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競売ナンバー49の叫び



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競売ナンバー49の叫びの評価: 3.75/5点 レビュー 28件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.75pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全19件 1~19 1/1ページ
No.19:
(4pt)

トゥルンウントタクシスの史実に触れ、読んだ。

やや表象華美な翻訳と感じた。ストーリーはなかなか面白い。
競売ナンバー49の叫び (Thomas Pynchon Complete Collection)Amazon書評・レビュー:競売ナンバー49の叫び (Thomas Pynchon Complete Collection)より
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No.18:
(5pt)

簡単、分かった! ピンチョン大好き♡

おもろいっす!!! 簡単しょ。涙あり笑いありっす。アメリカ版のカフカっしょ。全部、お笑いっす。全部がユーモアとギャグで、アメリカ映画的笑いとアメリカンコッミックみたいな感じ? 時代や国が違い、オレらには理解できない部分がある。すべる? 外す? ピンチョン的な笑いを理解できなく難解だと感じる部分多数。ユーモアとして、一番分かりやすいのは、最後の方で、エディパが精神分析医を訪ねるシーンで、分析医が心を病んでいて患者に向かい発砲する。エディパは、人質になり診察室に医師と立てこもる羽目になるが、医師が引き出しから薬莢を探している間、不用意にもライフル銃は、エディパの目の前のテーブルに放置されている。容易くエディパは銃を手にして、医師を脅し、事件はあっけなく終結する。事件自体が馬鹿げていて面白いし、その間の言葉のやり取り一挙手一動が面白い。銃を構えて、医師よりも優勢になったエディパは、診察室のドアの前で待機している警察官に、「入ってきて」と言うと、警官は「鍵がかかっていますよ」と言うあたり、または、立て籠もりの最中に警察官が「テレビの人が、ちょっと窓から撮りたいようなんですけど、今のままキープしておけますか?」と言う。これってお笑いしょ! 難解でも何でもなく、作者は物語を楽しんでくれることを要求している。 一頁毎にお笑いがある。前作「V」でも、例えば「実存主義警察官」という言葉があるが、これは何でしょう? 難解ですか? 実存主義の警察官、笑えませんか? 警察官の職務は、実行力と機敏さと実務第一・現実重視が大前提です。それが実存主義的に、事件・事故等を文学的・哲学的に深堀し解釈ていったら警察官は務まりません。コメーディの主人公になるだけですね。さて、競売ナンバーに戻りますと、エディパが、久しぶりに夫に会う。夫は、LSDで人格が変わり、別人になっていた。その話す内容が面白すぎる。しかし、エディパにすれば、とてつもなく悲しい。一行毎にユーモア! 話は変わり、最も重要な主題について・・・エディパは、ピアスの遺言執行人として、遺産を調査するにつれて謎は深まる。「謎の組織」の形跡を嗅ぎ付ける。私たちがこの現実の果てに、現実の背後に別な世界があり、それによって支配されているような? 管理されているような? 運命論のような? 私たちとは、全然、別のところで、理不尽にも人生はすでに決定されているような? 不条理って言うか? マトリックスの内部に気づかないうちに、私たちが存在しているような感じって、結構よくあることっす。カフカ的っす。「審判」にガチ似てるっしょ。しかし、エディパの「謎の組織」の発見は、自分自身だけの妄想・パラノイアなのではないかと疑う。そんな感じがエディパを不安にさせ、エディパを悩ます。2つに一つしかない選択。①「謎の組織は実在する。」あるいは、「⓶エディパ自身がパラノイアである。」エディパは、1か0のデジタルな問いの中に住んでいる。最後に真相を解く重要人物、謎の組織のバイヤーが、「競売ナンバー49」を落札するかもしれない。その人物に会うことで、エディパが狂っているのか、世界が狂っているのか明確になる訳だが、そこんとこで物語は深い余韻と息詰まるよう緊張感・切迫感の中に終わっているっす!! 余談になりますが、全編が、美熟女エディパのキュートで爽やかなお色気に満たされていることも読者は、見逃してはだめっしょ?! こんな儚く美しい、ペーソスに満ちた作品を天使のような翼をもって、軽々と書き上げたピンチョンは、やっぱ、大天才っす!!!!
競売ナンバー49の叫び (Thomas Pynchon Complete Collection)Amazon書評・レビュー:競売ナンバー49の叫び (Thomas Pynchon Complete Collection)より
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No.17:
(5pt)

