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二都物語
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【この小説が収録されている参考書籍】
二都物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全37件 1~20 1/2ページ
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現在諸般の事情で、一時的に実家で在宅勤務をしているが、父が本書を絶賛していて、ほとんど強制されるようにして本書を読んだ。文体は、癖のない叙事的なもので、作者の精神性もフラットであるように感じたが、最初の300ページぐらいを読んで、思ったより面白くないので、途中で投げ出そうかと思った。しかし、父が「最後の100ページが見事だから読め」と言うので、根気強く読み進めた。380ページぐらいから、大分物語に動きが出てきて、世界史に興味のある人であれば、大分入れ込めるような描写が始まったが、まだ満足するには至らなかった。そして消化不良な気分でラスト100ページぐらいに差し掛かると、父が「構成が見事」と称賛しているだけのことはあり、伏線と言えばいいのか、それ以前に書かれていた枝葉がどんどん回収されていって、自分としては意外な方向に物語が転がっていき、そして、結末に至った、という感じ。正直、本書の結末は自分が望んだものではなかったが、著者の熱い意気を感じることができたし、結構印象に残るラストだったので、星4とした。ただ、本書はかなり長くて、後半になるまで特に山場もないので、結構途中で飽きてしまう人もいるかも知れない。自分としては、まあ、読んで悪くなかったかな、という感想。古典小説が好きな人にはおすすめ。 | ||||
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フランス革命の狂気とそれぞれの運命の流れをみごとに描いています。 | ||||
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物語は英国のロンドンとフランスのパリの二つの都市にまたがる究極の愛の物語。 「究極の愛」とは。 ネタバレになると本編最後の山場の興味は半減するので、ご存じない方は知らないまま読んだほうが面白いだろう。 チャールズ・ディッケンズの小生は若いときに「デイヴィッド・カパーフィールド」を途中まで読んだことがある。というのは受験勉強の傍ら、図書館でみつけて読み始めたら面白くてやめられない。大長編で受験勉強に差し支えるので、途中でやめざるを得なかった。 それ以来のディッケンズの小説だが、やはりストーリーテラーとして卓越しており、その話の展開に、途中からページを捲るのももどかしくなる。 本編の読み方としては、小説のあちこちに出てくる端役のような人物が、最後に重要な役割を負っていることがわかるので、人名はよく覚えながら読んだほうがよい。 無実の罪で長くバスチーユ監獄にとらえられていた医師の娘と、フランスの亡命貴族との間の恋のものがたりだが、最後にフランス革命に巻き込まれ運命は暗転する。このフランス革命の「自由・平等・友愛、しからざれば死を!」という標語は現在のフランス国旗の三色としてあらわされているが、この革命のもの凄さ、残酷さ、旧支配階級に対する容赦ない死刑判決、ギロチン(首切り機械)の活躍など、余すところなく描写されている。ディケンズが、この小説を書いたのはフランス革命から70年後、まだ余韻が残っていたのかもしれない。 冒頭の書き出しは、やや退屈だが、我慢して読み進めれば大きな果実が得られるだろう。 | ||||
