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火星年代記



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火星年代記の評価: 4.49/5点 レビュー 80件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.49pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全80件 61~80 4/4ページ
No.20:
(4pt)

珠玉の短編集

人類は火星に移民します ところが伝染病で全滅してしまいます 残った人々は再建を試みますが・・・ 珠玉の短編集です SFの歴史に残る名作です
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.19:
(5pt)

故郷に帰ろう

「われらはもはやさまようまい こんなにおそい夜の中
心は今なお愛に満ち 月は今でも明るいが」(本文より)

火星年代記の火星人は侵略しない。
彼らはむしろ侵略され、人間の鏡であり、ある種の理想でもある。

火星へ行く、新しい土地へ行く話のはずなのに、なぜか感じるのは「故郷」「帰る場所」への人間の心だった。
帰る場所、それはいとしい人間の腕の中だったり、思い出の中の生まれ故郷だったりする。
たとえ別の場所にいっても、人は自分の居場所を捨てきれないのだな、としみじみ思う。

人間は、美しい火星を、地球らしく(この場合はアメリカらしく)する。
また、死んでしまったはずの人間を、わかっているはずなのにそれでも望んでしまう。
しかしそんな人間たちの愛すべき愚かしさを、冷笑するのではなく、火星人を通してせつなく描いているところは、まさにブラッドベリ。

「月は今でも明るいが」「夜の邂逅」「第2のアッシャー邸」が、小話として気に入った作品。
いいSFである。
宇宙へのロマンと、人間への愛情に満ちた目、美しい文章。
ヒューマニズムに過ぎるという批判があって当然だが、それでも価値があるように思う。
せつなさが、しんしんと浸みてくる良作。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.18:
(5pt)

幻実の絵。

ブラッドベリといえば、これ。 SFといっても、これ。 26の短篇・ショートショートの織り成す、一見リアルで幻想的なストーリー。 垢抜けていない詩的な表現と、リズミカルにして目くるめく展開とのコラボで、独特な切なさを描き出している。 惨酷で、情緒的で、のんびりとしてて、呆気ない、不思議な読み応え。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.17:
(5pt)

詩情が煌めく珠玉のオムニバス短篇集

「1999年1月 ロケットの夏」から「2026年10月 百万年ピクニック」まで、火星を主題にした26の短篇が収められたオムニバス作品集。ブラッドベリにはほかにも素敵な短篇がいくつもあるけれど、たった一冊だけと言われたら、わたしはこれを持ってきます。短篇の粒が揃っていますしね、きらきらと輝く詩情の美しさ、みずみずしさ、透明感がもうほんとに綺麗。ダークなムードの作品もありますが、それもひっくるめてその宝石のような幻想の煌めきにうっとりさせられてしまうのです。

 どの短篇も素晴らしいなかで、格別のテイストに酔っぱらっちまった作品を三つだけ選ぶとしたら、「夜の邂逅」「イラ」「第二のアッシャー邸」でしょうか。殊に「夜の邂逅」は珠玉の名品。サンリオSF文庫のブラッドベリ短篇集『万華鏡』で初めて読んだのですが、胸がいっぱいになりましたねぇ。数あるコンタクトもののなかでも、まず最高級の作品でしょう。

 小笠原豊樹氏の訳文も、「名訳とはこういうのを言うのだろう」てなくらい見事なもの。素晴らしい読みごたえを堪能させられた一冊。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
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No.16:
(4pt)

ありがちな宇宙もの、ではない

SFの金字塔、と言われていながらも今なお人々の心を離さないブラッドベリの代表作です。手に取ったきっかけは大学生協の推薦文でした。その中には、「中盤の火星探検隊同士の会話がいい」といったことがありました。

 実際に読んでみて、読む前のとき抱いていたイメージとのギャップにまず驚きました。本作における火星人は地球の侵略を企むわけでもなく、普通にゆったりとした住宅で幸せそうな生活を営んでおり、地球人と同様に嫉妬深く、けれども防衛に関してのみは恐ろしい面を見せる、いわゆるステロタイプの火星人とはまったく異なる存在でした。

 推薦文にもあった、第四探検隊での反乱事件、それに続く対話の場面はどこまでも美しく、宇宙を背景とした火星の虚無と優美に満ちた荒野を私は確かに感じました。ブラッドベリが抒情詩人と言われるゆえんでしょう。訳であっても、その美しさの片鱗は感じ取れます。たとえば各話の副題のうち印象的なものを挙げてみましょう。「ロケットの夏」「月は今でも明るいが」「空のあなたの道へ」、そして最後の「百万年ピクニック」。どうでしょう、単なるSFと一蹴できない優雅と悲哀とがこの作品にはあるのです。

