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ねじまき少女
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ねじまき少女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全49件 21~40 2/3ページ
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大変面白いがイーガンやチャンのようなSFではなく、それをいえばパラニュークの「サバイバー」(世界ではじめてのアイデアのお話)の足元にも及ばないが、ディックとバラードとギブスンからその弱点を取り去って合成したような面白さがある。まずストーリィに破綻がない。下巻で話が単調になるが、内乱だから致し方ない。ついでストーリィに厭きが来ない、およびストーリィが先まで読めるということがない(特に前半)。「アンドロ羊」というよりは「ブレラン」のレプリカントにも似たエミコというガイノイド(by コールター)のピュア振りが物語の清涼剤にもなっているが、やはり支配女子は殺人を起こさなければ定められた運命からは自由になれないようだ。「燃える世界」の暑さと「ニューロマンサー」の喧騒がある。また後半は幽霊が登場人物(処理的には妄想だが……)となって最後にストーリィを牽引するところが素晴らしい。カロリー企業のアンダーソンの予想とは異なって実現のこととなるエピローグの水の描写が涼しげだ。遺伝子学者で不具の神ギブセンは伝説上のアベンゼンが住むとされた高い城のような屋敷に住んでいる。彼の諧謔さはディック自身を見るようだ。ディック経由でリチャード・コールターも入っているのかもしれない。同じデッド・ガール(ガイノイド)が主人公でもあるのだから…… 一方、ワトスンの後に日本で刊行された処女作(こちらもデッド・ガールが主役で「どろろ」の百鬼丸初登場の目玉のシーンまである)とはまったく似ていないところはイーガンやチャンではないのと同じ理由。訳が悪いと言う意見もあるが、筆者は特に気にならなかった。単純な視点の話に慣れた人にはきついかも…… さらにラノベのようだという意見もあるようだが、いまの面白い話は皆ラノベらしいから、褒めているのだろう。重力さんの表紙が素敵! 最も良い読み方は上巻を読んで下巻を脳内補完することかもしれない。だが、エピソードは読もう! | ||||
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読み終わったので感想を。大変エンターテイメント性にとんだSF小説だ。しかしそれ以上ではない気もする。SF好きにはたまらない様々な要素が散りばめられている―しかしそこを上手く回せているかといったら疑問もある。そこがまず残念だ。さらに複数の主人公がおり場面展開がテンポよくあり、それによって説明書にならず世界観を描写する技法は素晴らしい、しかし誰が主人公なのかの軸が曖昧になってしまっており残念だ。大好きなおもちゃやロマンが沢山散りばめられていて、総じて大変良くできた作品だとは思うがイマイチだった。 | ||||
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内容に一部興味をそそられるところもあるが、訳が非常に下手。 そのせいで意味が不明な記述や、脈絡が無いと思われる部分が散見され あまり読み進まないうちに手放してしまった。 おすすめは出来ない一冊でした。 | ||||
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ネビュラ、ヒューゴー賞受賞は外れがないだろうという(勝手な)思い込みを見事に打ち砕いてくれました。 久しぶりに何が面白いのかわからないSFに出会いました。というより、これはSFなのかという疑問もあります。 クラークやアシモフ、ニーヴンとかを読んできた身としては、自分の読みたいSFに出会えなくなってしまったとの 感じがして寂しいです。 | ||||
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他の方の例に洩れず、「主要SF賞を総ナメ!」という触れ込みがきっかけで買ってみました。 それで読んでみたら…ハマれないままで疲れきってしまいました。 現代の化石エネルギーが底をつき、ゼンマイという超原始的手段で動力を確保しなければならない。 遺伝子操作で生まれた巨大ゾウを使役して、非効率的にエネルギーを生み出す近未来のタイ・バンコク。 この舞台装置自体はSFファンでない僕も「お、何だ何だ?」と思って興味を持ったのですが、 最後までハマれなかったのは、たぶん登場人物に魅力を感じられなかったからなのだと思います。 それは疑心暗鬼な登場人物が性に合わなかったのか、タイという舞台によるものなのか、 翻訳との相性がイマイチ合わなかったのか…下巻に入ってもそのもやもやは続きました。 他の方も指摘されているでしょうけど、巻頭に人物紹介がないのはどうしてでしょう? 淀みなく読み進めるためには人物相関図を作った方がいいくらいなのに… SFファンの人なら難なく読みこなせるのかなあ。 世界で評価された面白さが満喫できず、とても残念でした。 | ||||
