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ねじまき少女
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ねじまき少女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全49件 41~49 3/3ページ
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このアマゾンのレビューや海外のいろいろな賞を総ナメといった高評価が多く、期待して購入しました。しかし、この物語を構成する背景だけが大きく、それを全く活かしきれてないと思いました。多くの登場人物にスポットライトを当て、物語を進行していきますが、これらの登場人物が互いにおもしろい関わりあいを織りなすわけでもなく、タイトルのねじまき少女も特におもしろいストーリーを用意しているわけでもなく、大変期待外れの一冊でした。 | ||||
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最近つくづく早川の帯・宣伝の質の悪さにがっかりです。 内容は資源の枯渇した近未来のお話です。 電力がない、ということをリアルに追求しており、 その文面からもむせかえるような暑さは伝わってきます。 ・・・しかし、イーガンやチャンの様な「世界観が変わるかのような 衝撃」を読書後に受けたか、と言われれば?です。 確かに世界設定は優秀ですが、今一つ追求しきれずに終わってしまいます。 もう少し、主人公のねじまきについても突っ込んでいくのかと思っていたのですが、 肩すかしでした。この作者ならいくらでも突っ込めそうなのに。 どちらかというと、お話の筋を楽しむのがメインの小説でしょうか。 理屈抜きでお話の面白さに関しては保証済みです。 私の様なold type SF fanにとっては、何かが足りない、と思ってしまうのでしょうか。 | ||||
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この本を買おうかと思っておられる方に一言ご忠告申し上げます。 上下巻一緒に買うより、まずは上巻だけ買って読んでみた方がいいですよ、と。 と言うのも、ここのカスタマーレビューの件数の少なさに如実に現れているように、この作品、売れてる割に完読した人が異様に少ないだろうと思われるからです。なぜそんなことがわかるのか? 読みにくいのです! 訳が悪いのか(恐らく訳者も、わからず逐語訳してる部分が相当あると見ました。読める人は原書で読んだほうがいいでしょう)、各文を一度読んでも頭に入ってこず、何度も視線を戻して読み直すハメに再三陥ったのです。外国人名や動植物名、企業名などの固有名詞がややこしくて、背景、関係性や事情が掴みにくいからか、特に政治的あるいは商売的な駆け引きの会話などの微妙なニュアンスが理解できないんですね。何度も途中で放り出しそうになりました。下巻に入るとだいぶ読みやすくなるのでなんとか読みきりましたが。 まぁ、これは私の読書力が落ちていることを示しているのでしょうが、このレビューの少なさは〈途中で投げ出した〉人や、〈感想を書くのに苦慮している〉人が多いのではないか?と。 だから、ノートを用意して登場人物リストや相関図(敵か味方か)、目新しい名詞の意味などをメモしながら読むことをおすすめします。 で、そんな不十分な読み方しか出来なかった私の感想ですが、世界構築が相当念入りであり、なおかつ展開がスリリングだと思います。環境、エネルギー、技術、経済、政治軍事などの要素を総合的に配慮して創り上げた未来世界(つまりセカイ系みたいな中二だましではない)で、現代とは様相が一変しておりかなり極端な設定なわけですが、リアリティはあります。いや、リアリティと言うと少し違う。こんな世界は突飛すぎて無理目。仔細に見れば突込みどころはたくさんありそう。アメリカ人の視点での歪んだオリエンタリズムも鼻につくし(ゲイシャガールがニンジャになるところなんか、もうね^^;)。リアルさではなく疾走感のあるストーリー構築と描写力、といったところでしょうか。 まぁ今後の影響力もありそうだし、一応読んでおくべき作品ではあるでしょう。 | ||||
