりの描き方がすばらしい。 柊史のぶつかったこと、触れたことの範囲で、じわじわと息苦しい東ドイツの暮らしが見えてくる。 シュタージ(国家保安省=秘密警察)が支配する国家・社会の、恐ろしさと憂鬱。それは住民同士・国民同士が監視し合う、密告者だらけの社会という、究極の悪夢のような姿を見せてくる。 ほんと、ドイツ人ってなんでこんなに極端なんでしょうね。ナチスも恐ろしかったが、シュタージも恐ろしい。 その不気味な恐ろしさを、俯瞰で上から説明するのではなく、柊史の体験として少しづつ見せていく手法が、にくらしいほどうまい。 しかし主題は、あくまでも柊史たちの音楽修行。作者は筆を尽くして彼らの音楽を描写します。 演奏場面の描写には、音の洪水にまきこまれるような迫力があります。音楽を、ことばの力だけで伝えようとする作家の熱意と技術には、敬服するしかありません。 クラッシック音楽音痴の爺さんが、最後まで、違和感も拒絶の感情もなく読むことができたのは、ひとえに作者の筆力です。 若きピアニストの目でみたベルリンの壁崩壊に、乾杯。 二度と、「相互監視社会」がドイツによみがえることがありませんように。 | ||||
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オレンジページの書評を見て読みました。でも、須賀しのぶという名前は知っていました。昔、コバルトで読んだことがある作家さんだったので。 しかし、これはラノベではなく、本当に重厚な物語です。私は子供の頃ピアノを習っていたものの、練習嫌いで全くものにならず、どんな演奏が素晴らしいのかなど、まったくわからない素人です。しかし、素人でもまったく飽きさせることなく、ピアノ演奏のくだりに読者をぐいぐい引き込んでいく作者の凄さを感じました。 後は、ベルリンの壁が壊されるまでの怒涛の潮流。まさか、自分が生きているうちにベルリンの壁が壊される日が来るとは、と本当に魂が揺さぶられる感じがしました。そうした想いがあるので、余計に読んでいて感動したこともあると思います。 クラシックには本当に遠ざかっていましたが、この本に載っている曲をyoutubeで聴いてみました。聴きながら読めばよかったと後で後悔しましたが、やっぱりクラシックって素敵ですよね。バッハつまんないとピアノを習っていた頃はそう思っていましたが、年取ると、色々な経験を経てきたせいか、なんかじんわりきてしまいます。 とにかく、読んでいて終始興奮しつつ、なんかうるうるしてしまいました。久々に、読み終わって、非常に満足した一冊でした。皆さんにおすすめしたい!! | ||||
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読んでいて登場する音を聞きたくなる小説。それがベルリンの壁崩壊直前の息詰まる社会状況と共に展開される。ネタモとはあるみたいだが、やはりクラシックとむすびつけたことが、私にとっては、異様にリアルに感じられた。 革命前夜、何を大袈裟なと思われるが、確かに自分が30代の頃、戦争を知らない世代が、戦争終結のような感慨を持った事件があったのだ。 | ||||
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著者の須賀しのぶさんは、軍隊や歴史物が得意な女流作家。 なので、単なる音大学生たちの物語でなく、しっかりと歴史と結びつき、「歴史物」と「音楽物」、一冊で二味楽しめる作品になっています。 舞台はまだベルリンの壁で東西分かれていたドイツ。物語の中では東ドイツ、西ドイツというなじみのある言葉ではなく、DDR、BRDと呼ばれていますが、歴史ごころがなくても主人公・眞山も日本からの留学生のため、異邦人として扱われる彼に共感しながら、当時の情勢を中からうかがい知ることができます。 ピアノの勉学のために渡独した眞山は、無難な音しか出せない自分に悩んでいます。そんな中、強烈な音の才能をもつ者たちと出会い影響され、音楽の道を邁進はずが否応がなしに東西の緊張に巻き込まれ…。 音のない小説という媒体でありながら、天才的な才能を持つ人物たちの音色がどう違うから個性的なのか、分かりやすくかつ魅力的に描かれてます。 そして歴史の面でも臨場感が凄い。周知の歴史的事件の内側へ1歩踏み込んで展開される、知られざるドラマに圧倒されます。 常に予想を裏切るストーリーと巧みな伏線で、飽きることなく最後まで一気読みしてしまいました。 個性とは、自由とは。エンターテインメントだけでなく、いろいろ考えさせられるお話です。 | ||||
