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名もなき毒
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名もなき毒の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全122件 41~60 3/7ページ
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夜の中で潜んでいる毒、にじみ出ている毒、社会のために出てきた毒なのか、はたまた個人が内在させる毒なのか。この作品では、前作「誰か」で主人公になった杉村三郎が出会った二つの毒を核に物語が進んでいく。一つは自分達の編集部に入ってきたアルバイト女性原田いずみのだんだんエスカレートしていく毒の含んだ言動。やがて彼女の毒は以前家庭崩壊を招くほどのものであったことが判明していく。そしてもう一つは毒を使った無差別殺人。後者では、生まれてから一度も幸せに目にあったことのない青年外立君が核となる。彼は結局、寝たきりのお婆ちゃんを楽にさせようとネットで買った毒をウーロン茶の注入したたために無差別殺人を犯すことになる。前述の原田いずみの毒はある意味もっと強烈で御しがたい。何の罪もない兄のフイアンセをその嘘で死に追い込んでも全く反省の姿勢はない。全身が毒に浸っているといってもいいくらいだ。一方、外立君の場合は、社会の毒によって不幸の限界まで追いやられて、ほんの一瞬に魔がさしたことでこの毒を社会に返そうと思って犯した犯罪であった。このような毒はどのようにして出てきたのか。 作者のなんともしがたいこの社会への怨念が聞こえてきそうな作品だ。 | ||||
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日常にちりばめられた“毒”。それを赤裸々に描くのではなく、徐々に浮かび上がらせていく宮部女史の筆力は、やはりすごい。自分自身の生活の中で普通に起こりうることが、大きな恐怖感を持って迫ってきます。 そしてその“毒”が、杉村自身やその妻までも侵していくラスト。次作は一体どうなってしまうのだろうと、思わずにいられません。個人的には杉村夫妻には幸せであってほしいと思うのですが、なかなかそうはいかないのでしょうね。 大変面白かったのですが、杉村夫妻の設定がリアル感に欠ける点、マイナス1しました。 | ||||
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これで3冊目となる宮部みゆきさんの作品です。トラブルメーカーの原田の恐ろしい行動に気が抜けず、おっとりとした杉村に安らぎと苛立ちを感じつつ読み進みました。日常に潜む毒があらわになったら・・・こんなことが背中合わせにあるのでは?などと思いながら読んでいました。宮部さんの作品ににはそんな風によくある日常のそう遠くないミステリーゾーンへ連れて行ってくれるのです。 | ||||
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個人読書履歴。一般文学通算380作品目の読書完。2012/06/06 | ||||
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主人公の純真さ、素直さ、正直さと、他の登場人物の言動の受け止め方など、 読んでいる自分自身とのの感じ方との差こそが自分の中の「毒」を感じさせる なんともいえない読後感でした。疑わずにはいられない。 宮部さん、うまい。次作で答え合わせできますか? | ||||
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連続無差別殺人事件?を予感させるかたちで物語は始まります。 と言っても本当に無差別殺人事件ではあまり推理小説にはなりませんが・・・。 タイトルにあるように、毒というのが本書のテーマになっています。 青酸カリ、原田いずみの中にあった異常な行動、その根っこにあるひとりよがりな怒り。 本書内では原田いずみの異常性が目立ってしまって、かなり印象に残ります。 真犯人が正常すぎて何だか目立たない。(そういう設定なのだろうけど) 物語全体の感想としては前作である「誰か」よりも世界観が充実している印象。 各キャラクターも生き生き動いているように思えました。 (特に主人公の職場の同僚たち) それは登場する機会が増えたからなのでしょうけど。 前作同様、現代小説且つ長さも適度なのでその点も良いと思えました。 | ||||