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本作は、世界で5本の指に入る大ベストセラー小説である。その名にふさわしく、壮大なスケールで描かれる。国家の近代化は革命によって成し遂げられた。革命ほど、世界史で大きな変動をもたらすものはない。現代では革命を美化しすぎているが、本作は革命の残酷さを克明に描いている。かつての新聞記者らしく、当時の記事を読んでいるような気分にさせられる。 前半部分は重苦しく、内容も分かりにくい。冗長的な箇所も多く、現代の作家なら一冊にまとめているだろうし、その方が、クオリティがもっと上がった点はおしい。ディケンズは、人物描写や風景描写はけっして巧みではない。主人公が、家族に黙ってフランスに戻る点はわざとらしさがある。ストーリーの自然な流れよりも物語性を重視した結果であろう。本作では数多くのご都合主義がある。物語の自然性や人物の内面を重視する純文学者は、この点を批判するだろう。しかし、小説は個人に向けて書かれるものでもなければ、必ずしもリアリズムを必要としない。 ディケンズは生粋のエンターテイナーであり、これは本作の後半部分に遺憾なく発揮されている。壮大なスケールをテーマにしたプロットの巧みさは大文豪の名にふさわしい。日本の夏目漱石や三島由紀夫などの文豪ですら描けない。 革命というテーマを一流のエンターテイメントに仕上げた点が、世界トップのベストセラーになった理由であろう。そうはいっても惜しい点がある。それはフランス革命を裏で操ったブルジョワジー、資本家を批判しなかった点である。ディケンズは知らなかったのか?そうではない。なぜなら、小説に、フランス市民はどこからともなく武器(銃火器)が手に渡ったというくだりがあるからだ。資金と武器がなければ革命は実現できない。これは明治維新を見ても明らかであり、当時のイギリス人もフランス人もみな分かっていた。 ディケンズは流行作家としての地位を手にしていた。極貧の境遇から手にした成金者であり、後援者もいたであろう。ディケンズは貴族階級とプロレタリアートへの批判を書いてもブルジョワジーについては意図的にまったく書かなかった。この点を星一つ減としたい。これは商業作品の宿命かもしれないが、芸術作品による普遍的恒久的価値を重視する観点から、やはりマイナス評価としたい。 | ||||
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フランス革命を背景にした長編小説。物語のすじは所々難しく感じましたが何とか追っていけました。訳文は読みやすいと思います。読者を引き付ける物語の面白さは著者の真骨頂で、後半はミステリーばりの展開に釘付けにされました。ラスト、貴族ダーニーの身代わりになった弁護士カートンの独白はこれ以上ない感動ものです。個人的にはマネット医師が精神に不調をきたすと監獄で囚われていた時の靴作りが蘇るといった場面が印象的で、そこには地獄を経験したものでしかわからない人間の哀しみが表現されていて胸が詰まるものがありました。 | ||||
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ディケンズの話の中で面白いの上位に位置する。 翻訳も上手い。 細かな点に気を取られて趣旨を間違うと面白くなくなる。作品は大きく捉えて読んだ方が心に響く。小説も音楽と同じです。 フレーズが大切。こんな物語が書ける人は他にいませんね。感動します。ディケンズ読むと他の小説が読めなくなります。 最後は号泣します。 翻訳も素晴らしい、文句なし。 翻訳が悪いとか出来が良くないというのはよくわからない。いちいち原文取って自分ならこう訳すみたいな作業を頭の中でするのに意味があるのか不明 日本語で与えられたら日本語で読むだけのことであって、中身が大切 もし原文読みたければ英語で読んで、そうなんだと思えばいいだけのこと 何でも映画化されたら少し違ったり、かなり違ったりしますが中身のある作品はどのような角度からきてもいいもの 何度踏み倒されてもいいものは残る だから加賀山さんの訳は読みやすくて好きですね | ||||
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強く推奨。 映画10本見るよりお得。 ストーリーが非常に素晴らしいことに加え、フランス革命の残虐な実情が実に生々しい。 幕末・明治維新の激動期を描いた島崎藤村「夜明け前」が平和に感じる。 エドモンド・バークの「フランス革命の省察」の併読が尚可。 | ||||
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古き名作には、読み継がれる理由があると確信しました。 | ||||
