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ハケンアニメ!
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ハケンアニメ!の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全132件 81~100 5/7ページ
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当該書籍を手にした動機は、あまり良いものではありません。若い直木三十五賞受賞作家が同時代においてドンナ作品を書いているのか見てやろうというものでした。 読み始めて感じたのは、文章が、とんだりはねたり、段落が予想外に切られていたり、登場人物の感情表現が短絡に思えたり・・・。それは、(ひとつには、当レビュアーが“古い”ということもあると思いますが・・)作品が、“現在”を反映しているという理由からくるものなのでしょう。著者自身、同時代を生きる読者(とその様態、嗜好)をたいへん意識して書いているように思われます。覇権(ハケン)を取るような「売れっ子作家」なのですから、それは当然と言えますが、それが、独自の文章のリズムを作っているように思われます。 当代の売れっ子小説家は、「ハケンアニメ」を製作しようと励む個人(アニメーション監督、音響監督、作画監督、アニメーター)や集団(プロダクション、グッズ・フィギュアをつくるメーカー)、それをまた取り巻く人々(ファン、巡礼先)と、その苦労(喜怒哀楽)をよく描いているように思います。巻末謝辞からもソレが、単なる創作ではなく、丹念な取材に基づくものであることがわかります。アニメ業界(産業)の内外を知ることができたというその点でも、読んでよかったと思っています。 以下は、アニメ作家に仮託した、著者のすなおな気持ちでもあるのでしょう。読んで、なにかジンとくるものがありました。 「アニメは確かに人の日常を救えるんだと思う」「暗くも、不幸せでもなく、まして現実逃避するでもなく。ーー現実を生き抜く力の一部として俺のアニメを観ることを選んでくれる人たちがいるなら、俺はその子たちのことが自分の兄弟みたいに愛しい。総オタク化した一億の普通の人じゃなくて、その人たちのために仕事できるなら幸せだよ」「恋人がいなくても、現実がつらくても、心の中に大事に思ってるものがあれば、それがアニメでも、アイドルでも、溺れそうな時にしがみつけるものを持つ人は幸せなはずだ。覇権(ハケン)を取ることだけが、成功じゃない」 | ||||
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爽やかな感動が味わえる、肩の凝らない小説だと思う。そういう作品をお探しの方にオススメだ。 真っ新な状態でお読みになられたい方は、以下には目を通さないで頂きたい。 本書は、アニメ業界で奮闘する3人の女性を、それぞれの目を通し描き分けたオムニバス形式を取る。2人目の物語りに差し掛かった瞬間は、それぞれが独立したオムニバスだと勘違いしたが、すぐにお互いが絡み合った作品だと分かった。謎解き的に面白いのはそこまで。何故なら、続く3人目が誰なのかは想像が付くし、終盤の流れも大凡分かってしまうから。ただ謎解きは本書の極僅かな要素に過ぎない。本書を感動的に仕立て上げているのは、女性作家がアニメに情熱を傾ける女性を、生き生きとしたタッチで描写しているからだろう。感動させてやろうという下心が感じられない事も好印象だ。登場人物のような人は、自分や周りにいないかもしれないが、日差しの向きによって、等身大にも大きくも見える自分自身の影のようにも感じられる。これ以上離れると白々しいし、これ以上近過ぎると生々し過ぎる。どちらにも寄らない絶妙な距離感だと思う。 オムニバス形式に続き、最終章が用意されている。本書は、ananへの連載から書籍化された。これは想像だが、最終章は連載時には存在しなかったのではないだろうか。と言うのは、最終章が、音楽CDのボーナストラックのように響くからだ。ボーナストラックの捉え方は、人それぞれだと思うので、その是非は読者にお任せしたい。 | ||||
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アニメ業界が舞台のお話です。自分が子供の頃はアニメといえば、夕方や休日の朝の時間帯に放送されていたものですが、今では深夜アニメが流行っていて、しかも大人も夢中になれる複雑な内容の作品が多く生まれています。自分はエヴァンゲリオンをオンタイムで見ていたので、あの作品を初めてTVで見た時はかなり衝撃的だったのを覚えています。実際に今でも話題になっているし、映画化も続いています。そんなエヴァを彷彿させるアニメ作品を作る監督が軸に物語が進んで行きます。過去エヴァに衝撃を受けた自分と重ね合わせて物語を楽しく読めました。ジブリやガンダムの小ネタがあり、ニヤリとさせてくれますし、最後まで飽きさせません。またCLAMPさんの表紙絵が良いですね。CLAMPさんの挿絵が全く無いのが、残念です。 | ||||
