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グリーン家殺人事件



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グリーン家殺人事件の評価: 4.09/5点 レビュー 47件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.09pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全47件 1~20 1/3ページ
123>>
No.47:
(3pt)

あからさまにクソ怪し過ぎる気がするが……

井上勇訳の旧版で再読。
<ネタバレ注意>

 浜尾四郎の『殺人鬼』を読み始めると、本書の内容に触れるとのコメントがあった。
 『僧正殺人事件』とともに著者の代表作の本作は、もちろん過去に読んだことがあるが、マスターピース作品にも関わらず中身をまったく覚えていなかったので、先に再読することにした。

 とは言え、キャラが出揃うとすぐにお前が犯人やろと気づいたw
 なにしろ再読なので、犯人がわかったからと言っても、記憶の中から呼び起されただけかもしれず、なにも自慢できないのだが、あからさまにクソ怪し過ぎて、誰だって気がついてしまうような気もした。
 しかも犠牲者が増えるごとに当然犯人候補は絞られてくることが、間違いなく本書の弱点だし。
 最初に撃たれたというだけで、最後まで盲点の位置におれると作者は考えたのだろうか?

 一応グリーン家の家族の外に、医者も容疑者にカウントできるように書かれてはいたが、中途で示される新たな手がかりの出処は、ほとんど彼女だぞww
 最後によく二人でドライブなんて承諾したものだ。
 捜査陣はともかく、犯人ではない方にすれば、相手は途轍もなく怪しい筈だが……。

 そういった印象でツッコむのは、メタな位置にいる読者の傲慢かもしれないが、マーカム検事をはじめ警察関係者をバカばかりに感じてしまうことに繋がるし、ある程度は容疑者候補として考えている気配のあるファイロ・ヴァンスは、金田一耕助を遥かに超えるレベルで、さらなる犠牲者候補を守る意思はないように思えるし……。

 いずれにしても、本作がヴァン・ダイン作品で『僧正殺人事件』と合わせてツートップの代表作だというのが理解できない。かなりの凡作だと思うのだが、なにが評価を高くしているのだろう?
グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488103219
No.46:
(4pt)

温故知新

小学生の頃、児童向けミステリーシリーズで読んで犯人の名前と挿絵が記憶にあった。
還暦過ぎて再読。時代を感じさせない面白さで一気に読了。訳文は素晴らしいと思う。
グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488103219
No.45:
(3pt)

必読の名作っていわれたら期待するじゃんね

ネタバレありレビューです。

登場人物たちの発言、行動が理解に苦しんだ。

なんでそうなる?
という展開が多かった。

序盤にある人物がほぼ犯人を指摘していて
「じゃ、そいつが犯人じゃね?」と思っていたら
やっぱりそうだった。

この作品が初めて世にでたときに読んだら「スゴイ!」と思えたのかな・・。
グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488103219
No.44:
(4pt)

元祖サスペンスドラマ

ある程度推理小説やサスペンスドラマを知っている人には事の成り行きはすぐに察しがつくかも知れない。それほど日本ではよく観るシチュエーションだが裏をかえせばそれほど日本の推理業界に影響をあたえた作品の一つであると思える作品。推理小説好きならとりあえず通ってみるべきかも。
グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488103219
No.43:
(3pt)

いうほど名作とは思えない。

警察が凶器を見つけられなかったり、グリーン夫人のわがままを許したり、チェスターは捜査を依頼した割に自分が疑った人物について言及しないのはおかしい。
それ以外も納得いかない警察の無能さが散見される。
最後にグリーン家の生き残りがドライブに出かけるのもそんな気分には絶対ならないと思う。
グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488103219
No.42:
(5pt)

いつまで待たせるんだ。東京創元社さん!

