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革命前夜
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革命前夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 1~20 1/3ページ
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私は音楽関係にも、ベルリンの壁崩壊前後の史実にも全くうとい。にも拘らず、この小説は面白く、グイグイ引き込まれるように読まされた。何と言っても、個性的なキャラが魅力的。主人公はむしろ没個性な、「らしい」日本人だが、2人の天才を始め、皆強烈な個性の持ち主で、序盤はキャラの面白さで読まされた。 監視国家と、密告者に焦点を当てた中盤からは、スパイミステリーのような怒涛の展開で、主人公の周囲で、目まぐるしく事件が起こり、誰が密告者で、犯人なのか、息もつかせぬ面白さ。と、同時に音楽関係の描写も素晴らしく、恩田陸さんの直木賞受賞作を彷彿とさせた。 私は知識がないので、音楽関係及び歴史関係に関して正確さはわからない。が、この小説は圧倒的な筆力で、「革命と音楽が紡ぎだす歴史エンターテイメント」を実現している。読んで損のない傑作と思う。 | ||||
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. 昭和が終わった年(1989年)の1月、眞山柊史(まやましゅうじ)はピアノを学ぶために東ドイツ・ドレスデンの音楽大学に留学する。ハンガリーや北朝鮮など共産圏からやってきた癖の強い同級生らと切磋琢磨する日々だが、ある日、旧宮廷教会で美貌のオルガン奏者クリスタと出会う……。 ------------------ 1989年は、日本でもひとつの時代が終わりを告げ、欧州でも社会主義という時代が終焉を迎えた年です。時代を画すこの年に、東独で夢を抱いて音楽と格闘し、また図らずも時代と切り結ぶことになった日本人留学生の物語です。 作者の須賀しのぶ氏は、ピアノやヴァイオリンが奏でる調べを文字で描くことに苦闘し、それを見事に実現させてみせます。 「ヴェンツェルが奏でるヴァイオリンが自在に――時に自由すぎるほど歌い、その奔放さで人を魅了する野生の歌姫ならば、イェンツのヴァイオリンはとてもよく躾けられた良家の令嬢という印象がある。彼の腕に抱えられたカール・ヘフナーのヴァイオリンは、柔らかく落ち着いた声で歌い、どんなに弱い音でも大切に響かせる。高い水準で破綻なくまとまっている演奏や、楽譜に非常に忠実である点をつまらないという者もいないではない。それらをひっくるめて、最も似つかわしい言葉が、端正だ」(91頁) 「馴染み深いあらゆる感情と、人が普段知覚できぬ領域に存在する大いなる意思が、絡みあい、深め合う。なんて不思議な光景だろう。過剰なほどのロマンチシズムと、決して妥協を許さず真実を追い求める冷徹な理性。いずれもドイツという国の特質として歴史の中で現れてきたものであり、相反するものなのに、この音の中ではなんの問題もなく溶け合っている」(279頁) バッハやショパン、リストなど、この小説に登場する楽曲をネットで探しながら頁を繰りました。 また、1989年の東独情勢に関する記述も、時に懐かしく、時に驚きをもって読みました。 5月の統一地方選挙での不正の話が出てきて(230頁)、テレビで「選挙委員会の責任者」が「SEDとその姉妹政党の候補者による『統一リスト』が98.85%を獲得し」たと発表する場面があります。当時のテレビ映像がないかと調べてみると、「Wahlfälschung bei der DDR-Kommunalwahl 1989 - Der Anfang vom Ende | FAKT」というドイツ語の動画が見つかりました。これを見たところ、「選挙委員会の責任者」がなんとエゴン・クレンツだったことを知りました。彼が当時、中央選挙管理委員会委員長だったとは。 ほかにもカール=エドゥアルト・フォン・シュニッツラーの国策TV番組『黒いチャンネル(Der schwarze Kanal)』についても記述があり、あぁ、そういう報道も当時されていたなと感慨に耽りました。 そして、人を寄せ付けないかに見えたヴェンツェルとクリスタが物語の後段、強い意志を持つ激しい存在として魅力を増していくところがこの小説の見せ所です。ヴェンツェルはクリスタをこう称揚しています。 「クリスタ・テートゲスは戦う者です。底辺に落とされてもなお、安全な家畜であることよりも、自由な人間であることを選んだのです。自由とは必ずしも美しいものではありませんし、時に害悪ともなる代物です。ですが、知っておいていただきたいのです。音楽は自由な魂からしか生まれないということを。家畜となることを選んだ途端、その人間がつくる音楽は、ただの雑音になるのです」(285頁) ある事件を巡って謎解きめいた展開を見せる最終場面は、私の肌には少々合いませんでしたが、それを除けば、あの年を振り返る懐古趣味は十分満たされたと感じています。 . | ||||