起承転結を理解するより、感覚的に楽しみたい誰かへ

"なぜならここには数知れぬ市民がみずからの意思で合衆国郵便を使って通信しないことを選択しているからである。"難解さで知られる著者の最初の一冊として紹介されることの多い本書は、読書のもつ"理解したい"という固定概念や思い込みを破壊するポストモダン文学の試みが流石の秀逸さ。

個人的には、とはいえ。著者の本は初めて(笑)となるのですが。冒頭からの偽も含めた圧倒的な情報量と解説の多さに(世界文学によくありますが)導入部分で挫折しそうになりましたが、やはり中盤以後の、主人公がまるで望んだように頻繁に立ち現れる陰謀説の描写以降から最後までは圧倒的な面白さで引きこまれました。そして読後の感想は2つ。1つは、この実験的な作風はアメリカ版筒井康隆に近い?というもの。あと1つは、どこかデジャブがあるなと思ったら、公開中の映画"アンダー・ザ・シルバーレイク"( https://m.youtube.com/watch?v=uuuClxVtJ5o )とよく似ているなというもの(検索すると、やはり同様の感想をもつ人がちらほら)。いやあ。楽しい本でした。

頭で起承転結を理解するより、感覚的に楽しみたい誰かに。そして本書が発刊された1960年当時のアメリカに関心がある誰かに。そして映画アンダー・ザ・シルバーレイクが好きな人にオススメ。
競売ナンバー49の叫び (サンリオ文庫)Amazon書評・レビュー:競売ナンバー49の叫び (サンリオ文庫)より
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No.16:
(4pt)

現代のアメリカ社会で取り残されてしまった人たちがテーマか?

学生時代に読んだサンリオ文庫のやつを読み直してみた。
最後の競売の前のところまでは一応何が書いてあるかはわかったが、最後にエディパがいままで集めた情報を総括しているところは最初は意味がわからなかった。さらにそこを読み直すと、サン・ナルシソやパラノイア、デジタル・コンピュータに象徴される現代のアメリカ社会とそれに取り残されてしまった(追放されてしまった)人々がテーマと言うことか。トライステロはそれを描くためのエンジンで、最終的には存在していても存在していなくてもいいんだろう。
遺産執行人になったエディパがトライステロの謎ばかり追いかけているのは不可解だった。もっとほかにもやることがあるんじゃないか?
競売ナンバー49の叫び (サンリオ文庫)Amazon書評・レビュー:競売ナンバー49の叫び (サンリオ文庫)より
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No.15:
(4pt)

新訳のおかげで

若かりし頃から挫折を繰り返していたピンチョンを、新訳になってついに読破できました。やはり新訳のほうが読みやすいと思います。持ち歩いて読むと挫折するのはわかっていたので、自宅でキャラクターや展開のメモを取りつつ、少しずつ読み進めました。正直、それでもやっぱり難解なので理解できていないですが、理解できなくても楽しめたという感じです。もう少し安くなったら、新訳の「V.」や「重力の虹」にも手を出したいと思ってます。
競売ナンバー49の叫び (Thomas Pynchon Complete Collection)Amazon書評・レビュー:競売ナンバー49の叫び (Thomas Pynchon Complete Collection)より
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No.14:
(4pt)