表紙の「S・S・ヴァン・ダイン全集/THE COMPLETE WORKS OF S.S.VAN.DINE」が、もはやネタとしか思えないような刊行の遅さ。本当にこのペースでCOMPLETEできるのだろうか。

いよいよ名作にして代表作の一つ「グリーン家」の登場。出だしから「グリーン家大虐殺(ホロコースト)」との口上で煽り捲る。裕福な証券投資家、ブロードウェイの花形女優に続き、本作ではニューヨークの富豪一族と、大衆受けする舞台設定がまたあざとい。
約四十数年ぶりの再読にもかかわらず、結構細かいところまで覚えているのは驚きだった。グリーン家の各家族、雇用人、担当医にいたるまで、性格描写や会話をはじめとするやり取りは、巧みに描かれ厭きさせることがない。さらに終盤、事件のポイントを98個に要約し、読者を置いてきぼりにしないよう配慮されている。
また本作は欲望に憑りつかれた激しい衝動と二面性を持つ特異な犯人像を描き、その点は「Yの悲劇」で犯人を単なるモンスターとしたクイーンとの違いが際立っていると感じる。
そして連続する事件の前に傍観者と化す探偵ヴァンス。お約束だから仕方がないが、途中また容疑者たちとポーカーでもやればと突っ込みたくなるのは私だけか?
もはや100年近く前の前世期の古き良き探偵小説、さらに過去の遺物となったグリーン屋敷を訪れ、いにしえの連続殺人事件をこの迷探偵と辿る時、新たな読者の目に映るのは、かび臭い埃塗れの陳腐ながらくたの集まりなのか、それとも何か新たな宝物の数々なのか興味深いものがある。

しかし相変わらず背後霊状態のヴァン・ダイン氏、メモか録音機でも片手に張り付いているのだろうか。存在感を消しながらのその詳細かつ綿密な記録ぶりに恐れ入る(笑)。
グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488103219
No.41:
(5pt)

推理小説の歴史に結構重要に思える、再評価を要する作品

アメリカの富豪の屋敷で殺人が起こり・・・というお話。

あるお屋敷で連続殺人が起こり、名探偵が推理し、やがて解決、という現代の推理小説の構成に重要な影響を与えた作品として、解説で巽氏が指摘されている通り、推理小説の歴史に重要な位置を占める作品。

真相で明かされる、凶器の隠蔽工作はドイルのシャーロック・ホームズの作品からのパクリですが、真相で明かされる館の構造は、某作品にも影響を与えているし、352ページから1~100までで時系列で事実関係を説明する所や395ページの脚注でファイロ・ヴァンスが真相に辿りついた過程を前述の時系列でヴァンスの思考過程を順を追って再構成する所は、後続のエラリー・クイーンがデータを全て提示して読者に解決できるかという挑戦をした「読者への挑戦」にも影響を与えているかもしれないので、やはり重要な作品に思えました。

また、以前の訳で作品自体はそれほど面白く感じなかった記憶がありますが、今回の新訳で素直に面白かったので、訳の日暮さんの訳も良かったかもしれません(個人的な読後感ですが)。

私が読んだ限りでは、プロットの瑕疵がないし、結構フェアプレーに徹している様に思えましたが、私よりも聡明で読解力のある方が読んだら欠陥がある、と指摘されるかも思いますし、古い作品なので、そいういう部分も多分あるにしろ、一応面白いし、重要な作品に思えます。が、「東西ミステリーベスト100(2013年版)」というランキングの本では、「僧正殺人事件」がランクインして本書では圏外になってしまって、評論家の方も落ちてもやむを得ないとおっしゃっていて、まぁそうなのですが、前述の理由で本書も再評価されると嬉しいです。

今の時代からすると、ある館の家族が連続して殺され、警察が抑止できないのが不自然で不可解ではありますが、この時代ではまだこういう事もありえたかもしれないという事だし、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」で謎の招待状で孤島に人が集まるのが今からすると不自然ですが、書かれた頃のイギリスで孤島を旅するのが流行ったとか、そういう時代なので今の視点で読まない様のして読んだので、結構楽しめたかも。

