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リヴァイアサン
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リヴァイアサンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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自分が感じたこの作品の主題は「人間は結局のところ自分の言葉で作り上げた世界の中でのみ生きているのだ。 それに抗おうとするも無駄である。 何故なら他者と隔たる自己なくしてはそもそも世界は始まらないからだ。 しかしその無駄は人生は意味のあるものか無駄であるかといったこととは何の関係もない。 それに抗うことが無駄なことは、ただ事実であり、受け入れねばならぬものなのだ。 ルールを受け入れて初めて皆自分の物語に入れるのだ」というものです。 文だけを取り出してみると、好きだなと思える文はたくさんありました。 けれど小説としては全てが中途半端な印象を受けました。 | ||||
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本作の評価はイッパツマンさんのレビューで的確に捉えられていると思う。従ってその繰り返しになってしまうと思うのだが、拙文を記してみる。〜本作は文庫巻末の訳者・柴田元幸氏の文章にあるようポール・オースターの作品の中では「誰の物語」と整理できないところに特色がある。なるほど、個々のエピソードや心理描写はさすがに巧く、それぞれが一個の中編や短編として成立してしまうレベルにある。しかし作劇の基本に立ち戻ってみると、冒頭からある政治性を帯びた謎の事件ではじまり、そこを中心とするのであれば、個々のエピソードと心理劇はサックスがなぜあのような行為を起こすに至ったのかを、間接的にあぶり出すものとして機能していなくてはならないはずだ。しかし、前述したように--いくつかの例外はあれ--サックスの事件とはほぼ関わりないかたちでそれぞれのエピソードが完結してしまっている。特に前半部分のピーターを中心としたエピソードは余りに長く、僕としては冗漫に感じた。 単純に言ってしまうと、作品全体が個々のエピソードで完結しすぎ、--イッパツマンさんの表現をお借りするしかないのだが--一つの作品としてテーマが絞り込めていないのだ。〜著者はおそらく青年期から中年期にいたる群像劇を作りたかったのだと思う。そうであれば、もっと長い作品としてサックスのエピソードをワンオブゼムと設計することによって、本作より大きな物語に仕上げるべきだったのではないか。本作の作劇スタイルに沿っていえば、残念ながらやはり、焦点が絞りこめていない、としか言いようがないのだ。 | ||||
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オースターによるアメリカ論的小説としては、邦訳されているものでは「ムーン・パレス」が挙げられるが、「自由の女神」を破壊して回る男を描いたこの小説が「リヴァイアサン」と名付けられている以上、僕はそのような内容を本作にも期待した。そして、僕の今回の星付が渋目である理由は、この「自由の女神」の破壊者がそうするようになった理由、動機が(多分わざと)明瞭に書かれていないからだ。 勿論、人間心理なんて相当いい加減で不条理なものであり、本来、僕はミステリー小説にありがちな非常に一義的で明確な動機というものが出てくるとシラけてしまうタイプの読者である。それなんだけど、「自由の女神」が破壊されるという政治性を帯びた事件のインパクトで冒頭から引っ張っていこうという構成の小説なんだから、「事故のケガがきっかけで常軌を逃した男が起こす事件」というオチはなんか弱くないだろうか。また、このオチが早々に明かされた後に彼の周囲の人間達の心理劇が延々続くことも、構成上散漫ではあっても、このオチの弱さをフォローしきれていないと思うのだ。オースターにしては珍しく、焦点が絞りきれていない小説なように思うんですよね。 ただ、現代美術家のピピロッティ・リストをモデルにした登場人物が出てきて、後に本作品をリスト自身がパロディ化する作品を作るなど、面白いエピソードもあるにはあるので、総合点で星は3つ点けました。 | ||||
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