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本作は、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞を受賞した2010年のトリプルクラウンの作品です。 地球温暖化で海辺の都市は沈み、バイオテクノロジーの暴走で生まれた疫病が作物を全滅させ、化石燃料も枯渇してしまった地球で孤高を保つタイ王国の首都バンコクが舞台。虐待されるヒロインは「ねじまき」とよばれ遺伝子操作され日本で生まれた新人類の少女。 本訳を急いでいたのでそうしたのか、訳者の力量不足でそうしたのか、本書は二人の訳者が関わっているが、いずれにしても、訳が良くないなと思われるところが幾つか見受けられる。おまけに人名が、上巻で数えてみると少なくとも73名、非常に多く掲出され、誰が物語に絡んでくるのかわからず一回読んだのでは、内容の理解が難しい。例えば180頁にでてきた「ビロンバクディ」が311頁に再びでてくるがこれにちょっと気づかなかった。結局この物語の骨子は、アンダースン、ホク・セン、エミコ 、ジェイディーの四名の主人公の話なのだが、分かりづらい構成である。また「カロリー企業」や「ファガン・フランジ」なんて、意味のよくわからない言葉も、幾つか出てくるし、読みにくい。さて上巻の内容だが。 10「ンガウ。〜。バンコクじゅうの屋台をさがしてもこんな果物を売っているところは一軒もなかったのに、-。」 13「ンガウを入れた袋を持って、アンダースンは混雑する市場の外の街路へ抜けていく。」 22「スプリングライフ社の工場は、街路の喧騒を見下ろす高い城の要塞ともいうべき建物で、-。-。(車夫の)ラオ・グーは中庭にリキシャを止め、工場の中央ドアのまえでアンダースンをおろす。」 23「遺伝子操作によって生まれた、(象由来の)メゴドントは工場の駆動システムの生ける心臓部であり、ベルトコンベア、換気ファン、そして製造機械にエネルギーを供給しているのだ。」 29「一時間に四十個生産される改良型ゼンマイ-。」 42「階下でまたしてもメゴドントの叫び声があがる。」 44「狂ったメゴドント-。-。-従わせるはずの象使いは、骨が砕け、血みどろになった姿で床の上につぶれていた。」 46「アンダースンはライフルを構える。-。ライフルから-針が飛び出す。-命中したことがわかる。」 47「メゴドントが長い鼻でアンダースンの足下をかっさらう。」 49「前足をゆっくりと投げ出して、メゴドントはうめきながら糞まみれの藁にへたりこむ。」 52「メゴドントの死骸に大勢の人が群がっている。-。メゴドントが一頭殺されたことを耳にするやいなや、組合は自前の解体屋を送り込んできた。」 56「元どおりメゴドントがのろのろとした足取りでスピンドルのクランクを回すようになるまで、アヘンと賄賂と契約の再交渉が必要だろう。」 64「アンダースンは渋い顔ながらも、-、ようやく傷口の縫合がすんだ。ホク・センは医師をかたわらに呼び寄せて治療代を入れた封筒を手渡す。」 73「ホク・センは、背をむけてオフィスへむかう。-。後ろ手にドアを閉めて、メゴドントの解体と(作業ラインの)復旧の作業音を閉めだす。」78「観音像のまえにひれ伏し、-。-。ホク・センは祈りを捧げる。工場が閉鎖になりませんように、賄賂が効いて新しいライン設備が竹のカーテン(税関)を問題なく通りますように、-、クソッたれな金庫が開いて、中身が見られますように。」 82「ローリーは。-。-、ぴしゃりとエミコの尻を叩き、ステージにあがって、今夜のきみがどんなに特別かを見せつけてやれといった。」 84「エミコはしかたなくストリップを演じる。-。赤くなるほど強く尻を叩いて、カニンカはもっと深くお辞儀をしろと命じる。」 85「(タイの)カンニカが-彼女(エミコ)の生涯を(お客達に)語って聞かせている。かつては金持ちの日本人の慰み者だったけれど、いまやわたしたちのものです、-。」 87「カンニカに強引に脚を開かせられ、エミコは悲鳴をあげる。」 88「カンニカが、エミコの-、クリトリスをもてあそぶ。-。エミコのひだ(小陰唇)を指でいじる。思わず体が反応し、エミコはうめく。声をあげる。背をそらす。-試験管ベイビーを生み出した科学者たちの思惑通りに。-。男たちのあいだからどっと賞賛の声があがり、オーガズムをむかえたエミコの体が異様なほど痙攣するのをあざ笑った。」 90「ローリーだ。オフィスのほうへ(エミコに)手招きしている」 91「-クッションに横になるよう、エミコを促す。-。−男が寝ころんでいた。青い瞳と金髪の長身の男で、首にはひどい傷がある。」 93「『エミコ、こちらの旦那に、あの晩の客のことを話してさしあげろ』」 95「『-白シャツは、遺伝子操作のことをなにか話しただろう』(青い瞳と金髪の長身の)ガイジンがいった。-(エミコ)『-。新しく作った果物を一袋持っていて、女の子全員にあげてました』」 96「(エミコ)『そう。そうでした。名前はンガウだそうです。伯母さんが作ったんだといって。-』」 97「エミコは-。-伯母の自慢をしていた白シャツの少年を思い出す。」 98「『少年がいうには、ギ・ブ・センという男が遺伝子の青写真を渡した-。だが伯母さんがからくりを見破ってからは、ンガウの収穫に成功するようになった-。-』」 106「(青い瞳と金髪の長身の)男はかすかに微笑する。『ローリーから-聞いてないのか?高山地帯にねじまきたちの領土があるんだよ。-』」 110「ジェイディーはカニヤ-の肩越しに首を伸ばして、彼女(副官のカニヤ)が賄賂を数えるのを見守る。税関の検査官が二名、かたわらにかしこまって控え、-。