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さまよう刃



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【この小説が収録されている参考書籍】
さまよう刃
さまよう刃 (角川文庫)

さまよう刃の評価: 3.83/5点 レビュー 340件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.83pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全340件 101~120 6/17ページ
No.240:
(5pt)

子供を犯罪で失うことの現実

花火大会の帰り、一人で夜道を帰宅中の高校生の娘が
未成年の少年3人組(いずれも高校中退してつるんでいる仲間)に
拉致されレイプ被害に遭った上、殺害され死体を遺棄され…

主人公はこの娘の父親で、被害者の親となり
娘を失った苦しみと怒りと絶望に苛まれていきます。
そして、遂に復讐へと行動に移っていきます。

あまりにも生々しい設定と、生々しい描写。
特に、性犯罪を受ける描写シーンの残酷さは容赦なく、
ある程度の覚悟をもって読まないと酷いショックを受けると思います。

ただ、実際の犯罪の場面は、こんな生易しいものではないでしょう。
被害者の人相が解らないほどに殴られたり蹴られたり
引きずり回されたり、多人数による暴行や罵倒…もっともっと悲惨です。
発見された遺体は、暴行の凄惨さを物語っています。
身体の一部が欠損していることも少なくありません。
もちろん、詳細が報道されることはありません。
精神衛生上の配慮をされ、上辺のみが報道されるのみです。
現実は、もっと恐ろしいのです。

ですから、「この描写は酷すぎる」というご意見もありますが、
むしろ、東野氏は抑えて書いたと思われます。
このような題材を扱う以上、事前の取材や資料は膨大だったと思いますが
そこから読者への配慮をし、ある程度フィルターをかけて限界まで抑え、
その上での描写だと察します。

非常に怖いことですが、これが現実で起きている事件であり
決して目をそらしてはいけない現実です。
これほど残忍な犯罪をおかしても、少年法で加害者が守られることを
筆者は切に訴えたかったのでしょう。
現実よりもソフトな、ドラマに出てくるような強姦シーンを書いただけでは、
いまひとつ加害者たちの残忍性や異常性は伝わりにくく、
読者に「更生の機会があるのでは」と、誤解を与える恐れがあります。
それを避けたかったのだと思います。

現実は、更生の余地がないほど人間性を欠いた犯罪が多いのです。
未成年であっても、もう救いがないほどに。

ただ、もう少し掘り下げて描いて欲しかったのが
犯罪に遭う前の親子関係や、娘さんの様子ですね。
もっと幼い頃から娘を大切に育ててきた場面、
妻の死後、男手ひとつで必死に娘を見守り育ててきた場面、
そういう部分が少ないので、被害者の性格も嗜好も解らないし、
娘さんが、単なる性犯罪の被害者としてしかイメージが湧かないのは
とても惜しいところ。

もっと、生前の娘さんの人物像や、
愛情あふれる親子関係が解るエピソードを丁寧に設けてあれば、
読者は、より身近で親しい人を失った悲しみを強く感じられ
もっと深く悲しみに共感できたのではないかと思います。

同時に、加害者の幼少期にも触れて欲しかったです。
ここまで残忍な犯行をおかすには、原因と前触れがあります。
劣悪な家庭環境、親の育児放棄と良識の逸脱など。
おそらく、中学時代にも散々悪いことをしてきたし
人を傷めつけることなど何とも思わないエピソードがあるはず。
色々な要因が重なって人格が歪む過程を描ききってあれば、
事件後の加害者の親たちの態度にも、より説得力があり、
読者が腑に落ちやすかったでしょう。

そのあたりが残念でしたが、テンポもよく最後まで一気に読めました。
途中で、何度も涙しました。
ただただ虚しく悲しい。
復讐をしてもしなくても、犯罪に巻き込まれた時点で
もうどうにもならない地獄に落とされるのが現実で、
遺族は、その苦しみから解放されることはありません。
その持っていき場のない葛藤や怒りが最後まで続きます。
だからこそ、正解はいつまで経っても見つからない。
やりきれない思いでいっぱいになります。

この絶望感こそ、子供を犯罪で失うことの現実であり
生き地獄にひとしい、筆舌に尽くしがたい苦しみなのです。

この小説に登場する、もう一人の被害者の父親…
この人が、最も現実の被害者遺族に近いのではないでしょうか。
主人公は、いささか理想化された被害者遺族の姿ですし
実際は復讐の機会など与えられないのが殆どだからです。
この父親の苦しみや怒りこそ、私には最もリアリティがありました。

