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偽りの果実: 警部補マルコム・フォックス
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偽りの果実: 警部補マルコム・フォックスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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細かくさりげない描写が雰囲気あって良いです。 | ||||
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このところ在庫の古いミステリをチョイスして読んでばかりいたから近作も読んでみたいとAmazonでなにか面白そうな本はないかと探していた。 在庫でチョイスしたものが、リーガルサスペンスものばかりだったから、すこしジャンルを変えて選んだのが本作である。 イアン・ランキンの代表作のリーバス警部シリーズは、かって何冊か読んだ記憶であるが、タイトルだけを記憶しているのが『 紐と十字架 』だけであった。 著者の新しいシリーズものである本書『偽りの果実』に、評者が興味をもって選んだ理由は、警察ものでも監察室という警察組織では他の警察官から嫌われる部署で活躍する警部補が主人公だったからである。 主人公マルコム・フォックスは、好んで仲間内の悪事を暴く仕事をしているわけではなく、捜査課へ復帰したいと忸怩たる気持ちで日々与えられた仕事を進めている監察室の警部補である。 部下のトニー・ケイ巡査部長も、部下というより心を許した友人として接していることや、新米巡査のジョー・ネイスミスとの世代の違いなどを、著者は巧みにユーモア―も交えながら描写しながら、ネイスミスが刑事として成長していく様をさりげなく読者に知らせてくれる。 ’70年代から’80年代のスコットランドに於ける独立闘争は、IRA闘争ほど過激ではないものの、この物語は四半生記まえのスコットランド独立活動家が自動車事故ののち自殺したとして葬りさられた事件まで遡ってマルコムが捜査をしてゆく過程を見事に描いている。 評者は、久しぶりに面白い警察ものを読んだのだが、本書の紙が薄く700ページ以上もあることを読み始めてから知り、かなりの長編なのに一冊にまとめて刊行されていたのが有難かった。 著者イアン・ランキンの才能衰えず、と評価したい作品であり、本書がマルコム・シリーズ第二作だったから第一作も読みたくなってしまった。 | ||||
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長くしまわれていたせいせいか、湿った紙の匂いが強く鼻につき読まずに破棄しようと思いましたが一週間ほどページを空気にさらしておきましたら匂いは薄らぎました。イアン・ランキンの内容が面白く、救われました。 | ||||
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他のレヴュアーが書かれているコメントと同じです。 700ベージが長いとは感じません。 次作の早い出版を希望。 | ||||
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イアン・ランキンを知ったのは、前作の『監視対象: 警部補マルコム・フォックス (新潮文庫)』だった。レビューなどを見ると作者は同じエジンバラ警察のリーバス警部を主人公とした長期シリーズを書いていることを知った。そもそもリーバス警部シリーズを読んでいる読者であればスピンオフを読むような楽しみがあるのだろう。 しかし本作は、リーバスシリーズを知らなくても十分楽しめる。主人公は警官の汚職、不正を追及する内部監察警部補である。今回、主人公が不良警官を調査する過程で起こる殺人事件が過去の未解決事件に繋がっていく。炙り出される過去の事件が80年代のスコットランドの自治・独立に関する国民運動に関連したものであり、その社会背景がストーリーに奥行きを見せている。それと同時に2014年のスコットランド独立に関する国民投票の背景を知ることができる。 約700頁の長編になるが、本作は登場人物が通常の作品より多いように思う。それなりにストーリーに関わってくる人物が登場人物一覧に載っていないので、どんな人物か分からないまま読み飛ばしていく箇所がままあった。いい加減に読んでいるのが悪いのだが、もう少し登場人物一覧の数を増やしてほしいと思った。 | ||||
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700ページ一気読みでした。 幾重の時代、場所が交わるプロット、非常にスリリングな展開を大いに堪能することができました。 スコットランドの社会情勢を背景に、重厚で説得力のある作品だったと思います。 読み始めた時、折しも、イギリス総選挙がリアルなニュースになっていたこともあって、ストーリーの背景であるスコットランドの風情、政情がぐっと伝わってきました。 主人公は警察組織の「監察室」に所属するマルコム・フォックス。警察内部の不正を告発するとう職務上、もっともルールを守るべきである立場にも関わらず、自身の信念に従って、立場上の制約や、上層からの圧力を乗り越え、真相の究明に向かって行動していく姿には強い共感を覚えました。 警察内の多くの組織が登場し、組織間の軋轢、捜査官同士の反目する様子は、警察小説としての臨場感を持たせていたと思います。 本作の著者イアン・ランキンの直近の邦訳作品、リーバス警部シリーズ「他人の墓の中に立ち」で、マルコム・フォックスはリーバス警部の敵役として、冷徹な人物として描かれています。 本作では、同僚とのチームワークと友情を大切にし、また、年老いた父親、妹ととの関係に苦悩しながらも家族愛をもって接する姿が描かれています。上述の冷徹さから一転、人間味のある面も描かれており、本作の情感を強めていたと思います。 邦訳前作と同様、登場人物の間で交わされるテンポのよい、ウイットのある会話も楽しみながら読み進めました。 | ||||
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監察室で同僚の不正等を管轄する主人公の元にある巡査の素行を訴えるクレームが来て…というお話。 今回も前作同様700ページ近くあり、著者がかなり力んで本書を書いているかが伺え、その姿勢に感銘を受けます。最初は警察ものによくある不正警官の素行調査から始まり、やがて国家規模の問題が浮上し・・・というスケールの大きい警察小説で、著者のランキンという人が警察小説に限らず、ミステリ全体に深い見識と情熱を持っているのがよく判り読んでいる方も興奮します。更に、脇筋に主人公のフォックスの父親が認知症を患いそれを看病しながら捜査を続けるということで、作品に奥行を与えていて読ませます。リーバスのシリーズが強いインパクトのあるシリーズだったので、こっちのシリーズがどうなるか、安定した軌道に乗るか心配でしたが、この第二作で杞憂に終わりそうでほっとしました。 ここからは独り言なので読まないでもいいですが、シリーズものは難しく評価が高くても人気がないと二作か三作くらいで打ち切りになるものが多いですが(個人的に好きだったレニー・エアースのマッデン警部のシリーズも二作で紹介が終わって残念でした)、このシリーズは出来れば順々に最後まで翻訳してもらえるくらい売れて欲しいです。リーバスのシリーズも再開したようなのでランキンのファンは慶賀に堪えませんね。 警察小説に新たなる指標を打ち立てるシリーズ第二作。出来れば第一作からご一読を。 | ||||
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原題 The Impossible Dead(原著2011年刊行) 警察内部で忌み嫌われる仕事である監察官フォックス、謹厳実直に不正を追求する彼は、捜査の為なら非合法な手段を躊躇しないランキンのもう一人のシリーズ・キャラクターであるリーバスとは『他人の墓の中に立ち』(2012年)で鋭く対立するように対極な存在であるように思われるが、妥協無く不正と欺瞞を追求する孤高なまでの情熱と行動力はまるで兄弟の如く近しく感じられる。そして認知症を患う父との交情などフォックスの家族に対する苦悩が読む者の胸を強く揺さぶり我が事の様に切実に突き刺さる。陰翳深く当時人物の一人一人を描き分ける豊かな筆力は作者の真骨頂だ。 前作はプロットのスケールがやや小粒に感じられたが、昨今日本でもポピュラーになったスコットランド独立運動に絡む巨大な闇を暴く本書はフーダニットとしても意外な展開を見せ、真犯人と対峙するクライマックスにも迫力がある。何より長尺を一気に読ませるストーリーテリングは相変わらず見事だ。 | ||||
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