■スポンサードリンク
(短編集)
雪には雪のなりたい白さがある
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
雪には雪のなりたい白さがあるの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
4つの公園:横浜の港の見える丘公園、飯能のあけぼの子供の森公園、練馬区の石神井公園、所沢の航空記念公園を舞台にした作品。何か、読んだ後の心残りなところがいい感じだ。今の世の中の若者たちの生きづらさを上手くすくい取っている。 田舎から出てきた果歩は、子供の頃に憧れていた横浜の大学に行く。田舎ではファッションリーダーだと思っていたが、横浜ではなぜか普通の子になってしまった。気後れをしている果歩。果歩が大切にしているのは、メヂカラ。自分にどうやって、メヂカラができるかと考える。 港の見える公園で、雨の中に、傘も刺さずにメヂカラのしっかりした老人がいた。その老人に傘を貸すことで、老人と奇妙の関係が生まれる。自分は何者かを悩む果歩。その老人は、何気なく語る言葉に、果歩は一歩前に進むことができた。 離婚して、子供を育てた経理のサラリーマン。5歳になった息子を連れて、あけぼの子供の森公園に行く。実は、別れた妻と5年ぶりに会うのだった。妻は靴のデザイナー。才能があった。妻は、ムーミンファンだった。付き合い始めて、あけぼの子供の森公園によく行った。5歳の子供は、まだ文字が読めないが看板オタクだった。父親は、子供に「公園では手をつながないと妖精が悲しむ」と嘘を教えて、子供と手をつなぐ。子供は、自分を産んだ母親を覚えていない。二人がいると子供から手を繋いでいないと文句言われる。二人は手をつなぐことで、体温を通じて、自分達の良い時を思い出すのだった。 看板には、「犬のフンは、きちんと片付けてください」と本当は書いてあるのだ。嘘から、二人の本音が出てくるのだった。スナフキンの言葉が、上手く使われる。 石神井公園で、休養中の歌手に出会う。その人は涙を流していた。バードウオッチが趣味の孤独な高校1年生。子供の頃、その歌手になる前の少女に「君は変わっちゃだめだ、ずっと孤独でいろ」と言われた。孤独な鳥好きな子供は、孤独に生きることを肯定されたことが、嬉しかったのだ。そして、バードオタクになって、生きるのだった。 所沢の航空記念公園。中学の淡い恋。フルート奏者になりたい少女、ミズキと宇宙関係の仕事をしたい少年。二人は夢を語り合っていたが、親の都合で、少年はイギリスへ。そして、雪の降る夜に、別れを告げられた。少女は遠距離恋愛でいいというが、自分の夢を実現するには別れた方がいいと少年はいう。大人になって、もし出会って二人とも恋人がいないなら結婚しようと少年は言った。 そして、少女は26歳の大人になり、フルートは諦めて、銀行員になっていた。中学の同窓会があるので、所沢出身のミズキは、初恋の少年がどんなふうになっているのか知りたかったが、彼は参加しなかった。そして、彼は宇宙開発の仕事をしていることを知らされる。ミズキは、雪の降る中で、色の違った雪として降りたかったけど、みんなと同じ白い雪でも、自分のなりたい雪の白さを目指そうとする。 なりたい自分と現実の自分のギャップに苦しむ人たちが、さりげなく、公園という解放された空間で、自分が何者かを知るのだった。余韻が残る作品だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ライト向けな文章で読みやすいんだけど、 1話を読み終えたあとはあまり・・・ 気分的にスッキリしませんでした。 主人公が微妙な性格をしていてどうも苦手。 お話と主人公が別々になっている構成ですが、2話以降も変わらず主人公がなんか嫌。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2014年に出た単行本の文庫化。新たに「あの日みた大空を忘れない」が加えられている。 「雨上がりに傘を差すように」「体温計は嘘をつかない」「メタセコイアをさがしてください」「雪には雪のなりたい白さがある」「あの日みた大空を忘れない」の5話から構成された短篇集だ。第4話と第5話のみ関係性がある。 人間関係のさまざまなありかたを描いた物語集だ。女子大生と老人、離婚した夫婦、歌手と鳥好きの少年、中学生のときに将来を決めた2人。出会いと別れ、そして何かが変わっていく。 いずれも「公園」が舞台となっている。 ちょっと私には読みどころがよくわからなかった。人生に迷っている10代後半~20代の読者には共感できるのかも。 ちなみに、ミステリ要素はない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アラフィフのおっさんです。audibleでした。主人公達がことごとくクソ馬鹿でした。着地点も薄っぺらく、そこに至る過程を聴かされるのですが、内部遍歴の自己中さに辟易しました。我慢して最後まで聞きましたが速攻で返品しました。高齢者にはきつい本でした。 内容はアレですが、朗読は聞きやすく演技も素晴らしいと思いますので星2つにしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