-。-アンカーパッドで、飛行船の下部から荷物を引きずり出し、通関のために積み直す作業をさせられているメゴドントの叫び声が聞こえる。」 112「『(ジェイディーたちの行いに対して)これは越権行為では』税関職員のひとりがぼそっとつぶやく。」 122「『男がひとりわれわれを監視しています』-、(部下の)ソムチェイがぼそりという。」 123「かなり遠くのほうで、(ジェイディーたち)白シャツ隊と税関職員の両方を監視している。」 125「『-、これらはどれも輸入されてはならないものばかりだ』ジェイディーは-周囲に散らばる積荷を示し、-。」 127「(ジェイディーが)自宅にもどるころには、もう夜明けが近かった。」 「『ずいぶん遅かったのね、心配したわ』-『心配する必要なんかない。おれは虎だぞ』(妻の)チャヤに寄り添って、やさしくキスをする。」 「税関職員たちがどれだけ多額の金銭をかき集めているか、-。ただ突っ立って、どんな荷物が来ても見て見ぬふりをするだけでね。」 137「六階にあるアンダースン・レイク宅のバルコニー-。」 138「-各種の本がチーク材の床にいくつも散らばっている。」 139「あのねじまき娘(エミコ)はギ・ブ・センの名前を出していた。」 145「農夫から食べ物を買っているファラン(=西洋人)を撮影した大昔のタイの写真に、-大量のンガウの山が-山となって写っていた。」 147「ギ・ブ・セン。あのねじまき娘は自信たっぷりにその名前をいった。きっとギボンズのはずだ。-彼のそばには種子バンクがある。」 167「ホク・センがうなずく。『あんたらのスポンサーに会いたい』」 168「ホク・センは無言で、金を入れた麻袋をドッグ・ファッカーに手渡す。-」 169「『-、タン・ホク・センがビジネスの申し込みをしていると糞の王に伝えてほしい。-』」 170「彼(ホク・セン)は最後のふたつの品を取り出す。ひとつは手紙だ。-。そしてもうひとつの品物を差し出す。-小箱だ。」 170「『手紙を読めば、あんたのスポンサーにわかるさ』立ちあがって、ドッグ・ファッカーの返事を待たずに背を向ける。ー。路地を進み、スラムの奥深くへ切りこんでいくと、そこで(笑い屋)チャンが笑顔で彼(ホク・セン)を待っている。」 171「札束をチャンに渡す。-。『-。アンカーパッドが閉鎖されるから、臨時収入はありがたい』-『閉鎖されるんだよ。ゆうべ白シャツ(隊)が踏みこんできてね。-』『なにがあったんだ』チャンは肩をすくめる。『積荷を全部焼き払ったと聞いている。-』」 180「『本部でビロンバクディ氏があなた(ジェイディー)のことをこぼしていましたよ』と彼女(副官のカニヤ)はいう。-。『アンカーパッドは彼(ビロンバクディ)の領分です。密輸する連中を守って大枚の賄賂をもらうためのね』」 183「(ジェイディー)『-。昨夜だけでもどれほどの徳を積んだか考えてみろよ。あの積荷を焼き払ったとき、税関の連中はさぞ肝を冷やしただろうよ』(副官の)カニヤは苦い顔をする。『賄賂の効かない白シャツに会ったのは初めてでしょうからね』-。(カニヤ)『十二月十二日のクーデター後、プラチャ将軍とアカラット大臣は、一線交えるための新しい口実をさがしておたがいにらみあってばかり-。そしていま、あなた(ジェイディー)の行動がアカラットの怒りをかき立てる。-』」 184「(カニヤ)『でも、注意してください』 (ジェイディー)『アンカーパッドの男のことを考えているのか?ソムチャイが見たというやつを?-』」 185「(ジェイディー)『-。おそらくあいつは通産省の関係者だ』」 195「『-、(アンダースン・)レイク。何も損失はなかったの?』アンダーソンは身じろぎする。『製造用の原料。ラインの交換部品。-。いまはまだ部下たちが被害額を計算中だよ』」 198「アンダースンは両脚のあいだからンガウを入れた袋を引っ張り出し、一個取って皮をむく。-果実を口に放りこむ。」 203「『なんだかわかるかい?』オットーが(アンダーソンに)質問する。」 20「4ハッグは考えこむ。『-、わたしの記憶がたしかなら、(ンガウは)ランブータンの関連種のなにかだ』」 220「カーライルはバーの中を見回してアンダースンのほうに身を寄せる。『みんなきみのことを噂しているよ』『どんなふうに』『種子にえらく興味を示してるって』ンガウの皮を意味ありげに見やる。」 227「-あの肌の白い、傷のあるファラン(=西洋人)が信じられるなら、どこかにねじまきたちの住む村がある(とエミコは思った)。」 230「-、(エミコは)自分は違法に遺伝子を改造されたのではなく、ちょっと人とちがうだけだと(自分に)言い聞かせようとする。」 233「エミコはまっすぐに人混みにはいっていく。-。『すみません。北行きフェリーの切符はどこに行けば買えるでしょう?』」 234「『北へ行きたいなら、まだしばらくは道が乾いてるよ』エミコは失望を-する。川は無理か。-。エミコは帰路につく。-。-入れ墨をした男が、通り過ぎたエミコをじろじろ見て、-つぶやく。」 235「『どこへ行くんだよ、ねじまき』男が呼びかける。-。役所のスタンプとパスポートがあれば、-、ちゃんとした価値のある品物なのだ(とエミコは自身を思う)。」 236「『どこへ行こうっていうんだ、ねじまき?』-。男は-ナイフを持っていた。」 238「(エミコの)喉もとに刃物が押しつけられる。この男はわたしを殺すつもりなんだわ。-。エミコは勢いよく男に体当たりしてナイフをふりまわす手をかいくぐる。-通りへと走る。」 