推理小説の歴史に結構重要に思える、再評価を要する作品。是非ご一読を。

以下、個人的に興味深かった所などを書き込みます(読まないでもいいです)。

346ページから349ページからの引用。

「すぐれた絵画とただの写真との違いは、こういうことなんだ。一方は配置し、構図を決めて、まとめあげたもの。一方は行き当たりばったりにある場面の印象や現実の断面を、自然にあるがままの姿で切り取ったものだ。つまり、表現形式があるが、無秩序であるかの違いだな。たとえば、真のげいじゅつかが絵を描くとしたら、色彩や描線をあらかじめ得た着想に合わせて配置するーつまり、その画面のあらゆる要素を基本の構想に沿わせるわけだ。そして、構成に沿わない、あるいは均質な表現形式を完成させるんんだ、絵画に描かれた対象物はことごとく、はっきりしとした意図のもとにそこにあり、隠れた構成パターンに合致する特定の位置に配されている。画面上に無意味なものはいっさいないんだ。細部にすら無関係なものはないし、つながりのない対象物は描かれないし、角の明暗も考えなしに配置されていない。形と線はことごとく互いに依存し合い、どの対象物もーそれどころか筆の運びひとつひとつがー決まったパターンのうちで的確な場所を占め、所定の機能をはたしている(中略)ところが写真の方は(中略)美的な意味での構想や配置がない。そりゃ、写真家だって人物のポーズや衣装に凝るぐらいのことはするだろうがーネガに焼き付けるつもりの木の枝を切り取ったりもするかもしれないが、画家のようにあらかじめ思い描いた構想に合う内容の画面を構成するのは、まず無理というものだ。写真には必ず意味のない細部が移り込んだりさまざまな光と影が調和せず、質感が整わなかったりもする。あるいは、しっくりしない線や違和感のある面もある。カメラというのはひどくあけすけなものだよー芸術的な価値になどおかまいなしに、前にあるものを何でもかんでも記録してしまうんだから。その結果、当然ながら写真は秩序と調和に欠ける。よくてせいぜい単純でわかりきった構成にしかならない。おまけに無関係な要素だらけー意味も目的ももたない対象物だらけだ。画一性のある構想は写真にはない。無計画、不均質、無目的、無定形ーそれが写真の性質なんだ。(中略)構想が難解かつ巧妙な絵画だと、見る者にはその構成がすぐにはわからないことがよくある。というか、構想が単純でわかりやすい絵画だけが、すぐに理解できるんだな。たいていの場合、絵画を鑑賞する者は注意深く見なければいけないーリズムを追い、形を見比べ、細部を考察し、顕著な特徴が調和しているかどうかを見るんだーしかるのちに、隠れていた構想がはっきりしてくる。たいてい、調和のよくとれた完璧なバランスの絵画はールノアールの人物画、マティスの室内絵、セザンヌの水彩画、ピカソの静物画、レオナルド・ダ・ヴィンチの解剖図なんかは、構図という観点からすると、一見無意味に見える。形がばらばらでまとまりなく思えるかもしれない。色彩の広がり具合や線状の明暗が勝手気ままに置かれているかもしれない。鑑賞者が画面上の整数すべてを関連づけ、それぞれの対位法的な働きをひととおりたどってみて初めて、それらが意味をもち、作者の制作動機となっ他構想が見えてくるー」

ながながと引用しましたが、この辺の推理機能は著者の本名のウィラード・ハンティン・ライトの方でやっていた美術評論家としての考え方がもろに反映されている様で興味深かったです。

「カナリヤ殺人事件」でも記述がありましたが、ファイロ・ヴァンスの名前は仮名だそうで、本名を知っている方がいれば教えて欲しいです(原寮さんも沢崎の名前を秘密のまま亡くなったそうで残念です)。
グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488103219
No.40:
(3pt)

「大事なものは○だったのだ…」って

凶器の発見が警察のさじ加減ひとつで破綻してたようなトリックは、
この犯人みたく、よほどヤケクソな状況じゃなきゃ実行できませんよね。
ほとんどギャンブルです。
マジメにこれこれこうです、と説明されても冗談としか思えない。

それと、登場人物がまともに動けないか、病人だったり、実行に移すだけの脳がなく、
実行できそうな人物から消えていくので、
その点と途中経過だけで、トリックの詳細がわからなくとも犯人が絞られてしまいます。
そうなると、この全体の長さが逆に辛い。

なので、個人的にはそこまで面白くはなかったかな。
グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)より
4488103030
No.39:
(5pt)