結構泣けます。昔西武沿線に住んでいたので、飯能、石神井、所沢は懐かしいなあ。今は少し離れてしまったのでそのうち訪ねてみようと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
4つ公園での季節の短編集。 「雨上がりに傘を差すように・港の見える丘公園」 「体温計は嘘をつかない・あけぼの子どもの森公園」 「メタセコイアを探してください・石神井公園」 「雪には雪のなりたい白さがある・航空記念公園」 どのお話も希望でしめくくられている。とても聞きやすかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
久々に小説というものを読んだ。そして、一話目が最も泣かせてくれた。 自分の言葉帳になにかが付け加わるものではないが、小説を離れている方々には一話目だけでもいいから読んでいただきたい。 悔やむことなく生きていくために | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
四つの公園が出てくる四つの短編。 みなとの見える岡公園では新しい都会の生活に馴染めない女子大生と頑固そうな老人が。 あけぼのこどもの森公園では5年ぶりに再開する離婚した元夫婦が。 石神井公園と航空記念公園でもそれぞれの年代の男性と女性が公園から出会ったりリスタートしたりします。 公園は単なる劇の舞台ではなく、主人公たちがその場所や雰囲気が好きだと思う感情を投影するモニター、またはそこに関わる想い出の集積装置として、まさに彼等にはこの公園がオンリーワンとでも言うべき人生に必要な存在となっています。 4つの作品を読んだ後で貴方はきっと、「そうそう、僕の好きな公園はね。」と自分の頭の中の引き出しをガサガサと探すことになるでしょう。 さて二作目のあけぼのこどもの森公園。聞き覚えありませんか? そうです。先日も話題になったムーミン谷公園です。 このお話しではここのユニークな建物達やスナフキンの名言などもしっかり出てきますのでムーミンファンにも楽しめる内容です。 このように自分が大好きな公園が素敵な物語に出てくると何だか我が子の工作を褒められてるようないい気持ちになるものですよ。好きな公園がこの中に入っている方は是非手にとって読んであげて下さいね。僕の気持ちがわかると思いますよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
雪には雪のなりたい白さがある。この不思議な題名と温かさを合わせ持ったイラストレーターげみさんのイラストによって、 この小説を購入するに至りました。 内容は4つの話に分かれています。どれも公園を舞台にした小さな名作たちですが 私のお気に入りの話を少し説明させて頂きます。 第一話「雨上がりに傘を差すように」 あるドラマの舞台、横浜に憧れを持った高校生「果歩」は横浜の大学へ行き、一人暮らしをすることを決心する。 クラスでお洒落には自信のあった果歩だったが横浜の何もかもが自分とはかけ離れたものだと思うようになり、大学でも孤立してしまう。 輝きに満ちた大学生活を送るはずだった、ある日。 港の見える丘公園の展望台のベンチに導かれたかのように座っていると傘を差していない老人「増本源次郎」と 出会う。源次郎の目ヂカラに魅せられ、その日から雨の日に源次郎とこの公園のベンチで話すようになった。 このお話から私が感じたのは、他人にどう思われているか、自意識過剰になっても実際に話してみなきゃ分からない。 他人は自分が思うことの斜め上を見てくれている。ということ。 そんなことが分かってしまうと自分を見直すきっかけにもなるし、今までの自分があって良かったのかと 考えさせられます。 その他のお話も、一人一人に感じることが沢山あると思います。 ほっこり温かくなるお話をぜひこの冬に。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
横浜市の「港の見える丘公園」、埼玉県飯能市の「あけぼの子どもの森公園」、東京都練馬区の「石神井公園」、埼玉県所沢市の「航空記念公園」。東京近郊にある街中から郊外の公園を舞台とした4話。 一人でも心楽しめる場所であり、知らない二人が偶然に出会う場所であり、デートスポットでもあり、主人公たちの現実の、あるいは思い出の交差点となる「公園」という縛りが、全く独立したお話をうまくまとめ上げています。 それぞれ、老人と大学生、5年前に別れた夫婦、同じ中学出身のミュージシャンと高校生、中学3年で別れてもう10年以上連絡も取れていない元恋人、というバラバラな二人が主人公になっていて、直接の恋だったりそうでなかったりいろいろですが、自らの現実への理解に至ること、大切にすがってきた思いとの別れ、そしてその上での救済ないしは解放のお話として、どれもとても素敵です。 ほんのり暖かいものから、しんと冷えるものまで温度は様々ですが、華々しくドキドキするものではないので、じんわりと染み出してくる情感を楽しみたい人に向いているでしょう。 本のタイトルは第4話の題であり、その最後の文でもあります。惨めなまでに切ない思いの中でも生きていくことへの小さな決意、そんなこの話が私は一番好きです。他の3話は、小さな自信、過去への決別、迷いの払拭と希望の発見、と言ったところでしょうか。どれがお気に入りか、あの人に聞いてみたくなる短編集です。 カバーの絵は4つの公園を混ぜたもののようですが、雪空と女性は第4話かな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
