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光る崖
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【この小説が収録されている参考書籍】
光る崖の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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2016年3月19日、作家の夏樹静子さん死去。その報に接したとき、ああまたひとつ昭和が逝ったな、という思いが胸をよぎった。死亡記事に代表作として挙げられていたのは、数々の映像化でおなじみの『Wの悲劇』、日本推理作家協会賞を受賞した『蒸発』など。わたしもそれらいくつかの夏樹ミステリを愛好してきた読者だが、しかしメジャーではない作品まではフォローしていない。よしこれを機に、と本書『光る崖』を手にした。 光る崖は、1977年刊行の比較的初期の作品だ。「初めて女性検事を主人公に配した著者の記念碑的作品!」と裏表紙にある。名古屋など東海地方を舞台に、東京から赴任してきたシングルマザーの女性検事・千鳥朱子の活躍を描いたもので、朱子のプライベートにもかなりの紙数が割かれているため、一種のビルドゥングスロマン(成長物語)として読める。純粋にミステリを楽しみたいむきには、それが少々もたつく要素になっていることは否めないけれど…。 途中で話があれれ…という感じで変わってしまうのも、弱いといえば弱い。名古屋市内で起こった傷害致死事件を追う朱子、と思いきや、急に彼女は後退して、一般家庭の主婦が実質的な主人公みたいな展開になっていくのだ。もちろん、それはやがて先の傷害致死事件とリンクするのだが、朱子の奮闘記として視点を終始一貫させておく方がよかった、と個人的には思う。その辺は、当時38歳の著者が欲張ってあれこれ盛っている感じが伝わってくるので、「意欲的」と好意的にとらえておこう。 しかし、そういう構成上の甘さは気になるものの、30代にして驚くほど達者な筆力が、それを補って余りある。これは近年の若いミステリ作家と比べてみても、圧倒的に30代の夏樹静子の方が円熟しているように思う。シャープで端正な文体を読むことは、パリッと糊のきいたシャツに袖を通すような快感があった。言葉の選び方、文章の組み立て方といったものから、この人はやっぱり賢いんだなということが伝わってきて、あらためて才能ある作家の死を悼んだ。あと何冊か夏樹ミステリを購入したので、もうしばらくその作品世界に親しみたい。 | ||||
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相変わらず、しっかりした描写には舌を巻きます。 長編と感じさせない話運び。テンポの良さ。 スリリングな筋の中に、生きるとは何か、愛とは何かを考えさせる。 大賞受賞記念としての復刊で、字が大きくて読みやすい。 やはり旧版を図書館で借りるより、いいね。 お金かかるけど。 売春がテーマなのだが、それより、中心人物の「祥子」が、自分と同じ年代なので、あの頃はそんな時代だったのだな、と改めて客観的に見れるような。。。 | ||||
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相変わらず、しっかりした描写には舌を巻きます。 長編と感じさせない話運び。テンポの良さ。 スリリングな筋の中に、生きるとは何か、愛とは何かを考えさせる。 大賞受賞記念としての復刊で、字が大きくて読みやすい。 やはり旧版を図書館で借りるより、いいね。 お金かかるけど。 売春がテーマなのだが、それより、中心人物の「祥子」が、自分と同じ年代なので、あの頃はそんな時代だったのだな、と改めて客観的に見れるような。。。 | ||||
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親の子に対する愛情や男女の愛情を主軸においた作品を書いてきた夏樹静子が、それらのテーマを中心に据えながらも社会問題を大きく取り入れ始めた時期の作品です。本作で採り上げられた社会問題は少女の性非行です。まだ援助交際という言葉がなかった頃の作品なので、売春というストレートな言葉が使われており、生々しさが伝わって来ます。自分の娘が不純異性交遊をしているのではないかと疑い心配する母親による娘の尾行にかなりの筆が割かれており、援助交際が常識化(?)した時代に過ごす私には途中やや冗漫に感じられたのですが、性非行が見事に殺人事件に結びつけられる様にはさすがと思いました。 | ||||
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親の子に対する愛情や男女の愛情を主軸においた作品を書いてきた夏樹静子が、それらのテーマを中心に据えながらも社会問題を大きく取り入れ始めた時期の作品です。本作で採り上げられた社会問題は少女の性非行です。まだ援助交際という言葉がなかった頃の作品なので、売春というストレートな言葉が使われており、生々しさが伝わって来ます。 自分の娘が不純異性交遊をしているのではないかと疑い心配する母親による娘の尾行にかなりの筆が割かれており、援助交際が常識化(?)した時代に過ごす私には途中やや冗漫に感じられたのですが、性非行が見事に殺人事件に結びつけられる様にはさすがと思いました。 | ||||
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