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リヴァイアサン



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【この小説が収録されている参考書籍】
リヴァイアサン
リヴァイアサン (新潮文庫)

リヴァイアサンの評価: 3.96/5点 レビュー 23件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.96pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(2pt)

小さきものの大風呂敷

主人公の男は (これに関しては語り手の「私」も同様) 作家でインテリぶっているゆえに何か崇高な社会的大義を求めているタイプだけれど、頭の中は隙あらば女たちへの性的欲望でいっぱい。女たちの個性も、そんな彼らにとって都合のいいキャラクターになっている。ターニングポイントはいつも彼女らへの欲望からの愚かな行動が引き金になっていて、愚かさから自己憐憫におちいるが、それに続いて起こる出来事から勝手に使命を見いだしていく。まるで、何か使命がなければ生きる意味がないかのように。

常に誰かの存在を自分の人生の大義、自分の存在意義にしてしまうのは、エゴイスティックで依存的であると共に、一種の冷たさを感じた。その出来事の中に殺人事件も含まれるのだが、被害者への同情もあっという間に自分のための大義にすり替わっていく。

タイトルとストーリーの出だしから、何か物凄い意義深いことをやってのける人物を想像するのだが、実際は権力に怯える小心者で、煩悩に振り回されている。それがリアルではあるかもしれない。ヒーローのような人物はこの世に存在しない。

その小ささを何か物凄いことのように見せ、魅力的な人物のように描く言葉の魔力。人は言葉に容易に騙される。そこを描くことが作者の目的だったのだろうか?

確かに、世の中はそんな風にできている。崇高に見える大義は、俗人のエゴと下劣さと冷たい理論から端を発している。大義を優先すると、情とか感情の機微が薄っぺらくなる。その薄っぺらさをこの小説から感じた。

逆に、まさに世の中のそれを描きたかったのだとしたら、この小説はとてつもなくリアルだと思う。文章の上手さ、読みやすさは相変わらず。
リヴァイアサン (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.3:
(2pt)

蛇行運転

オースター好きだからあえて辛口で。

他の人も指摘している通り、話にまとまりがない。主人公の親友に近い、サックスがいかにしてテロリスト?的な存在になったか、という点に話を絞ってる感がない。あれれ?って思っちゃう。というのも、主人公の結婚生活、恋人やサックスの妻やら、なんやらで話の風呂敷を広げすぎて読んでて飽きる。
プロットは面白そうなのに、展開がダラダラと右に左にズレてようやくサックス君に辿りつく。加えて会話が圧倒的に少ないのでキャラ設定がしっかりとできていない。
ガッカリ。
リヴァイアサン (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.2:
(1pt)

著者も認めるまとまりの無さ

大仰なタイトルや冒頭で「私」の友人が事故で爆死したことと、その後の記述には必然性も脈絡もない。そもそも登場人物が十分に書き分けられていない。主人公や友人は「作家」らしいが、創作の苦しみなどなく、放蕩に身をもち崩している。登場する何人かの女性も個性的なようでやはり書き分けられていない。どうしてこんな小説がまかり通るのかというと、米国の文化そのものがローコンテクスト、つまり「ことば」に込められる意味が平板で奥行きがないためだ。それ故著者はこれでもか、これでもかというように日常的な出来事を書き連ねていかねばならなくなる。その単調さを拭うためにところどころに不倫や殺人事件を配しているが、これも何の必然性もなく進行する。全体は大きく3つくらいの部分に分けられ、別々に書いたものを無理やりつないだとも見える。どこをとっても面白くもないこの小説を何とか読みやすくしようとした訳者の努力には敬意を表する。「訳者あとがき」には訳者の苦悩のあとが窺われる。時間を持て余している人、文学を口にはするが実は感性の無い人、ことばを大事にしない人にはうってつけである。多分映画化すると脚本家の手が入ってなかなかの作品にはなるだろう。ただし、原作とはかなり違ったものになることは止むを得ない。
リヴァイアサン (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072
No.1:
(2pt)

珍しい構成の小説だが・・・

一つの事件をきっかけに、物語の語り部である作家とその周囲の人間を描いていく。ニューヨークの奔放な恋愛関係の内情を描いて、その中心人物が移ろって行きながら、話がだんだん核心に収斂していく様は、なかなか珍しい構成の小説だと言える。しかし禍々しいタイトルから想像されるような躍動というか激しさはなく、生活の中に物語や登場人物達が飲み込まれているような印象を持った。ある意味では現代のアメリカの生活を忠実に切り取っているのかもしれないが、主人公の魂の遍歴を描くという本来の目的には不十分だった気がする。そう感じてしまうのは、私がアメリカ人でないために日常の描写に上手く入り込めなかったことが理由なのかもしれないのだが・・・。
リヴァイアサン (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:リヴァイアサン (新潮文庫)より
4102451072

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