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ギブスンのサイバーパンクは乾いていた。血や汗は流れても、いつのまにか乾いてる。 こちらは湿った熱気が強烈に匂う。血と汗、屋台の油臭や生ゴミや尿がベットリにじむ。 3Dどころか嗅覚と肌感覚まで追体験できる迫力は、確かに、傑作の名にふさわしい。 突然変異を繰り返すウィルスに冒された世界、食糧戦争に疲弊した近未来の東南アジア。 複雑に絡んでもつれる政争、取り締まりという名の暴力、悪夢めいた暴動や市街戦。 陰で蠢く欧米の巨大資本、ほとんど日替わりする勝者、命がけの勝負を張る難民。 まるで社会派告発系ドキュメンタリーのような舞台に、数人の運命が転がる、転がる。 うー、リアル。重。どうなるんだという興味は尽きない展開と筆力だけど、 あまりのリアルな混沌と猥雑さ、割り切れなさに、なんだかどんどん疲れてくる。 これをケロリと楽しむには、若さか、暴力への秘めた憧れが必要じゃなかろうか。 きわめてリアルな混沌がなんとか収まるのは、市民が去った後の破壊された街。 3.11後の瓦礫に覆われ、沈下して上げ潮に沈む海辺をほうふつとさせる光景。 理性はこの才能を知った喜びに満たされ、感性では…ほとほと疲れました。 夢の日本女性なタイトルロールは「男の夢」に過ぎません。フッ。(鼻で笑う音) お利口な日本男児ならとっくに醒めた夢だね、フフッ(宝塚男役風に微笑) それより日本人と日本企業がこの事態にスマートに対処すると思われてるのが不思議。 金持ちケンカせず? 高齢化でエネルギーなし? それもなあ… | ||||
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とにかく面白い、石油エネルギーが枯渇した近未来のタイを舞台にしたSF。海外の有名なSFの賞を総ナメにしたのも頷ける。 ただ、あまりにも前評判も良かったし、上巻も面白かったので、この下巻に期待しすぎたかも。 確かに、後半も面白かったんだけど、上巻の比較的緩やかな展開に比べて、激動の展開になってしまって、折角、上巻で用意したエピソードが完全に展開しきらず、中途半端な感じを受けてしまう。特に、この小説のタイトルにもなっているエミコという「ねじまき」については、この後半の激しい展開のキッカケをつくりはしたが、あまり活躍のシーンがなかったのが、ちょっと残念。士郎正宗ファンの自分としては、人間に従順で、その「ご主人様」である人間に捨てられ、最後には性玩具に堕ちた「エミコ」が、叛乱を起こすような展開を期待していたのだが... でも、そんな展開ではありきたりすぎたかな?むしろ、バチガルピの描きたかったのは違ったことだったのだろう。 この小説を読む前に、いくつか早川書房のSFマガジンで短編を読んで吐いたのだが、その短編から受けた衝撃的なインモラルな雰囲気は、あまり受けなかった。まぁ、それが多くの賞を受賞したり、読者を獲得した理由なのだろうが、あの、読んでいて胸が悪くなるようなんだけど、魅せられてしまう感じが薄れているのは、ちょっと物足りなく、残念に思った。 でも、やはり、今年度の翻訳SF作品のランキングでは必ず上位に入る作品だろう。 | ||||
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「ニューロマンサー以来の衝撃」「テッドチャン、グレッグ・イーガンを超える」という帯で購入。 ギブスンもイーガンも、未来のテクノロジーが生み出すであろう新たな世界観を、 独自の思考実験で描き上げて、影響を受けた人達がまた世界を変えていくような力を持っている。 遺伝子を改変された人間と思考が哲学的にどんな意味を持つのかを考えるイーガンに対して、 この本では全くそういう部分を考えられていない。 たとえば、条件付けられた行動規範からどんなふうに自由になるかについてのイーガンの 「宇宙消失や」「ひとりっ子」の描写に比べてどれだけ浅いことか。 そういう視点で見るとこの本は全く価値がない。小説として全く面白くないわけではないけどね。 下手な書店よりも早川SFを所有しているものとして、この帯や売り方はほんとうに残念。 | ||||