私にとって最初の推理小説

金田一やコナンなどサスペンスが好きな頃、家庭用学習教材の付録雑誌に、この本の紹介がありました。
まだ本屋がいくつか残っていて検索機能もなく、推理コーナーを探してやっと見つけたこの本。そこからもうワクワクドキドキしかなく、登場人物を覚えるのに手間取ることさえも、とても楽しくかった(笑)
当時の私はとにかく犯人が誰なのか知りたくて、でもそこに辿り着くのが長いほど胸が高鳴るんです。
異国の背景とトリックに目が離せず読みふけり、おそらく人生最大の瞬間を楽しんでいました。
一番王道なタイプであろう故に、犯人にたどり着く描き方以外のストーリーにも惹かれていきましたが、この本なくして推理小説には目覚めていません。体調を崩し好きなサスペンスしか読まなかったけれど、いつかもう一度この本を読んだら、どんな感想をもつのかとまた、ドキドキしています。。
グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)より
4488103030
No.38:
(5pt)

新訳は出ないのかな?

昔読んで、けっこう気に入ってた作品だったので、新訳が出てたら嬉しかったんだけど…。旧訳しか見当たらなかったので、旧訳を手に取った。結局章末にある(注)のために栞をあっちにやり、こっちにやりと結構面倒な作業を強いられたが、まずまず満足。結局は「Yの悲劇」も横溝正史の諸作も、おどろおどろしい推理小説の原型はこいつなんだあ~と強く思った次第。だいたいほぼほぼ「完全犯罪」を達成してしまう連続殺人の犯人が自ら命を絶つという伝統を始めたのも本作だと思うし…ね(正確には「カナリア」からなのかな?)。
 まどろっこしいのは時代のせいもあるだろうし、ヴァンス自身が名探偵じゃないからというのもある。ヴァンスは友人のマーカムが冤罪被害者を生み出さないように協力してるだけの素人なんだし…。快刀乱麻といった趣の名探偵をお求めの向きにはお薦めできないかな…。な~んて言っても、他の作品でも連続殺人がやすやすと起きてる段階で、すでに「名探偵」じゃないんだけど…。でもでも、この怪奇趣味スレスレの感じが、特に日本の推理小説では継承されてて、気付かないうちに、この作品の影響を受けてる人も多いんだろうな…なんて思ったわけ。原初の旅に赴きたい人には一読を勧める。
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4488103030
No.37:
(4pt)

古典推理小説への誘いの一冊

私はこの小説は中学生当時に読みました。再読する気持ちは今は無いのです!何故か?犯人が余りにも当時の自分としては意外な人物でしたので(笑)でもヴァンダインの作品は前期の物が断然に良いですね!今ではこの種のトリックと顛末を何だと一笑する方も多いと思います。ましてや探偵のファイロヴァンスは理論派で多少なりとも理屈っぽいし、足で歩く探偵では無い頭脳明晰型、例えるなら有栖川有栖の火村英生タイプですね、でも古典推理小説ファンの方には忘れられ無い名作であると思います。今の時代の感覚から気持ちだけをその時代にそぐわせて楽しむと古き良き時代の探偵小説の魅力を感じる一冊と評価します。
グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)より
4488103030
No.36:
(3pt)

昔ほど楽しめない…

高校時代、友人とミステリーをどちらがたくさん読むかということを競争したことがあって、評者もクリスティーにエラリー・クイーン、クロフツにフィルポッツ、ディクスン・カーにこのヴァン・ダインなど、とりあえずそれぞれの有名な作品を数冊読んだものの、けっきょく後がつづかず、友人にも完全に負けたことがありました。
 そのとき、ヴァン・ダインはただ一冊、よく知られた『僧正殺人事件』を読んだことはしっかり記憶に残っていますが、しかしその内容はすでにまったく忘れてしまっています。

 今回、この『グリーン家殺人事件』(1928年)を古本屋でふと見かけ、そういえばミステリーの傑作として評判高いこの作品は読んでいなかったなあと思いだし、このたび購入し読んでみたしだい。

 本作品が謎解き以外の小説的要素をふくまない本格派推理小説だということがわかりましたが、本の中身はなんだかほんとうにそれだけ、という感じで、読後、ああ、良いものを読んだというような充足感がありませんでした。