少しわかった。

翻訳者のおかげでちくま文庫版よりも読みやすかったし、解説が小説の読解におおいに役立った。
でも、ピンチョンは相変わらず高い山だ。それは遠くの方にそびえ立つ宇宙人の砂遊びの跡のような、相変わらずなんだこれは、という感じ。
星4つなのは、自分がアメリカ人でないために(西洋人でないために)、その歴史を自分のアイデンティティーと結びつけられないから。つまり、外からふーん、ふーん、と納得したようなつもりになったり、勉強になったと思い込んだりするくらいで、要するに自分にとって切実なものがないのだ。「重力の虹」では、小説世界の背後にある巨大な力が、今日の日本も容赦なく覆い尽くしていることから、他人事ではなかったのだが、「競売」はそこまでいかなかった。
自分は日本人だから、そもそもにおいて、世界は多様で無常であるという価値観を自然と受け入れているし、『Aか非Aか、どっちつかずはだめ』という二者択一の思考の徹底がなされてきた国とはずいぶんかけ離れた国の中で教育を受けてきたから、いろんな神や信仰が混在している良くも悪くもいい加減な感じの国に生きる自分としては、天国か地獄か、正義か悪か、一人の神と迷える子羊たちか、とか、常に二者択一を強いるような教育はただただ疲れるなあ、なんでそんなに切羽詰まってるんだ、とため息をついてしまう。
ピンチョンもそういう世界にいることに疲れたんじゃないか。だからメキシコに逃れたりして、ふらふらしたんじゃないだろうか。
ピンチョンにとっては、この小説の中でギャグやパロディに包んだアメリカの裏側は切実極まりない問題で、だからこそ、その天才の脳を他の学問ではなくて(細分化、専門化された現代の学術研究ではなくて)小説という自由に分野をまたぐことができて、世界をありのままに、仏教的に言えば縁起的に、力業でとらえる試みが可能な分野を選んだのではないか。
そう考えると、やっぱりこの人は天才だ。1つの分野にはおさまり切らないのだ。まるでダビンチだ。
さらに強烈なのは、ピンチョンがスーパーオタクであるということ。普通のオタクは1つの狭い世界に閉じこもり、外の世界には無関心だが、ピンチョンはスーパーオタクだから漫画もアニメも、歴史も科学や物理学も、オタク並みに知っている。それらを1つにしてしまう、そのスケールの大きさ、大胆さ、独創性、馬鹿馬鹿しさ、理解のし難さ、を味わうためにピンチョンを読むのだと自分はわかった。
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No.13:
(5pt)

ピンチョン入門には最適かも

きっと自分好みの作家だと思いながら、なかなか読めなかったトマス・ピンチョン。というのも圧倒的な量に恐れおののいてしまうのだが、この本は、長さも手頃で、ストーリーも分かりやすくて、入門書としていいかも。

「ヴァインランド」、「スローラーナー」ぐらいしか読んだことのないピンチョンだったが、新潮社から「トマス・ピンチョン全小説」シリーズが出てから、全冊購入し、チャレンジしようと思ったけど、やっぱり、読み始められず、積読状態。それじゃいけないと、一念発起し、まずは手頃なものと選んだのがこの本だった。

やっぱり簡単というわけではなかったけど、かなり私好み。解注があっても難解だけど、インターネットの発達した現代に読むとアンダーグラウンドなコミュニケーションといったところは、1966年に書かれたこの作品の持つ意味がまた違ったふうに読めて面白い。

これで、ウォーミングアップは終わった。いよいよ、「全小説」に取り掛かろう。
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No.12:
(5pt)

新体験として読めるピンチョン名作

『競売ナンバー』は志村版2種&英語版を持っていて、精読していたつもりだったんですが、今回の新訳を読んでその考えが改まりました。 文章の端々からピンチョン独特の世界が浮かび上がってくるようで、その明晰さに叩きのめされた感じです。 今後刊行されていく新訳ラインナップも楽しみですね。
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No.11:
(4pt)

「パラノイア」という名のロックバンドが愉しい

本作のテーマは陰謀とパラノイアとエントロピーですが,実はとてもユーモアが効いています。
 今のアメリカにはさまざまな形でパラノイアが存在します。
 いつか誰かが襲ってくるのではないかとの疑心暗鬼に取り憑かれた国民は,自らを銃で守る権利を主張し,
誰もが銃を持てることで更に銃の恐怖が増加するという悪循環。
 そんなパラノイアに取り憑かれたアメリカを,どこか笑い飛ばすような気持ちが,作品の裏にあるのかしれません。
 本作品に登場する人物は誰もが普通のようで普通でない,どこか「パラノイア」に取り憑かれたような人が次々に現れます。
 「おがくず」という言葉を聞いただけで昔のことを思い出し過剰に反応する主人公の夫ムーチョ。
 合い鍵を使って勝手に部屋に入ってくるロックバンド「パラノイア」のメンバー。
 本作を本気で読み解こうとすれば,奥が深く本当に難しい作品なのだと思いますが,戯画化された登場人物たちの言動や振る舞いは
ユーモアにあふれどこか微笑ましい気さえします。
競売ナンバー49の叫び (サンリオ文庫)Amazon書評・レビュー:競売ナンバー49の叫び (サンリオ文庫)より
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No.10:
(4pt)