240「行き交う車のなかに、一瞬また見えた。あのガイジンだ。ローリーの店で会った傷のある白人。」 241「ガイジンを乗せたリキシャと並走し、-。-。−ガイジンがエミコの手をつかみ、リキシャに引っ張りあげる。-。ナイフを持った男がリキシャに跳びのってきて、エミコの肩口に切りつける。」 243「アンダースン(ガイジン)はシャツの下からゼンマイ銃を引っ張りだし、それを男の顔面につきつけた。男が目を丸くする。リキシャから(男が)飛び降り、-。」 244「アンダースンは-、男がほんとうに逃げたことを確認すると、銃をシャツの下にしまう。ぐったりした娘(エミコ)にむきなおって、『もうだいじょうぶだ』といった。」 260「『チャオ・クン・プラチャ将軍がお呼びです』」 270「プラチャは顔をしかめてジェイディーをオフィスのなかへ差し招く。『はいれ!』」 276「チャヤ。目隠しをされ、両手を背中で縛られ、足首も縛られて背中を丸めて壁にへばりついている。-。ジェイディーは呆然としてその(誘拐された妻の)写真を見つめる。」 279「(プラチャ)『連中はまちがいなくチャヤを斬殺するぞ。敵はけだものなんだ。アンカーパッドでの行為について公式に謝罪しろ。降格にする。左遷して、たぶん南部地域でイエローカード難民の整理と強制収容所の管理をするんだな』-。プラチャは身を乗り出し、ほとんどすがるように(ジェイディー)にいう。『頼むから、いうとおりにしてくれ、ここは折れるんだ』」 287「ホク・センはむっつりとタンクを調べる。『ラインが動かなければ、みんな飢え死にだ』-。『お客さんですよ』」 290「『あんた(ホク・セン)に会いたがってる人がいる』ドッグ・ファッカーはそういって、外のゲートを示す。」 292「背中をかがめて車に乗り込む。」 294「車はスピードをあげ、ホク・センは革のシートに押しつけられる。-。糞の王の車が到着し、-。」 297「警備係がホク・センの-身体検査をする。それがおわると、ドッグ・ファッカーが手まねでホク・センをエレベーターのなかへ招いた。」 298「エレベーターがビルの屋上に到着する。」 299「広い屋上の奥に純白の東屋が建っていた。-。東屋の屋根の下で籐椅子に寝ころんでいるのは、糞の王だ。」 306「『おまえのゼンマイをテストしよう、ホク・セン。-うまく使えるようなら、船を提供する。仕様書と設計図を出してくれ。おまえたちとはビジネスができる』」 307「安堵感がホク・センを満たす。」 312「ジェイディーは息をのんだ。アンカーパッドで見た男が、(通産大臣の)アカラットの隣にひざまずいていたのだ。」 314「アカラット大臣とプラチャ将軍が立ちあがって、集まった群衆の前に出る。」 315「『独立委員会は、収賄、腐敗、権力乱用の容疑で(ジェイディーを)有罪であると結論しました』ジェイディーをちらっと見下ろす。」 316「『-ジェイディーは出家し、九年間の苦行を課することとします。』」 317「アカラットがジェイディーのまえに進み出る。『さて、ジェイディー、きみもようやく限界を知ったようだ。-。こんなことにならずにすんだのに』」 328「促されるまま車に乗り込みながら、-。-。バタンとドアが閉まり、アンダースンは向かい側にすわる通産大臣のアカラットと対面する。-。『カーライルから、きみが提案を持っていると聞いた』アカラットがいう。」 331「(アンダースン)『-。われわれは、貴国の種子バンクのどこかに鍵が見つかるんじゃないかと期待しているんです』-。アカラットは難しい顔になる。『サンプリングだけでいいんだな?そっちは武器と装備と報酬を用意し、サンプリング以外の見返りは求めないと?』アンダースンはうなずく。『もうひとつあります。人間ひとり。ギボンズという人物なんですが』」 332「『-。その男をひきわたしてもらいたい。-』」 343「(エミコ)『-。北部へ生きたいんです。新人類(ねじまき)が住むという村へ』『だれにそんなことを吹き込まれたんだ?』『ほんとうにあるんですね?』ローリーの表情から、ほんとうだったのだと(エミコは)わかった。」 344「(エミコ)『-。ローリーさん、あなたには力があります。コネを使って、旅行許可証を取ってください。-』」 348「ローリーは-、『北部へ行くだけの金を稼いだら(必要な額を)教えてやる』といった。『だが、それには仕事だ。たっぷりと働いてもらうぞ。-』」 354「(工員の)キットとシームアンが壁にもたれてすわっている。ふたりの男が、どんよりした目でホク・センを見上げる。」 359「ホク・センは手を振ってリキシャを停めようとする。-。自転車を停める。『お呼びですか?』」 360「-キットをリキシャの座席に乗せる。」 361「-ふたりめの工員を-、ホク・センも手伝って、工員を座席に乗せる。」-。『(行き先は)病院だぞ』-。ホク・センは小さくなっていくリキシャを見送る。」 364「-相変わらず(妻の)チャヤの消息は知れない。生きているのか、死んでいるのか?通産省の仕業だったのか?それとも犯人はほかにいるのだろうか?」 375「ジェイディーは-。-。-、彼はこうして暗闇で通産省の明かりを見つめている。-。あの建物のどこかに、ひとりの男が陣取って計画を練っている。-、アンカーパッドでジェイディーを見つめていた男だ。」 376「(同行の)ソムチャイは真剣なおももちで(通産省の)ビルを観察する。」 379「通りのむこうで、通産省【なお本書では通算省と誤植されている】のドアが開いてひとりの職員が外に出てきた。