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死んでたまるか
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死んでたまるかの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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著者は、作品の舞台を南北朝や幕末にも広げており、また、短編だけでなく長編も書くようになった。 池田屋事件に関わる群像短編集「池田屋乱刃」や家康の前半生を本能寺からの遁走をメインに描いた「峠越え」は、レベルの高い仕上がりと評価している。 一方で、高師直を主人公とした長編「野望の憑依者」は、同じ著者とも思えぬイマイチな出来だった。 本書と同時期に、本書にも登場するブリュネを主役とした佐藤賢一の長編も発行されている。両方を読んだ者として、作家としての力量では甲乙つけがたい二人なのに、出来の違いが酷過ぎるのは残念だ。 私は、盲目的な著者賛美はしないので、ハッキリ客観的に評価するが、本書は「野望の憑依者」の二の舞となっている。 ダメなポイント1: 歴史的に足跡が少なく、ハッキリと脇役な大鳥圭介メインとしながら、戊辰戦争通史となっており、メリハリに欠ける。 ダメなポイント2: 頭でっかちで軍才に欠ける大鳥を、義の人や名将に仕立てるため、容保以下の会津諸氏や旗本等が酷い悪役描写。 ダメなポイント3: 大鳥が必死で策を練り戦い続ける姿を著者は讃えているが大鳥は刀を収めることを知らずに皆を死に追いやった感があり、そこを反省して彼の後半生があるという大きな視点に欠ける。 ダメなポイント4: 軍人としての土方、政治家としての榎本に明らかに劣後する点を巧みに避けてしまい、凡庸な人物像にとどまる。また、容貌魁偉にして舌鋒鋭く知性豊かといえば、適塾での彼の先達である大村益次郎をフツーに思うところで、それを避けたのは、大村と大鳥の格の違いに触れたくなかったからだろう。 著者の作品の魅力である、歴史に名を残さぬ者の歴史や世界など考えることもなく、それでも自分の生き方を貫くスタンスが、本書には感じられない。先達レビューを読んでも、別に大鳥が主人公でなくても(たとえば榎本や土方でも成り立つ)としか思えない。 歴史に名を残さぬということと、歴史の中での脇役とは意味が違う。主役に向かない人というのは、役者でも歴史の人物でもいて、それはその人の価値とは別問題なのだと思う。実に残念な作品だ。 | ||||
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