比較的取っつきやすいと言われているようですが

難解極まりないと言われるトマス・ピンチョンの作品の中では、比較的取っつきやすいと言われているようです。

でも、すごく難物でした・・・。謎が謎を呼ぶ複雑なストーリー展開。詳細な脚注を見ながらでないと、とても背景の意味を汲み取れません。

それでも、言わんとするメッセージは割とストレートで、「この世は陰謀に支配されているのではないか?」。特にアメリカの社会の「パラノイア」を描こうとするものらしく、確かに、大量破壊兵器があると思い込みイラク戦争をしてしまったり、ケネディ暗殺の政府陰謀説がいつまでたっても消えないことなど、時としてパラノイアとしか思えない世界に入り込むアメリカって言うのは、住んでみて実感として感じるところではあります。

ただ、今から40年以上前の「問題作」なので、その「問題」のありようも、何となく古く感じます。SF小説とも言えるストーリーの飛びっぷりも、突き放したような距離感のある語り口も、今ではちょっと古いです。翻訳のせいなんだろうか・・・。

なお、本作が生まれるきっかけとなったとされるメキシコ(スペイン生まれ)の画家レメディオス・バロのエピソードは、非常に興味そそるものです。女流のシュールリレアリストで、何とも幻想的な作風で、かなりはまりました。トマス・ピンチョンのインスピレーションを大いにかき立てたであろうと、大納得です。
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No.9:
(4pt)

難解なのに読ませる不思議さ

ものすごく不思議な作品。 総じて難解なのです。 多分1回読んだって到底理解できない まるで空の上にいるかのごとく世界。 でもその読みにくさが 逆に読む意欲を掻き立てるのです。 意地でも読破してやるぞ! という感じの感情をね。 決して煮え切らないという作品ではないものの 癖があまりにも強すぎます。 なので、玄人好みの1冊でしょう。 悪い作品ではなく、読者を選びます。
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No.8:
(5pt)

びっくり仰天マトリックス

難解、分厚い、歯が立たないみたいなピンチョン作品の中でも分かり易い作品ですよ〜というレビューを読んで、それじゃあと初めて読んでみました。
事実、親切な注解が、かなり理解を助けてくれました。写真や図版もいいですね。読み終わった後で、ネットにピンチョン・コムというものがあって、そこでは全作品の詳細な解説頁があることも発見しました。こちらは、図版がカラーで見れます。ユーチューブでは、ピンチョン本人の声も聞けます。予想と違って、力強い声なんですね。
それにしても、驚いたのは、1966年の作品に、映画『マトリックス』の世界観が出てきた部分です。ジャンクでコミカルな部分と、史実に沿った大胆な解釈が渾然一体となり、正統なネットワークと非合法ネットワーク、はたまた孤立するためのネットワークなど、過去を語りながらの、この未来予測には、ただただ驚くばかりです。
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No.7:
(5pt)

まさか本書が文庫で読めるとはね!

アメリカ現代文学の重鎮にして、難解・寡作で知られるトマス・ピンチョンの代表作の一つ。
ピンチョンの作品の中では、比較的読みやすく(とはいっても普通の小説を想像してかかると
その衒学的で癖の強い文体にびっくりする)、大衆性をあわせもった作品ではないか。
ピンチョン作品は短編集しか文庫になってなかったが、本書を文庫にするとは、さすがちくま文庫!

