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聖域
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聖域の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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女たちのジハードで語られたような、シンプルで無駄のない地の文体に、文中小説(とはいっても引用と概要ではあるが)が挟まる、最初の展開。 その文中小説が秀逸。 文章も練られていて、それだけで十分に読みごたえを感じるような素晴らしいプロット。もったいない! このままできればきちんと読みたい、そう思わされるほどの出来栄え。 しかし作者の展開するストーリーの肝は、そこにはない。 その作者の数奇な運命?才能?能力を軸に、担当者、同じ賞をとった老作家、そして主人公と3人の人生が絡まりあいほつれていく。 最後の結末は・・・ 人は失われたものを求めずにはいられない。 なくしたものの輝きを美化し、そこに逃げ込み、 自分が欲しかった答えをひたすらカクニンしようとする男たちの姿は、 愕然とするほどに脆く、そうして胸に痛い。 失われたから、そこにないから輝いている。 それに目を奪われるのあまりにすぐ手の届く手垢のついた現実を、貶めた瞬間にそこは、闇。 | ||||
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この作品は何年も前に一度読んだのだけれど その時はサスペンス調の展開の面白さにとらわれて おそらく表面的にしか読んでいなかったのだと思います。 時を経てふたたびこの作品を読んだのですが 篠田節子さんの世界観に感銘を受けました。 これは枠組みはともかく、どちらかというと哲学的な内容なので そう思って読むと楽しめるかと思います。 身も蓋もないように見える現実を受け止めて そこから考えを進めていくことが大切だと思っているので 篠田節子さんの小説はどれもとても好きです。 | ||||
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相変わらずスゴイ筆力、また一気読みしてしまった。もう読むまいと決めてたのにね。一気に読まされて、ケチつけるのも何だが、「日本教=汎神論」みたいな「公式」を丸まま飲み込んで、それを勢いで小説化しようとしたんかね?最後の方は・・・そりゃムリだぜ。作品が作家を超えて自己増殖(?)するとでも言いたいんだろうが、これは違うね。意図が見え透いているし、説得力はない。しかし面白かった。またこの作家の小説読んじゃいそうだ。 | ||||
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思わず夢中でページを捲りました。こんな骨太の小説に出会ったのは久しぶりです。前半の謎の小説の謎解きまでは完全に小説の中の小説に取り憑かれました。後半は少しダレタ部分もありましたが、想いを寄せた女性を効果的に登場させ、飽きさせませんでした。結末が凡庸だったのが残念ですが、これからこの作家の小説を読んでみたくなりました。 | ||||
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10年以上前、講談社から単行本、文庫本がそれぞれ出版されたが、現在では古本でしか入手できない状態のため、集英社から再発売された作品です。 日本の小説は、いわゆるキャラ萌えで読ませる作品が多いのですが、篠田節子の小説は非常に珍しいことに、キャラクターには頼らない傾向があります。 主人公がはっきりしない(物語の流れ、あるいは町などが主人公となり、あえて人間の主人公は置かない手法をとっている)作品や、登場する人間ことごとく個人的にはおつきあいしたくない魅力のない人物ばかりといった作品も珍しくありません。 しかし本作では、物語の冒頭いきなり死んでしまう女性ライターが、実に魅力的に描かれています。 それゆえ彼女を思う編集者の気持ちが誰にでも切なく辛く共感でき、だからこそ女性作家の能力の恐ろしさ、やるせなさが実感できるという構造になっているのです。 いつも通りの迫力ある描写に、共感できる登場人物を得て、これは篠田節子の最高傑作と言っても過言ではないと思うのです。 | ||||
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生と死 様々な観方があるだろう 私達は死者に対して涙を流し、送り出し、お盆に受け入れ、時が経てば少しずつその人のいない世界に慣れていく・・ 感情の厚さは、愛する人、身近な人、遠い人、など・・その対象とその人自身の死生観、性格によって変わってくるのだろう 死後の世界、そこに極楽浄土(あるいは地獄)があると信じるもの、また生まれ変わりを信じるもの、無でしかないと考えるもの、様々である 死後の世界や生まれ変わりをより所として現世を生きていく人達もいる 本当に様々である 果たしてどうなのか?分かるはずもないが、人は考え続ける 他人の死に直面したとき、自分の死を考えた時、そしてふと空しさや悲しさを感じた時、死について想像する そんな私達に別の1つの観方を提案する小説である 私は以前、物理から迫った死生観を読んだことがある それはあらゆる物質は意識を持つというもの つまり死後も物質としての意識程度は持つ可能性があるということ それを読んで衝撃を受けた覚えがある そして「聖域」を読んで あの意識の捉え方は “泉”の言うところの死者は我を失っただけでその魂はすぐ側にいるということ “実藤”の理解したところの魂の集合体、自分と自分を含めた大地のあらゆるものが無数の魂の内にあるということ そこに重なった 「聖域」は「弥勒」と同様、一気に読んでしまう、はまる小説であった 深い問題が提起され考えさせられるのに、考える猶予を与えないほど本の世界に吸いこまれる | ||||
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結構難しい内容になっています。宗教とか神とか目に見えない力とかそういうことがテーマになっていますが、本の中で結論はでていないように思います。不思議な力とかそういうものを考えることが好きな人はいいと思いますが、はなっから信じていない人はおもしろくないかも。まあ、読み応えはありました。女たちのジハードとかにくらべると好き嫌いがでる内容。 | ||||
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ミステリーとして十分な面白さを持ちながら、同時に人生とか死についての深い洞察を含んだ作品である。単なる謎解きとして読んでも優れた作品であるが、著者の一番の持ち味は、この世とあの世のグレーな境界を描く筆力である。この世の中には、このグレーな領域に入って初めて描くことができるものがあるようだ。 しかしこの境界は微妙なもので、あの世に近づき過ぎると現実感はなくなってしまう。この作品はそのバランスをうまくとった名作だと思う。 著者の作品は殆ど読んでいるが、極めて稀な宗教的な感性を持っているように見える。しかしエッセイなどを読むと、本人もそのことを自覚していないのではないかと思う。 | ||||
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二年前妊娠中に出会い衝撃を受けた篠田節子。図書館を利用してどんどん読みましたが中でもこの「聖域」は引き込まれるようにして読みました。 「聖域」という作品の中にもう一つ小説が出てきます。 この小説に惹きつけられた主人公が作者を探す旅に出るお話ですが、その小説が面白く全て読みたくなってしまうような出来映え。いつも身体を削るようにして書いているだろう篠田節子のこれは、もっとも身体を削った作品では・・・。と当時思った作品。 | ||||
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