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王国
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王国の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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私にとって初めての中村作品です。 おもしろかったし、ぐいぐい引き込まれて一気に読みました。 でも、最後がすっきりせず、よみおわったあと、ずっと、うーーん、あれはどういうことなんだろうか? という読後感が残ったままです。 もう少しこの作者の本を読んでみたいなという気がします。 | ||||
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産経新聞の石原教授のコラムで、村上春樹と類似性が指摘されていたので読んだのですが、確かにいろいと似てました。 「主人公の職業、性別」、「月がどうのこうの」、「事件への関わり方」、などなど。 「あなたの王国が私たちにもたらされますように」は『1Q84』のお祈りの言葉でしたっけ。 題名からもこんなことが思い出されました。 単純に面白かったので、オマージュであろうがパロディであろうが'関係ないのですが、二重の意味で楽しめました。 明確な謎解きがあるわけではないので万人受けはしないでしょうが、生きることで経験する理不尽さについて考えされました。 | ||||
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本作は中村文則氏によるエンターテイメント&文学。 現代日本を舞台に、黒い組織と組織に翻弄される女ユリカの、生きようとする姿を描く。 本作の読みどころとしては、後半部分のユリカが逃亡を図るところにある。 彼女は生きる意義を失ってはいるものの、生きようとする。 敵対する矢田と木崎という男たちの間を行き来しつつ、彼らからの解放を望む。 彼女は生きようとするとき、常に「月」を見上げる。 逃亡、解放、月。 この3つのキーワードによってのみ、彼女は生きているのだろうか。 また、面白いと思ったのは、ユリカを取り巻く環境と背景である。 例えば、矢田も木崎も本当は何者なのか? その正体を明かされなくとも、大きな意味は無い。 日本の黒い「闇」として、目的や組織の存在意義が抽象的に描かれているところが非常によかったと思う。 本作を面白くしている要素の一つである。 | ||||
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最悪の男“化物”木崎の言葉が、妙に生々しく私の胸をえぐる。 「その刺されて苦しむ男を残忍に見るだけではつまらない。笑いながら見るのでもつまらない。しっかり同情するんだ。 ……その時、命を破壊する残忍で圧倒的な喜びと同時に、その命に同情する温かで善良な感情が染みるように広がる。 ……肝心なのは、全てを余すことなく味わい尽くすことだ。……」 子どもの頃、面白半分に虫けらを殺し、その虫が苦しみ捩れる様を見て急に可哀想になる気持ち。生き物を殺した時に思い知る、罪悪感の芽生え。なんだかそんな哀しさ、切なさが、まざまざと甦って来た。 しかし、ここで弄ばれているのは、虫ではなくて人間なのだ。主人公ユリカが木崎に命を脅かされ、人生の全てを奪われてゆく、その過程が実にハラハラ・ドキドキさせられる。 読んでいる自分自身が崩壊してゆくような恐怖や嫌悪を感じさせる、怖い小説である。 | ||||
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具体的な描写とストーリーで進んでいくが、観念的な小説である。 ここに登場するキャラクターたちは、とことん現実離れしている。 フリーメイソンのような都市伝説の中で暗躍する矢田。 謎めいた組織が実は世界を支配している、というのは子供の好きなストーリーだ。 「掏摸」でも重要なキャラクターだった木崎は、人間以上の何者かである。 人間にこんなことはできない。 そして超絶一人美人局のユリカ。秘密組織の単独契約エージェントだ。 荒唐無稽なキャラクターたちは、作者がある概念を人間の形に造形したものだ。 だから哲学的な物語になる。 ストーリーは具体的だから飽きないが、哲学的な気分になる。 | ||||