内容は、アメリカの平凡な主婦が、突然降ってわいた遺産相続の話を通じて、アメリカ史の闇に暗躍する
陰の郵便組織の存在をかいま見ていく、というもの。その組織が実在のものであるか、主婦の妄想であるか
は最後まで明かされず、すべてが明きらかになるであろう競売のシーンの絶妙なタイミングで小説は終わる。
ここで読者は妄想と現実崩壊の入り混じった不思議な読後感を味わうことになるであろう。

本作では、架空の郵便組織、という、比較的平和で俗っぽい組織を妄想の題材に仮託しているが、
このように、陰の組織が実社会を支配しているという妄想感覚、現代人には共通するものなのではないか。
古くはユダヤ議定書などから始まる歴史上の陰謀論、はたまたさいきんよく耳にする集団ストーカー、など
ありとあらゆる社会レベルでこの感覚が見られる。これをただのスキゾ的被害妄想、と言い切ってしまうのは
たやすいが、本作はまさにその感覚そのものをテーマにして、現代人の特異な心性を描ききってみせた。
この心性がテーマゆえ陰謀は存在するのか、しないのか、答えを出していない本作であるが、実のところ
ピンチョンはどう考えていたのだろうか。

実態のとらえづらい現代的な心性をテーマを一つのストーリーにした傑作として、本書には★5を献上したい。

この調子で、他のピンチョン作品の文庫化も望みたいところ。
競売ナンバー49の叫び (サンリオ文庫)Amazon書評・レビュー:競売ナンバー49の叫び (サンリオ文庫)より
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No.6:
(5pt)

買いです。

難解というのももちろんありますが、とにかく長いピンチョンの著作にあって、例外的な分量と取っつきやすさを持って鳴る「競売ナンバー49の叫び」です。詳細な「解注」が付されていることもあって、ピンチョン入門にうってつけだと思います。もう20数年前にかのサンリオ文庫で出されたのを読んだのが最初で、当時買ったその文庫には、「解注」で触れられている箇所にマーカーで線が付けられており、それを目にする度に苦戦した大学時代の記憶がよみがえります。ところで、今回、この文庫化で初めて本書を手にされる方は、一見とかく詳細に過ぎるように見える「解注」に面食らうかもしれませんが、実は「解注」は本作の基調や読み方を読者に知らしめ、ピンチョンの世界にソフト・ランディングしてもらおうとの訳者、苦肉の一策であって、後半になるほどに量質ともに収まってきますので、100頁あたりまでは鳴らぬ堪忍で頑張りましょう。僕個人は、まず一度栞を二つ使って本文と「解注」を行きつ戻りつもたもた読んだ後、間を置かずもう一度読むようにしています。二度目は取るに足らない固有名詞の説明などが頭に入っていますのでほとんど「解注」を確かめることもなく、この作品の有する感傷的な部分まで愉しむことができるように思います。また、今回の文庫化はそのサンリオからのものではなく、その後ちくまから出された「殺すも生かすもウィーンでは」を収録した単行本の文庫化であり、訳者によるあとがきでは、サンリオ文庫閉鎖の余波で原稿料が出なかった等の、およそピンチョンの壮大な作品世界に似つかわしくない後日談を知ることもでき笑えるのですが、これもまた、意外に下世話なピンチョンっぽいと言えば言えるかもと変に納得させられもしたのでした。
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No.5:
(5pt)

これはスゴい作品・・・!

トマス・ピンチョンの作品の中で「一番読みやすい」小説がついに文庫化。1966年の作品。

一番読みやすいと言っても、日本でも人気な「60年代のアメリカの作家」(例えばカポーティ、ヴォネガット、サリンジャー)などと比べるとかなり難しめですので注意。
一般人向けと言うより文学ヲタ向けの作品ではあります。

しかし「非常に難解な文学作品」と「一般人でも読める文学作品」のちょうど中間的な小説でありますので、なんというか「橋渡し的」役割がある小説だと思います。
注釈とかあとがきでページ数が割り増しされてますが、本編は「250ページ」しかありませんから、「古典的な文学作品」をある程度読んだ人はこれに挑戦すると良いんじゃないでしょうか?。

話の内容はある人の死がきっかけで主人公の前に謎が立ちあらわれ、話が進むにつれて色々な伏線が回収され収束していくという形式の小説。
まるで迷路の中をさまよっているような・・・あてどもなく漂い、迷い、流れていくような・・・。
暗喩がたっぷり。2,3回は読みなおしたい。

ちなみに2010年6月から新潮社でトマスピンチョンの全集が続々と出版されますので、この作品の新訳も来年ぐらい(?)に出版されると思われます。
ハードカバー版でしょうから高いのはイヤって方は、このちくま文庫版がおすすめ。
新訳好きやマニアの方は新潮社版がおすすめであります。
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No.4:
(5pt)

