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八月の博物館
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八月の博物館の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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SFと歴史と私小説が混ざっているような小説。 それでいて支離滅裂にならず、きちんとスジが通っている。作者の力はかなりのものだと思う。 虚構と実体験が、時空を超えてつながっているとも言える。どこから作り事なのか、どこまでエッセイなのかが分からなくなるような混ぜ方が巧みだ。 いろいろな知識も豊富だ。 小説の面白さの条件に、いろいろな世界が混ぜられてそれらを自在に行き来する、というものがある。これはそういうフィクション構成において傑作ではないのか。 | ||||
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理系出身の作家と紹介されていることが多いため、小難しい小説なのかと思って読んでみた。驚いたことに、叙述が繊細で文章が極めてうまい。 問題は、話しの進め方である。3つの物語が同時進行で進んでいき、徐々に一つの話として収斂していく。この3つの物語の1つに筆者の分身と思われる劇中の作家が創作することの葛藤と闘っている。作者の意図に反して私は全体の物語にはあまり共感できなかった。メイキングが 挿入された映画を観ていたようで興ざめしてしまったのだ。作者がやりたいことは尊重したいのだが、それは物語の外でやってほしいのだ。その意味では、おそらく劇中に登場した編集者と私はあまり変わらない立場である。 では、何を評価したかというと、こうした他に類を見ない重層的な物語を編もうとする作者の意気込みと「物語」というものに対するについての作者の見解である。物事には、本質があり、それが重要だ。しかし、それだけではなく、博物館や小説では見せ方もきわめて重要なのだ、と。この言葉そのものが物事の本質を捉えている。このことに自分で気づくのに、私はかなりの時間を要してしまった。本書は、9年も前に刊行されており、もっと早く読みたかった。しかし、現在の私は、さらに進んで、この世の中では、博物館、小説に限らず、すべからく本質よりも見せ方のほうが、むしろ大事なのではないかと疑っている。例えば、歌舞伎では全体として破綻している物語がいくらもある。主に役者の見せ場を優先するために脚本が犠牲になる結果である。しかし、役者の演技力によって、演じられているそのときは、観客は矛盾を感じない。見せ方が、物語の力が、すべての矛盾を是としてしまうのである。 本編では、この点からも作者の意図したことが、成功しているとは思えなかった。見せ方がストレートのようでいて、くどいのだ。劇中の作者自身が告白しているようにアニメ映画「アラジンの」方が一枚上手かもしれない。物語の力にもっと身を委ねてほしい。些細な矛盾は、物語の力の前に昇華される。願わくば、この美しい文章で、わくわくするような冒険譚にのめり込みたいのです。これだけの文章が書ける人はそういません。 | ||||
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メタフィクションというべき物語。ヒット作『パラサイトイブ』や『Brain Valley』より、好みの作品。古川日出男の『アラビアの夜の種族』の方が作品としては、完成度が高いが、作者と世代が近いせいか親近感がわく。 物語ること、小説は物語るものであったはず。最近は、読ませる小説が少ない。別にためになったり、感動したり、泣かせたりすることが必要じゃないんだ。ただ読ませること、それだけが必要。 この小説には、バーチャルリアリティやA.Iも出てくるが、それよりも博物館が主人公だ。博物館って大好きだったなぁ。博物館に限らず、美術館、水族館、動物園など何でも好きだった。今でも好きなんだけど、忙しくてなかなかいけない。この小説を読んだら行きたくなった。 | ||||
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どうしても胸がきゅうと痛む 何かを作り出すことの辛さや喜びが端々から見え隠れしてる 全てがつながるその瞬間にハッとしてほしい。 そんな一冊です。 | ||||
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瀬名氏の作品の中で一番好きです。確かに長く、三人の視点で書かれているため、途中までは三つの物語を同時並行で読んでいるように感じます。 ですが、三つの話が一つに繋がった時点の「ああ、そうだったんだ!」という驚きは爽快です。 この作品には、作者自身の苦悩を代弁したと思われるキャラクターが登場します。それを読んで私は、これを書いたのが「小説家」というどこか遠い世界の住人ではなく、悩み苦しむ一人の人間なのだと実感しました。 ぞくぞくするようなスリルはありません。でも、時間があるときにじっくりと何度でも読み返したい作品。 私は十代でこの作品に出会いましたが、あまり時間の経っていない小学生時代を懐かしく感じました。もう少し人生を知ってから読めば、また違った読後感が得られるのではないかと思います。 私の人生にちいさな道標をくれた一冊です。 | ||||
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小学生の少年、作家、エジプトの考古学者。三人の視点で進む「物語」の物語。 物語に没頭すると言うのは小説好きの私には常の事なのですが、この作品は読者を 物語に没頭させながら、同時に「物語に没頭するとはどういう事か」と言う客観的な 視点で考えさせます。衝撃でした。今までこんな小説は読んだ事がありません。 作品中の作家「私」が問い掛ける「物語とは何か」と言う疑問は、恐らく瀬名氏の中に 常にあるもので、「私」の視点によって彼が作家として物語を創ると言う事にどれだけ の想いを傾けているのかが垣間見える、作品の向こうにいる「瀬名秀明」に初めて出会 う事が出来る小説だと思います。 「パラサイト・イヴ」「BRAIN VALLEY」と読者の前を歩いていた彼が、初めてこちらに 振り向いてくれた…一ファンの私がより瀬名秀明を好きになれた思い出深い一冊です。 夏休み、博物館と言う語感がもたらす懐かしさと切なさが全編に仄かに漂っています。 三人の視点で書かれる物語は情報量も多いですが、それらが終盤になるにつれて収束し てゆく疾走感溢れる展開はまさに「物語」の醍醐味でしょう。 「物語を読む」事の楽しさに改めて気付かせてくれます。 | ||||