-。ジェイディーは上から棍棒をふりおろす。」 380「ふたり(ジェイディーとソムチャイ)は男を引きずって通りを横切り、-。手早く男を縛りあげ、目隠しと猿ぐつわをした。-。ふたりは中にはいる。」 384「戸口に目をやると、ジェイディーがさがしていた標的(の男)が立っていた。-。ジェイディーは銃を抜いたが、敵に先手を打たれた。」 385「男たちはジェイディーとソムチャイを部屋から手荒に連れ出して廊下の奥へ連れていく。エレベーターについた。」 386「ドアがあいて、外に出ると十五階の屋上だった。男たちがジェイディーとソムチャイを押しやって屋上の端へ行かせる。」 388「ジェイディーはふりむく。目の前に通産大臣が立っていた。アカラット本人だ。」 388「彼(ジェイディー)の目はアカラットの背後にいる名も知れぬ男に据えられている。-。『ほんとうに王家の後ろ盾がついているのか?』」 「ジェイディーが身を翻し、アカラットの胸板を膝蹴りする。」 「敵がこぞって発砲してきた。-。ジェイディーは、屋上から突き落とされる衝撃すら感じない。落下は予想したより短時間だった。」 | ||||
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上・下巻を通してのレビューです。 昔はそこそこSFは読んでいたのですが、最近はすこし離れていました。 この本はタイトルと設定に惹かれ、いくつかの賞も受賞した作品ということで、これは絶対に読まなければと思い手に取りました。 が、結果は期待外れに終わりました。 足踏み式のコンピュータやゼンマイが主要な動力だったりと小道具のアイデアは面白いところもあり、タイトルにもなっているアンドロイドの少女などいくらか魅力を感じるところもあるのですが、読んでいて面白くないんですよね。ドキドキ・ワクワクしませんし、早く先を読みたいという気も起こりませんでした。 タイという国やこの世界をもっと見せて欲しかった気もしますが、面白さを感じなかった理由のひとつはSFとしては当たり前過ぎるというか、誰でも予想できそうな世界だからかもしれません。この世界でこういうストーリィにするのなら、もう少し読者を驚かせるような仕掛けとかSFらしい要素があっても良かったのかなという気はします。 帯に「ニューロマンサー以来の衝撃!」とありますが、ニューロマンサーと較べられるような作品ではないと思いますし、そのような衝撃は全く感じませんでした(個人的な感想です)。 | ||||
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設定自体は興味深く、コンピューター・デジタル・ネットといった世界観主体の最近の SF作品と一味違うのでないかとかなり期待してこの本を手に取りました。 私はかなり広義なタイプのSFを受け入れられると思っているのですが、 期待外れなストーリーと設定の消化不足にがっかりしました。 他の方も細かくコメントされていますのでそれらについては省略しますが、 私がそれ以外で気になったのは表現方法です。 同じ表現の使い回しが多すぎます。 例えば、 上の内容を受けて、いかにもそれらしく、の意味を表す時に使う「〜よろ しく−」の表現。 とにかくこの表現が何度も使われます。他にも言い方がたくさんあると思うのですが。 原作がどう書いているのかわかりませんが、原作通りに訳してあるのであっても、 プロの小説家・プロの翻訳家としての双方の力量の乏しさを強く感じます。 他にも数行前の表現と重複していたりと、単に語彙力がないのか?と頭を捻りながら 読んでいました。 イーガンやチャンとは比較する対象にもならないと思います。 早川SFには一定の信頼を置いていたのに、残念です。 ただ、名だたる賞の受賞や出版社の宣伝文句を一切排除して読んでいたら、ほんの少し 評価は上がっていたかもしれません。 | ||||
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この本には本当にガッカリした。テッド・チャン、グレッグ・イーガンを越える、『ニューロマンサー』以来の〜、といったうたい文句があっただけに、それはなおさらのこと。 先ずは上巻を読んでいて、何時ドライブが入るのかじわじわつまらぬ描写を読んでいただけで相当フラストレーションがたまった。 100歩ゆずって化石燃料が新しいエネルギーと取って代わった……そこまでは良しとしよう。しかし、それが【ねじまき】? 本書(および下巻)において、【ねじまき】とは何ぞや? が、説明されているところない。【ねじまき少女】といっても、慰安用のガイノイドもどきとしか、描写されていない。 とにかくセンス・オブ・ワンダーがないのである。バチカルビがSFにおいて何を語りたかったのか、またはどのような事象を開拓したかったのか、首を傾げざるを得ない。 | ||||