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人に勧められて読んでみましたが、まあまあ面白かったです。 読む立ち位置を、歴史の流れを俯瞰した立場に置くのか、芸術家の葛藤を感じる位置に置くのかで、読後の感想が大きく違ってくると思います。 私は中途半端にだらだらと読んでしまったため、少しもやもやが残りました。 お勧めは、当たり前のことですが普通に主人公の立場で全てを見て感じて読むことですね。 途中で読む立ち位置は変えない方が楽しめると思います。 | ||||
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主人公の水のような感性は、心の乱れとともに音に如実に現れていた。 不安定な心の動きと音がリンクし、文章となって伝わってくる感覚は中々味わえないもの。想像力が掻き立てられる名作。。 最後読み終わってしまったという寂しさはなく、シュウと共に最後まで駆け抜けられた安心感と開放感でいっぱいだった。 | ||||
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最初から最後まで、一貫して日本を意識させてくれる本です。 人はどれほど近づこうと、全てを把握することはできない。 同じ環境にいて、同じ時を過ごしても、見えるものは違う。見たいものも違う。 色んな国の登場人物が出てきますが、彼らを描き切れていないのも、やはり主人公から見た「彼ら」を語っているからなのだと思います。 人はそれぞれ自分だけのフィルターを持っている。 そのフィルターを作るのが、人種なのか、民族なのか、性別なのか、年齢なのか、はたまた時代の空気なのかはわかりませんが、日本語を母語とし日本文化の中で育った私からすると、非常に「リアル」な物語でした。 | ||||
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また桜の国でを読んで構成、歴史認識に感動しました。今度は革命前夜をしっかり読んでみるつもりです。 | ||||
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世界が一変した1989年。東独ドレスデンに留学したピアノ科の日本人学生が体験するドラマの数々を、息もつかせぬ筆致で描いている。 | ||||
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物語の展開がスリリング。ただ内容はやや通俗的。 | ||||
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読んでいくうちにどんどん引き込まれて行き、読み終わったら放心状態 本から音楽が聞こえてくる 久しぶりに幸せな時間を貰いました | ||||
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旧東ドイツにおられた方が感心なさるほど、よく調べて書いてあります。 また、音楽についての描写も見事です。 | ||||
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"僕は手を開き、空にむかって掲げてみた。指の間から、初夏の陽光がきらきらと零れ落ちる。ほんの少しだが、見えてきた気がする。僕の音。このDDRで、僕だけが生み出すことのできる、水の音が。"2018年発表の本書は激動の1989年、東ドイツを舞台に青年音楽家の成長を描く歴史エンタメ小説。 個人的には著者の本は未読だったのですが、周囲の本好きに紹介されて手にとりました。 さて、そんな本書は1989年、元号が昭和から平成に変わったその日に東ドイツ、ドレスデンの音大に留学したピアニスト志望の日本人青年の眞山柊史を主人公に、彼の【同世代の音楽家たちとの出会いと別れ】が冷戦末期の混乱する社会情勢を背景に描かれているのですが。 まず最初に感じたのは、解説で朝井リョウも触れてますが【表現豊かな音学描写】でしょうか。個人的には以前に読んだ恩田陸の『蜜蜂と遠雷』の描写も素晴らしいと思いましたが、本書における『文書から音が溢れ出してくるような描写』も負けず劣らずという印象で。音学的素養もなく、そもそもクラシックにさほど関心のある方ではない私でも、主人公の好むバッハ、そしてラフマニノフを聞いてみたい。と【音学アプリに自然に手を伸ばさせる魅力】がありました。 また、てっきり学内での音楽家の仲間たちとの音学を通じた交流に終始するのかな?と思いきや、中盤からラストにかけて。東ドイツの【急激な社会情勢の変化が前景に浮かび上がる】ように主人公たちの運命を巻き込んでいくような展開も、うっすらとテレビのブラウン管の向こうの"遠いあっち側の出来事"としてベルリンの壁崩壊の熱狂の様子を眺めた【当時の記憶が鮮明に蘇り、補完される様な感覚】があって。こちらも歴史エンタメとして、非常に楽しめました。 クラシック音学や冷戦を舞台にした小説を探す人へ。また青年の挫折と成長、再生といった青春群像劇的な作品が好きな人にもオススメ。 | ||||
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ベルリンの壁 日本から遠いこともあり、不勉強でした。 この作品は冷戦時代に関心を持つきっかけにもなりました。 | ||||