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SFのさほど熱心な読者ではないのですが、久々に大満足しました。 遺伝子操作で誕生した性奉仕をする日本人少女アンドロイドというキャラクター、石油枯渇後のアジアという舞台。設定だけ見ると20年前にウィリアム・ギブスンが書いていてもおかしくなかったような。 けれども状況を小出しに明かしながら熱気と疾走感を増す作風ははるかに受け入れやすいです。また当初は深く人物像に分け入り感情移入を期待する作品ではないのかと思いましたが、だんだんそれぞれの思惑や痛み伝わってきます。 そして何よりねじまき少女エミコの鮮烈な印象とともにストーリーにぐいぐい引き込まれます。 その意味ではかなりメインストリームに近いと思います。ジャンルSFに興味のない人でも、海外作品で非日常的設定の小説に抵抗のない方なら楽しめるかもしれません。 私は上下巻を同時購入しましたが、気に入らなかったときのために上巻だけまず購入しようと考えている方、上巻を読み終わる頃には一気読みしたくなっている可能性が高いので、下巻を買うかどうかの判断は280ページくらいまでにつけておいたほうが良いです。 ただ、なんでこの傑作に「エコSF」なんて訳のわからない、しかもださすぎるキャッチを付けたのか...なんでもエコを謳えば興味を惹くと思ったのでしょうか?こんなひどいキャッチをはねのける作品のパワーに逆に感服します。 | ||||
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ヒューゴー賞など主要な賞を総ナメにして、翻訳前から評判が高かったこの作品。帯には『ニューロマンサー』以来の衝撃って書いてあったが、私にはニール・スティーヴンスン『クリプトノミコン』以来の衝撃だった。 バチガルピの作品は、SFマガジンに掲載された短編・中編は読んだことがあり、かなり気に入ったのだが、いよいよ満を持して長編が登場した。 石油が枯渇し、主要なエネルギーが「ねじ(!)」になっていたり、遺伝子改良の技術が発展している近未来の世界で、水没の危機にあるバンコクを舞台としたSF。帯のエコSFっていう文言は気に入らないけど、エネルギー危機にある世界の政治や経済を創造力豊かに描いている。 まだ、上巻だけど、面白くて面白くて読むのが止まらないくらい引きこまれた。『クリプトノミコン』ではコンピュータ、こちらは遺伝子と、違いはあるけれど、ポストサイバーパンク(ちょっと古い?)の匂いがする私好みの作品だ。アジアを舞台にするのもちょっと似ている。 アジア、しかもタイといえば、リチャード・コールダーの『デッドガールズ』なんかも思い起こさせる。「ねじまき少女」のエミコもそんな感じだ。 こりゃ、スゴイ作品だ。上巻しか読んでないけど、今年度の海外ベストSFの上位に来るのは間違いない。いや21世紀に書かれたSFで私が読んだものの中でも、洋の東西を問わず、ベストに近い。うーん、スゴイなぁ。 | ||||
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エコSFという疑問だらけのキャッチフレーズや、喧伝される「新たな世界観」などよりも、これはまず何より、全編に溢れる猥雑なエネルギーが素晴らしい、滅法楽しいエンターテイメント小説であると思う。 ハッタリと活劇に溢れた手に汗握る群像劇なのだけど、個性的な登場人物たちはしかし、あらゆる要素が過剰に溢れかえり、汗や廃棄物や食物や充満し交錯する欲の臭いに溢れた未来都市・バンコクの一要素。 小説の主役は都市そのものであり、それが何よりの魅力。 石油枯渇後の社会で、遺伝子操作された象もどきがやはり遺伝子改変のゼンマイを回し「カロリーをジュールに」してエネルギー供給というハッタリはなんとも楽し過ぎる。 遺伝子操作を軸に食物流通(を基礎にエネルギーその他も)を支配し平然と国家も覆す国際企業の人員が「カロリーマン」と呼ばれているセンスも光る。 なお、題名になっている日本産の遺伝子改変新人類の一員であるトンデモ奉仕奴隷「ねじまき少女」が「日本人より日本人らしい」とか何とか言われているような、各所に見られる歪んだジャポニズムは笑って流そう。 一昔前のサイバーパンクでも読んでいれば、十分以上に耐性はついている筈。 それと、上下巻合わせて一枚絵になる表紙は鮮烈である一方、最大の魅力であるところの都市の猥雑なエネルギーがいまいち感じられないようにも思えるけど、それも「あえて」の表現なのかもしれない。 なお、ねじまき少女エミコについては「ご主人様」との関係でエイミー・トムスン『ヴァーチャル・ガール』だとか、奇形の美しさということで「人類補完機構」のク・メルだとか、新人類や人間の似姿ということでディックのシュミラクラだとかヴォクトのスランだとか。 諸々例に挙げつつ、新人類だとかフランケンシュタイン・コンプレックスだとかあるいはジェンダー云々とかの各文脈に載せ、色々とぐだぐだ言うこともできそうです。 個人的にはおよそ気乗りしませんので、詳しくはやりませんけれど。 | ||||
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