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あしたはうんと遠くへいこう
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あしたはうんと遠くへいこうの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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主人公いずちゃんの恋愛にまつわる生き様を描いた今作 こんなに恋愛に対して剥き出しで本能的な感情を表した作品があっただろうか いずちゃんは恋愛をする時に、誰かが自分を遠くに連れて行ってくれると期待して恋愛する その期待と相手の行動がズレると、悲しんだり罵ったり、それを繰り返してまた恋をする いずちゃんは自分自身という枠がない だから恋愛をする事で自分の枠を作ろうとする 友人の町子との「人は人に自分を探す」という言葉が印象的だ いずちゃんは相手そのものではなく、自分を変えてくれそうな人に頭の中で恋をしていた そこにいずちゃんが気づいていても、中々変われないもどかしさに角田さんの優しさを感じる 剥き出しで不器用でダメでもいいじゃん それでも生きているんだし、その時感じた感情は本物だよ そんな声がこの小説を読んでいる時聞こえた気がした ともすれば、この主人公は面倒臭い、嫌われやすいかもしれない でもだからこそ、人間臭さ、臭いや体温を感じるのだ ストーリーの枠に収まるキャラクターというより、泥臭い人間を描いた、良くも悪くも剥き出しで心が揺さぶられる 読んでいてそう感じた小説でした | ||||
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この作品は、恋愛小説であり家族小説でもある。というのは、主人公が育った家族環境がその後の主人公の恋愛感に 大きな影響を及ぼしており、それがとてもリアルだからだ。 主人公は、家族の人間にあまり愛情表現していない。愛し愛されているのだろうが、それを表す機会をあまり持たなかった。基本的には家族とあまり会話もせず、部屋にこもりがちな主人公が描かれている。 家族のことも自分が見たままのことを語っており、「想像」が多い。直接家族に聞いたものはないといっていい。 つまり思い込みや想像を「答え」にしてしまっている女性というか、人なのである。 そういう主人公が、恋愛においてもっとも苦心するのは彼氏に知りたいことを聞くことである。彼氏がそれに応えてくれるなら、聞くことは真剣に向き合ってくれ愛されていることを実感できる術にもなる。だが彼女はそれが出来ない。家を飛び出し繰り返される恋愛模様のほとんどはそこで行き詰まる。その内悪い想像だけを膨らます。そしてそれが抑えきれずに破綻してしまう。その部分を食い止める術を知らない彼女の弱さが本当にリアルに描かれている。 最初の家族模様と最後の父との再会が、この物語の大事なところだ。とくに最終章。家族と向き合えなかった彼女がようやく父と二人で向き合うのだが…。 この本を読んで、「育った家庭環境によって恋愛感に及ぼす影響はすごい」というものを感じさせられた。 | ||||
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この本は、女性が女という存在の恥ずかしい部分をさらけ出すというところに著者は力を入れたのではないだろうか?そこには読者をイメージしながら書いた”サービス”は少ない。だから貴重だと私は思う。著者の中にある恥ずかしい部分は何度も何度も表に出てくるものではないだろう、著者にとって初の恋愛小説であるからこそ、このような形なのである。「恋愛という部分を除いたら、自分(女)の人生は空っぽ」というようなことは、なかなか書き難いことなのだ。この作品は32歳までを描いたもの。結婚、出産、子育て、そして女性にとっての仕事。時が過ぎて、そういったテーマで彼女が作品を書き始める。その初めての作品に私は大いに期待している。そこには、再び正直な女性の恥ずかしい本質が垣間見えることだろう。 | ||||
