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(短編集)
戻り川心中
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戻り川心中の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.57pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全60件 41~60 3/3ページ
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非常に完成度の高い見事な短編集なのは言うまでもないが、その魅力はトリックやどんでん返しにあるのではなく、その事件をおこした者の動機にある。 この明かされる動機こそが読んだものを唸らせる。その語り口も流麗で終始湿ってはいるが魅了させられた。 | ||||
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短編集で「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」「戻り川心中」の5編が収録されている。最初の「藤の香」で、なかなかやるなと思い、腰を据えて読んだが、やはり何といっても白眉は最後の「戻り川心中」だろう。 この作品は直木賞の候補になったが、残念ながら受賞までには至らなかった。ただ、その年の日本推理作家協会賞短編賞は受賞した。その後、「恋文」で直木賞を受賞したが、文章の上手さは当時から定評があった。 例えばこういう文章に私は弱いのである。――人の命が、あの一房の花を葬るための儀式ならば、そして人と人とが後ろ姿で言葉を交わし合って通りすぎていくものならば、代書屋やお縫が無言の背で、黄泉路の闇に運ぼうとしたその真相を、やはり私も後ろ姿で見送ってやりたいと、そう思うのでございます(「藤の香」より) 。 さて、「戻り川心中」の凄いところは、天才歌人を主人公にしているのだが、その「歌」もなかなかのものなのだ。勿論、素人の私に歌の良し悪しは判るべくもないが、その切なさが、しっとりとした情感と共に、心に染み入ってくるのである。 | ||||
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短編集で「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」「戻り川心中」の5編が収録されている。最初の「藤の香」で、なかなかやるなと思い、腰を据えて読んだが、やはり何といっても白眉は最後の「戻り川心中」だろう。 この作品は直木賞の候補になったが、残念ながら受賞までには至らなかった。ただ、その年の日本推理作家協会賞短編賞は受賞した。その後、「恋文」で直木賞を受賞したが、文章の上手さは当時から定評があった。 例えばこういう文章に私は弱いのである。――人の命が、あの一房の花を葬るための儀式ならば、そして人と人とが後ろ姿で言葉を交わし合って通りすぎていくものならば、代書屋やお縫が無言の背で、黄泉路の闇に運ぼうとしたその真相を、やはり私も後ろ姿で見送ってやりたいと、そう思うのでございます(「藤の香」より) 。 さて、「戻り川心中」の凄いところは、天才歌人を主人公にしているのだが、その「歌」もなかなかのものなのだ。勿論、素人の私に歌の良し悪しは判るべくもないが、その切なさが、しっとりとした情感と共に、心に染み入ってくるのである。 | ||||
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大正末から昭和初期を時代背景に、追憶を基調にした一人称で 男女や親子の愛憎の物語を情感豊かに描き出す、花をモチーフ にした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編が収録された短編集。 とはいえ、流麗な文章によって紡ぎ出される情緒纏綿な 世界観は、表層に過ぎず、その裏には、極めて人工的な ホワイダニット――犯人の常識離れした動機があります。 そして、本書の五編で描かれている犯罪は、被害者以外の誰かに何らか の錯覚をもたらすための演出の手段である――という点で共通しています。 ※本書に収録されている各短編の内容については「コメント」をご参照ください。 | ||||
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大正末から昭和初期を時代背景に、追憶を基調にした一人称で 男女や親子の愛憎の物語を情感豊かに描き出す、花をモチーフ にした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編が収録された短編集。 とはいえ、流麗な文章によって紡ぎ出される情緒纏綿な 世界観は、表層に過ぎず、その裏には、極めて人工的な ホワイダニット――犯人の常識離れした動機があります。 そして、本書の五編で描かれている犯罪は、被害者以外の誰かに何らか の錯覚をもたらすための演出の手段である――という点で共通しています。 ※本書に収録されている各短編の内容については「コメント」をご参照ください。 | ||||
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短編集ですが、全くはずれがありません。 まさに珠玉の言葉にふさわしい短編集です。 大正時代の空気をこれだけ再現してみせる力量には感服です。 連城三紀彦の入門者にもオススメします。 詳しい個々の内容については前の方が記載していますし、 ネタバレになるので書きませんが、 このシリーズは「夕萩心中」という本に引き継がれますので、 気に入った方はそちらもぜひ。 何度繰り返し読んでも飽きのこない、すばらしい本です。 | ||||
