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名もなき毒
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名もなき毒の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全122件 81~100 5/7ページ
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宮部作品なので読んでみた。 続き物の2作目らしく、以前の話が良くわからなかったので読んでみたいと思った。 宮部作品らしい 読み終わった後にスッキリする話。 でも、作中は考えさせられる事たくさん。 ちょっと理由とか模倣犯とかも思い出す感じの作品。 なぜなら被害者の心理も追っているから。 ただ探偵が出てきて、事件の謎を追い、加害者(犯人)当てをして、万事解決!で終わらないのが宮部作品のすごい所だと思う。 いわゆる毒物だけでなく、人の心に潜む『毒』、社会に漂う『毒』、土地にも… でもすごい大仰な事ではなくて、日常生活にも当たり前に潜んでいる毒。 自分だけで処理できなくなった時に、それが他者へ向かっていき、 「被害者」が生まれ、加害者に成り代わり… そんな様が怖いと思った。 また作中の夫婦像が面白いと思ったし、雰囲気としてそんな風にもなりたいと思った。 | ||||
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元々、宮部さんは一見小物なようで実はかえってそこがたちが悪い、 という悪を描くのが上手いよな、と思っていました。 たとえば「今夜は眠れない」で 誰からも愛されるよい子ちゃんの見本のようだった女の子の ジコチューぶりが最後に暴露されたときは喝采ものでした。 私は「誰か」よりこちらが好きでした。「誰か」のときは 杉村一家がちょっとリアリティがないぐらい メルヘンチックに描かれていたのと、依頼人の姉妹がさいごまで どちらも好きになれなかったので、あまり感情移入できないのがちょっと、だったのですが、 今回、ついに杉村家も怪しくなってきたので逆に興味をそそられています。 途中購入した家の環境調査に 躊躇なく大金を使う菜穂子に違和感を感じる場面からはじまり、 結局その家を今度はなんの躊躇もなく手放すという菜穂子に 夫の杉村一郎が引っかかっている、という箇所が詳細に語られているので これは今後(絶対続編がまたあると思いますが) 伏線になるのだろうな、と思いました。 それにしてもこの作品での「困ったちゃん」女性はこわかったです。 一応毒殺事件の話なのに毒殺犯人は ぜんぜんどうでも良く、この女性のインパクトが強かった。 名もない毒ではありますが、この種の毒はたしかに 世の中に増えていってると思います。 ただ、宮部さんが上手いのは、杉村一郎の「逆玉」状況に対して 大なり小なり毒のある発言をせずにいられない人々も また「毒」なのだ、ということもちゃんと表現していることですね。 「火車」「理由」みたいに一気に読ませる力はないのですが、通勤の時など細切れな時間につらつら読むには適している良品だと思います。 | ||||
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高村薫を思わせるストーリーながらまったく違った持ち味、 重いばかりでなくどこか前向きな気持ちにさせてくれる爽やかさ。 物理的な毒と社会的な毒の両面が独特のタッチで描かれ、 まさに迫真の出来でした。近年これほどすばらしいミステリに出会ったことはありません。 | ||||
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この人の本は、だいたい面白い。意外な結末だけでない。 今回はタイトルにある「毒」というのが興味深い。「家」の土壌汚染なんて考えたことがなかったが、確かにこれは「毒」。意図せざるところに「毒」は蔓延して人を惑わす。。。恐い話だけれど、身近なところでも起こりうる一般性を持った話。 内容は決して飽きるところがないので、一気に読める。そしては最後はそれなりにすっきりできる。 | ||||