 また、この作品はファンに相当に愛されていて、アメリカではすでに現実の時代と矛盾してしまっている箇所を、より進んだ年代のものに修正する、という動きもあるようです。五十年以上前に出版されたものでありながらこうしたことが起こるなど、本当にこの作品とブラッドベリは愛されているのですね。

 この物語の形式、文字通り「年代記」は雄大で悲愴なロマンを感じさせるもので、おそらくこれ以外では作品の魅力は半減だろうな、思わされました。それと、この作品は「地球年代記」でもあるのだと気づきました。読み進められた方もきっと同じような感情を抱くのではないかと思います。

 私は本書を昨年、二十のときに読んだのですが、読み終えたときまず思ったのは、「もっと早いころに読んでいればその世界にもっとのめり込めたのに」というものでした。これは私の想像力の貧困のためかもしれませんが、もし何かの縁でこのレビューを読んだ十代、とりわけ中高生の方には、一度本書を手にとることをお薦めします。もちろん、大人が読む分にもいっこう構いません。ちなみに私のお気に入りは「夜の邂逅」「空のあなたの道へ」そしてもちろん「百万年ピクニック」です。(注.年代記という形式上、選んで読むことはお薦めしません)
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
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No.15:
(5pt)

幻想の詩人

地球人はロケットに乗って火星に向かった。無邪気さと無遠慮さを胸に抱きながら。しかし、第1探検隊も、第2探検隊も、第3探検隊も地球に還ってこなかった・・・・・

 それでもなお、地球人は火星を目指した。そして第4探検隊が見たものは・・・廃墟と荒野だけであった。火星人はほぼ絶滅し、火星文明は滅んでしまったのだ!

 かくして火星は地球人のものとなった。地球人は火星へ火星へと、津波のように押し寄せた。移民してきた地球人たちは火星文明の遺物を破壊し尽くし、自分たちの好きなように火星を作り直した。しかし、我が世の春を詠う地球人たちについに報いが訪れた・・・

 精神的成熟を欠いた物質文明の発達、科学万能主義への痛烈な批判を、抒情豊かな文体と哀愁漂う優れた物語によって表現した、「SFの詩人」レイ・ブラッドベリの最高傑作。

 13の短編と13の散文詩的掌篇から成るオムニバス形式の巧妙さは、O・ヘンリー賞を2度受賞した短篇の名手ならでは。オープニング、ラストはもはや芸術だ。

 私は原書を読んでないので何とも言えないが、小笠原氏の訳には定評があり、本作品の翻訳も実に見事だ。
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No.14:
(5pt)

何じゃこりゃ

めちゃめちゃ面白い。 もう五十年以上前に発表された作品であるのだが、こんなに面白くていいのだろうか。  まず、ストーリー自体が非常によくできている。 哀愁ただよう筆致と、乾いた世界観。 そこに漂うのは虚無と狂気と悲しみ。 たしかにその当時の現代を皮肉った作品となっているのだが、そんなことを気にしなくても普通に面白い。  火星を舞台にした連作短編といった趣で、リーダビリティも高い。  とってもお勧めの作品です。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.13:
(4pt)

憂鬱になります

冷戦下に書かれたSFの代表作のいくつかを読んで気づいたことがあります。 未来の暗い想像図が描かれている事が多いのです。 「火星年代記」も明るくありません。 しかし暗いともいいがたいのです。 もっと根本的な絶望や虚無を感じさせます。 読んでいて憂鬱になってしまいました。 鬱状態になってしまいました。 文学作品を読んで心が乱れがちな人は注意した方がいいと思います。 悲しくなるのではありません。 感情そのものが蒸発しそうになるのです。 ブラッドベリのようにSFを書く人はいないとよく言われるそうですが、この作品を読んでよくわかりました。 「火星年代記」以外の作品はまだ読んでいません。
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No.12:
(5pt)

わたしのSF年代記です。

その昔、友人にフレドリック・ブラウンと共にこの著者を紹介されたときを今でも忘れない。 「僕の地下室においで」「霧笛」「ウは宇宙船のウ」・・・。 その中でも「火星年代記」は金字塔といっていい。 心揺さぶるノスタルジーと、生き残りをかけた火星人の魔法。 そう、魔法はブラッドベリの十八番だ。 カーニバル、ハロウイン。 子どもも大人も魔法にかかる季節。 避雷針売りも、カーニバルの見世物もひとときのおどろおどろしい幻燈だけど、妙にひきつけてやまない。 ブラッドベリはそういう魔術に長けた作家である。
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4150401144
No.11:
(5pt)