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お若い方々にはあまり実感がないかもしれませんが、私が子供だった頃にはまだソ連という大国があり、ベルリンには東西を分断する壁が厳然と存在していました。 テレビのドキュメンタリーで、思想の自由をうったえて、刑務所(精神病院?)に閉じ込められたひとたちの映像をみて感じた、『東』側の、底知れない恐ろしさ、不気味さは、今もよく覚えています。そしてその数年後に、ベルリンの壁の上にのぼってツルハシで壁を壊す人々の映像が流れたのを見た時の衝撃もまた、よくよく覚えています。歴史というものは動くのだ、と、歴史が動くその瞬間というものが現実にあるのだ、それはこうして、今、現実に起こり得ることなのだ、と。 その興奮と高揚。 しかしまた同時に『東』、特に東ドイツというのは、高い芸術性を保つ国として憧れの対象でもありました。冬季オリンピックの『カルメン』の圧倒的な演技力で金メダリストをとったフィギュアスケーターのカタリーナ・ビットは東ドイツの選手でしたし、まだインターネットがなく海外のレコードやCDを買うのにも一苦労だった時代、東ドイツの少年合唱団の情報を雑誌の小さな記事で読んで、一度でいいから聴いてみたくて、いつ来てくれるか、いつ来てくれるかと来日を公演を毎年まちわびていたものです。 東西ドイツの瓦解で、彼らはどうなってしまうのだろう、と、途方もない不安を感じもしました。 ベルリンの壁が崩れたその時、私はまだ経済的に自立していない学生で、その空気のなかに飛び込んでいく手段も情報も才能も持ちませんでしたが、もし飛び込めていたとしても、この本の主人公のようには振舞えたかどうか。とてもではないけど、こうはできなかったろうと思います。 二人の正反対の天才ヴァイオリニストと真正面から対峙して、自分の才能や覚悟の程に悩みながらもそれでも一歩も引かない主人公は、豪雨で氾濫した怒涛の急流の中でしなりながらも絶対に折れない青い竹のような、そんな印象があります。 その強さしなやかさに感嘆し、どうなるんだろう、がんばれ、と思いながら読み進めていくうちに、読者は、主人公と一緒に歴史の大転換点に巻き込まれていきます。気づいた時には、読者である自分もまた、歴史の急流のなかに立たされている…子供の頃に見たドキュメンタリーのおそろしさを、今またこの本の中で追体験することになったのです。 私はクラシック音楽に詳しくないので、それがとても残念でしたが、クラシックに詳しかったらこの本は何百倍も楽しかったのだろうなと思います。 主人公がバッハをはじめとした音楽について思い巡らす描写は、文体も語感もひたすらに美しく、文字で聴く音楽というものがあるのだなあ…と思わされました。 東西冷戦やベルリンの壁の崩壊に興味がある方、クラシック音楽がお好きな方のほか、萩尾望都の世界観、たらさわみちや竹宮恵子が描いた数々のクラシック漫画が好きだった方も楽しめるかと思います。 | ||||
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「時は昭和天皇崩御直後の1989年、ソ連邦もベルリンの壁もまだあった時代に、東ベルリンの音楽学校を舞台に主人公と愉快な仲間たちが繰り広げる笑いと涙に溢れた音楽ラブコメ」…んなわけはない。 そもそも共産圏なんて言葉を聞いても若い世代には「なんのこっちゃ」ってな感じだろう。 それでも「のだめ」の連載開始時期(2001年)と比べてもわずか10年と少し前にはこんな時代と体制も存在していたのだと思うと仲々に感慨深いものがある。 まあ、「のだめ」と比べながら読む必要はまったくないが、主人公たちの昏い心情の表出や音楽的な描写にみられる精妙さといい、暗く陰鬱ながらページを捲らずに入られない推進力といい、音楽ミステリ好きには見逃せない作品であろう。のだめファンもそうでない人も是非手にとって見てほしい。 | ||||
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