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(短編集)
四人組がいた。
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四人組がいた。の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 21~26 2/2ページ
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高村薫るさんの小説は、主題が重く体の調子が悪い時には読み辛い事が多々ありました。 この作品はそういうう点では軽い気持ちで読むことが出来ましたが、世相を見る目は相変わらず 厳しいものがあると感じました。 | ||||
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とある地方の田舎町を舞台にした、ホラーではなくホラ系のギャグ・ファンタジー。…なのだろうけど、笑えない。 狐狸妖怪、伝説なんでもあり。ヤマメが化け、若返りの泉があり、キャベツは行進し、閻魔と阿弥陀が来迎する。 退屈ではないが、頭の中が?で一杯。答えは何も出ないまま幕が下りる。 | ||||
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高村薫氏の作品をそれ程数多く読んでいる訳ではないですが、あまりにもの作風の変化に最初は少々戸惑い気味でした。 それでも読み進んでいくと、思わず吹き出してしまうこともしばしばあって、この4人組が愛おしくなりました。 ユーモア小説とはいえ高村薫氏の作品である以上、過疎化した村の村おこし行事や開発事業、名所発掘や高齢・少子化問題などを風刺しているのだろうと、そこに意味を見出そうと読んだのですが、結局、空想のようなお話で、ただただ何も考えずに面白く楽しんだだけでした。 そしてラストは少し哀愁が漂い、また4人組に会いたくなります。 | ||||
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読みながらニマニマと顔が緩んでしまいました。なんとなくシートン動物記が混ざっているような限界集落の山村。四人組が放つイキでブラックな会話や、あるあるあると叫びたくなるような村ならではの秘密。面白かったです。 ついつい一気読みしてしまい、ああなんてもったいない読み方をしたんだと最終章で後悔してしまいました。 | ||||
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実に痛快にして抱腹絶倒なユーモア小説。高村薫が、あのハード極まりない「冷血」や20世紀三部作を書く合間にこんな「現代の御伽噺」を書いていたとは。それも平然と、いつもの高村薫節で! 彼女を知らない人が読めば、文章は腹立たしくなるほど固くてぶっきらぼうでつっけんどんで、人物描写は底意地が悪い。そして日本の地方行政や小悪人の小賢しさの本質をずけずけと突いて遠慮がない。ブラックであったかと思えば、御伽噺ですからと平然とありえない現象を描いてしれっとしている。 だから、高村薫ファンではない方に無理にはお勧めしない。しかし、くさやの干物ではないが、そこが高村薫ファンにはたまらないのだ。 さて、舞台は「平成の市町村大合併」なる傍迷惑な構造改革のおかげで村役場も村会議もなくなった、野鳥と川の生き物を除けば、わずかな年寄りと四つ足しか棲んでいないしけた寒村。 そこで無為の日々をだらだらと送る、自称村一番の教養人の「元村長」、自称元プレイボーイの郵便局長、自称村一番の常識人の「元助役」、自称小股の切れ上がった熟女のキクエ小母さん、の四人が主人公。 12編のエピソードがあるが、キクエさん以外は最後まで個人名が出てこない。一応山梨か信州あたり、と当たりのつく記載はあるが、男三人は日本中どこの限界集落にもいる類型的人物だ、と高村薫は言いたいのだろう。しかし高村薫は「冷血」で見せたリアリズムの極致のような緻密極まりない描写をこの限界集落ではあえてしない。それどころか高村薫が嫌いそうな超常現象満載である。この村はなんか変だ、と毎回毎回思わせては少しずつ話が進んでいく。その都度ブラックユーモア度は増して行き、村へやってくる人たち(=一般人=読者)を翻弄して楽しんでいる高村薫のすました顔が見えるようだ。 何しろこの4人組は永遠に死なないと書いてある。経営不振の浄土や地獄へも阿弥陀や閻魔にわざわざ招かれてでかけていく。四つ足ともツウツウだ。タヌキだろうが熊だろうがダチョウだろうがタニシだろうが、平然と付き合うしこき使う。小学校から逃げてきた光る豚もちゃんと守ってやる。一方で人間は政治家だろうがガキだろうがマスコミだろうがつまらない奴らには容赦なし。 さて、その種明かしは?そんなもの、高村薫が用意するわけがない。楽しむなら勝手に楽しめである。まあ、政治経済から宗教哲学、農業、IT、芸能、風俗、パチンコまで博覧強記を絵に描いた女史の書いた文章である、縦横無尽に薀蓄が飛び回り、四つ足が人間と共生し、不思議なことが当たり前のように起こる。 特に凄かったのは「四人組、村史を語る」。青汁会社と結託して無農薬栽培でケールを栽培した挙句のキャベツに青虫発生大騒動である。 「キャベツ畑がアオムシの絨毯になっているという。(中略)昨日までふさふさと繁っていた春キャベツの葉の、表も裏もアオムシがびっしりと張りついてほとんど巨大子持ち昆布だ。」 もちろん無農薬栽培への強烈な皮肉であるのだが、それだけにとどまらず、怒ったキャベツたちは抗議の大行進を敢行して、山へ登り復讐の大合唱、挙句の果てはアオムシを爆弾代わりにケールと壮絶な地獄の白兵戦を行うのである。 一方で高村さんがこんなべたなギャグをそれとなく漏らすのか、という微笑ましい文章もあった。地上450Mのスカイツリーにツアーで上ったダチョウが呟く。 「生まれ変わったら鳥になりたい」(「四人組、伝説になる」) お後がよろしいようで。 | ||||
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宣伝文句には、「高村薫 ユーモア小説に挑戦」とある。 確かに、にやっとさせられる場面が少なくないのだが、 全体として見れば、この本は、彼女の「社会批評もの」に連なる作品だ。 それにしても、高村薫の博識、もしくは”知らない事を調べて、自分のものにする能力”には、改めて感心させられる。 本書でも、政治、行政、経済、宗教(このあたりは得意分野だろうが)から、アイドル、ギャンブル、風俗・・に至るまで、 硬軟、高尚低俗、分野を問わず、ごった煮のごときネタが次々と展開される。 公の場では発言するのがためらわれるような用語でも、高村薫は必要なら遠慮なく記す。 自分に確固たる自信があることの証拠だろうし、こちらもそうと分かっているのである。 なお、田舎が舞台で、高齢者が多く出てくる、というせいかもしれないが、 文章としては「新リア王」を思い起こさせるものが多いように感じられた。 | ||||
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