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純粋にジュブナイルな感傷に浸れた。子供の頃はこんな冒険に憧れていました。ストーリー自体にはそれほど感動しなかったけれど、夏特有のめまいを伴うけだるい雰囲気とビジュアルが思い浮かぶような描写、クライマックスでのスピード感などはGood! 途中で本を置けなくなること請け合いです。暑い夏の昼下がりに読んで下さい。 | ||||
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「あの頃の夏」という感じがよく出ていて、雰囲気のとてもいい小説です。 その反面ですが、絡み合う物語の一編がどうも鼻につく感じをうけたりもします。 読んでるうちに色んな感情をよび起こす力があるという事でしょう。 この小説はドラえもんへのリスペクトという意味合いが強い。 だからでしょうか、ドラえもんで言うところの「SF」という感じです。 ドラえもんを読んだ事がある人は楽しく読めるような気がします。 少し不思議な物語というのは、やはり夏の日というのがよく似合います。 | ||||
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この本は、タイトル通り、夏に読むことをお勧めします。 夏の休日・昼下がりに、冷たい飲み物などを準備して。 あるいはお盆にふるさとに帰省する際に、乗り物の中や待合室で。 あなたの子どものころの、夏休みの気分でどうぞ。 これは個人的意見ですが、読書の際にBGMをかける方は、この本の場合、GARNET CROWの『夏の幻』をぜひ。 曲調、歌詞、いずれもぴったりだと思います。 そうやって、この「「物語」」を存分に楽しんでいただきたいものです。 | ||||
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想像力をテーマにしたファンタジー。ジャック・フィニィの「想像力によるタイムトラベル」が、凝った構成のなかで見事に生かされており、人の想像力や思春期の心の動きについても考えさせられる内容をもっている。さらに言えば、エンデの「はてしない物語」につながる要素もあり、エーコの「フーコーの振り子」へのオマージュという雰囲気も感じる。SFともファンタジーとも言いきれない作品だけに、なかにはついていけない人もいるかもしれないが、主人公の亨と同じころに「こんな博物館があったら」と思ったことのある人はけっこういるのではないだろうか。 | ||||
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ずいぶんと忘れていたような夏休みの記憶、終業式の日のあのわくわく感を感じることが出来る1冊。 自分の世界が家と学校周辺だった頃、見知らぬ道を歩くのはそれだけで冒険をしたような気分で、最初の1歩を踏み出すのに心の中で人知れず葛藤があり、そんな1歩を踏み出した男の子の話です。 終わった夏を忘れないで、少年の夏の出来事を見てあげてください。 | ||||
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小学校最後の夏休みに冒険を求めた少年、エジプトの古代遺跡発掘に一生を捧 げた男、デビュー数年で行き詰まりを感じた作家・・・。3つのストーリーが はじめはばらばらに、そしていつしか一つに収束していく。 エジプトの壮大な古代遺跡と歴史のロマンを描いたその内容は、今にもエジプ トへ駆けて行きたくなるほどリアルに表現されており、冒険心が掻き立てられ ました。 ただし、少し特殊な技法を使っているせいか小説に完全にのめりこめない部分 もあり、そこが評価の分かれ目かも。 | ||||
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とても懐かしい、わくわくするような思い出というのを残念ながらあまり持っていません。それでも、この物語の主人公が迎える「夏休み」はどこか懐かしいのです。 自分自身が物語を内包している証拠でしょうか。どこかにあった、どこにもなかった夏休み・・・・私は物語にいつの間にか同調していました。 作者が、書きつつ書かなかった最後の「同調」とは読者自身とこの本の間にあったのだということに、読み終わってから気がつきました。 物語の中に、誘われる楽しさに気がつかせてくれました。ストーリーの緻密さとか、物語のダイナミックさを味わう以前に、ちりばめられているたくさんの小さなお話をただただ読む楽しさを感じました。 | ||||
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読んでいるうちに、ぐいぐいと物語の世界へ吸い込まれ、気づいたら自分と主人公を重ねていた。と同時に、物語の中の少年トオルをうらやましく思った。私も古代の遺物にロマンを感じ、夢を見ていた子供だったから。 久々に物語の景色が残る本だった。 | ||||
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久しぶりにわくわくしました。特に少年時代のトオルの場面が素敵。少年時代を懐かしみながら読みました。カールコレアンダー古書店とか、ドリトル先生とか読書好きだった少年心をくすぐる言葉に、にやり、としてしまったのは私だけじゃないはず。扉の向こうには無限の物語が広がっていた。 | ||||
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