被害者遺族、刑事、マスコミ、加害者、加害者家族…
色々な観点から描かれているので、より深く考えさせられる内容です。
映画の内容とはかなりかけ離れており、原作のほうが深く凄い。
また、心理的描写が見事なので映画しか知らない方は
原作を一度読まれることをお勧めします。

きつい描写も多いですが、これが現在の日本の現実。
実際に、いくらでもこういうことが起こりうるのが現実です。
事実、起きています。
危機管理意識が薄かったり、「私は大丈夫」「うちの子に限ってまさか」
と、どこか他人事に構えていたりする人にこそ
ぜひ読んでいただきたいと思うのです。

少年法のおかしさ、加害者ばかりが守られる裁きについても
折につけ、この本で何度も触れられています。
大変遺憾なことであり、怒りさえ湧きます。
けれども、すぐに少年法が改定されることはないでしょうし
そうこうしている間も犯罪は後を絶ちません。
夜道をひとりで歩かない、世の中にはおかしい人間がたくさんいる。
そういう危機管理意識や自覚をもって自衛をする大切さも、
同時に痛感した一冊です。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.239:
(3pt)

リアリティの無さ、オチの悪さ

初めて東野作品を読みました。400Pを一気に読ませるのはさすがでしたが(那覇→関空の2時間でほぼ読了)、他の方も書かれているとおり、気になる点や物足りなさを感じました。
1. リアリティに欠ける
伴崎のような不良少年は、一人暮らしの部屋に、名字だけとはいえ表札を掛けたりしません。また被害者の遺留品をずっと手元に置いておくのもおかしいなと。被害者のケータイも電源を入れた時点で場所がある程度特定されたりするものではないでしょうかね?
2. オチの悪さ
密告者についてのどんでん返しはあってもいい要素ではあるが、オチにはなり得ない。読者はカタルシスを得ることなく、現実とおなじモヤモヤとした状態に放り投げられたまま。実際に世の中に存在するこの大きな問題について作者自身の考え、答えとなるような結末とするべきだったのではないでしょうか(そうなのかも知れませんが)。
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4022579684
No.238:
(3pt)

所詮、自分本位

一人娘を溺愛してるので、読んで心が痛み、長峰に多いに共感もしました。

とはいっても、読了まで4日間、私は現実的な欲求を満たす生活をするわけです。

文中の長峰の思いのように、人の不幸は所詮他人事で、ニュース番組が切り替わるように

人は忘れていく訳です。想像はできますが、本当の痛みは当事者にならないとわからないのです。

でも、それでいいと思えます。だからこそ、人間は生きていけるのです、本当に人の痛みを自分の痛みとするなら、

食事も喉を通りません、悲惨な人はいっぱいいるからです。

こういう本を通して、遺族の配慮の必要性も多くの人が感じ、法律もいい方向に変わっていってほしいです。

光市事件の本村洋さんを追った本も読んでみたいと思います。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.237:
(4pt)

頭がぐわんぐわん

文字だけでこうも表現できるものかと感心したい所だけど
内容が内容なだけに逆に迷惑だわと思う気持ちの方が強い
読んでいて焦点が合わなくなったり、頭がバス酔いした時の様な気分に陥ったのもこの小説だけ
しかしそれだけ引き込まれる展開であり描写であったという事

中盤から後半はドラマティックな展開に欠けるので
物足りないですね、前半が前半だっただけにという面もあるのでしょう
また密告する少年と出会う機会がないというのは個人的に残念
更に言うとラストもこれで終わり?感が否めない

随分前に読んだ作品だけど未だになにかの拍子に思い出す
非常に印象深い作品だった、が面白いかと聞かれるとまあまあ
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.236:
(3pt)

まあこんなものかな

購入した時に、可だったので、このくらいのものかなって感じです。少々の傷はやむを得ないかな。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.235:
(5pt)

ワタクシだったら、やります。

非常に心が痛くなる作品でした。主人公の葛藤が痛いくらいに分かります。ワタクシには息子しかいませんが、もし、娘がいれば…と思うと、簡単に娘を外に出せなくなるところでした。
娘さんがいらっしゃる親は、読まない方が…(-_-;)
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.234:
(1pt)

