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検察側の罪人
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検察側の罪人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全109件 101~109 6/6ページ
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日本語として、見出しがおかしいのは分かっているが、そう言いたいだけの力作であり、雫井修介作品としてトップクラスである。 作者が練りに練ってプロットを作り、その大きなプロットをどういう風にラストまでひっぱていくか、作者が力ずくで書き込んだ感じがある作品である。 二人の主人公の内面もできるだけ対比しながらも、それぞれの立場を読者に共感を呼ぶように書き込んでいるのは、作者が円熟期に達しているからであろう。 様々な脇役もそれぞれに生きているし、多数の挿話も作者は一切の手を抜かず書き込んでいる。 これだけの長編であるし、読者にも体力を要求するほどの密度の作品であるので、生半可に読み進むことはできず読後に疲労感が出るほどであった。 | ||||
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ネタバレなので、未読の方は読まないでください。 余韻の残る作品でした… 本を閉じた後も、二人の主人公のことを思い続けていました 泣き叫びながら最上を思う沖野は、素晴らしい弁護士になるだろうし、悔いはないと穏やかに言う最上は、現代の「必殺仕置き人」として世間を賑わすかもしれない。 正義とは?真実とは? 二つを追求する最高峰にいる二人の対比が素晴らしく、最後までブレない最上より、ボロボロになってもがき苦しむ沖野の方に共感を持ちました それだけに自分の正義を貫き恬淡としている最上が哀れで泣けました だけどこの物語には、救いがありました。 ある意味ハッピーエンドではないかと… 最上のために生きると泣く前川弁護士、「代わってやりたい」と泣き崩れる水野記者。こらえきれず、すすり泣く最上。もうこのシーンは涙なしには読めません! 忘れてならないのは諏訪部。このために登場したのか!と、絶妙の使い方。沈黙を守ったのも、二人の友人に負けてない存在感… 家族が新しく再生したことも嬉しい 朱美の「韓流ドラマって現実に起こらないことがあるから面白かったけど、現実もいろいろある」という言葉が印象的てした | ||||
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500ページの長尺ですが、一気読みできるミステリーです。物語の設定がいい。 遣り切れぬ思いから一線を越えてしまった最上検事、尊敬する上司に対しても己の信念を曲げない沖野検事、二人の葛藤が見事に描かれています。加えて、綿密な取材に基づく文体が、圧倒的なリアリティーをもって迫ってきます。 また最上検事の家族や友人の愚直な弁護士、沖野検事を支える事務官も、良い役回りを演じています。 時効という問題を考えさせられ、読後は決してすっきりしませんが、エンタメ小説としては文句なく面白いです。最後の最上と沖野の対面のシーンなどは何とも切ないです。 | ||||
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『火の粉』や『犯人に告ぐ』も面白かったが、この作品が現時点での雫井脩介の最高峰ではないだろうか。 当初500頁を超える厚さに、「随分、長いな」と思ったものだが、読み進めていけば、最上と沖野の二人の検事の心の動きをしっかりと描くには必要な長さであることが分かった。そして丹念に描いてくれたことにより、本来ありえないはずの事件が説得力のあるものになっていった。 義憤に駆られ正義を捻じ曲げてまで信念を貫こうとする最上検事と、尊敬する上司であろうともおかしいと思えば異議を唱え信念を貫こうとする沖野検事。この二人を軸にして描かれる壮絶な世界に、500頁を超える長さを感じることなく一気読みした。 後味は必ずしも良いものではなかったが、凄いものを読んだという充実感溢れる作品であった。 | ||||
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事実だけを見れば最上検事のやった事は許されざる事に他ならない。 だが、事の善悪をおいて見れば心情は理解できる気がする。 最後の松倉の台詞を見てとても気分が悪くなった。 結局、真相は明らかになったが、 やりきれなさが残る。 | ||||