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さらりと読めてしまって、特別ひっかかりもない。 面白いから良かったけど、もう一度読みたいとは思わなかった。 アニメとかだったら、また違う表現が出来て良いのかもしれないが。 小説としては平凡だったと思います。 | ||||
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アニメの制作現場を舞台に、王子千晴監督を中心に、三人の女性が活躍する物語。 要所要所に背景やアニメに関する説明が挟まれるため、その世界を知らない私もスムーズに読み進めることが出来ました。 個人的に女性の文体が少し苦手なのですが、本作の著者の筆はスピード感があり、だれることなく読ませる力があると思います。 王子千晴にはどうやらモデルになった人物がいるようで、アニメについて詳しければ、それだけ楽しみも深まるのでしょう。 派遣アニメ?いえいえ、覇権アニメという言葉もしっかり覚えることができました。 | ||||
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最近専門職のような特殊なお仕事小説を結構手にしてしまいます。 自分が現実では全く関わらないような世界の話って目新しくて興味深いです。 特に今回アニメ業界の裏側をモチーフとした題材ですし...。 登場人物設定はややアニメチックでなものの(その分魅力的ですが)、表紙に描かれている3名にスポットを当てた章ごとで構成されており、仕事以外にも恋を匂わすところもありサクサクと読めます。 CLAMPの絵も好きな自分としては、anan掲載時のイラストがなく難しいのかもしれないけれど少し寂しい感じがしました。 | ||||
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表紙のCLAMPの絵に惹かれ手に取りました。 アニメ業界で働く3人の女性を描いたお話です。 それぞれに共通しているのは「なんでこの業界で働こうと思ったかって?アニメが好きだから」という想い。 プロデューサー、監督、アニメータといった立場で、 短納期、トラブルや会社の思惑・事情などで上手く回らない制作現場で奮闘する姿が描かれています。 文章はテンポ良く、ストーリも回りくどい感じはありません。 人物同士の関係はありますが、章ごとに話は完結します。 個人的に 脇役の男性敏腕プロデューサーが一番「いいやつだなー」と思いました。 誰が読んでも外れではないと思いますが、 恋愛要素も少しだけ入るのでそういうのが嫌な人には向かないかも。 | ||||
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ハケンアニメ、最初はアニメ業界で働く派遣社員の話かと想像していましたが違いました。 ハケン=覇権、アニメ業界の覇者になるということ。簡単に言うと、アニメ業界のトップになる。 そんな夢を持って業界に入った3名の女性の話です。 1~3章の女性たちが主人公になっています。1章が有科香屋子、2章が斎藤瞳、3章が並澤和奈。 それぞれの章がそれぞれの視点で書かれています。視点は違いますが、微妙に絡み合っていて面白い。 それは読んでみれば分かります。 帯に、「でも、みんなの想いはひとつ!"いい仕事がしたい"やる気みなぎるお仕事小説誕生。」と あります。正に、仕事が趣味みたいな人の小説です。本当のアニメ業界の人がこんな感じなのかは 知りませんが、私は楽しめました。 | ||||
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知り合いにTVアニメの色彩設計(たまにヘルプで絵に回る等)を生業にされている方もおり、アニメ業界アニメ『SHIROBAKO』も視聴しており、アニメ製作現場の仕組みはある程度は理解しておりました。 まず作者さんの文体は癖がなく読み易いです。 以前にもツナグを読んでいましたので、私が少し慣れているとは思いますが、文章につっかかりを感じることはありませんでした。 アニメ業界の説明が不十分ということもなく、作中ではアニメ誌表紙の発注が不条理に見えるけれど、現実だともっとひどいこともあった事を聞いているので、これくらい、仕方ないよねと思ったり。 話は2本の同クール放映のアニメ作品の製作者たち数人を各章主人公とした群像劇ですかね。聖地巡礼のイベントへ各主要キャラが集う様はご都合主義ですが、嫌な感じにまとまり方ではなかったので、よかったです。 表紙イラストは好みが分かれるとは思いますが、内容は仕事をしている人が報われる嫌な気持ちの残らない楽しい作品でした。 | ||||
