黄金と水飴のアパルトマン



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    初公開日(参考)2025年10月
    分類

    長編小説

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    黄金と水飴のアパルトマン

    2025年10月21日 黄金と水飴のアパルトマン

    僕たちは黄金をもっている。はずだったーー ここは、夢を追う若者たちの共同住宅〈アパルトマン黒猫〉。 イラストレーター、アイドル、書道家、脚本家…… 自分の黄金(たったひとつの才能)を信じるアーティストたち。 生成AIの進化に芸術が脅かされる時代、彼らが手にした黄金は、いつまで黄金であり続けるだろうかーー。 夢を失ったピアニスト・梨音は、アパルトマンの管理人になる。 芸術と真剣に向き合う住人たちとの交流が、彼女の心を少しずつ変えていく。 『後宮の百花輪』、『パンダより恋が苦手な私たち』など 好評シリーズの著者による、芸術家たちの青春ストーリー。(「BOOK」データベースより)




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    No.1:
    (3pt)

    生成AIが普及する時代にクリエイターはいかに生きるべきかというテーマは鋭いが若干の生煮え感も。

    単行本書き下ろしは久しぶりな感じの瀬那和章の新作(しばらく双葉文庫での文庫書き下ろしが軸だったし)

    物語の方は主人公の亀井梨音が9歳年上の従姉で一応はフルート一本で食べているユカちゃんから今住んでいる部屋を来月一杯で引き払うと告げられて困り果てる所から始まる。

    音大を出て三年、広告代理店勤務の梨音が防音設備完備の音楽アパートを追い出されて困る理由はただ一つ、毎日4時間グランドピアノを弾き続ける事ができなるなる、その一点であった。不動産屋巡りをしても梨音の収入で住める防音設備のある部屋はほぼ皆無。

    自分もユカちゃんと同様に故郷の仙台へ帰る羽目になるのかと諦めかけた梨音に不動産屋が紹介してくれたのは江古田から15分の完全防音ながら月3万円の物件「アパルトマン黒猫」。オーナーが気に入った人物しか入居させて貰えないという部屋に向かった梨音を待っていたのは一癖ありそうな女性オーナーの和島。

    テストで得意なショパンのエチュードを披露する梨音だったが和島は「ロボットが弾いているような曲」という散々なもの。不合格を告げる和島に食い下がる様に彼女がソフィ・モラレスを愛好していると聞き出した梨音が15分の猶予の後、披露したのはソフィ・モラレスの演奏そのものだったが、その特異な技術は梨音のトラウマを蘇らせるもので……

    芸術家やクリエイターの「いかに生きるべきか」という悩みは題材としてお馴染みではあるが切り口として「生成AIの時代」を選んできたのには「おおっ?」と唸らされた。ただ、テーマとして扱うのはまだ新し過ぎるところがあるのか若干生煮え感も残っていたかな、というのが読み終えての第一印象。

    この一、二年ぐらいpixivなんかでアニメやゲームの好きなキャラ名を検索すると以前とは比べ物にならない数のイラストが上がるようにはなったけどその多くに「AI生成」というタグが付いているのに複雑な顔をする羽目になった方は少なくないかと。

    上でご紹介させて頂いた冒頭部分、主人公の梨音はオーナーの和島から「まるで生成AIだ」と言われてしまうのだけど、本作はそんな他人の演奏を丸コピするのが唯一の特技というピアノ弾きの女性を通じて何の技術も無い素人が生成AIにプロの絵を学ばせてガラガラポンと画風をそっくり真似た絵を弾き出せてしまう時代において芸術家やクリエイターがいかに生きるべきかを問うている。

    舞台となる「アパルトマン黒猫」は昔のヨーロッパみたいな若い芸術家が集まり創作に打ち込みながら暮らせる場所をパトロンとしてオーナーが用意した場所ではあるのだけど、集まった面々が現代風。イラストレーターや脚本家あたりは「まとも」なのかもしれないけどアイドル歌手にバーチャルアイドルの開発者あたりは実に今風だし、「セクシー書道家」に至っては何じゃそらとなってしまう人が多いんじゃないだろうか?

    そんな個性的な面々の集うアパルトマンに「半合格」みたいな形で管理人という形で住みこむ羽目になった主人公の梨音が住人達との関りの中でジャンルは異なれど生成AIの脅威に曝される中で若き芸術家である彼らが悩み・足踏みをする姿を突き付けられる……という話が連作短編みたいな形で積み重なっていく。

    持ち前の才能に必死の努力や技術力、権威に拘らないパフォーマンスといった物を上乗せする形で状況を乗り切ろうとする住人の姿を前に他人の演奏を丸コピするしか能がない梨音が「彼らはこんな厳しい時代にあっても才能と創意工夫で個性を実現しているのに自分はなに?」という問いを突き付けられるというのがストーリーの基本。

    ただ、梨音自身は狂言回しというか各章の主人公たる若き芸術家の悩みを受け止める役割に徹し、作者的に描きたかったのは生成AIという脅威を前に苦悩する芸術家・クリエイターたちの姿の方だったのじゃないだろうかという印象が強い。それぐらい彼らの苦悩は生々しい。

    特に自分の画風を丸コピされたイラストレーターがこともあろうに自分の描いた女性キャラを「18歳未満お断り」な絵に仕立てられていた話はpixivなんかに上がっているR18系AI絵を「うわー、過激だなあ」と呑気に眺めているだけの身としてはギクリとさせられるものがあった。

    積み重ねて来た努力の上に身に付けた技術を拠り所とするクリエイターたちが素人にあっさりと真似されてしまうなら自分が積み重ねて来たものの意味はどこに、という問いに対して解を得るのは極めて珍しい。それは「芸術って何?」とかなり大きく問いであるし簡単に答えが出る類のものではない。

    ……正直言えば本作で作者がその答えに辿り着いたとは言えないし、そこまで求めるのは「無茶ぶり」だという事も分かっている。だから未消化感というか生煮え感が残ってしまうのは仕方が無いのかもしれない。まだまだ生成AIをテーマにした作品は少ないし問いを投げ掛けた事に意味があるのかな、とも思う。

    一応は自分に与えられた唯一の特技である芸術家としてはご法度なコピー能力を一度は否定した梨音が「本当にこれは無意味な能力なのか?」という問いに向き合い自分なりの解釈を経て人前に立つという流れで結末を付けてはいるけど作中で投げ掛けられた問い全てに答えられているわけではないし。読者が考えるべき部分が多い作品と言った所だろうか?

    極めて現代的な問題に対して向き合い、考える切っ掛けを得るための作品と考えればこれも「あり」なのかな?
    黄金と水飴のアパルトマンAmazon書評・レビュー:黄金と水飴のアパルトマンより
    4120059618



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