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この作品は、「誰か」の続編です。 誰かの事件から一年後の作品だけど、主人公が、特別な人間ではなく、どこにでもいる、人物だということです。 それがこの作品を非常に魅力的に仕上げていると思います。普通の人が、普通に生活しているときに出くわすような。 殺人事件なんてそうそう、普通の人が出くわしたりしないけれど、でもここに登場する人物たちはけっして特別な人間ではなくて、こういう人いるなぁっと思わせる人々たちなのです。 この作品の根底にあるのは、「怒り」です。格差社会に対して、平凡であることに対して、人は様々な嫉妬やゆがんだ感情をもっているのだと思います。それを行動にあらわしてしまう人がいる・・・。 でも世間の事件も、多かれ少なかれ、いつ自分に降りかかってもおかしくないような、そういうものが連日、報道されています。 でも宮部みゆきの作品の共通点は、かならず、最後に希望を用意していてくれることだと思います。 テーマは重いです、ときどき、苦しくなります。でも読後感は悪くないです。 そういうところがおすすめです。 | ||||
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「誰か」の続編です。 気づかずに読み進めていったので、3分の1ほど、奇妙なデジャブ感を味わいながら読みました。 「名もなき毒」の中で「誰か」のネタばれがあるので、両方楽しみたい人は「誰か」から読んだほうがいいです。 王道の推理小説ではないですが、「名もなき毒」はお気に入りの本ベスト10にランクインしたほど、私にとっては読書を楽しめた本でした。 | ||||
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久し振りに宮部みゆきをタイトルに惹かれて読みました。 主人公の三郎の設定説明がやけにもったいぶってるなと思ってましたが 前作の「誰か」の続編とは知らずに読んだのですが原因でした。 タイトルの毒とは人間の内部にあるものだろうと思ってましたが 物質的な毒もいっぱい出てきて現代社会は毒に満ちてるということでしょうか。 「原田いずみ」の言動とそれへの対処方法は, 最近の若者を相手にする管理職の方に参考になると思います。 嘘をつく・自己中・とっぴな行動… たまには厳しく接することも大事かと 人間の内面の毒にテーマを絞っているので 解りやすく引き込まれる小説でした。 続編もあるようなのでそちらも楽しみです。 | ||||
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楽しく読めました。 10年近く前に書かれた「誰か」の続編の形をとり、主人公の今多コンツェルンの社員「杉村三郎」が今回、連続毒物混入殺人事件の真相に迫っていきます。 この小説の真髄は事件捜索と同時並行でおこる、女子アルバイト「原田いずみ」の奇行、不条理な嘘でしょう。 彼女の自己中心的な言動と、そこから生まれる結末は楽しく読むことが出来ました。 なぜ彼女がそんな行動をするのかと考えながら読むと、また違った面白さがあるのではないでしょうか。 (途中まではこの子「ヤンデレ」じゃないのかと思ってましたw) ーーーーー ただ読了後に、「爽快感」に欠ける(少ない)とは思いました。 火車や模倣犯と比べているのでハードルは高いですが、宮部氏の小説なので期待していましたが、、、 非常に読みやすく、感情移入しやすいのはやはり宮部氏の実力。言わずもがな。 前作を読んでなくても読める、おすすめの一冊です。 | ||||
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毒。飲めば死ぬ毒。家の中の毒。土の中の毒。 この本でいちばんの毒は人の中から出てくる毒。「不満」「妬み」「嫉み」「嫉妬」「羨望」「怒り」「自己愛」毒・毒・毒。だれでも心に発生する毒。 普通に家があって仕事があって家族があるような生活を維持するのがとても大変な世の中です。いつ自分にそんな毒が降りかかるか、またちょっとした弾みで自分も毒となってしまう可能性があることをこの本は示唆していました。 ですがそんな毒だらけの世の中じゃない、よく周りを見あわせば手を差し伸べてくれる人がきっといるというメッセージも含まれています。 | ||||