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制作進行からプロデューサーになったアニメスタジオの女性。 大学在籍中にロボットアニメに感銘を受け、公務員志望から転向して、アニメ監督になった女性。 ネットで注目をあびるようになった地方スタジオの女性アニメーター。 章ごとに主人公が異なり、前章にちらっと登場した人物が、次の章で主人公となって、最後に鮮やかにまとまる小説です。 主人公は女性たちですが、それぞれの章に男性のサブ主人公がいて、たとえば、9年ぶりに新作を手がける天才美青年監督が現場を放棄して音信不通のまま失踪してしまう……。さて、どうなるか? 日本のアニメ業界の厳しさ、低賃金の過酷さは、しばしニュースになりますし、この小説にも「何日も眠っていない」、「カップラーメンを食べる」という描写に表れていますが、「生活費に困窮して夢をあきらめる、つらくて辞める」シビアさを描くのではなく、夢と情熱であきらめないほう。地道に仕事を達成していくほうを真摯に描いています。 「天才」として登場するひとたちにも悩みがあって、苦労があって、やはり地道に努力している。 仕事に愛を持って、その仕事を「達成していく」喜び。 巻末に取材協力者として業界有名人の名前が並んでいて、劇中のこのスタジオはあそこのことなのかな、とか、深読みや類推も可能です。 題材は「アニメ」ですが、著者は小説家なので、「達成していく・作品を完成させる」という心情に想いを寄せているのだと思います。 さわやかな読後感です!! | ||||
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アニメ業界を舞台に3編の連作中篇+エピローグからなる。春のクールの新作TVアニメ2作品の関係者を中心にアニメ業界を描いていく。互いに登場人物が関係しストーリーも連続性がある。 1作目は鬼才と呼ばれた寡作の監督の9年ぶりの監督作と中堅アニメ製作会社の女性プロデューサーが主人公、2作目は売り出しはじめの若い女性監督をメインに大手製作会社の敏腕プロデューサーに振り回されたり、年齢が近いアイドル声優達との関係に悩んだりしながらも乗り越えていく話。 作中、適度に彼らが関わるアニメの設定・ストーリーが時折触れられる。 ここまではどちらかというと作る側の業界内の話に終始していたのが、3作目、 にいたって業界外の人物が主要人物として描かれるようになって、ストーリーはがぜん面白くなる。 地方の小規模な制作会社の所属で、絵を描くことにしか才能がないと生きてきたアニメーターの女性と、その地方を舞台にしたアニメ作品を地域活性化の機会に、と聖地巡礼の客を呼び込もうとイベントを企画し奮闘する公務員の青年との話。最初は全く住む世界が異なるとばかりにステレオタイプな言葉で相手を推し量ったり、自分の居る世界に閉じこもっていた彼女がだんだんと心を変えて行く様子は舞台となる日本海沿岸の小都市の夏の風景とあいまって印象的。 1作目2作目は業界内の話とはいいつつも、監督・プロデューサーレベルの人物によるストーリーが展開するので、製作現場、アニメ作成ののたうちまわるような泥臭い部分はあまり描かれていないようにも見えたのは少々残念。 全体には業界のことや業界をとりまく環境、中の人たちの心持ちなど、さまざまな描写から、著作にあたっては綿密な取材が行われたことが伺われる。 おりしも2014年秋アニメではアニメを製作する中堅製作会社を舞台にした「SHIROBAKO」が放映されている。こちらはまさに製作現場の泥臭い人間模様を中心に描いており、本書で描かれるアニメ業界と比べてみるのもよいかもしれない。 | ||||
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新聞の広告にデカデカと乗っていたので、記憶していた作品です。 この作者の本は一度も読んだことが無いので、どのような文体で何が得意なのかもまったく知りませんでした。 まずアニメ現場が舞台だからか、文章の書き方が非常に漫画的アニメ的です。 文章から情景を想像するというよりも、既視感のある舞台でキャラクターたちが演じているという風に私は感じました。 別にそれがイヤというわけではなく逆に想像しやすく共感ももてたのですが、いかんせん「小説」を読んでいながら漫画を読んでいるようで、なんとも奇妙な読後感でした。 おそらくアニメや漫画にあまり触れていない人には、ちょっと想像がしづらい部分があるかもしれません。 でも、もしそれが作者の意図だったとしたら少々読み手を限定してしまいますが、なかなかに意欲的な作品だと思いました。 私自身は昔はアニメを見ていましたが今はほとんど見ていないので、今のアニメ現場がどのようなものかまったくわかりません。 なので小説の舞台がフィクションなのか取材に基づいたリアリティのあるものかもわかりません。 ただ、どの業界でも現場でもプライドを持って一所懸命仕事をしている人には、自然と人が寄ってきて助けてくれます。 この小説でも四面楚歌だと思っていても、実は助け舟がすぐそこで待機していたりします。 もちろん中には泥舟が混じっていることもあるのですが、社会人未経験の人にこそ読んで欲しいなと思いました。 ただ、小説としては人物像がアニメ的過ぎる気がします。 小説ならではの深みが感じられず、面白いけどそれまで、という感じですね。 友達とあーだこーだと話題にするには難しい本です。 | ||||