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他の方もコメントしているように残念ながら面白いとは言い難い作品でした。 設定として、私がどうしても許せなかったのは、 1)遺伝子工学が生み出した新たな病気や害虫で人類が滅びかかっているのに それを作ったバイオ企業が相変わらず世界を牛耳っているという不自然さ。 2)遺伝子工学で作り出された高価な人工生命体であるエミコが通関が面倒という理由でタイに捨てられ、ストリップ小屋で働いているという不自然な状況。 (多国語が扱えるため日本企業の重役秘書をやっていたというのに) 3)登場人物が多く非常に複雑な設定を作り出しておきながら、それらが全くリンクせず、力技の内輪ゲンカで終わってしまうこと。 (工場から発生した新たな難病はどこへ行ってしまったのやら) 4)アジアを舞台にしながら、結局、白人至上主義に終始していること。 といった点です。 SF関係の賞は全て白人が選んでいるものですので、この様な歪な作品が絶賛されるのもわかる気がしますが、実態はライトノベル作家クラスだと割り切って読んだ方が良いです。 (日本人でなければ楽しめる作品なのかも知れません) | ||||
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「ニューロマンサー以来の衝撃」と帯は言うが、むしろそれ以前の時代の色が濃く、読んでいてひどく懐かしい。例えばアンドロイド関連は『R.U.R.』や『スラン』、環境破壊が進み食料を握る企業が強いところは『ソイレントグリーン』が浮かぶ。雰囲気は嫌いではないものの、様々な面で多数の過去作がダブる為にこの著者らしさが印象に残らないまま終わってしまい、別の作家、作品には懐かしくも個性を感じる物があるだけに残念に思う。 それと、数百年後の未来に洋鬼子との罵りやリキシャや苦力、先進的で力を持つ西洋人に貧しく脅かされるタイ及び中国人に金持ちの日本人(と従順な日本女性)など、ここ一〜二世紀のイメージが頻出していては「リアル」で「新たな世界観」には見えない。時代が収縮するとあるのでわざとだろうが、生活水準が前時代的だとしても経済状況は変わっていいだろうに。 全体的に掘り下げが甘く、多くの要素が良く分からないまま出てそのまま消えるので、もっと突っ込んだ描写があれば上記の印象は違っていたかもしれない。この中途半端さでは面白いとは言えない。 | ||||
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複数の登場人物がさまざまに活躍するが、いったい誰が、何をしようとする物語なのか、最後まで見えてこなかった。 主人公不在のまま、だらだらとストーリイらしきものを展開するだけでは、共感しようが無い。 舞台設定には魅かれたが、じきに底の浅さが見えてくる。 なぜ、この程度で賞がとれたかが最大の謎。 | ||||
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この小説をどう評価するのか、結構難しい。というのは、読者がこの小説に求めるものが何なのか、によって印象はかなり変わるからだ。すでに多くのレビュアーの方々が指摘されている通り「ネビュラ、ヒューゴー賞などSF4賞を受賞」という肩書が、いたずらにこの作品に対する期待値を高めてしまっていて、さらにハヤカワがつけたあおり文句「グレッグ・イーガン、テッド・チャンを超えるリアルなビジョンを提示した〜」が拍車をかけてしまう。 それなりに面白い小説ではあるのだが、本当のところ先入観なしで読むのが一番いいのでは、と思う。 この物語は、石油資源が枯渇し世界のエネルギー構造が激変、「ローテク化」した未来を舞台にしている。一方でバイオテクノロジーが急進化し、DNAを改変した生物などによって生態系が破壊され地球環境が激変、新たな伝染病が蔓延している。飛行機や自動車といった移動手段はほとんどなくなってしまい、世界を「時間単位」で移動できたのははるか昔のこと。パソコンは「足こぎ」の自家発電で何とか駆動し、インターネットなどもおそらく無くなってしまっていると思われる。代替エネルギーは超強力な新型ゼンマイによってまかなわれ、それを巻いているのは、象を遺伝子改変したメゴドントという生物。ただ、ゼンマイによって駆動する機械などのパワーは、石油エネルギー時代のエンジンの足元にもおよばない・・・。近未来SFというよりは、スチームパンクからレトロな味わいをなくした世界観、といった方がイメージとしては近いかもしれない。 『ねじまき少女』といいつつ、この物語は何人かの登場人物によって展開する群像劇。舞台は東南アジアのタイである。 アンダースン・レイク: 改造型ゼンマイを開発しようとする工場のオーナー ホク・セン: その工場で働く、中国系難民の(かつては豪商だった)老人 “ねじまき少女”エミコ:遺伝子工学によって造られた日本製アンドロイド。 “ねじまき”というのは動きがぎくしゃくしているため、アンドロイドに対してつけられた蔑称である。 ねじで駆動している訳ではない。 ジェイディー: タイ王国環境省の検疫取締部隊「白シャツ隊」の隊長。陽気で快活、いかなる買収にも応じない鋼鉄の男。 カニヤ: 「白シャツ隊」副隊長。暗い過去を持つ、無表情な女性。 物語は、各キャラクターを中心に章ごとに展開。正直、上巻は世界観やキャラクター紹介に項を費やすため展開が遅く、中々物語の全容が見えてこない。何しろねじまき少女のエミコが登場するまで80ページもかかる(苦笑)。上巻で投げ出してしまったという人も結構いるらしいが、それも判らなくもない。ただ、下巻は一気に急展開を迎え、物語のテンポも上がり、けっこう読ませる。 ドラマは、こうした荒廃した未来のアジアを舞台にした、活劇風の物語 ― バイオテクノロジーの利権などをめぐる政治的な陰謀や内戦、クーデターといったものである。熱気にうだるバンコク。