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ゴッサムの神々



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ゴッサムの神々の評価: 4.44/5点 レビュー 9件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.44pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(3pt)

力作ではあります

主人公は、強かな女性たちと比べて、裏の世界を知っている割には恐ろしく純情で純粋、そしてかなりの正義漢。(著者の理想の男性像かな)
彼が1845年のNYを舞台に、その地の初めての警官として、19体の子供の遺体が土中から発見された事件を、様々な人間模様を織り交ぜながら、解決して行く様を描いたミステリ。

物語は当時のNYの政治、宗教、人種間の対立を背景にして進むが、知識がひとつ増えた喜びは得られるものの、説明があまり親切ではないので概観がつかみづらく、ここに興味が持てないと小説の世界に入り込む事は厳しいと感じた。

主人公が深く関わる人物が、兄、想い人、助けた幼い少女と3人もいて、それぞれが交わる事もほぼないので感動が分散してしまい、統一感に欠ける。
兄が自分の身を大切にしないゆえに彼を憎むという、主人公の感情は理解が難しく、兄弟間の反目の理由としては、現実味のない設定だと思う。
女性は好きかもしれないが。

犯人は想定内。
事件の解決も、証拠の積み重ねよりも主人公の推理によるところが大きく、少々物足りない。
どちらかというと、主人公の心情描写と成長に重きが置かれているので、パズルのピースがピタリとはまるような、ミステリとしてのカタルシスは少なめで、盛り上がりも今ひとつ。

総体として最も気になった点は、比喩を多用した装飾的な凝った文体。
これは心理描写にはいいけれど、状況説明など正確な情報を伝える事には向かないので、風景や状況が理解しにくい場面が多々あった。

著者は執筆時20歳代後半だったという若さもあってか、文章表現や人間ドラマにいささか力が入りすぎていて、作家としては、まだまだ未成熟で発展途上といった印象を受ける。
史実を基に新たな物語を組み立てる能力、才能はあると思うので、力の入れどころの焦点を絞り、ミステリのツボを押さえられるようになったら、また彼女の作品を手に取る事もあるかもしれない。
ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
448825103X
No.8:
(5pt)

19世紀のニューヨークはミステリアス

歴史ミステリのジャンルですので、新大陸へのアイルランド移民やカトリックとプロテスタントとの対立など歴史的背景を知ったいないと楽しめない作品。市警創設時のニューヨークの様子が新鮮でした。
ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
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No.7:
(5pt)

主人公に好感

歴史ミステリでは、時代の描写とミステリらしいストーリーは欠かせません。さらに登場人物に好感が持てるかも重要。
ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
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No.6:
(4pt)

あまり知らなかった時代のあのニュ―ヨークがよくかかれている。

はじめゴッサムてなんのこと?とおもいつつ読み進んでいくうちにやっとわかった。当時の犯罪捜査の苦労を思い浮かべながらよみすすんだ。なんせ、山場は下巻になるので、星4つとした。
ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
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No.5:
(5pt)

上巻に同じ

全体に目のつけどころが、時代、構成等小生にはきにいったので、星5つとした。
ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
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No.4:
(5pt)

とても読みやすく優しい気持ちと力を貰える作品でした

『人種のるつぼ』『サラダボール』と言われるアメリカ。
当たり前の事ですが「アメリカにもこんな時代が有ったんだな」と改めて思いました。

主人公は決して「クール」ではないけれど、失敗しながら間違いながら前に、正義に進もうと悪戦苦闘する姿はとてっも素敵でした。
曲者そうな兄も実は心に傷を抱えていて読み進むうちに応援したくなります。主人公の片思いの女性も後先を考えず荒くれ者のなかに飛び込んでいくと思えばまた別の面を持っています。
一人ひとりが完璧ではなく、けれどとても愛すべき登場人物です。

血に塗れたネグリジェ姿で逃げてきた少女が新米警官になった主人公にぶつかります。
移民排斥、宗教対立等の話も交えながら、問題は解決されていきます。

センテンスの前にその時期の記事や引用のコメントなどが有りとても読みやすかったです。

主人公の片思いの女性がロンドンに行って幸せになってほしい。
そして、早く続編が読みたいです。
ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
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No.3:
(4pt)

タフに成長していく主人公の姿に共感

表紙をみると、ライトノベルのようですが、黎明期の暗黒なニューヨークを舞台にしたハードなストーリーです。逆境にめげず、警察官としてタフに成長していく主人公のティム・ワイルドの姿に共感しました。
 
恐慌と飢饉に見舞われ、さらにには人種・宗教問題で荒廃したニューヨークの情景が鮮烈に描かれています。
市民や移民たちの苦悩、混乱が、ひしひしと伝わり、ストーリに重みと迫力を付け加えています。
また、各章の冒頭に、この時代のニューヨークの諸処の事情をあらわした、小文が記されています。この小文はこの作品の舞台となった時期と同時代に書かれた記事、文章から引用されていますので、当時の光景が、より鮮やかに目に浮かんできました。
 