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毒殺事件で始まる推理小説なんだけど,現代の世相をよくあらわしている作品だった。 いろんな毒が出てくる。 化学物質の毒から心の中にひそむ毒まで。 この小説の主旨は犯人さがしではなく,むしろ日本の 『社会に蔓延する毒みたいなもの』 を解剖して切り出し抽出しているところにある。 ちょっと強引な展開もあったけど,周到に伏線を張り巡らせているあたり,さすが上手だと思った。 『名もなき毒』 というのは現代人の心に潜む毒のことだ。 妬み,とか,嫉みとか,そういうもの。 不幸な人が幸福な人に対して抱く理由の無い怒りみたいなもの。 あるいは,誰かをいじめたくなる気持ちとか。 著者は物語の中で殺人犯のほかに,もう一人強烈な 『コマッタちゃん』 を登場させている。 いずれも自分の不幸な境遇にやり場のない怒りを抱いており,そのエネルギーが奔出するかのように犯罪や嫌がらせをしてしまう。 自分だけが不幸で,他人が幸福なのが許せない。まるで爆弾を抱えて自爆するかのように幸福な人間を落としいれ傷つけようとする。 こういう心のはたらきを著者は,『毒』 と表現している。 現代の社会全体に,こういう名のない 『毒』 が蔓延しているという。 今の日本の社会は,どう贔屓目にみても病んでいるとしか思えない。 その病んでいる原因とは,著者が述べんとする 『毒』 の所為に他ならない。 現代日本の社会構造の病巣をメスで切り取るように描いた作品だと思った。 | ||||
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誰か に続く作品だと知らずに読み始めたのですが このミステリーとは思えないような穏やかな空気は やはり杉村三郎の人柄のなせる業だと思います。 苦手な方もいらっしゃるようですが、 私はこの杉村さんシリーズ大好きです。 奥様のやわらかさも好きですねえ。 毒などに出会わず生きていきたい。 ましてや自分自身が毒になってはいけない。 いや、うまく内なる毒と外部の毒とつきあえるような 賢さを身に着けたいと思うのでした。 ところで宮部さんの映画化はどれも原作に及ばずで 悲しい限りです。 この作品は期待しております。 | ||||
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前作『誰か』はいまいち事件にインパクトが薄かったが、今回は連続毒物混入事件とあって、展開が劇的。真犯人も意外で、そこらへんはミステリーとして文句つけようがないなと思った。 もうひとつ並行して発生する元バイト・原田ひとみの顛末については、絶対最後に何かしでかすという伏線が張られているので展開は読めるのだが、正直この女の存在は鬱陶しい。ついでに、ひとみの存在について散々警告されているのに流してしまった主人公も、なんだこいつみたいな歯がゆさが。 もうひとつケチつけると、事件後の妻・菜穂子も読んでてイライラしてしまった。 ・・・とさんざんなことを書いてしまったが、内容としては『模倣犯』には及ばないものの、現代物ミステリーとしては十分面白い内容だった。ジャーナリスト・秋山と私立探偵・北見、それから萩原社長がいい味だしていた。秋山主人公のスピンオフ作品を書いてほしいな。 | ||||
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中盤あたりから、一気に読みすすめました。財閥企業で社内報の編集を仕事とする杉村三郎。きっとこの人、血液型はO型だろうなあ・・・不可解な行動をとるアルバイトで入ってきた女。あんな女が自分の近くにいたら、怖いですね。怖いけれど、彼女の行動は、あまりにも病的で、ありえないと思いつつ、興味津々で読んでしまいました。財閥企業の社長である義父や、私立探偵の北見が、地味ではあるけれども大きな存在感があってスキです。 でも、なんだかんだ言っても、私は宮部作品の中では「模倣犯」が◎です。 「名もなき毒」もきっと映画化されるのでしょうね。 | ||||
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やさしいタッチで書かれていて読みやすいが 内容にはところどころドキドキさせられる。 些細な一文にも、著者の社会に対するメッセージが隠されていて 心を改められた。 いつもながらタイトルには脱帽。 読後感の充実した作品だった。 | ||||
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数ある宮部みゆきの小説の中でも間違いなくベストの一冊です。 逆玉結婚をした普通の人、計らずも探偵もどきをしてしまう杉村三郎シリーズの第二弾。 前作「誰か」と同じく、杉村三郎さんの考え・思いが文章に表れる様がとても美しく、一文章ずつ、味わい深く読みました。 登場人物も面白い興味深い人々です。 個人的には前作よりもこの「名もなき毒」の方が、面白かったです。前作は落ちがいまひとつでした。 たくさんのプロットがあり、その全部がぽんぽんと解決していく様に興奮させられ、一気に読み終わってしまいました。 後半はなんの感動でしょう、、?ぽろぽろ涙をながしながら読んでいました。 かなりカタルシスを感じられる一作でした。 お薦め!! | ||||