いまからこれが読める人、しあわせですなあ

叙情的っつーか情緒的なSFを書くブラッドベリの代表作。SFっつてもSF的な小道具は単に手段でしかなく、別にスタイル的にSFにしようとしてるわけではない。そんなことよりなんともウェットで感動的な場面が連続するとても素晴らしい本である。短編連作みたいになっていて、たくさんの登場人物が年代ごとにいろんな出来事に出くわす。それが後半徐々につながってくるあたりも見事な出来栄え。僕がこの人を大好きなのは、自分で書いてて自分で涙もろくなってるだろうなぁ、って感じられるこの情緒的な部分なんです。
 実はずいぶん昔にも読んだことあったんだけど、最近友だちが読んだと言っていて何だかうらやましくなってまた買ってしまった。うらやましいっていうのは、あの読み終わったときの感激をフレッシュに味わえるのがうらやましいのである。せっかくなのでみなさんもぜひお買い求め下さい。小説家になってブラッドベリみたいに書けたらなあ、とまで思いました。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.10:
(5pt)

融合する切なさ

詩と散文と純文学とSFと風刺とサスペンスと警鐘とブラックユーモアと幻想が全て調和を保ったまま一冊に入っている。 鳥肌がたつ程面白い。 「月は今でも明るいが」「夜の邂逅」は絶品。 友人に勧めて貸しては読み返したくなり、5冊目を買いました。 この本の為にお金を使う事は全く惜しく感じられない。
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4150401144
No.9:
(3pt)

原書で読むべき本

この作品はあまりにも詩的な表現が多い。
と言うことは原書で読むべき作品なのである。
英語を単に読み書きができるというレベルではなくて、ネイティブと同じレベルで文学を楽しめるぐらいでないと理解できないだろう。
日本の小説でも外国語に訳すると台無しになってしまう作品が多々ある。文学はストーリーが伝わればいいというものではない。
例えば、夏目漱石の「吾輩は猫である」は英語版では「I am a cat」というみもふたもない表現になってしまっている。
でも仕方がない。漱石の巧みな表現に合う英語がないのだから。
やはり本質を楽しむには日本語を高レベルで習得した人間が日本語で読む以外にはないだろう。外国語で読んでもストーリーを追うだけの読書になってしまう。三島や谷崎の美しい日本語も同様。英語で読んでも表面だけの読書だ。
「火星年代記」もそういう作品なのだと思う。
詩的な表現とか、美しい文章だとか批評している人がいるが、それはただ翻訳のさじ加減一つでしょう。訳に感動しているだけだ。
英語をマスターしていない私はストーリーは面白かったとは言える。
でもブラッドベリの表現が素晴らしいなどとはおこがましくて言えない。
本質を語るには相当な英語力が必要だと思う。日本語で読んでも表面上しか理解できない。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.8:
(5pt)

心動かされる、いとしい火星人

「火星人は宗教や・芸術と生活を混ぜ合わせることに成功した」とか 「地球人が100年以上も前にストップしなければならなかったところで、 ちゃんとストップした人たち」という表現がある。 また、 火星人は「何故生きるのか」という問いを捨てたと書いてる。 なぜなら、「生そのものは、すでに良いものだったから」と説明されている。 そういうところに、僕は深い感銘を受ける。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.7:
(5pt)

心優しい火星人

「火星人は宗教や・芸術と生活を混ぜ合わせることに成功した」とか 「地球人が100年以上も前にストップしなければならなかったところで、 ちゃんとストップした人たち」という表現がある。 また、 火星人は「何故生きるのか」という問いを捨てたと書いてる。 なぜなら、「生そのものは、すでに良いものだったから」と説明されている。 そういうところに、僕は深い感銘を受ける。
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No.6:
(5pt)