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素晴らしい。 しばらくミステリを書いてくれなかった作者が満を持して発表した本作は、 少なくともミステリとしてはこれまでで最高の出来といえよう。 本作で最上検事がとった行動を「非現実的」と非難するのは容易い。 ただ、本作の最初の方で交される「正義とは何か」という議論に対する答えとして (当該議論には加わっていないが)最上が選択した結論も、 特に当事者として考えれば心情的には十分共感しうるものだと思う。 ということで、本作で唯一議論が分かれるであろう点についても個人的にはまったく 違和感を感じることはなかったし、これ以外の点でも極めて高いレベルでまとめられており 全体的に隙がない。 リーダビリティも抜群で、比較的厚め(約500ページ)の本だが一気読みであった。 年末のベストテン選びには時期的にギリギリで間に合った形になるが、どこまで票を伸ばすか 楽しみな作品である。 | ||||
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先にレビューを書かれてる方々は,要するに「非現実的で,突拍子もないことをしでかした最上検事」というストーリーだからなんか変だ,という評価だと思います。この点については,私も異論はないし,反抗するつもりもありません。 しかしながら,「非現実的で,突拍子もないことをしでかした」人物が出てくるからこそ小説なのであり,それが無くなればノンフィクション物語になってしまいます。あくまでも私個人の意見ですが,私は,「小説」を読みたかったからこの本を買ったのであり,「ノンフィクション物語」を読みたかったのではありません。 したがいまして,私は本作品の面白さには満足しています。この点については,先にレビューを書かれた方も異論はないのです。面白いのです。作者が色々取材されたのがよくわかります。だから,結構リアルです。私自身,法科大学院修了生であるわけですが,公判前整理手続の場面で「主張関連証拠」という単語が出たりして,「おっ!!」と思ったりなんかしました。 もう一度。 本作品は,小説として本当に面白いと思います。 少なくとも,ラストで「正義とはこんなにいびつで,こんなに訳のわからないものなのか」という帯に付いた宣伝文句の意味を納得する心境になることができます。 | ||||
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検事の最上が自身の正義、信念を貫くためにとった、犯罪者を罰するための「ある行動」が、このストーリの最も大切な部分ですが、あまりにも突拍子もなく、読んでいて首を傾げるばかりでした。 相応の地位を得たベテラン検事の行動としては納得し難いと思いましたし、また、その行動の契機となる部分、ある容疑者の最上への告白も、あまりにも唐突なように思いました。 結果として、読み終えるまで、ストーリーの展開に、説得力をあまり感じることができませんでした。 その一方で、人物描写と舞台設定は良かったと思います。 検事や警察といった捜査関係者の人間関係や心理状態の描写は迫真性が高く、組織内外での捜査プロ同士の人間的な関わり合いの様子はしっかりと伝わってきました。 検察組織の職場内の上下関係、男女関係といった「あや」や「緊張」の描写が巧みで、登場人物それぞれの関わりがどのように変遷していくのか、事件の本筋よりも、人物関係の行く末の方にむしろ引き込まれていきました。 捜査に関係する検察、警察、さらには弁護士やマスコミの動勢についても真実味があり、上述の人間関係の描写とあわせ、舞台設定についてはしっかりと練られていたと思います。 文体も読みやすく、ストーリーのテンポも良かっただけに、やはり、検事である最上の行動が突拍子なく描かれて、作品全体の説得力を奪ってしまった点が本当にもったいないと思いました | ||||
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やっぱりこの作家は、ファンタジー路線より事件ものミステリーの方がしっくりくる。伏線の張り方、ストーリー展開とテンポ、スピード感は流石。 だけど、この話は根源に無理がある。時効事件の犯人を私刑するために冤罪を承知で裁くのはいいとしても、その為に、真犯人を殺害するというのは策に溺れたのか? 成功確率の観点からも、倫理の逸脱を最小限に抑える観点からも、一人殺す覚悟があるのなら時効事件の犯人を選ぶべきじゃないの? 最後の無常観も、根源の浅はかさが招いているだけのような気がする。 | ||||
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