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常々、このパーフェクトな国民作家の針の穴のような唯一の欠点は タイトルがぱっとしないところだと思っていたのですが、この作品は タイトルもすばらしかったです。 (同じ女性直木賞作家の江国さんとかタイトル「だけ」はうまいですよね) 物語中、庶民の生活から隔絶されている逆タマ夫婦が、市井の現実に一々 驚きますが、私としては日本一売れている小説家が、誰も気付かないような 末端の人間観察を精密に行っていることに驚くばかりです。 損はないです。読みましょう! | ||||
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宮部みゆきは、いつも最新の社会問題に触れ、独自の視点で日常に根ざした描き方をしてくれている。 そこには著者自身の優しさや、憂いが詰まっている。犯罪者にもある種愛情を込めて描いているようにも思え、”それでも人間が好き”と言ってくれているような気がしてならない。 今回も救いようのない事件が複数発生し、ダブルミ−ニングでの”毒”と言う主題に絡めて行く。 日常的に身近にある不安、恐怖を題材にしながらも、ライトなタッチで進んで行く展開はさすがだな!といつも思います。 この主人公を生かしたシチュエ−ションは今後もシリ−ズ化になるのかもしれませんが、そろそろ”理由””火車”を継承した作品が読みたいと思うのも事実です。 | ||||
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この物語は、大企業の社長令嬢と結婚し、平凡なサラリーマン生活が一変した逆玉男、杉村さんが主人公です。 やはり、お嬢様育ちの妻とは、価値観の相違などで彼の気苦労は耐えません。 弱きものや貧しきものに対する優しい眼差しを持っている主人公の杉村氏とは違い 彼の妻は、本当に箱入り娘のお嬢様という感じでマイペースです。 根っからの善人である杉村さんは、周囲に慕われ、結果的にいろいろなことを一人で抱えてしまうことになります。 そして、あるきっかけから、杉村さんは、事件に巻き込まれるわけですが・・・・ 事件を追う中で、杉村さんは、多様な人々と出会い、自分という存在の立ち位置を確認します。 その過程で、彼は今まで見過ごしてきたいろいろなものに気づき、心を揺さぶられていくのですが、その気づきのプロセスこそ、作者宮部氏の意図する主張でしょう。 とても熱中して、一気に読めた作品でしたが、配置されている登場人物の感情が、解せないところが多少とも、ひっかかりを感じました。(被害者の立ち直りが、早すぎるのでは?) しかし、社会の病巣を、人情と、精緻な観察によって描写する文章は、相変わらず魅力的でしたし、記憶に残る物語だったと思います。 見ようとしなければ、見えない部分に覆われている社会の毒は、かくも悲惨なものなのだということを肌で感じました。 | ||||
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宮部さんは、現代のいろんな問題を「毒」という一文字に置き換えて著したかったんだろう。 ・シックハウス症候群 ・土壌汚染問題 ・インターネット問題 ・差別化問題 ・老人問題 ・フリーター/ニート問題 …… はっきり言って、テーマが多すぎて、焦点が分散したような気がしていたが… 《人が住まう限り、そこには毒が入り込む。なぜなら、我々人間が毒なのだから。》 この一文で、バラバラだった課題が一つにまとまったように思えた。 でも、やっぱり物足りなかった。 | ||||
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やや単調なストーリーながら、秀逸的な筆致で、やはり一気に読みきってしまう作品。 前シリーズの「誰か」を読んでいないものの、読者をさっと溶け込ます力はさすが宮部みゆきだ。 本作品は、青酸カリからシックハウス、土壌汚染まで自分達の身近にある“毒”を社会問題として提起し、ストーリーの根幹としながら、その根源は実は人間の毒である。 人間誰もが持つ「毒」とは一体何なのか。 昨今の凶悪事件も様々な社会問題も、私達は減らす事も解決することも出来ず、底に根付く何かすら掴めずにいるように思う。 人間の毒が産む更なる毒は社会の歪みと表れ、不満と不安が更に毒を強くする。 日本だけではなく、人間の毒は世界中を汚染している。 それを愁うのではなく、より深く追求するヒントを与えられた様に感じる。 とても深いテーマだが暗さは残さず、むしろ前進していく勇ましさに触れた気になる所が好きな部分だ。 他の方も書かれてる様に、もう少し人物を詳しく描いて欲しかったとは思うが、 感涙する部分もあり、全体としてやっぱり面白い。 | ||||