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初めに思っていたのと少し違いましたが、予想以上に細かい内容も入っていて良かったです。こういう業界に縁のない人でも、伝わりやすいのではないかと思いました。最初はカバーイラストにばかり目が行きましたが、それがなくても充分に惹きつけられる内容でした。 | ||||
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クランプの表紙に惹かれて読んでみました。 聖伝やマジックナイトレイアースを読んでいました。 辻村深月さんのハケンアニメ!はアニメの仕事の話ですが、こんなに大変なんだなぁと、普段何気なく見ているアニメ(最近だとオオカミ少女と黒王子、クロスアンジュ、寄生獣をみています。)を見るたびちょっとこの小説を思い出します。 章ごとに主人公がちがいますが、全体として繋がっていて表紙の3人が手前から有科さん、真ん中黒髪が斎藤さん、左が並澤さんなんだなーと。 お仕事小説ですが、ちょっと恋愛の始まり的要素もあり、面白かったです。 | ||||
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アニメ業界にかかわる、3人の女性のお話。 想像以上に、とてもおもしろかったです。 暴騰からひきこまれていきました。 話の展開が面白く、一気読みでした。 アニメ業界は全く知らないので逆に新鮮でもありました。 おススメです。 | ||||
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タイトルだけを見るとマンガっぽいですが、前編小説(文字)となっています。アニメ業界はキツいという程度のことしか知らない私としては、業界内部をうかがい知るだけでも面白かったです。 ただ残念なのは、出だしにググッと惹きつける盛り上がりが無いところです。そこを耐えて読み続けると、面白くなってきます。 | ||||
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「監督が消えた! ?」という煽り文句に、ドタバタ劇を予想しました。確かにズタズタなシーンから始まりますが、アニメ業界を舞台に多くの人々が力を合わせる「仕事」の世界を真摯に描いた、共感に涙もにじむ良作でした。 「ハケンアニメ」(覇権アニメ:同時期放映の中で最もDVDを売り上げたアニメ)が、最も視聴者の心に残る作品ではない。この本は「ハケンアニメ」をめざしながらも、更にそれを越える高みへ行こうとする創造者たちの熱い志の物語だという逆説的なところも気が利いています。だからアニメファンでなくても問題無く楽しめます。 第1章はプロデューサー♀と監督♂、第2章は監督♀とプロデューサー♂、第3章は原画担当♀と市の観光課の職員♂のパートナーシップを軸にアニメの制作、ビジネス、背景となった地域がアニメファンを「聖地巡礼」に呼び込んで観光客を増やす試みが進みます。 各章は全て「どうして、アニメ業界に入ったんですか?」から始まります。職場での上司・部下との関係、隣の部署や協力し合っている他社の人との関係、尊敬と妬み、嫌な人と思ったのに実は良い人だったり、仕事への打算と献身と誇りと愛、恋と仕事、そして土壇場で問われる自分の初心。そんなこんなが溢れかえる本作に、働いている人なら、「そうだよっ!」と同意するところがあるでしょう。人と人とのちょっとした気遣いにホロっと来るシーンが埋め込まれているので、どこも読み飛ばさないことが重要です。 アニメが好きな読者をくすぐるポイントも満載です。作中でその創作過程が舞台となる「運命戦線リデルライト」、「サウンドバック 奏の石」は現実のアニメ作品だとどれのことだろうと想像できたり、プロデューサー、監督、脚本、音響監督、作画監督、作画スタッフ、動画スタッフ、宣伝など制作過程にかかわる人々はこんなふうに活躍しているのかと納得したり、「聖地巡礼」と地元の関係を垣間見られたり、・・・。加えて、王子千晴監督の「齧り付くように、ひったすら、やるしかないんだ。」の仕事屋発言とか、インタビューでの「現実を生き抜く力の一部としてアニメを観る」「ベルダンディーや草薙素子を知っている俺の人生を不幸だなんて呼ばせない」といったオタク擁護。