完全に時間の無駄でした。何一つ新たに得たものがない。

キャラ・ストーリー共に、薄っぺらい話でしたね。

登場する若者はすべて、誰もが想像しそうな馬鹿な若者のイメージそのまま(まあこの点だけは、被害者遺族への共感の為に、敢えて安易な馬鹿キャラにしたとも取れますが)。
「正義とは何か知りたい」だのと、哲学でもやってろと殴りたくなるような阿呆女。そしてそんな女に言われた程度で心が揺らぐ、復讐に燃えているらしい父親。
「お嬢さんは喜ばない!」とか、三流ドラマで定番の薄ら寒いセリフには呆れ果てました。最初はわざとそう書いてるのかと勘繰りましたが、父親説得されてますからね(笑)

ストーリーも結局、問題提起のみで終わり。
500P近く読まされてこれは酷いでしょう。こんな程度の問題提起は、現実でもしょっちゅうマスコミさんが喚いてますよ。別に世間一般が確実に納得する「正義の正解」を出せなんて言いませんが。小説を書くのなら、読む価値のある斬新なテーマか、作者個人の思想が聞きたいものです。
なんの解答もなく、ありきたりな問題提起で終了ではねえ……
読み終えても、「ああ、もう知ってます」という感想しか出ないのは完全に駄作でしょう。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.233:
(4pt)

事実を知らない人に、何かを判断することはできない。

娘を蹂躙された父親が、その様子が映されたビデオを偶然見てしまい、復讐する話。
あんなビデオを見た直後に遺族が犯人と会ったら、衝動的に殺してしまうのも無理はない。
読者は自然と「自分がこの立場に置かれたらどうするか」を考えることになるだろう。
とくに少年法の理不尽さを被害者側に立って体感できる。だからこそ読み進めるのが大変つらい。最後まで救いがないので読後に虚しさが残る。

「少年法は被害者のためにあるわけでも、犯罪防止のためにあるわけでもない。
少年は過ちを犯すという前提のもと、そんな彼らを救済するために存在するのだ。
そこには被害者の悲しみや悔しさは反映しておらず、実状を無視した、絵空事の道徳観だけがある。」
「裁判所は犯罪者に制裁など加えない。むしろ裁判所は犯罪者を救うのだ。罪を犯した人間に更正するチャンスを与え、その人間を憎む者たちの目の届かないところに隠してしまう」

不良少年自身も、「未成年だからどうせたいした罪にはならない」とわかっており、少年法に守られている、という事にあぐらをかいている。
そして、少年を守ろうとする弁護士が登場し、
「まずは更正して、心の歪みを正し、事の重大さを理解させ、真に反省させる。これが最大の償い」
「子供のプライバシーを守れ」だのを叫び、
育ちが悪く不幸な子だったから、未成年だったから、アルコールのせいで正常な判断ができなかったから、更正と社会復帰を優先するべき、などなど、
被害者側の人間の気持ちを全く無視した意見を交わす。
これでは被害者の傷は癒えない。
被害者は少年の成長の踏み台でしかないのか?

元法相の平岡秀夫は、被害者遺族の前で「あなたは死の恐怖を味わせてやりたいのですか?」「犯罪者にも事情がある」「加害者を憎んではいけない」と遺族を責めたことがある。
子供の命を奪われた親に、「その張本人たちの将来を考えろ」というのはあまりに酷だ。
他人事で、心が痛まないから理想を言えるのだ。
痛みや事実を知らない人に、何かを判断することはできない。

「いかにして同様の被害が出ることを防げるか」というのも難題だ。
結論を言うと防げない。実際の人間の中には、犯罪を繰返す全く更正しない悪人がいるから。
そして社会の仕組みも法律もそういう現実に対応していない。
少年法では、現状にあった裁きができない。このような悪法は改正するべきである。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.232:
(1pt)

不愉快。

東野圭吾が大嫌いになった。きつい性描写の必要性がわからない。二度と著者の作品は読まない。せっかく購入したので最後まで読みきったが、過去におきた実際の少年事件を連想させ、不愉快極まりない。事件を意識している作品だとしたら、サイテー。携帯を駆使ししているシーンがあるが、都合よく犯人の位置を特定できないなど、今どきある?エンディングも救いようがなく、嫌な後味だけ残った。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.231:
(4pt)