電撃文庫・メディアワークス文庫とライトノベル畑で書くたびに異なる新しい作風の作品群を発表してきた作家・瀬那和章 一般文芸デビュー作品。春夏秋冬を背景に関東各地の公園を舞台にして描かれた四編の短編により構成 「雨上がりに傘を差すように」春・港の見える丘公園(横浜市) 地元ではファッションリーダーを自認してきた果歩は「自分に似合う町」と憧れてきた横浜で落ち込んでいた。横浜の大学に 入ってみれば地元で育った他の女子学生は自分など足元にも及ばないぐらいに輝いている。いつしか横浜の町そのものが自分に 分不相応に思えてきた果歩は友達も出来ないまま一人寂しく港の見える丘公園へ。公園内で果歩は傘も差さずに歩く身なりの良い 老人・増本源次郎と出会う。果歩は雨が降るたびに源次郎と出会っては自分の悩みを聞いてもらう事になるが 「体温計は嘘をつかない」夏・あけぼの子供の森公園(飯能市) シューズメーカーの経理マンである主人公は息子の陸を連れて暑い中ムーミン谷公園と称されるあけぼの子供の森公園を訪れていた 成長した陸を見せる約束で現れた五年前に離婚した元妻の真帆と再会した主人公は今でも真帆が自分を「シュー君」と読んでいる事に 驚き、何より将来を嘱望されていたデザイナーだった真帆がただの事務員をしていた事に驚かされる。かつて平凡な経理マンと期待の デザイナーとして社内で不釣合いな夫婦として見られ、男の意地で妻に並ぼうと育児を真帆に押し付け、追い込み続けた過去が蘇り 「メタセコイアを探してください」秋・石神井公園(練馬区) 石神井公園でのバードウォッチングが趣味という変わった高校生・佐藤葉助は公園内で犬の散歩をしている一人の女性と出会う かつて自分の趣味を他人に理解されない事に悩んでいた自分に「君は変わっちゃだめだ、ずっと孤独でいろ」と孤独な生き方を肯定した その女性・人気ボーカリストで現在は休業中の相沢ミアに再会したものの声をかける事も出来ず悶々としていた葉助の前に不思議な少女が 現れる。「秋の妖精」と名乗り葉助の出身中学の制服を着たその少女はミアに話し掛けるきっかけをあれこれと提案してくるが 「雪には雪のなりたい白さがある」冬・航空記念公園(所沢市) 音大を出ながら銀行に勤め、悶々とした日々の中、何度恋をしても満たされない瑞希は雪の降る中、航空記念公園を訪れていた 中学時代に付き合っていたロケット開発関係の技術者を目指す周防英次との思い出の場所で、英次と別れを告げられた際に交わした 会話が瑞希の胸のうちに蘇る。フルート奏者を目指しながら、その道の険しさに絶望しかけていた瑞希に英次が投げかけた問い 「ペガサスはあの小さい翼で何故空を飛べるのか?」その答えと英次が今も夢を諦めていない事を知った瑞希は悶々とした日々に見切りをつけ 「こうなりたい」という理想像と現在のちっぽけで何にもなれそうにない自分の姿との間でもがく人々の像を描いた四つの物語 かなりセンチメンタルな、感傷的な部分を強く打ち出した作風が特徴。ファンタジックな作風の作品も多い作者だが、今回は現実を、 それも生きたい様に生きる事が難しい現実を鮮明に描き出してきた。誰も彼もがヒーロー的な「特別な存在」であるライトノベルと違い 「どうにもならない自分」を抱えて生きていかねばならない、「スペシャルな人間」を前にちっぽけな自分を認めざるを得ない かなり苦々しい部分も含んだ短編集だが、「今ここにある自分」を受け入れて主人公が歩き出すまでが描かれているので後味は悪くないかと 特に二話目の「体温計は〜」に引用されるムーミン谷の物語の数々の台詞が印象に残った。「いつもやさしく愛想よく、なんて やってられないよ。理由は簡単。時間が無いんだ」という自由人・スナフキンの台詞はこの本に出てくる登場人物が縛られている 「他人から見た自分」に振り回される苦しさに対する一つの解ではないだろうか?世間や周りの人間の価値基準に振り回されて 生きる事の虚しさに気付くまでが一つのキーとなっている作品だけに、余計に印象に残ったというか、なかなか見事な引用だった 思うままにはならないが、それでも自分は「こうなりたい」という理想を抱えて生きている事に疲れを感じている方にはお勧め ありのままの自分を受け入れるまでは苦しいし、甘くはないけど不思議な癒しを与えてくれる良質な短編集であった | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!