深みとわかりやすさを併せ持つ、傑作短編集

あるときは火星人の視点で、あるときは惑星探検家の視点で、そしてあるときは地球から離れられない人の視点で。またあるときは幻想的に、あるときはコミカルに、そしてあるときはシニカルに。変幻自在に火星と地球の二つの世界を行き来するこの古典的名作は、人間や火星人の逞しさも、脆さも、愚かさも、そして無為なバカ騒ぎでさえも詩的に表現してみせる。
 正直なところ、この古典的作品を読むにあたって、それほど多くを期待したわけではなかった。この作家の他の短編集を読んだ感触では、その深い詩的表現が、私には荷が重過ぎて言わんとすることがストレートに伝わってこないと感じていたからだった。だが、この作品では火星年代記という一本の背骨が通っているため、短編の集合体でありながらその世界に没入することがずっと容易で飽きさせない。特にラスト30ページ付近の淡々とした描写には、忍び寄る恐怖と哀しみを覚えずにはいられなかった。そして最後のページでは...(後は読んでのお楽しみ)。
 すでに50年も昔の作品で、時代設定は20世紀末から21世紀にかけて、つまり我々の住む現代となっている。ここでも現実世界は小説に追いつけなかった。そして幻想文学が(他の長編・短編に見られるように)ここでも焚書の対象なのは、この作家のちょっとした被害妄想の兆候かと思わせ面白い。
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4150401144
No.5:
(5pt)

今更ですが、読みました。

ブラッドベリの代表作といわれていながら、なんとなく読むのを躊躇していた本作。 読みはじめこそページも進みませんでしたが、第3章あたりから一気に引き込まれていきました。 全体は26章(解説には13の短篇と記述)になっているので、かなり序盤ということになります。 ブラッドベリの短編集を読みなれた私にとっては手法的に異色でしたが、物語自体もブラッドベリのようでブラッドベリでないような・・・少し不思議な感覚で読みました。 美しく捕らえられ、描かれる火星と人類の姿の対比には、常に物悲しさが漂っといるようで、なんともいえない読後感があります。
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4150401144
No.4:
(5pt)

最後の文章のために

この本の素晴らしさは、内容とイラストが一致していて、最後まで一気に読ませるところにあると思います。 映像にもなっているのですが、本の迫力には勝てません。 タイトルが全てを物語る作品です。 ブラッドベリの発想の豊かさ、それを支えるイラストの素晴らしさ。 小さな本の中に大きな宇宙が広がります。 最後の文章のために読み進める自分がいることに気づいたとき、火星が自分のものになります。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.3:
(5pt)

未来の年代記作者の人類への哀悼記

昔、むかし、ある太陽系の第三惑星に、人類という種族が住んでおりました。 彼らは、「火星」と名付けた第四惑星に、ロケットに乗って移住していきます。 すでに、滅んでしまった火星人の思い出と、ある夜に神秘な邂逅を果たします。 ところが、ふとしたことから世界戦争によって滅亡してしまいます。 最後の家族が、本当の火星人として運河にその姿を映したところで、年代記は終わります。 未来の年代記の作者は、人類という種族の、愚かさから気高さまでのすべての感情を描き切ります。 二度と取り戻せない人類という存在を哀悼するのです。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144
No.2:
(3pt)

評価

この本は題名どおり火星で起きた事が書かれたSF小説です。 SF小説というと現実離れした話を思い浮かべるかもしれませんが、 この小説はところどころ現実的な所があり、読んでいると怖くなる事もあります。 そしてこの小説の特徴的な所は一見関係の無いような短い分が日を追うように書かれていることです。 それが又いい味を出しています。
火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)より
4150117640
No.1:
(4pt)

「さみしさ」をいだいて

ファンタジーというジャンルでドラゴンが愛されるように、SFというジャンルでは火星が愛されている――そう聞けば、いかにもそうだと思うお人が多いでしょう。それほど、その種のイマージュは氾濫しているようです。ですから『火星年代記』という素っ気ないタイトルだけ見れば、「またお決まりの火星ものか」という感慨をいだくお人も少なくないと思うのです。
けれどもちょっと待って欲しい。これは火星人が地球に来襲してくる猟奇的な物語ではないのです。
これは、火星移民の話。
形としては、たくさんの短篇をつないだ連作形式になると思います。個々の短篇はときに詩のようだったり、ときに風刺劇のようだったりして、実に変化に富んでいます。
文量的にいったら「二〇〇一年八月 移住者たち!!」のあたりはとても少ないのですが、読んだときに胸に広がるイマージュはただごとではありません。というのも、ロケットが発射される前にたいていの人が気分が悪くなるそうですが、その病気は「さみしさ」と呼ばれたのですって。
さみしさ――わたしたちはいつでも、広大な宇宙のただ中にひとりぼっちで立っていることを、そういう言葉が思い出させてくれると思うのです。そういうのって普段は忘れているようなことですが、本当は決して忘れてはいけなかったことなんじゃないかと思うのですよ。
火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)Amazon書評・レビュー:火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)より
4150401144

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