グッと来ます。原画担当の和奈が悟る「リアルでは他人より欠けたところが多い分、自分の方が深く物を見ている、と自分は自惚れていただけなんだ」というオタク反省。グサッと来ます。 仕事でぶつかったり助け合ったり一つの思いを共有したりする中で、表面では分からない相手の思いや心を知って、本当に相手のことが好きになるという、大人の恋愛の理想像が描かれているところも、大好きです。 癖はあるものの良い人ばかりの登場人物がそれぞれの特技をうまく組み合わせて協力して盛り上がる第3章の後半以降は、皆がアニメを、仕事を、仲間を愛しているからこそ自分の得意に専心し、幸せに近づいていくという「理想」が描かれたのだと思います。 過激さだけは欠けていますから、刺激の強いエンタテインメントを求める方には物足りないかもしれません。でも440頁ほどの充実した本作は素晴らしい充実感を与えてくれました。 | ||||
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女性誌で連載されていた作品です。 表紙が非常にポップで、 内容も業界の綿密な取材が存分に生かされており大変読み応えがあります。 | ||||
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アニメの世界で頑張る女子からみたお仕事の世界って感じで、ほんわかした雰囲気の小説でした。派遣と間違えやすいですね | ||||
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「こりゃ単なる脇役だろうな(笑)」程度に思っていた人物に別の章でスポットが 当たるので、良い意味で油断が出来ない。悔しいが1章から2章に変わった時に背中がゾクッとしてしまった。 女性プロデューサー視点のみで行くと思っていたら、2章で女性監督視点と切り替わり 様々な視点から眺めてもアニメを作るという事の難しさというより 関わっている人数と部署の多さからくる、普通の会社ではない アニメ製作会社特有ともいって良い人間関係の難しさが描かれている 3章ではアニメを愛する女性アニメーターと、アニメを見ない人達との もどかしくも暖かいやりとりを通して、アニメ原作の聖地巡礼についても触れている。 この作品には各章の主人公が女性という点も大きく関わってくると思われる。 特に女性監督と女性声優の見えない刃で鍔迫り合いするような女同士のやりとりも見ものだが 天才わがままイケメン監督、評判の悪いプロデューサー、田舎の熱血公務員といった男性陣も複雑に絡んでくる。 アニメが好きな3人の女性達だからこそ、良い作品を作りたい!アニメを卑下するな!と 感情が昂ぶると女性でも男性でも相手を選ばず思いをぶつける。 巻末には著者が取材したという、実際にアニメ製作に携わっている方々の所属会社と実名が記載されているだけに この作品に出てくるエピソードの、一体どれとどれが実話に近い話なのかと勘ぐるだけでも アニメに興味ある人にとっては面白いのではないかと。 "混ぜ込んだフィクション"としているにしても、基になる何かがあるのでは...業界の噂的な。 無理だろうけどこっそり教えてもらえないかなぁ...駄目だろうなぁ。 サァ みんなで仲良く色んな問題を解決して、友情と努力と時には甘い恋愛も挟みつつ 仲間と一緒に良いアニメを作り上げちゃおうネッ!! という明るい作品トーンではありません。 制作費・宣伝費やらグッズ売り上げも含めたキナ臭い大人の事情にはじまり、 アニメ業界とアニメをあまり深くは知らない人達との溝。過酷なスケジュールの中で 良い作品を作りたいが故にプロ同士がぶつかり合い、時には派手に揉める。 アイドル声優関連の結構エグい話にも切り込み、男女の微妙な恋愛関連含め 時には感情を爆発させ、時には助け合いながら何とか前向きに良いアニメを作ろうとする、 厳しい世界に時折見えるちょっとした優しさもあったりする、プロフェッショナルな人達の群像劇。 これが1つの製作会社の人物の視点で物語は進行するのではなく、別々の製作会社の視点を通すので 会社の外のキャラクター視点から見た登場人物が、会社の中側から見ると印象が違って見えてくる。 挿絵は無いが、章を読み進むと脳裏にキャラクター像が少しづつ肉付けされていく。 それに加えてそれぞれの会社が抱える事情が、こういっては何だが面白い。 アニメ製作業界の裏の雰囲気をフィクション&架空の舞台とはいえ、それとなく味わえるのは新鮮。 何か知ったらイケナイような部分を、こっそり覗き見ている感覚も時折してしまう。 2つの製作会社が作る2つのアニメ作品に、プライドを持って愛情を注ぐ人達を見ていると 円盤の売り上げがアニメの優劣を決める一つの物差しになっている事について、ふと考え込んでしまう。 | ||||
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