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財界屈指の大手企業の娘婿となったものの、 社内報の一編集者でしかない杉村三郎を主人公とする二作目。 一見平穏な日常生活に潜む誰にしも降りかかりそうな「毒」をテーマに、 連続毒殺事件やら周囲を恐怖に陥れる嘘つき女やらに 巻き込まれていくおっとり屋さんの主人公。 ラストはちょっと御都合主義的な一挙解決! 人が良すぎる主人公が「解毒剤」として大活躍。 娯楽ミステリーとしてはオススメ。 | ||||
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宮部みゆきさんの作品は2作目です。 数年前に最高傑作と評判の『火車』を読みましたが、 それほどでもなかったのでご無沙汰していました。 総合的には火車よりテンポもよく、 読みやすかったので、星4つとしました。 気になった点は、 ハウスシック症候群や土地土壌問題がテーマの1つになっていますが、 無理やり絡めた感があり、必要なかったのではないでしょうか。 また小説を構成する上で仕方がないとはいえ、 主人公の杉村三郎が色々な事に首をつっこみすぎるのが不自然に感じる事がありました。 その分、とんとん拍子に進みすぎた薬物毒殺事件の解決や、 原田いずみが精神異常者になった背景などを、 もう少し掘り下げてもよかったかもしれません。 しかしながら、非常に読み易い文章で、 原田いずみの父が娘の過去を明らかにするエピソードなどはグイグイ惹きつけられ、 ラストまで退屈する事なく読む事ができます。 そういう意味で火車よりは相当おもしろかったです。 主人公の杉村三郎は憎めないのですが、 生活環境が恵まれており、仕事にもそれほど熱が入っていないので、 イマイチ応援できないのは私だけでしょうか。 | ||||
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前作「誰か」よりうんと良かった。 読後感が悪くないからだと思う。 でも杉村氏はいろいろな事に首突っ込み過ぎ!と読んでてイライラしてくる。 探偵役だから仕方ないのだけど。 家族がそろそろ危なくなりそうだ…思ってたら案の定で、 ほれ見た事かっ!出かけてる場合じゃないべ!と思ってしまった。 毒殺事件についてはてっきり土壌から出た青酸化合物を精製して…云々。 みたいなのを勝手に想像したので(実際出来るかは知らないけど) ネットかよ!と思ってしまった。まあ良いんですが。 原田さんが怖すぎて毒殺事件の方よりそっちが気になった。 宮部先生の書く自己中女ここに極めれり!みたいな… 前作にも最終的に自己中女になってしまう人がいたけど、また自己中女が出てくるとは…しかも数段レベルアップして! というかこんな人なにかの病気なんじゃないかと思うんだけど、 その辺はあまり触れられないのが不思議。 杉村夫妻については、ぬるま湯な感じが好みが分かれそう。 杉村氏もいちいち卑屈な感じがちょっとするのがあまり好きになれない。 なんだかんだ言って、次回作が出れば読みたい作品ではある。 | ||||
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スラスラと読めます。物語は毒物殺人事件の犯人探しと、 主人公に降りかかるアルバイト絡みのトラブル。 タイトルがなぜ「毒」なのかも、読み終わったあと納得。 宮部さんは現代社会の様々な問題点を小説に 盛り込むのが上手ですね。 わたしは土壌汚染の話が気になりました。 これは本当に面白い小説です。 | ||||
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安心して読めるミステリーと思って油断していたが、 タイトル通り毒もあってはらはらもあり楽しめた。 | ||||
