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教団X



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【この小説が収録されている参考書籍】
教団X
教団X (集英社文庫)

教団Xの評価: 2.60/5点 レビュー 329件。 Eランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全107件 101~107 6/6ページ
No.7:
(5pt)

「10年に一度あるかないかの作品」に納得

「アメトーーク」でピース又吉さんが「10年に一度あるかないか作品」とおっしゃっていたので読んでみました。現在の混沌とした世界のすべてを、作家が現在もっているすべての力を使ってぶちこんだ超のつく〈力作〉でした。読む前は、この長さに怖じ気づきましたが、読んでしまえばジェットコースターのように物語に乗ってしまいます。読んでいる間は、ほかの世界に連れて行ってくれる……まさに読書の醍醐味を久しぶりに味わいました。これまでの著者の本も何冊か読みましたが、深さはあるものの、ここまで「世界観」と呼べるまでのものはなかったと思います。本書『教団X』を読むと、次の日から世界が変わって見えると思います。この分厚さは読者にとっても挑戦ですが、10年に一度だと思ってぜひ手に取られることをお勧めします。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.6:
(4pt)

思ってたより読みやすい

本の分厚さにビビっていましたが、あっという間に読み終えました。
個人的には絶賛とまではいきませんでしたが、ページを捲る手を止められなかったです。
性描写が長く疲れを感じることもありましたが・・・
中村文則さんのこれからの著書もとても楽しみにしてます。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.5:
(5pt)

どうしてこんなに評価が低いのかな。

この作家の本は初めて読みました。

世の中の救いようのないところ、でもやっぱりそれだけじゃないと思えるところ。
とても注意深く、気を使いながら物語を書いているなと感じました。
神についても、テロ、戦争、男女の関係、素粒子、運命、親子関係、話は飛びに飛んでるけど、なんかわかる。難しいことかいてあるけど、なんか理解できるし、なんか心に思うことがある。
人間て簡単じゃない、けど単純。傷ついたり、残酷であったり。なにもかも思い通りにはならない。
感覚は周りの環境で違うものだし、いろんなことが絡み合って、やっぱり善とされるのものが埋もれてしまうことがほとんどなのかって、山ほどいろんな感情が浮かんできました。
ただ、ラストの感じて救われた、というか。作者のメッセージでも、納得できるものがありました。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.4:
(5pt)

教団X

少し難しいところも、あったけど、大変素晴らしい作品でした。また、何度も読みたいと思います。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.3:
(4pt)

著者と同世代の読者として

中村文則さんとは気が合うかもなぁなんて妄想。なぜかっていうと同じ世代だからじゃないかと自己分析。
今から20年以上も前って「ニューサイエンス」っていう、神秘主義が流行っていたんです。

シュレディンガー『精神と物質』、とか、フリッチョフ・カプラの『タオ自然学』とかバリバリ物理学の権威が現代物理学の限界を感じ始めて、その答えをに主に東洋に求めて、ヨガとか瞑想を始めたりしたんです。
精神というか意識は物質の化学反応のような方法論では語れない(のではないか)、宇宙には精神の力が宿っているんじゃないか、みたいな。

そして当時高校生だった(おそらく中村さんは中学生くらい)僕は、
Mrマリックの「ハンドパワーです」とかドラゴンボールの「すげえ、『気』だ」みたいなセリフとか天津飯の「気功砲」と言った技とかに感化されちゃって、こういうのを学べる大学って、ないかな、なんて思ったり。

少なくともあの当時マリックさんを「マジシャン」としては見てなかったと思いますが、いかが?

で、これって「カルト」の教義みたいでしょ? 
だからバカまでに考えていた僕は、下手すりゃあの教団に入信していたかもしれなかったわけです。危ない危ない。

この小説に出てくる「素粒子」とかどうとか、哲学的な知識を披瀝しているのも、当時のサブカルの文脈から掘り起こしたに違いないと思います。
今から二十数年まえのあの空騒ぎを解きほぐそうとした意図だと重います。
あの時代の疑問は「脳科学」が解き明かそうとしてます。
だからこの小説の評価は割れてしまうのでしょう。
あの時代を知らない世代にはとうてい理解できないジャンクドグマなのですから。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.2:
(4pt)