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例えば名探偵のアイコンとして著名なシャーロック・ホームズとて、挿絵をシドニー・パジェットが描いていなかったならば、今ほどの地位にあったろうかという疑問はある。絵師問題はラノベでなくとも存在するのだ。 訳文のみでいうならば、確かに光文社の池訳の方が優れて読みやすいにも関わらずこちらを推すのは、ひとえに初版当時の挿絵が復刻されているからである。当時の読者とイメージを共有できるのだから。とりわけ序盤からいわくありげに登場し、後半大活躍するとある人物については、これがあるとなしとでは大違いとなる。ディケンズお得意の(英文学特有の)皮肉で醜く描写されて登場するわけだが、ちょうど本編の真ん中辺りで挿絵に描かれたその人の何と凛々しい姿であることか。これにより終盤の迫力は大いに増すのだ。絵師様万歳。 Wikipediaによればカーライスの『フランス革命史』に触発されたのだそうだ。まぁ、それはそうなのかもしれないが、本作の道具立てを検めてみれば、 ・舞台はフランス革命。 ・十数年監禁された医師。彼を救おうとする実直な銀行家と、金髪美少女な医師の娘。 ・貴族の生活を捨て母国を捨てて、医師の娘との愛に生きようとする美青年。 ・その美青年と瓜二つな、うらぶれた法律家(娘に片想い)。 ・ご存じ革命後の大粛清問題が青年に振りかかる! ユーゴーだよ、これは。いやデュマか。とにかく大衆小説の先輩のエッセンスをいただいているのだ。 それだけならば現在に至るまで同様の作品は数限りなくあるだろう中、やはり全盛期のディケンズは傑出している。およそ全てのジャンルが混合してるのに破綻どころか無駄のない構成(端役だと思ったのに!)、シドニー・カートンという見事なキャラクター(ハードボイルドヒーローの先祖と呼んで差し支えない)、望んではいないはずなのに満足してしまうラスト(何なら爽やかさすらある)、あろうまいことかソレが文庫本一冊に納まる(奇蹟か)。 ディケンズらしいという作品ではないものの、分量と完成度からいって「はじめてのディケンズ」にはうってつけの一冊。対抗馬は『大いなる遺産』が適当か(『クリスマス・キャロル』は問題以前とする)。 ただ一つ難点があるとすれば、時代小説であるがゆえに前提知識が必要なところだろうか。「ベルばら」程度(案外レベル高いのだ)にはフランス革命の知識がないと、後半の切迫感が味わえないのでご注意を。 | ||||
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寝る前に読んでいます 予備知識無しで読み始めてフランス革命の混乱を改めて知りました 機能不全に陥った現代日本になぞらえて不思議なタイミングを感じます | ||||
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"『今僕のしようとしている行動は、今まで僕のした何よりも、はるかに立派な行動であるはず。そしてやがて僕の勝ち得る憩いこそは、これまで僕の知るいかなる憩いよりも、はるかに美しいものであるはずだ』"1859年発表の本書はフランス革命前後のフランスのパリとイギリスのロンドンの二都を舞台に【家族の絆と愛を描いた】エンタメ長編傑作。 個人的には毎月主宰している海外文学読書会の課題本として、また『クリスマル・キャロル』に続く2冊目として手にとりました。 さて、そんな本書はフランス革命によって立場の厳しくなったフランス貴族、荒れ狂う市民という歴史的背景の中で運命に翻弄される家族や友人たちを【連続ドラマ的、サービス精神豊かに描いている】のですが。まず最初に印象的だったのは冒頭からの【映像的な描写】映画にも通じる巧みなカメラワーク的展開でしょうか。作中世界に没入させてくれるのにとても効果的で関心してしまいました。 一方で、物語自体は現代から見ると全体的に多少荒いというか、少なくともプロットは丁寧ではないようには感じましたが。ひるがえって登場人物たちの細部描写、場面場面での躍動感あふれる【生き生きとしたセリフ回し】は素晴らしく、これは一般大衆に支持されるだけでなく【ドストエフスキーが愛読、トルストイが絶賛した】のも確かによくわかるな。と多くの作家へ影響を与えた事にも納得したり。 イギリスの国民的作家のもっとも知られた代表作として、またフランス革命後の混乱した時代を連続ドラマ的に楽しみたい人にもオススメ。 | ||||
