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チャイルド・オブ・ゴッド



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【この小説が収録されている参考書籍】
チャイルド・オブ・ゴッド

チャイルド・オブ・ゴッドの評価: 4.00/5点 レビュー 14件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

主人公に共感するのは難しい

主人公に共感しないし、同情もできない。こんな男はさっさと射殺されるべきだという気持ちの方が強かった。マッカーシーの他の作品と比べると少々異色の感じがする。すべての美しい馬・越境・平原の町の三部作は実に面白かったし、血と暴力の国も面白かった。ブラッドメリデイアンは前半は面白かったが後半は聊か飽きたし、最後のところがいまいち判らなかった。ザ・ロードは期待し過ぎて少々がっかり。
チャイルド・オブ・ゴッドAmazon書評・レビュー:チャイルド・オブ・ゴッドより
4152093811
No.1:
(3pt)

一長二短?

『チャイルド・オブ・ゴッド』は、マッカーシーにとって長編第三作だが、状況描写の積み重ね、内面描写の排除、鍵かっこ抜きの会話、といった作風は既に完成している。
小説は、レスター・バラードという一人のアウトサイダーを中心に進んでいくが、プロットらしいプロットはなく、バラードの異常な行動(死姦、放火、殺人)を主旋律に、それに巻き込まれる周囲の人間の反応が福旋律となっている。バラード自身ではなく、他人によってその生い立ちや性格が語られるという点では、『血と暴力の国』の殺人鬼と保安官の関係にも似ている。
子供が逃げないようにと鳥の足を食いちぎるエピソードや、女からまったく相手にされないバラード(ノゾキで性欲処理をしている)が、たまたま車中で死んでいる女を見つけ犯すに至るまでの禍々しさは面白いが、タイトルにもなっている冒頭(p.6)の「あなたによく似た神の子だ」というバラードを評する言葉は、唐突すぎるし、作者が読者の感情を安易にコントロールしようとしているため評価できない。それに、ここで言う「神の子」というのは、キリスト教徒に対してのものなので、日本人の大部分が関係ないだろう。だが、ドストエフスキーのように思想がメインではなく、あくまで行動を中心にして描かれるから、「神の子」について思うところがなくても、前述したエピソード等に興味があれば楽しめる。大傑作『ブラッド・メリディアン』や『すべての美しい馬』の水準に達しているとは言い難いが、『血と暴力の国』、『ザ・ロード』ぐらいには面白い。

中身とは別に、気になったのが、本書p.202でnurseをわざわざ「看護師」と訳しているところ。原著は1973年に出版されたので、もし本書が2013年ではなく1970年代に出版されていたら、ここは「看護婦」と訳されていただろう。pp.202-204は、怪我をしたバラードと「看護婦」の対話シーンで成り立っており、セックスに対し捻じ曲がった感情を抱いているバラードの喋り相手が「看護師」と表記されたのでは、不穏さが半減する。こういうお役所的翻訳を、ポリティカリー・コレクトネスをぶち破るマッカーシーの小説にしてほしくはない。だったら最初から手をつけるべきではないだろう。小説中、ニガーは例の言葉に翻訳してあるのに、nurseとなるとひよってしまうのはどういうわけか。同じ早川から出ている『遅い男』は看護婦の訳語を当てているのに、『チャイルド・オブ・ゴッド』ではなぜできなかったのか? 以後、マッカーシーの小説を翻訳する際は、作品世界を破壊するような言葉を使わないでほしい。
チャイルド・オブ・ゴッドAmazon書評・レビュー:チャイルド・オブ・ゴッドより
4152093811

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