買いです。

難解というのももちろんありますが、とにかく長いピンチョンの著作にあって、例外的な分量と取っつきやすさを持って鳴る「競売ナンバー49の叫び」です。表紙に作中重要な意味を成すバロの絵画を用いたり、詳細な「解注」が付されていたりと、ピンチョン入門にうってつけだと思います。もう20数年前にこのサンリオ文庫で出されたのを読んだのが最初で、当時買った文庫には、「解注」で触れられている箇所にマーカーで線が付けられており、それを目にする度に苦戦した大学時代の記憶がよみがえります。ところで、この回初めて本書を手にされる方は、一見とかく詳細に過ぎるように見える「解注」に面食らうかもしれませんが、実は「解注」は本作の基調や読み方を読者に知らしめ、ピンチョンの世界にソフト・ランディングしてもらおうとの訳者、苦肉の一策であって、後半になるほどに質量ともに収まってきますので、100頁あたりまでは鳴らぬ堪忍で頑張りましょう。僕個人は、まず一度栞を二つ使って本文と「解注」を行きつ戻りつもたもた読んだ後、間を置かずもう一度読むようにしています。二度目は取るに足らない固有名詞の説明などが頭に入っていますのでほとんど「解注」を確かめる必要もなく、この作品の有する感傷的な部分まで愉しむことができるように思います。
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No.3:
(4pt)

仕組まれた自由に誰も気づかずに…

本書はThomas Pynchonの小説二点の翻訳、"The Crying of Lot 49 "および
"Mortality and Mercy in Vienna"を収録。

 表題作、『競売ナンバー49の叫び』。
「ある夏の日の午後」のこと、「どの日もどの日もまずは似たものばかり」、そんな平凡な
ヒロイン、エディパ・マースのもとに一通の手紙が舞い込むところからすべてははじまる。
それは大富豪ピアス・インヴェラリティの遺言執行人に彼女が選出されたことを告げる手紙、
そしてそれは彼女を夢幻とも現ともつかぬ波乱の日々へと誘う手紙。
 テレビの映画放送、観劇した芝居『急使の悲劇』、切手コレクションと秘密の郵便組織――
全てのものが意味ありげなざわめきを以って彼女にささやきかけてくる。彼女が巻き込まれた
世界は果たして、誰かの手によって周到に仕掛けられたものなのか、それとも歴史の必然の
こだまか、あるいは単なる偶然の連なりの中に妄想を見出しているに過ぎないのか。
「ザ・トライステロ」、それは彼女を包囲する何かの謎を明かすに留まらず、「彼女の塔に
幽閉されている状態に終止符を打つ」鍵を握ることばに違いなくて、ところが、このことばを
めぐる探求が彼女をさらなる深みへと引きずり込むこととなる。
 やがて狂気と正気は境界を失いそんな人間の依って立つ世界の危うさ、セカイの危うさに
肉薄した、実はすぐれて正統派の佳品。

 この小説は決して軽やかなエンターテインメントの類ではない。幾度となく執拗に慎重に
読み返され、読み解かれるべき一冊。
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No.2:
(5pt)

世界が変容する

ピンチョンを読むことは、読書というより体験だ。 圧倒的な力によって、60年代アメリカが、ぐんぐん異質なものに変容していく。 安っぽいモーテル、ロック、ホームパーティによるお買い物etc.といった既視感のある現実の日常の風景が、LSDの浸透の影に隠された陰謀、ヴィクトリア朝の郵便制度の秘密、フリーメーソンじみた奇妙な暗号に彩られた形成された別の次元にすりかわってしまうのだ。
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No.1:
(5pt)

ピンチョンを読むならまずこれを

かつての恋人の遺産を調べる女性主人公が、徐々にアメリカ全土に張り巡らされた、ホモセクシャルや自殺中毒者など非アメリカ的な人々の地下組織を幻視するようになっていく……、という風にストーリーを言葉でまとめられる事自体がピンチョン作品のなかでは稀有な存在です。 中編で、サスペンスフルでもあり、ピンチョン作品の導入には最適の作品。 ピンチョンお得意の、歴史的逸話をベースにした挿話も大変魅力的です。
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