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1859年の作品。 筋がとても入り組んでいて、しかしよく読むと前後の整合性がとれていて、見事だと思った。著者ディケンズはよほどしっかりと構想を立てて、その後集中して仕上げたのだと思う(それができる環境がよくぞあったものだ。作家として認められていたに違いない)。 内容は、巨視的な視点と微視的な視線、歴史物語と文学的描写(人間の心理に焦点を当てている)を巧みに混ぜ合わせ、フランス革命前後のパリの状況を描いている。その技量には恐れ入るばかりだ。 そのうえ、描写も、なんと「意識の流れ」と言おうか「内的独白」というのか、その描き方が見られるではないか(例えば、p.626 p.628 pp.657-8)。さらにもう一つの技巧として、ジョイスの『ユリシーズ』(例えば、第10章)で見られた次のような技法も用いられている。それはある情景が語られているときに、突然、別の場所で、同じ時間に起こっている断片が、何の前触れもなく挿入されるという技法である。そこを説明する。 マネット医師と娘(=チャールズ・ダーネイの妻)とチャールズ・ダーネイ(=シドニー・カートンの振りをしている)とローリーがフランス革命の混乱から必死でイギリスへと逃げているときに(彼らは、正体が分かれば殺されるので、一秒でも惜しいのだ)、とつぜん復讐の権化・ドファルジュ夫人の記述が1行挿入されて、危機感を高める効果を出している。 その間も、ドファルジュ夫人は通りをますます近づいてきた。(p.638) ドファルジュ夫人は通りをいっそう近づいていた。(p.639) (※通りにある、逃亡した家に着いて中を探せば、逃亡したことが気づかれてしまうのだ) まったくの私見だが、「カフカがディケンズの作品を愛読した」――どれくらい事実かは分からないけれど――と言われるのもうなづけることだ。ディケンズは20世紀文学の技法を先取りしているのだと思う。 さて、最後に一つだけ、今日的ではない(理想的過ぎる)と思われる挿話があるので、そこを述べたい。そこは、この作品の根幹にかかわることなので、言っていいのか分からないが、そもそも私自身が素人の読み手であり、私の主観に過ぎないという可能性も高い。それは、弁護士シドニー・カートンがチャールズ・ダーネイ夫妻とその娘を助けるべく、捕らわれの夫ダーネイの身代わりとなって断頭台の露と消えるという設定である。自分の命を代償にするほどの犠牲を払ってもいいものだろうか。カートンにとって、自分自身の生きる権利はどうなるのだろうか。しかしながら、ディケンズはさすがと言おうか、ここで一つの救いを用意している。カートンとともに処刑される一群の中に、ほっそりとして可憐な若い女(貧しい針子)がいて、カートンがダーネイの身代わりになっていることを見抜いた。 「あのかたの代わりに死ぬの?」娘は囁いた。 「加えて彼の妻と子供のために。しいっ! そうだよ」 「ああ、あなたの勇敢な手を握らせてもらえませんか、見知らぬかた」 「しいっ! いいとも、可愛そうなわが妹、握っていなさい、最後まで」(pp.622-3) 命を犠牲にするくらいの善行を積まないと女性にもてないのかと思うと、私は前途に自信を失ってしまった。 | ||||
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新しい訳で分かりやすかった。前半は恋愛小説かと読み進めたが、後半から久しぶりに小説の醍醐味を味わって読み終えた。やはり古典の良さがある。 | ||||
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オリバーツイストに続き、二都物語を読みました! おもしろいです! ディケンズが生きた時代から70年くらい前のフランスが、あのフランス革命であったわけです やはりイギリスは近いので、市民の共和国の敵となったフランス貴族たちは続々 財産をイギリスに送り、自らも亡命したりしています そして、その革命にいたるまでの、フランス貴族王族の平民に対する横暴ぶりがすさまじいです 直に殺すことこそ、少しはためらわれるようですが、奴隷時代のアメリカのように、家畜と同じくらいに やりたい放題です・・・米国の奴隷もそうですが、人間ですから感情までいたぶられ、動物よりさらに悲惨です・・・ 映画のマリーアントアネットを見たとき、王族に生まれ育った者からしたら、そのように育てられたという面もあるんだなーと思いましたが、 やはり、支配階級の残虐極まりない支配がその時代にあったことをあの映画に何も描かないのは、フランス人には違和感をもたれるだろうなー、と思いました。 