さまざまに”さまよう”刃。もっともさまよっている”刃”は誰なのか。

著者は、85年に『放課後』で江戸川乱歩賞を受賞した東野圭吾。
(H20/05/25 初版発行)

主人公・長峰の一人娘が花火大会の帰りに少年らに蹂躙され殺害された。
長峰は謎の密告電話によって犯人を知り、復讐心を燃やすこととなる。
犯人の一人を殺害し、さらにもう一人の少年を追うが、そこに犯人少年の遊び仲間、警察官、同被害者の父親、長峰を隠避するペンションオーナーの娘などもっと様々な人々の思惑が交錯しながら、ストーリーが紡ぎだされる。裁きを加えるのは一体誰なのか。正義とは一体何なのか。

東野圭吾作品の一人称をころころ変えつつ、一つのストリームを辿っていく手法は、一つの事象でも多面的に物事を考えさせられるから面白い。

“さまよう”刃、様々な人たちの“刃”がさまようが、実は一番さまよっていたのは当本人の長峰ではなかった。(最後のお楽しみである)
これを知った後では、二回目読んだ時の楽しみ方も変わってくるだろう。

本書は、散々議論され尽くしたであろう「少年法」が命題になっているが、話はそれだけに留まらない倫理的・哲学的問題を孕ませてある。
話の終わり方は呆気にとられたが、自分は嫌いじゃない方法だった。
このラストにすることで、読者により真意が伝わることになったと思う。

───「一番最初はすべての駒が揃っている。そのままなら平穏無事だが、それは許されない。動き、自分の陣地から出ていかねばならない。動けば動くほど、相手を倒せるかもしれないが、自分も様々なものを失っていく。それは人間の人生と同じだ。将棋とは違って、相手から奪ったからといって、それを自分のものにはできないんだ」(p.202)
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.230:
(5pt)

小説は事実よりも真なり。

東野さんのこの手の小説を読むと本当に考えさせられる。
盛り上げ方が巧すぎる。
感情的についなってしまいました。

何が正しくて、何が間違っているのか。
法律を守ることに意味があるのか。
読者の皆が皆、自分も長峰であったら菅野を殺してやると思っただろう。

「法律は守られるためにある、これによって秩序が保たれる。でも法律は万全ではない、だってよく改正されてるじゃないか。」
まさにその通りだと思った。

しかし明確な答えを見つけない限り私たちは現行の法律によって秩序を保たなければならない。
と言う皮肉がこの小説の結末であったと思う。
これは真理なんじゃないかなと…。

長峰さんには安らかに眠ってほしい。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.229:
(2pt)

……う〜ん

正直、性描写がキツ過ぎると思います。 あそこまで書かなくても… そういったシーンでは何度も泣けてしまい、その度に読むことを止めようとしましたが、その分結末に期待しながら頑張って読み進めました。 で、あの結末です。 読み終えた後、もちろんいろいろ考えさせられましたが、結果として悲しさや虚しさだけが残るだけの作品でした。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.228:
(4pt)

もう1つの結末を考えてしまう

読みはじめから重い。少年達のあまりにも身勝手な犯行に長峰のような平凡な大人が残酷な殺人を果たす。誰もが共感するだろう。長峰のように苦しんでいる人は実際に存在すると思う。救いようのない人間はいる。だからこそ長峰が望む結末にして欲しかった。せめて小説の中では…と。
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4022579684
No.227:
(3pt)

投げやりなラスト

普通こういった作品は父が犯人を捜すまでを中心に置き尺を使うものだが、
この作品ではその過程を犯人一味の一人からの通報といった形でダイナミックに省き
勢いある娘を殺された父の復讐劇として読めるも、ラストの展開がいただけない
まるで締め切りに間に合わず慌てて終わらせたようなぶつ切りエンドだ
色んな結末を想像し読んでた人にはガッカリ来る展開だろう
もう少し綺麗に終わらせてくれていれば、もっと評価できたのにと惜しい作品だ
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.226:
(2pt)

さまよってる刃の話

あまり書かないのですが、このレビューに一石を投じたいと思います。
この作品のテーマが「少年法うんたら」という人がいますが、「復讐の是否について」
ではないでしょうか。
主人公の心理描写(特に最後)がさまよう刃である、と。
で、映画はそれについて明確な答えを提示した、と。

これで良いのでは?