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ミステリーを全く読まなくなったのは、子どもを産んでからだと思う。人が殺されるというその設定だけでも気分がめげる。それだけではなくて、近年新聞報道がとても短くなって、毎朝、新聞を広げ、痛ましい事件にあっさり目を通す、その日常的な心の痛みに段々自分が耐えられなくなったのだ。 宮部みゆきから離れた時期も重なる。『模倣犯』が絶賛され実際に自分も時間を忘れて読んだのだが、どうしても心から離れなかった場面がある。被害者の女の子の帰りを母親が待つ場面だ。心底恐ろしかった‥そしてこうした本をエンターテイメントとして人に勧めてよいのかとても悩んだ記憶がある。 その後、宮部さんが新聞のインタヴューで「小説家は罪深い。紙の上だとしても人殺しをしているのだから」と話しているのを読んで、再び私も手にするようになった。 『名もなき毒』ははじめ連続青酸カリ事件が勃発するものの、やがてその事件を中心に全く関係ない別の事件が並行して展開する。多くの毒が描かれる中で、興味深かったのは、前作ではあまり語られなかった主人公・杉村の心の奥の毒である。もちろんこれは伏線となり、次回作が期待されるのだが、こうした人々の心のひだを本当に丁寧に描きだし、時には登場人物にその疑問についての考察をさせる。こうした手法をとってもあざとくないのは、宮部さんが「普通であること、真っ当であること、庶民であること」にどこまでも普遍的な価値をおいているからではないだろうか。 ミステリーというよりは一つの小説として、自分自身を振り返るに時間を持ちたいひとにお勧めする。 | ||||
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普段なかなか物語入りこめない私でもすんなり入りこむことができました。読み進めるごとにどんどん展開が気になって、あっという間に読み終わってしまいます。 また主人公の妻や娘などの登場人物は親しみやすく、やり取りを見ていて温かい気持ちにもなりました。だがしかし読んでいて違和感を感じる部分や、納得できない部分も多少あります。 そして特別に引き込まれるものがあるってわけでもないかもしれません。私はこの本は好きだし読んでよかったとても思いますが、特別に心に残る本ではないです。ただ読んで損はしないと思います。 | ||||
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小説は「読みやすさ」ってとても大事だと思う。 宮部みゆきは、自己のカラーや思い入れなどの重みを消してクセのない読みやすい小説を書くのがうまい。そういうところ私は好きです。さらに、読みやすくてもどれだけ人の心に引っ掛かりを残せるかが勝負だけど、それもちゃんとある。消せない何かが残るのです。「模倣犯」などに比べると「名もなき毒」は陰惨さが少なく、体力のないときでも大丈夫です。細かく言えば気になるところはあるけれど個人的な好みの問題です。 | ||||
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私は普段小説、ましてサスペンス小説は殆ど読みません。手口が残虐な人殺しばかりが面白おかしく書き立てられているように思えるからです。しかし宮部さんの小説は比較的よく読みます。特に「模倣犯」を夢中になって読んで以降、宮部さんのサスペンス小説が好きになり、本書も引き込まれるように夢中になって一気に読み終える事ができました。 「サスペンス小説」というと語弊があるかもしれませんが、宮部さんの小説に登場するのは、主人公も、その家族も、職場の人たちも、事件の中で出会う人たちも、圧倒的多数は至極平凡な人たちです。様々な悩みや問題を抱えながらも日々一生懸命に生きている、ごく平凡な人たちの、真っ当で立派で尊い生き方。それが宮部さんの小説で最も丁寧に力を入れて描かれている事です。同時にそうした平凡な日常がどれほど呆気なく破壊されるものなのか、主に被害者である女子高生と主人公との交流を通して、丁寧に描かれています。 人間は誰でも心の中に毒を持っています。土壌汚染、シックハウス症候群、毒物サイト、いじめなどの社会問題も、人間の持つ毒によって引き起こされるものでしょう。多くの人たちは日頃は心の中の毒を抑えながら生きていて、無意識に毒を抑える術をもっています。しかし中には本書の犯人たちのように、毒を抑えられず、他者に毒を発散して苦しめる人間がいる。その毒に侵され、傷を負い苦しみ続けている被害者がいる。人間はどれほど無力で、どれほど簡単に毒に侵されてしまうのか、毒に苦しめられた被害者とどう向き合い、大切な人を守るために毒に対してどう立ち向かえばよいのか、色々考えさせられます。 色々書きましたが、本書はサスペンスがむしろ嫌いな人、社会問題や人間の尊さや弱さについてじっくり考えてみたい人に、強くお薦めします。一応「誰か」の続編ではありますが、前作を読んでいない人にも、内容は十分理解できるのでお薦めしたいと思います。 | ||||
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