語り口がさすがです!謎が謎を呼ぶ・・・というか、ミステリー仕立てになっているんですが、 だんだん、わかってきます! そして愛に生きる人たち! 長年の監禁で正気を失ってしまった父親と、一緒に何時間も何日も部屋を歩いて慰める娘。 また、今度は監禁された夫が窓から見える位置に毎日立って姿を現し、捕えられている夫の気持ちを慰める。 1年以上です。大体、革命で虐殺やギロチンが横行しているフランスに、夫の安否を気遣って、家族&使用人もろとも乗り込む勇気! そしてそして、心から愛する片思いの人のために、その人の夫をすくうために命を差し出す勇気。 今の時代、これだけの愛を家族に、また、愛する人に、持てる人がどのくらいいるか・・・ 何もかもが便利になったと同時に、人間関係は家族でさえ希薄になっている現代。 大変に考えさせられるテーマが、ミステリー謎解き仕立ての語り口によって、興味深く繰り広げられます。 また、その場の状態、建物や空気や自然の描写が、その時の人々の魂と混ざりあう文学的描写が とてもうまい。この人詩も書けるんだろうなー、と思う感じです。 とにかく、長編ではありますが、どんどんあっという間に読んでしまいました!面白いです。 その昔高校の頃、この小説のヒロインのように上品で愛情深いアイドル的同級生が、この小説を読んでいたので、 どう?と聞いたら、うーん・・・と言っていました(笑)余りの暴力と陰謀ですからね。 私も今読んでよかったと思います。 | ||||
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人の悲しみや憎しみを非常に多彩に表現した作品だと思いました。どの登場人物も非常に濃く、それぞれが抱く感情に共感できました。この物語は、フランス革命期のパリとロンドンを舞台にしており、その騒乱の時代に生きる人々の悲しみ、苦しみ、憎しみ、そして、そんな苦境の中でも生きる希望をそれぞれの登場人物は見出しているんだと感じました。 当時の人々に比べれば、現代に生きている我々は幸せなのかもしれませんが、それでもぎりぎりの境地の中で「生きるんだ」と懇願する姿勢に、何より共感させられました。 まだ僕が二十歳という未熟さ故に、そのような感情を強く抱くのかもしれませんが、それでも、この作品に対して感じるものは「強い生への執着心」でした。 勇気をもらいました。 ちなみに、僕はローリーさんのような、誠実な紳士を目指したいです。笑 | ||||
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フランス革命の時の世の中の様子が知りたくてこの本を読みました。ディケンズ特有のスリラーめいた描写の中に物語が展開します。貴族政治の惨さと革命の怖さが身に沁みました。 かなり隠喩が多いので慣れるまで読むのに苦労すると思いますが、翻訳が悪いわけではありません。他の新しい訳も出ているので、自分に合ったものを選べばいいでしょう。僕は、光文社古典文庫と最初の数ページを読み比べて新潮文庫の方を選びました。説明的なわかりやすさが良いか、少し考えないといけないけれど小説的な味わいが良いかというところでしょうか。 翻訳のまずさを指摘したレビューがありますのでコメントすると、「片脚をうしろに引いてお辞儀をした」とあるのは、本文にカッコ書きで示されているように当時の若いレディーの作法がわかるように訳したもの、「どうしてそこまで」とあるのは、その前に「驚かないで」と言っているので重複を避けたもの、「そっと立たせると」の主語が書かれていないのは、書かなくてもわかるからで、赤ん坊はグズっていたがそっと抱きかかえると静かに眠り始めたというのと同じです。 ところどころ入っている挿絵の人物の表情がユーモラスで救われます。 | ||||
