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風の息
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【この小説が収録されている参考書籍】
風の息の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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1952年に発生した飛行機事故の「もく星号墜落事故」を題材とした社会派ミステリー小説です。 松本清張氏はこの事件に並々ならぬ関心を持っているようで、『日本の黒い霧』や『一九五二年日航機「撃墜」事件』などで 個別に取り上げているだけにとどまらず、小説の『けものみち』にももく星号事件をモチーフにした描写があります。 というのも松本清張氏はもく星号に乗ったの唯一の女性乗客の職業が「宝石デザイナー」だったことや、 アメリカ人であった機長と管制塔のミスにより事故につながったこと、 交信時の録音テープの開示をしぶったことから 戦時中の隠匿物資のタイヤモンド(これが後にM資金だという都市伝説となるのですが) の運び屋を殺すためにわざと事故をおこしたのだ、もく星号墜落事件は謀略だというのが 彼の鉄板ネタだからです。 本作ではまだマイルドですが、時代を経るにつれだんだんと謀略の規模が大きくなっていきます。 この作品は小説という体裁なので、結構自由にいろいろと書いていますし、 それについては突っ込んでも創作だからの一言で言い返されてしまうものですが、 膨大な量が眠っていると言われている隠匿ダイヤの運び屋一人を殺したところでどうにかなるものでも なければ、ましてや飛行機事故で殺せば彼女の運んでいたダイヤをおじゃんにすることになります。 いくら横暴で粗雑だと評されるGHQでもそこまで単細胞な「謀略」を行うとは思えません。 また、墜落後米兵が大急ぎで現場へやってきて日本人を締め出したと清張氏は言っておりますが、 当時の記録写真では米兵らしき人も日本人も混じって現場検証をしています。 松本清張の謀略論は確かに面白い面もあるのですが、 興味を持ってだんだんとほかの事を調べていくと常識レベル考えても明らかにおかしい推理や捏造とも思えるような 事実が出てくるトンデモ本といってよい類の作品やノンフィクションも多いのです。 後日新たな資料が発見されたものの当時は分からなかったというようなものもあるとはいえ、 多くは当時、少しでも写真なり現場を見たり日本人の担当者に問い合わせればわかったようなことも 無視していたのではないかという指摘もあります。 本作はまさにその典型と言えます。 松本清張のミステリーが好きな方には、彼のモチーフとする戦後すぐの事件・事故のあらましと 彼がどのようなストーリーを思い描いていたのかを知る上ではとても参考となる作品ですが、 隠された歴史の正史だと思ってしまうと、ムーや陰謀論を信じる中学生レベルになってしまうので 注意を要する作品です。 | ||||
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