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去年を待ちながら
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去年を待ちながらの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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☆の数は今回の新訳版に対するもので、創元SF文庫から出版されている寺地五一・高木直二訳による旧訳版は五つ星の面白さです。 翻訳については人によって感じ方が違うかとは思いますが、私にとって、本書の山形浩生による翻訳は、直訳的というか、なんだか読みにくい日本語が気になって、頭の中にスッと物語が入ってこず、素直に楽しめません。 訳者あとがきでは、山形浩生自身が、旧訳は「比較的優秀だと思う」とあるとおり、旧訳版はとても読みやすく、ディック作品の面白さがよく出ているように感じます。 また、旧訳版には大森望訳による「ディック、自作を語る1955~1966」が付録でついており、お得感があります。 これによると、「去年を待ちながら」は「じつに良くかけた小説だと思う。ほんとうに気に入っている作品だ。」とディック自身もお気に入りの作品のようで、全ディック作品の中でも上位にランキングできるできの良さだと思います。 それだけに、新訳版には期待が大きく、とても楽しみにしていたため、がっかり感が大きいです。 翻訳の違いを一つ比較してみますと (新訳) 「ラッキーストライクの箱です。しかも本当の年代物グリーン。1940年頃の、パッケージ変更の第二次大戦前のものです」 (旧訳) 「ラッキーストライクの箱ですよ。先生。正真正銘、時代もののグリーンのやつです。1940年頃の、つまり第二次世界大戦で包装が変わってしまう前のものです。」 「本当の年代物」とか「パッケージ変更の第二次世界大戦前」との言い回しにどうもなじめません。 このようなどこかおかしな言い回しが多数見受けられるのが新訳版です。 旧訳版「ヴァリス」もお気に入りの作品なのですが、早川文庫から出た新訳版は本書同様読みにくさを感じた覚えがあり、翻訳者を見ると、やはり本書と同じ山形浩生氏でした。 | ||||
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1966年発表。この作品の以後に、「ザップ・ガン」、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」などが発表される。 2055年。地球はリリスター星と同盟契約を結んだ為に、リリスター星が敵対するリーグ星人との戦争に巻き込まれていた。この星間戦争を指揮する地球側の最高責任者は国連事務総長ジーノ・モリナーリという人物で、彼は病身で老骨な身体で過酷な任務をこなしているのであった。人口臓器移植医エリック・スイートセントはある日、モリナーリの専属担当医に抜擢された。エリックにはキャサリンという妻がいるのだが、二人の夫婦関係は不和状態が続いており、エリックは妻と別れるかのようにモリナーリの担当医スタッフに加わる為にシャイアンへ向かった。その孤独感からかキャサリンは禁断のドラッグJJ180を服用してしまう。JJ180とは軍事兵器用として開発された非常に中毒性の高い幻覚剤で、その幻覚とはドラッグ服用者を過去や未来へとタイム・スリップさせてしまうのであった。エリックは妻とは不仲であったが彼女を見捨てる事が出来ず、JJ180の中毒者となったキャサリンを救う為に、自らもJJ180を服用しながら危険なタイム・スリップを試みる。 タイム・トラベルによるパラレル・ワールドを描いたSF作品だが、主人公エリックの妻に対する愛惜感溢れる心情の方がストーリーの大部分をフィーチャーして描かれている。実際、タイム・トラベルを描いた部分や仕掛けにはご都合主義的で不整合さが若干感じられる。そもそもタイム・スリップの方法が特殊なドラッグを服用するというのだから変わった設定だ。その他、惑星間同士の戦争の隠された策謀を暴くというモチーフもあるにはあるが、なかなかスリリングだったその展開は最後の方まで生きてこない。それよりも妻の救済を重要視する主人公。それも別れたいけど別れられないという半分ウジウジした心情のままで。でも、それって実際の夫婦間のよくあるケースだからリアルな説得力を感じてしまったが。 | ||||
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