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フランスの暴政を嫌って渡英した亡命貴族のチャールズ・ダーネイ、人生に絶望した放蕩無頼の弁護士シドニー・カートン 二人の青年はともに、無実の罪で長年バスティーユに投獄されていたマネット医師の娘ルーシーに思いを寄せる 折しも、パリでは革命の炎が燃え上がろうとしていた 時代の荒波に翻弄される三人の運命やいかに? 覚えにくい外国人の名前、地名、固有名詞には苦しめられますねぇ それはさておき、面白かったです! 皆川博子さんの小説世界と重なる部分多し などと言ったらディケンズファンのお叱りを受けるかもしれませんが 皆川さんを読んでいたから「二都物語」の小説世界にも容易に入り込めたと思います ロンドンの悪名高き監獄や精神病院が出てきたときには『懐かしい』と思ったくらいです 19世紀、ヴィクトリア朝最盛期、産業革命で発展を遂げたロンドンに暮らす語り手が約70年前のフランス革命前後を振り返る構成をとっています フランス革命という歴史的な動乱を背景に描かれるロンドンとパリという二都に暮らし、行き来する人々の人間ドラマ 序盤は登場人物の紹介、中盤で盛り上がり、終盤はミステリー要素にワクワクしながらラストへ一直線 “愛する人のために自らを犠牲にする”あの人の行為は感動ものです いや、ホント面白かったです 敷居が高いと思われがちな古典文学ですが、本作は超一級エンタティメントとしてお薦めです | ||||
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自分は、先に英語版の二都物語の三分の一ほど読んでいて引きこまれたので 早く先を読みたくて(日本語のほうが当然、読む速度は速いし楽なはずなので) 家にあった、旧い訳本を少し読んでみました。 でも、なんか英語版で感じたスピード感とか文章のリズムが減速した気がして また英語に戻ったりしていました。 で、加賀山氏版に出会い、すごく読みやすい翻訳だと思いました。 どうせ何時間も消費するなら、いい訳本で読んだ方が貴重な時間が有意義なので 家にあるからといって(古典名作って、たいてい家に既に転がってたりしませんか)昔の訳本で済ませないことをおすすめします。 (新潮のまわしものじゃないです) といっても、家にあったのと加賀山氏版しか読んでないので、ほかにもいい訳本あるとは思いますが。 どんな新訳がでても重箱の隅をつつくようにして批判するレビューが出てくるものですが、 そういう場合は英語版を直接よまれると良いと思います。 韻をふんだような文章や、大仰なまでの比喩とか、逆に簡潔なきびきびした名文がいっぱいあります。 | ||||
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フランス革命前後のロンドンとパリを舞台に、ある悲しみから始まる家族愛と復讐を描くロマン長編。 一級品の歴史ミステリーでもある。 バスティーユ牢獄に18年間幽閉されたのち、とあるパリの民家に保護されたマネット医師。もはや年月を忘れたかのように"靴づくり"に精を出す魂の抜け殻だ。 そんな彼を救い出すのは堅実な銀行家であり、一家の終生の友人となるローリー氏だ。 同行し、初めて見る父を優しく抱きかかえる娘ルーシーの仕草はあまりにも可憐だ。 いわれなきスパイ容疑で裁かれるチャールズ・ダーネイ氏。後にルーシーの夫となる彼は、以降、何度も死地をくぐり抜けることになる。 スチャラカな弁護士シドニー・カートン氏は、ルーシーへの本物の愛を保ちつつ、終盤のキーパーソンとなる。 フランス革命の足音は、幸せなロンドンの一家を突然に襲うのだ。 パリで酒屋を営むドファルジュ氏は、マネット医師のかつての家僕であり、牢獄から解放されたかつての主人をかくまっていたのだが……。 革命の狂気は天地を逆返し、かつての関係をも覆してしまった。 幾重にも張られた伏線が回収される様はさすがだが、人の首が、命が、数字に置き換えられることの狂気には戦慄が走る。 そして「編みもの」に勤しむドファルジュ夫人の恐ろしさよ。 本書の終盤は一気に読ませてくれる。 一家のパリ脱出の緊張と「編み物の終わる」シーンの凄味には、声も出ない。 最終章のシドニー・カートンの"手記"は、だめだ、涙で視界がうるんで読むことができなかった。 650ページの長編を読了し終えた今、とても充実感を得ることができた。 復活する人生に祝福あれ、捧げる美しき人生に永き幸あれ。 | ||||
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ですが、まだ読んでないと思っていたのに、さすがの世界的ベストセラーで、どこでどう知ったのか自分でもわかりませんが、途中まで読んだら後のあらすじが見えて(多分思い出して)しまったのが残念でした。 でも、よかった。楽しめました。 | ||||
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