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星5 | ||||
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著者が好きで読みました。 読み始めたら止まらなくなります。 歴史を知らなくてもおもしろいですし、歴史を少し勉強したくなります。 | ||||
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とても面白く拝読しました! 最初手にとった時、クラシック音楽、東ドイツ、シュタージという文字を見て10年以上前に観たドイツ映画「善き人のためのソナタ」を思い出した。監視社会の緊張感をリアルに描かれてたが、留学経験が無いのだとしたらあの映画からもヒントを得てるのではないかな?と読み進める中でも何度か思いました。とはいえ、バロック音楽の知識や音楽家の葛藤の表現など相当なレベルでクラシック愛好家の自分も久々に満足感を得られる小説でした。 結末は色々な意見があると思うが、自分にとってはやや陳腐な終わり方で、全てを明らかにせずとも…と思うが、留学からスタートしてるので、平均律がどう昇華されたのか、主人公がピアニストとして帰国後、どうなっていったのか描いて欲しかったです。 とはいえ、バッハは本当に素晴らしいの一言でyoutubeで聴きましたがオルガンのコーラル本当に癒されました! | ||||
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登場人物の描写 舞台の背景の描写 どれも作者の強みが存分に出ていて期待通り。 驚いたのは 須賀氏の音楽に対する造詣の深さ知見、それと共に楽曲の性格を活かし 物語の背景に浮かばせるテクニックに呑み込まれる。 出典曲をYouTubeを聴きながら読み進めた。ぜひお勧めする。 そういった読書法が楽しめ どっぷり浸かれる至極の一冊。 | ||||
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最近、小説の世界になかなか入り込めないのですが、 これは最初の数ページで小説の中に引き摺り込まれ、 そのまま一気に最後まで引っ張って行かれました。 日本人であり、当時はまだ高校生だったと思われる作者が、 ヨーロッパでおきたあの大変革をこれほどまでの臨場感で 描いていることに驚きを感じます。 壁崩壊の5年後の冬、東欧の国々を旅したことを思い出しました。 まだ、街は革命の傷跡が色濃く、暗く、物資も少なかった。 今はどうなっているのだろう。また、訪れてみたいと思いました。 | ||||
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音の世界に遊ぶのは聴くだけで、音符の世界に弱いので曲名を見ても全くメロディーが思い浮かばず、作者の表現に頼るのみで、少しハードルが高かったのですが、歴史的事実に合わせ、そこに息づく人間模様に引き込まれ、何度も読み返しをしています。物語を深めるどんでん返しの連続に そうなんだ そうだったのかと読み深めました。 「また、桜の国で」とは違ったジャンルの物語とはいえ主人公の姿が重なるように思えたのは・・・私だけでしょうか。 | ||||
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ベルリンを旅する前に読みました。ドイツが東西に分かれていた頃、親、家族との関係が独特な主人公が、あえて西ではなく、社会主義体制側の東ドイツを選んでピアノ留学する話です。 電話は盗聴され、近所、学校内でさえ誰かに監視されてるような感覚、いつも東側、社会主義を感じる生活、日々に、読んでいるこちらが気が滅入る感じで、少しだけ、その時代の雰囲気を垣間見ることができました。 ストーリーそのものは、わたしはあまり、、感動できなかったかな。でも、東西ドイツが統一するきっかけとなった出来事が織り込まれているので、社会主義、東ドイツの表面的にしか知らなかった背景、断面を描いている点で読んでいて興味深かったです。 | ||||
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東ドイツはあまりに遠く思われるが、日本人留学生を主人公に仕立てることで、ベルリンの壁崩壊寸前の東独の雰囲気のなかに読者を引きずり込むのに成功している。ただしその一方で、バブル絶頂の日本を離れ、家族とほぼ絶縁状態で音楽に打ち込むためにドレスデンへ留学に来た主人公が、物語の展開とともに、自分の音楽を追い求めることをやめて、金髪青い目の美女と親しくなり、人々の中へ身を投じていくという変貌ぶりにちょっとついていけなかったことも確か。 周囲の人物の方が魅力的なあまり、主人公は傍観者、狂言回しとなって、ビルドゥングスロマンとしての側面が置き去りになってしまう。それならいっそのこと主人公なしで群像劇として描いてくれてもよかったかもしれない。正直、皆川博子のようなスケールの大きさと物語を紡ぐだけの筆力がこの作家にはある。 | ||||
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