 現代詩人(自身は現代詩作家と名乗っている)の荒川洋治は、みすず書房などから読書エッセーを何冊か出していたと思うのですが、かれはたしか自分は推理小説やエンタテイメント小説などいわゆる娯楽小説のたぐいはいっさい読まないということを明言していたひとだったと記憶しています。

 今回、『グリーン家』を読んで、ふと荒川洋治のその読書態度がわかるような気がしました。
 つまり、推理小説の古典中の古典として知られる本書を読んで、たしかにまあひまつぶしというか息抜き的に読めることは読めるかもしれないけれど、このような作品ばかり読んでいくのはでもちょっとムリかなあという思いがあります。
 この思いはしかし自分でも意外でした。わりと自分は推理小説好きだと思っていたわけなので。
 このような気持ちの変化というのは歳のせいでしょうかねえ。それとも作品のせいなのでしょうか。
グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)より
4488103030
No.35:
(3pt)

長かった

読み終えてのまずの感想が、長かった…だ。
複雑な事件ではない、がどうにも展開はまどろっこしいと感じた。
それはきっと、探偵が事件に対して終盤までほぼ無能だった、その苛立ちのせいだと思う。
事件は終盤、ほぼ残り50ページぐらいになって、一気に解決へと向かうのだが、それまでが長く感じてしまう。
同じ展開の繰り返しも、そう感じる要因だと思う。事件、取り調べ、わからない、事件、取り調べ、わからない、のほぼ繰り返しだから。
グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)より
4488103030
No.34:
(4pt)

ジュニア版で読むべし!

中島河太郎氏訳の「世界の名作推理全集8」(秋田書店)でこの作品を読んだのは中学1年の時。
その晩は眠れないくらいに怖かった。
同シリーズには⑨Yの悲劇 もあり、ストーリーはほぼ同じだが、こっちは全く怖くはなかったことを考えると、このグリーン家殺人事件のジュニア版は、非常によく描かれて(訳されて?)いるということだろう。
いまこれを創元推理文庫で読み返してみても、作品に没入することはあり得ないくらい古臭い=ハッキリ言って読みづらい。 
 ヴァンダインの魅力の一つに、1920~30年代のアメリカのクウキを感じることが出来る点がある。
ホッパーの絵画や、バルトーク後期の音楽作品などと相通ずるクウキ感であり、これを鑑賞することも読書の一つの楽しみであるとすれば、ジュニア版がそうであるように、「忠実な翻訳ではなく、現代風の文体で100年前の世界を描く」ような翻訳版が現れれば、おのずとこの作品の評価も変わるのではないだろうか?
 で、繰り返しになるが、目下のところこの作品が一番楽しめるのは「ジュニア版」である。
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4488103030
No.33:
(2pt)

古くなってしまった

キャラクター、トリック、すべてが既視感。
これを最初に書いたことが偉かったのだろうが、それだけが全てで、
古典として残る作品ではないと思った。
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4488103030
No.32:
(4pt)

表現力は超一流だが推理の部分が弱い

若い頃を含めて3回は読んでいるがいずれも推理の部分が弱いため高い評価とはならなかった。最近は推理に関しては考え方が変わったため再度読んでみたが、やはり同様な評価であった。犯人がわかっていて読むと結構大胆に伏線が張られていることがわかる。事件全体としては無理が無く真相も納得のいくものであるがヴァンスも含め捜査陣の手ぬるさが目に付き本格推理作品としてはやはり不満が残った。

ただし連続する4つの惨劇により捜査陣がきりきり舞いする展開は重厚で緊迫感に満ちグイグイ引き込まれた。尋問場面は現実的で臨場感にあふれ緻密な会話劇が心理戦の中で巧みに進んでいく。さすがは美術評論のプロの寄稿家だけあってこの作者の表現力の右に出るものはいないのではなかろうか。