雑多な素材を小説という器にぶち込んで化学反応させて生まれた物語。反応後に残ったのは二つの分離層というだけではちょっと寂しい。

「これは現時点での、僕の全てです」という著者の言葉に惹かれて読み始める。
 村上春樹の『1Q84』を越える作品なのかもしれないという期待も懐きながら。
 ブッダのことば、ユダの福音書、脳科学、宇宙論、量子力学、靖国神社、東京裁判、従軍慰安婦、軍需産業、ODA・・・。巻末には、40を越える参考文献のリストも列挙されている。宗教、科学、政治、経済と、幅広く渉猟したことが分かる。そこから得られた情報を基に、作家は物語を紡ぎ出した。
 オカルト教団Xを暴走させて政治経済の暗部を描く一方で、悩める人々の信頼を集める教祖のような存在である松尾正太郎を対置している。教団Xは「オウム真理教」が、松尾正太郎は「イエスの方舟」の主宰者千石剛賢がヒントになっているのだろう。教団Xの暗躍を通して、人間の欲望(権力、性)を描き、松尾の話を通して存在や生命の根源に迫ろうとしている。現在の世界を彷彿とさせるエピソード(誘拐・人質事件)も織り込まれており、右傾化する政権への痛烈な批判も含まれている。まるで今年(2015年)の世界を予見していたかのようにも感じられ、作家の想像力には敬服するしかない。
 雑多な材料を小説という器にぶち込んで攪拌し、化学反応を起こさせて物語を展開させた。しかし、反応が終わってみると、どす黒い沈殿(教団X)と透き通った上澄液(松尾正太郎)という二つの分離層が残っただけという印象はぬぐえない。
 私は欲張り過ぎなのだろうか。著者中村文則は優れたストーリーテラーではあるが、567ページの長編を読み終えた後、期待した文学的感動や余韻は淡く、物足りなさが残る。圧倒的な情報を盛り込んだ上で、村上春樹を超えるような、文学としても昇華された作品が誕生するのを期待したい。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906
No.1:
(5pt)

善悪の彼岸

中村文則の最新作である本作は、まるで今までの集大成として渾身の力を込めて描ききったように感じる。今まで培ってきた小説技術を駆使して、壮大なテーマ「人間とは何か」をカルト集団を主軸にして、描ききろうとしている。しかし、この作品で最も訴えたい中村さんのメッセージは、常にあとがきの最後に述べられる「共に生きましょう」だろう。

この作品はふたつの宗教団体、ひとつは善として、ひとつは悪として対比させながら、その間を行き交う人間たちを描くことで、人間の揺れ動く心、善悪や性を描いている。また、両団体の教祖に、宇宙や生命の神秘、人間の善悪という概念、神の存在、性などについて語らせ、常に絶え間なく入れ替わる素粒子の集まりとしての人間の存在意義を模索している。
作者は、今までもそうだったが、今回もまた自分に正直であり、自分の存在意義、あるいは読者の存在意義を求めて模索する。私は、そんな息苦しいまでの自問自答を好感をもって読んでいる。それは私も同じように自問自答しているからかもしれない。

この作品を「掏摸」や「悪と仮面のルール」のように、ひとつのエンターテイメントとして読み上げることもできるだろうが、私はこの作品の影に以前読んだ中村作品のひとつ「何もかも憂鬱な夜に」がちらついて仕方がない。あの読書体験は私に生きる力を与えてくれたものだったが、この作品にもそのような面が見受けられる。というか、その延長線上にこの作品はあるのだろう。人が生きていくためには何が必要なのか、その人の存在が奇蹟的な有意義な存在であること、それをあらゆる形で解いてみせたかったのではないのだろうか?

また、今回は性(セックス)についても模索しているように思う。表題である宗教団体「教団X」は、その教義にセックスの自由がある。みなが乱交することを良しとし、それによって洗脳していく。性交描写も生々しく、官能小説かと思わされるような場面が散見される。
なぜ今回、そこまで性にこだわって書いたのだろうか?そして、その集団の教祖をなぜ悪として描いてみせたのだろうか?
それは、多くの宗教が性の自由を拘束するからだろうか?人は、実はかなりの部分で性の問題に縛られているのではないだろうかと、作者は考えたのだろうか?
この部分はまだ私にはよく理解できないが、またひとつの境地を開いたのかなとも思う。

本作品はおそらく作者の最長小説ではないだろうか。
なぜそこまで長くなったのかは、本作品のあとがきを読めば理解できるのではないだろうか。
世界と人間を全体から捉えようとしながら、個々の人間の心理の奥の奥まで書こうとする小説。そういう作品を書くのが目標のひとつだったと書いてあるので、それでおそらくこんなに長くなったのだろう。それに成功したかどうかは、読者たちの判断に委ねられている。
私個人の感想としては、技術的にはまだそこまでに至っていないように感じるが、言わんとしていることはわかる、といったところだ。

少々読むのに苦労したが、本作品のテーマには私は共感している。
小説の中の登場人物にも言わせたように、私も「共に生きましょう」。どんなに苦しくても。
教団XAmazon書評・レビュー:教団Xより
4087715906

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