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(短編集)
神聖喜劇
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【この小説が収録されている参考書籍】
神聖喜劇の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.51pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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第三巻は「第三部 運命の章」と「第四章 伝承の章」。 大前田(主人公東堂の上官)は相変わらず、新兵(教育兵)の出自をほじくり かえす。軍隊内部での被差別部落出身者への差別感情が見てとれる。 主人公は、不可解な兵士の自死事件等を何やら頭の中で思い起こしながら、その 自死の原因を思う。 この部分はいささか不思議で、この作品の中での位置づけすら分からない。プ ルーストのような「意識の流れ」を描きたいのでもないだろうに、解釈に困る。 村上という少尉が大前田の暴走を止めるが、この少尉の何という観念的な物言 いか。「戦陣訓」を引きながら大前田に言うのだが、実にまどろっこしい。 急に会話の最中に「陸軍刑法」が登場する。これも奇異。 他の日中戦争時の日記や日誌も結構読んだが、応召兵に「陸軍刑法」をきちんと 伝えたという記録は、ほとんど読んだことがない。わずかに「憲兵」となった兵 士の記録に登場するのみだった。 この場面での唐突の「法」の登場はどうにも主人公を引き立てるためかとも思う。 村上少尉は一つの「理想像」であったのか、大前田の言動を否定し、「皇国の 戦争が”殺して分捕る”を目的とする事は断じて許されない」と断言する。 室生犀星の詩=「マニラ陥落」の紹介もある。著者の大西にはこの「非政治的 なほうのこの作家」に含むところがあるようだ。 回想と現実とが入り交じる構成でこの小説は進む。 応召前の特定の女性との邂逅と逢い引き。何とも浮き世離れしている会話が淡 々と続く。戦争一色に塗りつぶされている当時、彼女と主人公は、イギリスの、 アメリカの、詩人について語る。 そして、「私は、この戦争に死すべきである」と主人公はニヒリスティックに 思う。この漫画での主人公の顔の描写もあいまって、リアリティを喪失した観念 だけが一人歩きする光景しか浮かばない。 逢瀬にわざわざチェーホフを持ち出すが、無駄に晦渋な場面を作り出している し、俳句を紹介したりで、二人は実に忙しい。 現実にこんな話を延々と続ける恋人達がいたならさぞ気持ち悪いだろう。観念 遊びが極まって涙も流す。何なんだこれは。二人の悦楽の図は、まるでつげ義春 の画。内容も不気味な性的放縦さを示していて、どうにも読み辛い。これが何や ら意味を持つとは到底思えない。 現実では、新兵が並ばされていて、その前で大前田と村上との会話が続くのだ が、時間の流れが明らかにおかしい。時間がなくて村上は大前田を問い詰めるの だが、こんなに時間をとっているのは矛盾する。 これでは一時間も二時間も新兵はラッパに遅れることになる。 途中で作者の大西もこれではおかしいと気がついたのか、新兵の「トイレ要求」 を挟んでいるが、実に唐突。おまけに「まだ待て」って言うことがまた目茶苦茶。 長い台詞回しの後に橋本が「穏坊」をしていたことが明かされる。 この後に被差別部落民への差別感情が露わになる。主人公は「近世諸著作」に置 いて、博学な知識を披露する。 新兵でも群を抜いて「出来の悪い」二人は、長々とした村上の「訓話」と「説 教」の後に、「皇国の戦争の目的」を「殺して分捕ること」とまた答える。この シーンは一種の皮肉のつもりなのか。もしそうなら失敗したストーリー展開でし かない。 現実→回想→現実。なんともありきたりの構成で、面白さがほとんどない。 大西はあまり構成力がない作家なのだろうか。何か評論家的言辞を登場人物に言 わせると、「重み」でも付くと思っているのだろうか。 これを「小説」という形式で提出されれば、まず読まない。 理由は簡単、面白くなく自己満足的文章の連続であるから。 巻末のエッセイ(要塞の日々3)では、大西が自らを「札付き」と言って自慢 げに当時の事を語る。自慢話をしたいほど年老いていたのだろう。様々な悶着を 起こしたことを殊更に言い立てるのは、自慢負けすると思うのだが。 「訓練」においては行動できても、実際に「戦地」でこう行動できたのは、かな り疑問。 「解題」は青山真治(映画監督 残念ながら作品は全く観ていない)。青山はこ の作品の本質を、「正確であること」に見出しているが、大西の経歴は特筆する ところはほとんどなく、正確だったら実に味のない経験を味のないままに書き出 したのだろう。そもそも大西は「フィクション」と言っていることにも矛盾する。 どうにもこの第三巻、間延びして緊張感が続いていない。「中だるみ」なのだ ろうか。同じような訓練内容と同じような主人公の対応。これでは張りつめた糸 も弛んでしまう。 最も意味不明なのが回想シーン。これでは原作の小説自体もダメダメなのだろう。 これが名作なのだろうか。かなり疑問。二巻がそこそこ面白かったので、 逆に不満が大きい。 ☆?。 二つが限界でしょう。 | ||||
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文字が多すぎて、途中で挫折した。 小説よりは読みやすいのでしょうが、私には合わなかった。です! | ||||
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星0が可能であればそうしてました。 面白さが一切感じられなかったです。 | ||||
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なんでこの本についての評価が5なのかわかりません。 読みましたが、あまりにも内容が暗くどんよりした気分になっただけでなく、 なんでこの入りづらい絵柄なのか、 もっと分かりやすく解説はできんのかともやもやしました。 あと陰鬱すぎる話なので万人受けしないと思うし、読む人を選ぶ本だなと思いました。 | ||||
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