屋台が立ち並び、難民が占拠する廃墟のような高層ビルなど、猥雑な雰囲気はとてもよく出ているのだが、実はSF好きがSF小説に求めているものとはちょっと違うのでは・・・世界観の設定がSF、という点を除くと、東南アジアを舞台にした活劇ものの小説を読んでいる気分、といった印象に近い感じがする。たぶん、ここが好みの別れるところなのだと思う。 また、未来の世界観も「リアル」というよりは「奇想」に近く、「グレッグ・イーガンを超えるリアルなビジョン」というよりは、南米文学のマジックリアリスムとSFが融合したようなイメージ・・・何しろ後半では、あるキャラクターに霊が取りつき、その霊と会話をするというような「非SF的」描写が普通に描かれたりして、SF読者の多くは当惑するのではないだろうか(筆者は却ってそういうところが面白かったが)。 作者のパオロ・バチガルピは1973年生まれ。恐らく「マンガ・アニメ」を通過してきた世代なのだと思う。 東アジア学を専攻し、中国に暮らしていた事もあるというが、この小説の中で描かれているものはリアル、というよりはアニメやゲームで描かれる世界観に近い気がする。 ただ、ここから先はSF小説好きの方の多くは異論があるかもしれないが、筆者は正直なところ、「サイバーパンク」以降のSFには苦手意識が強かった。コンピューターやデジタル技術、ネットといった価値観にがんじがらめにされてしまった未来世界のイメージに、不自由さを感じるタイプの人間だった。「デジタル」技術があまりにも便利で、現代人はそれなしの生活がもはや考えられない故に、SFというジャンルから自由な創造力が奪われてしまった・・・『ターミネーター4』で、未来の世界で情報をやりとりする媒体が相も変わらずUSBだったのには、ガックリしてしまった。どんだけ想像力ないんだよ!と言いたい。 だから、この『ねじまき少女』は、SFの未来世界をサイバーパンクの呪縛から解き放った「ポスト・サイバーパンク」の新潮流を提示した、という点において筆者は最も評価したい、と思う。 最後に、出版元のハヤカワに対して言いたいのは、この小説は、特殊な専門用語も多く、キャラクターの名前も憶えにくい。海外の小説を読み慣れていて横文字アレルギーはほとんどない筆者でも、メインキャラはともかくその他の周辺キャラクターは、誰が誰だか判らなくなって一瞬混乱する事が多かった。 ハヤカワが出版していた小説は必ず巻頭に「登場人物紹介表」が記載されていたと思うのだが、いつからそういう事をやめてしまったのだろうか?特にこの『ねじまき少女』に関しては、専門用語の解説表もどこかに記載してほしかった。結構大事です。これがないために「途中で放り出してしまった」人もいるのでは? 今後の課題として。ぜひご検討を。 | ||||
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一〇年代のSFに方向性をつける傑作。 ギブスン『ニューロマンサー』のチバ・シティとサイバースペースがサイバーパンクのイメージであり、ミラーシェードグラスがアイコンであるように、メゴドントが闊歩する猥雑なクルンテープ(タイの首都、バンコク)が新たな未来のイメージであり、ねじまき少女はアイドルとなる。 「おそらくは、現代の生活レベルがピークなんですよ」とインタビューで語る著者が描く未来は、化石資源が枯渇し、温暖化により海面が上昇し、遺伝子操作による植物の疫病が蔓延した世界。カロリー企業(バイオ企業)が経済を支配し、いくつかの国家は崩壊している。タイ王国は独自の遺伝子バンクと検疫体制により辛うじてその混乱の外にある。 日本製の遺伝子操作された人造人間(アンドロイド)「ねじまき少女」のエミコ。彼女は主の日本人に捨てられた娼婦。マレーシアの華僑で難民「イエローカード」のホク・セン。企業帝国と一族の再興を夢見る。彼が仕えるカロリー企業の尖兵、「カロリーマン」アンダースン。彼はエミコにいれあげる。環境省の準軍事組織「白シャツ隊」隊長、バンコクの虎ことジェイディー。その副官で笑顔を見せない女性、カニヤ。五人の群像劇。 独立を守るタイをも膝下にねじ伏せようとするカロリー企業の野望、対するタイ当局の高官は女王に対する忠誠心は強固ながらそれぞれの利害に狂奔する。それと決して腐敗しない人ジェイディーとの確執。 人に仕えるように生まれつきながら、誰にも支配されない自由を夢見るエミコ。誰もが想像できなかった彼女のとった意外すぎる行動が、クルンテープを混乱の極に叩き込み、ねじまき少女に道を開く。 我々の未来がここにある。読むべし。 | ||||
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魅力的な点を整理してみます。 1 舞台が近未来のタイ王国ということで、エキゾチックである。 2 石油資源枯渇後の世界ということで、スプリングというかワインドアップというローテクが動力装置の主役になっている。 3 遺伝子資源の重要性を示唆し、東南アジアの遺伝子資源保有潜在力に注目している。 残念な点を挙げてみます。 1 「ねじまき」という新人類の能力、社会的立場、存在理由、生み出された背景がよくわからない。 2 酒場の性的描写がきつすぎる。 3 タイ王国の政変に終始し、世界情勢がわからない。 そういうわけで、面白く感じる点もあるし、声高に騒ぐほどの作品ではない気もしました。 同じ世界をシリーズで描いているらしいので、そちらが翻訳されたら読んでみようと思います。 | ||||