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『誰か』に続く婿殿シリーズの2作目。前作は主人公の社会的位置の説明がてらの事件解決。今回はいよいよ探偵になっていく?きっかけとなる事件の解決。育ってきた生活環境の差は、事に対する時、当事者間に気持ちのズレを生じさせる。自分の育った庶民のものさしで事に対しつつも、今の生活環境では庶民感覚からはかけ離れた家族ばかり。しかも周りの人々からは羨望と嫉妬の眼差しのなか胸の内を理解してもらえず、まるで蝙蝠のような立場の主人公が世の中の『毒』にまつわる事件に係わるうち一人の余命わずかな私立探偵と出会う。彼から聞いた依頼を受ける理由に心動かされ・・・・。連続無差別毒殺犯が連行される時、犯人なのに哀しくて、どうにもならなかった境遇が恨めしく涙を誘います。皆さんはいかが? | ||||
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前作「誰か」がやや凡作だったことへのリベンジだ!杉村さんという、特殊な立場の人物が登場するが、前作ではこの人がなんとも地味だった。それが、今回は大コンツェルンの私生児の婿と言う微妙な立場を、リアルに構築している。書ききれなかった部分を補足してきた感じだ。やはり宮部さんは自分の作品に責任を持つなあ。 「誰か」に比べて派手な事件もあるし、はっきりした敵役もいるし、このシリーズが一気に活性化した。宮部さんは確かインタビューで次作の構想があることもほのめかしていたし、いよいよ杉村探偵の誕生か!となると今多会長とは対立してしまうのか…。 いやいや、次作のことより本作です。よみやすいし面白い。悪役も暴走してくれて怖いです。適度なトリックやひねりもあります。 | ||||
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■杉村三郎は今多コンツェルンの社内報「あおぞら」の編集者。妻は現会長と愛人の間の娘だ。杉村はひょんなことから、都内で起こった4件の連続無差別毒殺事件の内の1つを調べることになる■それは、犬の散歩に出かけた60代の男性がいつも立ち寄るコンビニエンス・ストアで購入した紙パックのウーロン茶に混入された青酸カリによる殺人事件だった。一体、誰が、なぜ、どのようにしてそんなことをしでかしたのか? 他の事件との関連は? ■杉村は、死んだ男性の孫の女子高生から真犯人を突き止めたいと相談を受ける。女子高生によると、自分の母(シングルマザー)が疑わしいというのだ。だが、そんなことがあり得るのだろうか? ■物語は、「あおぞら」編集部に短期間在籍しクビになった虚言癖のある性格破綻女性・原田(げんだ)いずみのおぞましく執拗な嫌がらせ事件についても描き、現代社会に溢れる様々な「毒」(=悪意)を浮かび上がらせてゆく――■事件はどう解決されるのか? 終盤、原田が杉村の自宅を襲撃し、手に汗握るアクション場面も展開される。宮部みゆき絶好調を示す快作! | ||||
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人間は社会的な動物といいながら、その奥底に皆「毒」なるものを持っている。平凡な人間がその「毒」を現実の毒という形で行使したり、暴力的な言動で行使したりする。そんな人間の一面を非常に淡々と描いた作品。一見人物像や作品設定が平凡にみえるかもしれないが、その様な中にも「毒」が生じることがある現代社会の問題さ、怖さが逆に感じられる内容になっていると思う。今社会問題になっているいじめにしても、人間のもつ「毒」の発露に一形態であり、非日常的なものであるべきものが異常な形で日常的なものなっているのではないか。 宮部さんの初期の作品の様なより特定の社会問題を扱った小説に比べ、より人間社会の奥底に潜む問題を扱った本書はストリーだけでは単調にみえるがそのメッセージは重い。 | ||||
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この「名もなき毒」は、宮部みゆきが漠然と感じている社会全体への気持ちが主に感じた。 私達が今暮らしている社会は<名もなき毒>が蔓延して、人はとても無力なのだ。 テレビで報道される事件から、住居や職場など読者の生活にも繋がる事柄をゆっくり絡めて、ラストで宮部みゆきが隠していた<毒>を浴びる。 私達が生きる社会は、解毒剤を持たないまま、毒を避けて生きるしかないのだろうか。 他人の幸福が妬ましい、不幸にしてやりたいと実行してしまう人たちの繁殖に、人は無力でいるしかないのか。 宮部みゆきの寂寥感だけが、印象に残る本だった。 | ||||
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