作品については、それこそ良い行いをしない人に読んで欲しいです。
また、普通の人は読まなくていいと思いました。

個人的結論は、刃は鞘に収めましょう。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.225:
(3pt)

さまよう刃たち。

著者の作品は複数冊読んでいます。
本作は映画で楽しもうと思ったのですが、想像以上に酷評だった為原作を読書することにしました。

主人公は妻を早々になくした男性会社員。一人娘と平凡かつ平和に暮らしていた。
ところが、祭りの夜娘がなかなか帰宅してこず…。

著者はミステリーから社会派作品まで、幅広く書きこなしますね。七歩の才とはこのことです。

主人公である被害者側の暗澹とした心理描写を書いたと思えば、次のページには加害者側の自分本位な心情が描かれている。これを一人で書いているのですから、作家という職業に就いてる人の人物切り替えの凄さに驚かされます。

本書では少年法の是非をテーマに、本当の『正義』とは何かを問うている。
有史以来答えが出ていないこの問いであるが、本作でもこの問いに間然するところなしな答えが出ることはない。
しかし、完璧とは言わずともそれに近い形を考えることは出来る。
劇中の登場人物も各々の立場からこの問について考え悩み・葛藤し行動する。
そこには間違いなく数人の彷徨える刃が存在していた。

なお、著者のミステリー手腕も無論健在でまんまとデカいミスリードに釣られてしまった。
気持ち良かった。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.224:
(3pt)

僕、正義とは何かって話嫌いなんです。

僕、正義とは何かって話嫌いなんですよね。矛盾する話並べてワーワー言うだけでしょう。そんでもってワーワー言うことが答えみたくなってるでしょう。
そんな神様みたいなポジションで考えなくてもいいんじゃないですか。現実ではどちらかしか選べないんですよ。自分ならその一方を支持するための強力な理由探しをします。

あ、この小説のレビューですよね。
法律が未成年に甘いというテーマを元に、正義とは何かを東野さんの文章力で描いています。
ある一定の状況を描き出すという小説になることで、正義をリアルに考えるいいきっかけになりました。
ただ、僕にはそれまでで、「読んでて面白い!」という気持ちにはなりませんでした。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.223:
(4pt)

守られるべきは

やはり被害者遺族の無念さなのに
現状は加害者・加害者家族が守られているように感じます

大切な人が、理不尽に殺されるような事になったら
『復讐』と言う言葉や行動が頭をよぎるかと思います
そんな最悪な状態にならない為に、法はどのような助けになってくれるのか…
残念ながら、まったくの助けにはならない
『無念』『理不尽』などの言葉がのしかかってくるような状態です

そんな世の中は間違っている、と多くの人は思うのに
当事者にならない限り、他人事のように思ってしまっているのも現実です

この本は、被害者・被害者遺族・その周りの人・警察などあらゆる角度から
やるせない現状を見て、本当にこのままではいけないと思わせてくれる内容です

ぜひ一読していただきたい一冊です
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.222:
(5pt)

被害者とは・・・

中身に関しては触れませんが、一見の価値はありです。

この作者が好きな方は、意外な一面をみると思います。

内容がかなり濃い目なので、読後はすっきりというも
のではありませんが、否応なく考えさせられます。

初めての作者の本としてはおすすめ出来ませんね。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684
No.221:
(5pt)

被害者遺族に対する無慈悲な法律に対する問題提起

18歳未満の少年は、殺人を犯しても少年法という壁のために社会的に制裁を科すことができない。個人による復讐が許されないのはわかっている。しかし、ここで踏み留まっていては「より辛い苦悶の日々が待っている。地獄のような人生が死ぬまで続くにすぎない。愛する者を理不尽に奪われた人間には、どこにも光はない・・・」妻に先立たれて一人で育てた、ただ一人の娘を無残にも殺害された長峰は、犯人を自分の手で制裁するという重い決断を実行する。
                                      
正義とは何かを考えさせられる、問題提起の作品です。読み終わってやるせない思いにならない人はいないのではないでしょうか。さすがは東野圭吾だという感じです。
さまよう刃Amazon書評・レビュー:さまよう刃より
4022579684

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