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短編集ですが、全くはずれがありません。 まさに珠玉の言葉にふさわしい短編集です。 大正時代の空気をこれだけ再現してみせる力量には感服です。 連城三紀彦の入門者にもオススメします。 詳しい個々の内容については前の方が記載していますし、 ネタバレになるので書きませんが、 このシリーズは「夕萩心中」という本に引き継がれますので、 気に入った方はそちらもぜひ。 何度繰り返し読んでも飽きのこない、すばらしい本です。 | ||||
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花がモチーフの短編ミステリー集。 いずれも、大正末期から昭和初期が舞台だが、あまりに雰囲気が良く出ていて、 思わず作者の年齢を確認してしまった(今年還暦を迎えたばかり)。 よく考えたら、およそあり得ないプロットなのだが、 筆力で(それも自然に)読ませてしまう。 それと、いずれも動機が最大のポイントなのだが、ちゃんと 手がかりや伏線が置かれているのが「本格」的。 加えて練達な筆致に、一読、巻を措く能わず、で一気に読了。 それにしても、この人の文章は美しい。 詩的で情緒纏綿たる描写とはこのこと。 文学の香り高い本格物として稀有な作品、と思う。 | ||||
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花がモチーフの短編ミステリー集。 いずれも、大正末期から昭和初期が舞台だが、あまりに雰囲気が良く出ていて、 思わず作者の年齢を確認してしまった(今年還暦を迎えたばかり)。 よく考えたら、およそあり得ないプロットなのだが、 筆力で(それも自然に)読ませてしまう。 それと、いずれも動機が最大のポイントなのだが、ちゃんと 手がかりや伏線が置かれているのが「本格」的。 加えて練達な筆致に、一読、巻を措く能わず、で一気に読了。 それにしても、この人の文章は美しい。 詩的で情緒纏綿たる描写とはこのこと。 文学の香り高い本格物として稀有な作品、と思う。 | ||||
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◆「戻り川心中」 二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、 その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。 彼が求めていたのは何だったのか? 我々は「作者」と「作品」の間に密接な 関連性を見出さないではいられません。 そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。 犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。 彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。 | ||||
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◆「桔梗の宿」 死体が握っていた一輪の白桔梗。 二つの殺人事件を繋ぐこの花は 〈ダイイング・メッセージ〉なのか、 あるいは何かの〈見立て〉なのか? 結末で浮かび上がるのは、犯人の巧緻な 策略ではなく、哀しくも切実な動機だった…。 人の行動が自分の想いとは裏腹に作用し、まったく 望まない構図に収斂させられてしまうという悲劇。 ◆「桐の柩」 男と女の何重にも捩れた情念の交錯、そして 「柩」と「死体」の関係における逆説的な着想―。 やくざの世界という舞台設定と骨絡みの トリックの鮮烈さに眩暈すら覚えます。 ◆「白蓮の寺」 幼少の記憶に焼き付けられた凄絶な母の姿。 果たして母は、父を殺したのか? 自らの「記憶」に翻弄された主人公が最後に直面するのは、寄って立つ 現実が崩れ去るが如き「真実」と愚かしくも美しい人の情念です。 ◆「戻り川心中」 二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、 その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。 彼が求めていたのは何だったのか? 我々は「作者」と「作品」の間に密接な 関連性を見出さないではいられません。 そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。 犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。 彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。 | ||||
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連城氏を叙情派作家の代名詞として定着させた花をテーマにした短編集。特にタイトル作は、映画化、TV化もされ代表作とされている。 「藤の香」は昔懐かしい代書屋を取り上げて、代書屋を通して様々な想いを交わす色街の女達の哀感を描く。「桔梗の宿」は作中にも触れられているように「八百屋お七」に題を取ったものだが、作者独自の世界を構築するまでには至らなかった。「桐の柩」はあるヤクザの粋な行動が実は保身のための矮小なアガキだったというユーモア・ミステリ向けの題材だが、これを叙情的に描く作者の力量は皮肉でなく見事。「白蓮の寺」は自身の幼い頃の記憶に残る母親の殺人場面と火事の場面の謎を探るため、過去を辿って行くうち自己の意外な運命を知るという鮮やかな構想の作品。「戻り川心中」は心中未遂の上、蘇生した菖蒲に自身を重ねて傑作歌集を残した歌人の謎を追う話。生物学的に枯れた花が蘇生する筈はないので、もとより本格風には書けない。これを読み手に語る順番と叙情性とで一編の物語に仕上げるあたりが作者の手腕か。 謎の焦点を物理的なものから人間の機微に変えて新しいタイプのミステリを構築した傑作短編集。 | ||||