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「天才スリ師」と「絶対悪」の戦い(?)を描いた『掏摸』から2年、「絶対悪」の象徴・木崎が帰って来た! これだけでも読む価値ありです。今回、木崎に眼をつけられたのはユリカという、<組織によって選ばれた、利用価値のある社会的要人の弱みを人工的に作る>という女性。果たして彼女の運命はーー。『掏摸』→『悪と仮面のルール』に続く、中村文則「悪」シリーズの本書。このシリーズは、私たちが持っている「運命」という言葉の意味を変えてくれます。「運命」とタフに立ち向かいたい人、『王国』は特にオススメですよ! | ||||
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中村文則はますます人間という闇の奥底に降りていくようだ。「掏摸」から「王国」へいたる過程がしめしているのは、その闇の深化のかたちだと思う。 それを端的にしめすのは前作にはなかったドストエフスキー的という他ない神とキリストをめぐる対話であり、バタイユ的といえる燃えるようなモノローグである。「わたしはその瞬間を手にいれる。この世界の全てを見下す圧倒的な黒い輝きを」というフレーズはこの本を読み終えた読者の気持ちそのものだろう。そしてそんなことを可能にする文学がほとんどの戦後派作家たちが消えたあとで他にあるだろうか。しかし3・11を戦後にたとえるなら、「王国」はこの時代の戦後文学なのかもしれない。おおげさかどうか、ぜひ作品を読んで確かめてほしい。 | ||||
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文学小説としてはどうか分からないがサスペンス小説等といった観点で見れば、正直ちょっと残念だった。 ストーリーは他の方々のレビューを参考にして頂くとして、前作「掏摸(スリ)」の兄弟作として書かれた作品であり、それが非常に良かったのでかなり期待した。 しかし、まず絶対悪「木崎」の凄さが突き抜けていて、始める前から「勝てる気がしない勝負」を見ているのが、逆に緊張感を削いでしまった。 また、前作は1つの大きな流れの中で、他の犯罪者との人間関係なども味わえたのだが、今回は主人公vs木崎の軸が太いので、あまり周辺の話がなく、 話がやや一本調子な気がした。 しかし、やはり絶対悪の口ぶりは非常に興味深く、ある意味痛快で、読み手の心を掴む要素があると思う。 確かに好き嫌いは分かれると思うので、 掏摸(スリ)が駄目な人は見送るべきだし、読んだことがなければこの世界に一度は触れて欲しいと思います。 続編が非常に読みたいです。 | ||||
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娼婦になりすまし、社会的要人の弱みを作り出すユリカ。 仕事を指示する矢田と、敵対する木崎の間で、自分を守り続けます。 その微妙な立ち位置のずれや絶体絶命の窮地から逃れようと必死です。 そして彼女の見上げる月はたった一つの彼女の拠り所。 そんな美しい情景のなかで、絶対悪とは何かを突きつけてきます。 生きる感覚を研ぎ澄ます小説。 | ||||
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大ヒット作「掏摸」とリンクした世界の中で起こる物語。 中村氏の長編小説では初の女性一人称が新鮮。 内容も、純文学ながらサスペンス味たっぷりで読むひとを選びません。 (いや、内容的には頭にこびりついてくるようなシーンや台詞が多いので、 ひとによっては精神をがつんとやられてしまうかも知れませんが) 文章に独特のリズムがあるのですいすい読める。 すいすい読めるのに内容は濃くて、読後も余韻がなかなか頭から離れない。 裏の世界でクールに暗躍する主人公の、時折見せる人間としての素顔の描写もいい。 それがラスト一行に収束を見せ、読み手を魅了する。ぎゅっと心を鷲掴みにする。 主人公のその時々の精神状態が、空に浮かぶ月の変化で語られるのも 独特で雰囲気があってよかった。 ところで本作が掲載されている文藝の五月号なのですが、 発売当初どの書店に行っても見つからず、仕方なくネットで注文しようとしたら 中古しか出回っておらずしかもその値段が3000〜6000円。 私は運よく1890円で売られていたものを(それでも定価より500円ほど高いのですが) 手に入れられたものの、値段は未だ高騰気味で、 「もしや本作を読みたいひとが多くて、だから足元を見た出品者が 値段をふっかけてくるのか?」と思ってしまった。 ファンだからそう思うんだろうと言われてしまえばそれまでだけど、 そう思わせるぐらいの作品だったから我ながら信憑性は高いと思う。 おすすめです。 是非読んでみてください。 | ||||
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