革命前夜
- 大藪春彦賞受賞 (28)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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昭和から平成に変わる時代。ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台にした物語を読むのは初めてですごく新鮮でした。全編にわたって音楽をキーにしていて、ストーリーは、単身東ドイツにピアノ留学にやってきた主人公と、そこで出会う友人との交流を中心に、秘密警察に監視されながらも希望を見出すため西への脱出あるいは革命を起こそうと試みる人、一方で退廃的な時代の中、音楽をこよなく愛する人たちという絶妙なバランスが印象的でした。ラストはなんとも余韻の残る終わり方。音と人間に溢れた上質な歴史ストーリーを読んだ気になりました。 | ||||
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監視され密告される東ドイツ社会で、国民は様々な思いで生活している。 | ||||
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未読の方はご注意ください
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私は音楽関係にも、ベルリンの壁崩壊前後の史実にも全くうとい。にも拘らず、この小説は面白く、グイグイ引き込まれるように読まされた。何と言っても、個性的なキャラが魅力的。主人公はむしろ没個性な、「らしい」日本人だが、2人の天才を始め、皆強烈な個性の持ち主で、序盤はキャラの面白さで読まされた。 監視国家と、密告者に焦点を当てた中盤からは、スパイミステリーのような怒涛の展開で、主人公の周囲で、目まぐるしく事件が起こり、誰が密告者で、犯人なのか、息もつかせぬ面白さ。と、同時に音楽関係の描写も素晴らしく、恩田陸さんの直木賞受賞作を彷彿とさせた。 私は知識がないので、音楽関係及び歴史関係に関して正確さはわからない。が、この小説は圧倒的な筆力で、「革命と音楽が紡ぎだす歴史エンターテイメント」を実現している。読んで損のない傑作と思う。 | ||||
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. 昭和が終わった年(1989年)の1月、眞山柊史(まやましゅうじ)はピアノを学ぶために東ドイツ・ドレスデンの音楽大学に留学する。ハンガリーや北朝鮮など共産圏からやってきた癖の強い同級生らと切磋琢磨する日々だが、ある日、旧宮廷教会で美貌のオルガン奏者クリスタと出会う……。 ------------------ 1989年は、日本でもひとつの時代が終わりを告げ、欧州でも社会主義という時代が終焉を迎えた年です。時代を画すこの年に、東独で夢を抱いて音楽と格闘し、また図らずも時代と切り結ぶことになった日本人留学生の物語です。 作者の須賀しのぶ氏は、ピアノやヴァイオリンが奏でる調べを文字で描くことに苦闘し、それを見事に実現させてみせます。 「ヴェンツェルが奏でるヴァイオリンが自在に――時に自由すぎるほど歌い、その奔放さで人を魅了する野生の歌姫ならば、イェンツのヴァイオリンはとてもよく躾けられた良家の令嬢という印象がある。彼の腕に抱えられたカール・ヘフナーのヴァイオリンは、柔らかく落ち着いた声で歌い、どんなに弱い音でも大切に響かせる。高い水準で破綻なくまとまっている演奏や、楽譜に非常に忠実である点をつまらないという者もいないではない。それらをひっくるめて、最も似つかわしい言葉が、端正だ」(91頁) 「馴染み深いあらゆる感情と、人が普段知覚できぬ領域に存在する大いなる意思が、絡みあい、深め合う。なんて不思議な光景だろう。過剰なほどのロマンチシズムと、決して妥協を許さず真実を追い求める冷徹な理性。いずれもドイツという国の特質として歴史の中で現れてきたものであり、相反するものなのに、この音の中ではなんの問題もなく溶け合っている」(279頁) バッハやショパン、リストなど、この小説に登場する楽曲をネットで探しながら頁を繰りました。 また、1989年の東独情勢に関する記述も、時に懐かしく、時に驚きをもって読みました。 5月の統一地方選挙での不正の話が出てきて(230頁)、テレビで「選挙委員会の責任者」が「SEDとその姉妹政党の候補者による『統一リスト』が98.85%を獲得し」たと発表する場面があります。当時のテレビ映像がないかと調べてみると、「Wahlfälschung bei der DDR-Kommunalwahl 1989 - Der Anfang vom Ende | FAKT」というドイツ語の動画が見つかりました。これを見たところ、「選挙委員会の責任者」がなんとエゴン・クレンツだったことを知りました。彼が当時、中央選挙管理委員会委員長だったとは。 ほかにもカール=エドゥアルト・フォン・シュニッツラーの国策TV番組『黒いチャンネル(Der schwarze Kanal)』についても記述があり、あぁ、そういう報道も当時されていたなと感慨に耽りました。 そして、人を寄せ付けないかに見えたヴェンツェルとクリスタが物語の後段、強い意志を持つ激しい存在として魅力を増していくところがこの小説の見せ所です。ヴェンツェルはクリスタをこう称揚しています。 「クリスタ・テートゲスは戦う者です。底辺に落とされてもなお、安全な家畜であることよりも、自由な人間であることを選んだのです。自由とは必ずしも美しいものではありませんし、時に害悪ともなる代物です。ですが、知っておいていただきたいのです。音楽は自由な魂からしか生まれないということを。家畜となることを選んだ途端、その人間がつくる音楽は、ただの雑音になるのです」(285頁) ある事件を巡って謎解きめいた展開を見せる最終場面は、私の肌には少々合いませんでしたが、それを除けば、あの年を振り返る懐古趣味は十分満たされたと感じています。 . | ||||
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人に勧められて読んでみましたが、まあまあ面白かったです。 読む立ち位置を、歴史の流れを俯瞰した立場に置くのか、芸術家の葛藤を感じる位置に置くのかで、読後の感想が大きく違ってくると思います。 私は中途半端にだらだらと読んでしまったため、少しもやもやが残りました。 お勧めは、当たり前のことですが普通に主人公の立場で全てを見て感じて読むことですね。 途中で読む立ち位置は変えない方が楽しめると思います。 | ||||
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主人公の水のような感性は、心の乱れとともに音に如実に現れていた。 不安定な心の動きと音がリンクし、文章となって伝わってくる感覚は中々味わえないもの。想像力が掻き立てられる名作。。 最後読み終わってしまったという寂しさはなく、シュウと共に最後まで駆け抜けられた安心感と開放感でいっぱいだった。 | ||||
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私には、つまらない小説でした。作者の頭の中で観念的に考えただけのように思え、出て来る登場人物の誰一人、血の通った人間には思えません。作者は、かなり恵まれた立場の人ではないか? そんなふうに思えて仕方ありませんでした。 | ||||
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