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アルモニカ・ディアボリカ
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アルモニカ・ディアボリカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「開かせていただき光栄です」の続編(舞台は5年後)であり、読者は前作を既読という前提で執筆されている。不審な死体が発見され、なおかつ、その死体が"ある意外な人物"と入れ替わっていた事から、前作の探偵チームがその事件に深入りさぜるを得ないという続編らしい設定である。私は前作を、一見ミステリ・タッチでありながら、実は外科医(解剖学)を下賤な職業と見做していた18世紀のロンドンの社会を乾いたタッチで描いた歴史風俗小説だと思っている(本作にもその趣きがある)のだが、本作の方がミステリ風味が濃いという印象を受けた。本作の新しいモチーフは表題ともなっている、ベンジャミン・フランクリン発案(という設定)のガラス細工の楽器「アルモニカ・ディアボリカ(=悪魔のハーモニー)」である。 そして、探偵チーム以外の主な舞台は死体入れ替わりが起こったロンドン郊外の村ウェスト・ウィカム、精神障害者用の施設ベドラム、ベドラムの患者を見世物とする見世物小屋、ウェスト・ウィカムで14年前に起こったとされる「アルモニカ・ディアボリカ」が絡む国王を巻き込んだ謎の事件。作者の筆力なので、当時のアメリカ独立運動の影響、英仏戦争の後遺症等の社会問題を織り交ぜながら、これらの舞台・事件を丹念に描いてはいるのだが、(本作がミステリ指向だとすると)ミステリ的には不満が残った。私が本作の謎だと思ったのは以下の点であり、大方の読者と一致すると思う。 (1) 何故、死体入れ替わりが起こったのか ? (2) そもそも、"ある意外な人物"が殺された動機は ? (3) 全ての発端となっている14年前の事件の真相とは ? ところが、最後まで読むと、これらの謎はアッケなく片付けられ、探偵チーム内の心理模様だけで閉じてしまっているのである。この解決なら、最後の1/5だけで充分だったとさえ思える構成である。作者に余裕があり過ぎて、筆が滑ってしまったとの印象が強い残念な作品である。 | ||||
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