物語は、主人公ティムの一人称での記述で進行します。
逆接表現が多用されていますので、最初はとっつきにくかったのですが、慣れてくると、この文調にむしろ魅力的に感じました。
 
特にティムの内面の思考の表現が、以下の引用のように独特な味わいがあり、印象的です。

<引用>
「わたしは何か言いたかった。しかし、脳と口をつないでいるのがなんであれ、断ち切られてしまった。口と胸の遠い鼓動をつないでいるものと同様に」
 
ブラックでウイットの効いた思考をもつ人物として、主人公ティムへ、より深い共感を持ちました。
 
事件の展開とあわせ、主人公ティムと実兄のヴァル、さらには、ティムが想いを寄せるマーシーとの愛憎、さらには物語の冒頭で登場する少女、バードの行く末がどうなっていくか、どんどんとストーリーに引き込まれていきます。

訳者、野口百合子さんの解説がとてもわかりやすく、物語を思い返しながら余韻にひたることができました。
この作品の続編がすでに書かれており、三部作になる予定とのこと、それらの続編が読めるようになる日が、今から楽しみです。
ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
4488251048
No.2:
(4pt)

魂がこめられた作品

マイケル・コナリーが絶賛しているので、迷わず購入しました。

1845年、NYでバーテンダーをしていたティムは大火事で顔面に火傷を負い、仕事を失い、兄のヴァルによって無理やり警官にされてしまう。
火事で貯金も失い、夢見ていたあこがれのマーシーとの結婚生活も空想のままに終わるのですが、バーテンダーとして培ってきた観察力が警察官としての能力に結びついていき、火事後、疎遠になっていたマーシーとも再会したティムは、19人もの売りをして生活していた子供たちの遺体を発見する。

私の理解力が低いせいなのかもしれないのですが、作品のなかにはとても魅力的な世界観が展開されているにもかかわらず、なかなか物語にのめりこむことができませんでした。隠語といわれる無法者たちの言葉が第二言語のように頻繁に使用されていたり、19世紀のアメリカへの知識不足のためではなく、ちょっと表現力、描写力が不足かな?とも思います。解説の日暮さんの文章のほうが、よほど頭にはいってきやすいですから。
しかしその点は、今後作者の大好きなコナン・ドイルを見習っていただくとして、(ドイルのシンプルな言葉で描かれる表現力はすごいです。とくに、ホームズものではない天然痘患者をあつかった短編の描写はゾワゾワします)がんばって読みすすめていくと、作者が人間の複雑さ、多面性を描いていることに気づきます。

人間は善や悪だけで構成されているのではなく、複雑で多面的です。
兄のヴァルは消防士であり、警察の分署長であり、隠語を駆使する荒くれ者で、両親が焼死した火事の原因。曲者の売春宿の女将を捨て、弟のティムに嫌われたとなればトルコ行きの船の船員になる決意をするブラコン。
あこがれのマーシーさえも、慈善活動だけのレディではなく、ある意味現代的ともいえる行動をとる人物。このマーシーを女神のように描くのではなく、生々しく描いているところが作者の天分を感じさせるのです。

殺人犯はうしろ三分の一の怒涛の展開のなかで、あっという間に判明します。
読みにくいところも多々ありますが、魂がこめられた作品であり、頑張りつづける、何をしているのかわからなくなっていても頑張りつづけるというような意味の文章があったとおりに、『いま自分にできる精一杯のことをして生きる』ということが趣旨であり、作者の信条であると思います。
ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
4488251048
No.1:
(5pt)

1845年、ニューヨーク

ニューヨーク市警察が創設されて間もない頃の一人の新人警官ティモシー・ワイルドが主人公です。

バーテンダーをしていたのですが、街の爆発事故のせいで職を失い、兄の指図で警官になるのです。

兄は、警察の分署長をつとめています。早くに二親を亡くした兄弟の間には理由のはっきりしない確執があるようです。

或る日、ティモシーは下宿に戻る途中で、血まみれの寝間着を着た少女に出会います。彼女は一言「彼、切り刻まれてしまう。」と言って気を失います。

できたばかりの警察組織に街の人々の信頼はまだ固まっていない時期です。移民の貧しいアイルランド人、黒人、カトリック教会、プロテスタント教会、民主党、共和党、さまざまなグループが入り乱れて摩擦を起こします。

バッテリー公園でのお話です。

「そこで、わたしたちは行きかう人々を眺めて、彼らのことを知った。二人で。彼らの袖についたほこりや鋭い目のきびしいまなざしから、彼らのことを知った。彼らがこちらを知る前に彼らを知ることで、わたしたちはより安全で豊かになるから。そして、人間一人一人のページの同じ文章の同じ文字を二人が読んでいるという思いに、幸せを感じた。」

まちの人々の姿に何が映っていたか。その答えが、この作品全編の答えでもあります。

さて、作者は過去の新聞記事にあった嬰児の死亡記事を素材として用いていますが、その肉付けの仕方は、どうもある種の推理による遠い昔の事件の「解決」にも当たるような気がします。

シャーロッキアンだということですので、実証を尊重する推理、という側面も認められるのでしょう。
ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)より
448825103X

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