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(短編集)
夏の嘘
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夏の嘘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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人間が持っている計りがたさを楽しませてくれる短編集です。 | ||||
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人生には様々な別れがある。自分の別れの歴史は、ほぞを噛む様なものがほとんどだが、ここに描かれている様々な別れはまさに人生の見本市のように、別れの有り様を俯瞰させてくれる。それぞれの物語が人生の味わいを感じさせてくれる。この世との別れも含め、人生の折々に繰り返して読みたい本の一つと思う。 | ||||
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「朗読者」で世界的ベストセラー作家となったシュリンクの2冊目の短編集です。これまでの彼の作品にあった戦争の影は消え、現代を舞台に「嘘」をテーマに7つの短編が集められています。「嘘」と言っても、記憶違いや誤解や語られなかったこと、行き違いまでもがここには扱われています。つまり夫婦、恋人、親子、乗客同士それぞれの間に生じた「亀裂」がテーマなのです。 行き届いた細部の描写やリアリティーのある語り口によって情景が浮かび上がり、登場人物の心理が手に取るようにわかります。これだけでシュリンクが一級の書き手であることを示しています。そして、描き出された「亀裂」は私たちの多くが抱える弱点から生じているのです。それは虚栄心であり、決断力の欠如であり、猜疑心であり、嫉妬であり、過度な遠慮なのです。 最後の「南への旅」が最も印象深い作品でした。生きる希望を無くしつつある老婦人が孫娘の勧めでかつて自分を捨てた男に会いに行きます。しかし、彼に再会してわかったのは自分が親の決めた裕福な男を夫に選び、貧しい学生であった恋人の元を去ったという事実でした。彼女は不幸だった結婚生活を他人のせいにし、都合よく事実を曲げて思い込んでいたのです。確かアガサ・クリスティにも似た主題を扱った小説がありましたね。(「春にして君を離れ」) どの短編も読み終わって主人公のその後が気にかかりました。同時に自らのこれまでの歩みを反芻せざるを得ないと感じました。ずっと手元に置いて時々気に入ったところを読み返したい短編集です。 | ||||
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この短編集に登場するのは中年から晩年の、客員教授や作家、法律家およびその夫人など、そこそこ功成り名遂げた男女。まず目に付くのは、配慮 (Sorge) の的確さだ。歳をとると状況に臨んで、対処すべき配慮がオートマチックに整列する。その対処の過程で、紛れこんだり挿入された嘘が思わぬ流れをひきおこす。とりわけ女性のパートナーに対する「主夫」の配慮、すなわち独立し、知的な職業に専念している女性に男が払う配慮は、これからの世の中でより大きな比重を占めるに違いない。それが昂じて、相手の愛を繋ぎとめるために、無実にもかかわらず嘘の自白をした男は、それを彼女に看破されて、自分の尊厳を失うことになる。掉尾の短編は自分の生涯の解釈に、自分が嘘を紛れこませていたことに目覚める老婦人の物語で、さわやかな読後感を残す。どのみち晩年は淋しく、不遇なものであろうが、つぎはぎハートにも、震えたり熱くなる瞬間があることを知るのは、年配の読者にとって慰めでもある。一話ずつ、多忙な日常の合間に味読できる。草原のテーブルで味わう辛口のワインと、泡立つミネラルウォーターに喩えたい。少々苦みが残るが。 | ||||
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「朗読者(Der Vorleser、1995)」がベストセラーとなり、「愛を読むひと(The Reader)、2008」として映画化もされ、ご覧になられた方も多いでしょう。本作は著者2冊目の短編集で、原題はSommerluegen(uウムラウトは文字化けするから)ですから、表題通り。7つの物語を読むと・・・「夏の嘘」がピッタリの作品だな〜と想いました。この作者の描写、フレーズがとても素敵で、ドイツ語ではどのような表現なんだろう〜といつも思いますが、辞書片手ではね・・・。この作品では、誰もが小さな嘘、秘密を持っている。嘘を持つことによって、嘘が自分自身の内面に影を落とし、他人との距離をつくり出す・・・そして、それは人生に思いもしなかった事のなりゆきへと導いていく。1篇目「シーズンオフ」で、彼女がついた嘘から・・・どうぞ。 この短編集は良いね。是非、お読みください。 | ||||
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