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女子高生の恋愛物語から始まって、さてどうなるのかなと思っていたらもう大変。クスリやるわ男とすぐ寝るわ、それだけではなく周りの変化もまたすごい。まさに波乱万丈です。そんな中で、主人公泉の成長を描かれます。といってもときどき幼くなったりと、こっちもこっちで波乱万丈。何かが起こるたびに泉と同じような感情を持つことができます。イライラするし、やるせなくなるし、怯えるし、悲しくなるし。この作品では、恋愛だけでなく、なにもかもが唐突に始まって唐突に終わってしまいます。それがあたかも現実の恋愛を暗示しているのではないかと、ふと思いました。恋愛は始まったと思ったら終わってしまう。それでもいいじゃん、と言われているような気もしました。でも、終わるものは終わるけど、終わらないものは終わりません。この作品の中でも一貫としているものがふたつほどあると思います。それも、やっぱり恋愛を暗示しているのかなあと、思いました。「あしたはうんと遠くへいこう」は、見事に「恋愛」そのものを描ききった秀作だと思います。それにしても角田光代さんは不思議な人で、たくさん「ああ、わかるなぁ」というような描写が出てきます。それがもしかすると角田光代さんの一番の魅力かもしれません。と、穂村弘さんの解説を読むと、なんとなく角田光代さんがどんな人かわかるような気がしました。 | ||||
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それぞれの章の名前に主にインディロックの名曲がつけられている。 スミス、TFC(2曲)、マシュー・スィートetc。音楽好きとしてはその使われ方が心にくいというか、恋愛小説でありながら、角田光代の音楽リスナーとしての歴史を読んでいるような気にもなる。まるでニック・ホーンビィ/ソングブックのように。 | ||||
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何度失敗しても、また違う誰かにどうしようもなく恋をしてしまう気持ち。それは、人の性なんだろうか。たくさんの恋を経験すれば良いというわけではないけれど、傷ついても、また誰かを好きになることが出来るっていうのは、とても素敵なことだと思った。主人公の生き方は、決して格好良いものではないけど、それでも、前を見つめて生きているところが、私は好きだ。 | ||||
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最近の恋愛文学は読んでいて不快感を抱くことが多かったが、角田さんの作品には恋愛文学にありがちな露骨な性愛描写がなく、不快感がない。恋は突然、というか、気がついたら誰かを好きになってしまう、主人公のいずちゃん。人を好きになると、いくつになっても、自分を支えられないほどもろくなってしまう、女心。時だけは過ぎ、流れてくる音楽も感じ方も変わっていく。いずちゃんも高校生から大学生へ、仕事をするように変わっていく、成長していくのに、恋をした時だけは「あの頃のまま」。現実を知り、昔は何にでもなれた気がしたのに、今の自分は何にでもない。でも人を好きになったその時だけは、今の自分と全然違う別人みたいなことができちゃったりする。誰しもが経験したそんな思いを決して嫌味ではなく、すっきりと文学に、音楽に乗せてくれた。最終章を読み終えた時のさわやかな読後感が良かった。 | ||||
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自分から、付き合ってきた人を取り除いたら何が残るんだろう。 胸にちくちくっときました。 でも、それでもいいじゃないか!とも思えました。 恋って面倒だけど、やっぱりしたくなっちゃうもの、引き寄せられちゃうものなんだなぁと感じました。 | ||||
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この著者は、いじめものばかりを書いていた。一時を境に、エッセイを書き始め(旅行もの) とうとう恋愛小説。を紡ぎ出した。この小説は、”オルタナ・UK”というロックキッズ必聴のタイトルが他出する。どれも皆、一様にセンスの良い。ものがあげられている。 角田氏は本当はとってもロック少女で、イケてるものも書ける! ということを世に知らしめた一作。といえよう。それにしても、採りたかった芥川ではなくなぜか? 祝直木賞受賞!! | ||||
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ひとりの女性の1985年~2000年までを綴った連作。 数々のオトコが登場し、消えていく。 しかしだれとも恋愛せずにそこにいる自分というものがうまく思い描けず、最後にかならず同じ疑問にいきつくのだ。私はいったい何ものなんだ?それは自分捜しなんて大袈裟な言葉ではなくて、音楽評でも自転車一周旅行でもトライアスロンでも、髪型や服装や言葉遣いや、買うCDや観る映画やおいしいと思う食べもの、何から何まで好きになった男の影響を私は多分に受けており、それら抜きで自分というものを頭に描こうとすれば、浮かんでくるのは正体不明の書き割りみたいな女でしかないのだった。 こんなヒト多いんとちゃうかなぁ。実は。(笑) しかもこの主人公、同い年という設定だけにヘンに痛かったっす。 | ||||
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