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連城氏を叙情派作家の代名詞として定着させた花をテーマにした短編集。特にタイトル作は、映画化、TV化もされ代表作とされている。 「藤の香」は昔懐かしい代書屋を取り上げて、代書屋を通して様々な想いを交わす色街の女達の哀感を描く。「桔梗の宿」は作中にも触れられているように「八百屋お七」に題を取ったものだが、作者独自の世界を構築するまでには至らなかった。「桐の柩」はあるヤクザの粋な行動が実は保身のための矮小なアガキだったというユーモア・ミステリ向けの題材だが、これを叙情的に描く作者の力量は皮肉でなく見事。「白蓮の寺」は自身の幼い頃の記憶に残る母親の殺人場面と火事の場面の謎を探るため、過去を辿って行くうち自己の意外な運命を知るという鮮やかな構想の作品。「戻り川心中」は心中未遂の上、蘇生した菖蒲に自身を重ねて傑作歌集を残した歌人の謎を追う話。生物学的に枯れた花が蘇生する筈はないので、もとより本格風には書けない。これを読み手に語る順番と叙情性とで一編の物語に仕上げるあたりが作者の手腕か。 謎の焦点を物理的なものから人間の機微に変えて新しいタイプのミステリを構築した傑作短編集。 | ||||
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藤の香,桔梗の宿,桐の柩,白蓮の寺,戻り川心中の5篇からなる花葬シリーズ。 約60ページ/篇なので,短編というには長めですが,どの作品も独自の香りを放ち,しかもよく練り上げられた力作揃い。 9割がた真相が判りかけたと思った瞬間に,全く異なった哀しく美しい人間ドラマが 現れる演出は,ただただ見事と言わざるを得ません。 「我が国のミステリの歴史において,最も美しくたおやかな名花である。流麗な文章, 纏綿たる情緒,鮮やかなトリックが,恋愛小説と探偵小説を両立させ,読者を底深い 酔いへと導く。」との解説にも,誰もが納得することでしょう。 | ||||
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藤の香,桔梗の宿,桐の柩,白蓮の寺,戻り川心中の5篇からなる花葬シリーズ。 約60ページ/篇なので,短編というには長めですが,どの作品も独自の香りを放ち,しかもよく練り上げられた力作揃い。 9割がた真相が判りかけたと思った瞬間に,全く異なった哀しく美しい人間ドラマが 現れる演出は,ただただ見事と言わざるを得ません。 「我が国のミステリの歴史において,最も美しくたおやかな名花である。流麗な文章, 纏綿たる情緒,鮮やかなトリックが,恋愛小説と探偵小説を両立させ,読者を底深い 酔いへと導く。」との解説にも,誰もが納得することでしょう。 | ||||
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『恋文』などが最近だと有名で、もしかしたら恋愛小説の作家さんというイメージが強いかも知れません。多分ですが。でもこの作家さん、日本を代表する超一級ミステリ作家さんなのです。元々、伝説のミステリ誌『幻影城』でデビューなさってますし。で、日本ミステリ史上に輝く金字塔である、代表作がこちら。先述した事と矛盾するようですが、ミステリとか何とかを軽く超えて、文学作品として大変な高水準であると思います。ミステリのファンでも、そうでなくても、小説読みの方に是非お勧めしたい傑作。「花」にまつわる、耽美的で、詩情、叙情性溢れる名編が詰まってます。勿論、ミステリとしてハイパー。論理が背後であまねく支配しています。で、小説として面白いんですこれが。嗚呼、素晴らしき大正浪漫。 | ||||
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『恋文』などが最近だと有名で、もしかしたら恋愛小説の作家さんというイメージが強いかも知れません。多分ですが。 でもこの作家さん、日本を代表する超一級ミステリ作家さんなのです。 元々、伝説のミステリ誌『幻影城』でデビューなさってますし。 で、日本ミステリ史上に輝く金字塔である、代表作がこちら。 先述した事と矛盾するようですが、ミステリとか何とかを軽く超えて、文学作品として大変な高水準であると思います。 ミステリのファンでも、そうでなくても、小説読みの方に是非お勧めしたい傑作。 「花」にまつわる、耽美的で、詩情、叙情性溢れる名編が詰まってます。 勿論、ミステリとしてハイパー。論理が背後であまねく支配しています。 で、小説として面白いんですこれが。 嗚呼、素晴らしき大正浪漫。 | ||||
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間違いなく表題作は日本短編ミステリーの最高傑作の一つであると思う。 | ||||
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今はなき探偵小説専門誌「幻影城」に連載された花葬シリーズを中心にまとめられた短編集。時代性の活写・情景描写の美しさと人間の情念の深さをみごとなまでに凝縮している。この作家の他の作品にありがちな極端なトリッキー性も薄く、直木賞受賞作「恋文」への道程を示す作品ともいえるだろう。個人的には「六花の印」が一押し。思わず目頭があつくなる佳品である。 | ||||
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今はなき探偵小説専門誌「幻影城」に連載された花葬シリーズを中心にまとめられた短編集。時代性の活写・情景描写の美しさと人間の情念の深さをみごとなまでに凝縮している。この作家の他の作品にありがちな極端なトリッキー性も薄く、直木賞受賞作「恋文」への道程を示す作品ともいえるだろう。個人的には「六花の印」が一押し。思わず目頭があつくなる佳品である。 | ||||
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