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翻訳ものなので地名や名前がイミフメイナカタカナノラレツに見えてしまうし、企業や省庁や国が利害をめぐってせめぎあっていて、その関係を読みとくのは難しい。 とはいっても、王様のブランチのランキングに乗るような大衆向けの本と比べればの難しさであって、特別に難解ではなかった。帯で引き合いに出されるニューロマンサーのほうが百倍読みづらい。 物語は特別に面白いわけでもなくつまらないわけでもない。 この作品が賞を受けたのは物語性じゃなくて、未来の地球を生々しく描き出したこと、その風景がこれからのSF世界に影響を与えそうだと期待してのことだと思う。 | ||||
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ダブルクラウンの作品にしては…面白くない。 石油資源が枯渇した後の世界を描いた。舞台はタイ王国。海面上昇と遺伝子操作による新しい病気、害虫がはびこる世界らしい。遺伝子資源をめぐってインターナショナルな大企業とタイ王国とが暗闘しているようだが、どうも読書の波に乗れない。気を抜くと寝ちゃう。 カタカナの固有名詞が、役職なのか人名なのか抽象概念をさすのかよくわからない箇所がいくつかある。 新型ぜんまいがエネルギー変換器の主役となっているのは面白い。 だが新人類「ねじまき」がどういう存在なのか上巻の終わり近くまで不明でイライラした。 後半、巻き返して面白くなってください。 | ||||
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『ねじまき少女』下巻。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンベル記念賞などいくつものSF関係の賞を幾つも受賞している。 これだけ幾つもの賞を受賞しているとなると、読む前から相当期待値が高くなってしまうが、やはり多くの場合と同じく、プラスには働いていないと思う。結論から言えば、物足りないという印象を受ける。少なくとも、各賞総なめというほどの圧倒的な存在感は感じない(これらのうちの1つ或いは2つ位なら、まあ、わからないでもない)。 今作の魅力は、なによりもこの舞台だろう。時代背景も含めた社会情勢や技術水準、あるいは様々な人間模様などここから色々な物語が派生してくる余地がある。本書は、章ごとに異なる立場の5人の視点から物語をみている。彼らはそれぞれの表の顔を持ちつつ、それとは違った思惑も同時の持っている。そのため、ただでさえ渾沌とした世界がより一層渾沌としている。 今作は、どういう展開に向かって進んでいくのかわからないまま、最後まで突き進んでいくが、実際の事件が起きてからよりも、どちらかというと、背景となる舞台(や登場人物)を知るための章の方が多いように思う。そのため、中盤から終盤にかけての物語が加速して以降、淡白に感じるというか、やや物足りなさを覚えてしまう。 巻末の著作リストのタイトルや訳者によるあとがきを見ると、今作と共通する舞台の作品も書いているようなので、そういう意味では、この1作で完成というよりも、この同じ舞台上で展開するシリーズ作品全体を通じて、ようやく完成といえる作品だと思う。 | ||||
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『ねじまき少女』下巻。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンベル記念賞などいくつものSF関係の賞を幾つも受賞している。 これだけ幾つもの賞を受賞しているとなると、読む前から相当期待値が高くなってしまうが、やはり多くの場合と同じく、プラスには働いていないと思う。結論から言えば、物足りないという印象を受ける。少なくとも、各賞総なめというほどの圧倒的な存在感は感じない(これらのうちの1つ或いは2つ位なら、まあ、わからないでもない)。 今作の魅力は、なによりもこの舞台だろう。時代背景も含めた社会情勢や技術水準、あるいは様々な人間模様などここから色々な物語が派生してくる余地がある。本書は、章ごとに異なる立場の5人の視点から物語をみている。彼らはそれぞれの表の顔を持ちつつ、それとは違った思惑も同時の持っている。そのため、ただでさえ渾沌とした世界がより一層渾沌としている。 今作は、どういう展開に向かって進んでいくのかわからないまま、最後まで突き進んでいくが、実際の事件が起きてからよりも、どちらかというと、背景となる舞台(や登場人物)を知るための章の方が多いように思う。そのため、中盤から終盤にかけての物語が加速して以降、淡白に感じるというか、やや物足りなさを覚えてしまう。 巻末の著作リストのタイトルや訳者によるあとがきを見ると、今作と共通する舞台の作品も書いているようなので、そういう意味では、この1作で完成というよりも、この同じ舞台上で展開するシリーズ作品全体を通じて、ようやく完成といえる作品だと思う。 | ||||
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「ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞などSF界の賞を総なめにした作品。」 この本のどこがそれに値するのだろうか。 40年近くSFを読んできたが、最近翻訳されるものはつまらないものばかりだ。 | ||||
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