登場人物も生き生きとしており各個性が見事に描き分けられている。冷酷で口やかましい寝たきりの老グリーン夫人、貴族としてのプライドが高く狭量な長男チェスター、気が強く辛辣な次女シベラ、屋根裏部屋で数学や天文学に没頭する小心で神経質な次男レックス、養女で怯えてばかりいる三女アダ、良識的な主治医フォン・ブロン、いつも冷静で無頓着な執事スプルート、信仰篤く今回の事件を天罰だと主張する女中頭ヘミング、色目使いの女中バートン、口の堅いドイツ人の料理女マンハイムと多彩な顔ぶれである。各人が各場面でどんな様子でどんな発言をするかが興味深く読み続けることができた。

終盤にてヴァンスは絵画と写真の違いを述べ絵画ではそれを構成する線の一本一本に作者の意図が込められていること、その意図を分析することによって作者を判別できると主張する。今回の犯罪も同様な手法で98個の事実を挙げてこれらの背後に潜むものを分析して真犯人を暴こうとする。美学の専門家たる作者の画期的な手法として注目に値するが結果はいかがなものであろうか。確かに真犯人が独創的な天才であれば成立するかもしれないが今回は結局は模倣したに過ぎない。背後に犯罪研究の大家がいたとしてもそれは個々の仕掛けについてであり全体としては素人の浅はかな犯行であり天才の隠された意図が潜む名画とは程遠いのではなかろうか。ヴァンスの推理過程としては最終頁(p458)の注(1)に98個の事実を並べ直している。今回この順序をたどってみたがマンハイムの証言が出発点になっていること以外は特に注目すべき点は見当たらなかった。

真相がわかってみて興ざめしたのは捜査陣の手ぬるさである。この手ぬるさが無ければ犯行計画は成り立たないので犯人側から見たとき危険があり過ぎて現実的でない。そういう点でもこの犯罪を名画に例えるのは無理がありそうである。

ヴァンスの饒舌な博識ぶりはいつもながら閉口する。蛇足ながら本作の数学用語による比喩(p177,p243)は使い方として不適当なものもあると思われる。例えばp243のファシエンズであるが、これは原語ではfaciends、つまり被乗数のことと思われるが複雑な数学の公式の構成要素として挙げるものではない。次回作の「僧正殺人事件」では数学用語が頻繁に出て来るがその下準備中だったのであろうか。いずれにしても数学用語を使って相手を煙に巻こうとする姿には苦笑を禁じえなかった。
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4488103030
No.31:
(5pt)

古いかも

今回はこの作家の本を何冊かまとめて読みたくて、注文しました。
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4488103030
No.30:
(4pt)

格調高い館ものミステリーの古典的名作

格調高い館ものミステリーの古典的名作。今読んでも、異常に互いを憎しみ合っている家族が一人ずつ殺されていくサスペンスが素晴らしく、十分に楽しめる。本格ミステリとしては「意外な真犯人」が最大のトリックかと思うが、どんどん対象者が減っていくので、途中でほぼ推測されてしまうのが難点。ただそれは後続作品を沢山読んでいるから思う事であって、当時としては斬新なアイディアだったに違いない。大作なので難しいが、再読すれば真犯人の用意周到さが発見出来て面白いかも知れない。真犯人が物理トリックや化学トリックを駆使して、他の人間に犯行をなすり付けようとするミスリードの巧みさも読み所だ。ただし個々のトリックには無理を感じさせるものもあって、気になった。
 もう一つ難を挙げると名探偵ファイロ・ヴァンスが終盤まで動きが鈍い事。最後は見事な謎解きを披露してくれるが、途中では煙に巻いてばかりで、実は犯人に翻弄されっ放しだったように読めてしまった。相棒も辟易している衒学趣味もやり過ぎで、読者としても辟易する所があった。
 しかしながら現代でも十分に通用する名作である事は間違いない。
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4488103030
No.29:
(3pt)

30年後のヴァン・ダイン体験

中学生のときヴァン・ダインの『僧正殺人事件』を読んだ。傑作の呼び声が高いことに期待していたのだが、読み終えてみると正直ピンとこなくて、この人との縁はそれきりだった。でもいつかもう一つの代表作『グリーン家殺人事件』を読もう、と思い続けて何十年、わたしはやっと本懐を遂げた! なんて大げさだけれど、とにかくまあ読んだわけである。

予想外に読みやすかった。中学生には「???」だった独特のクドい作風も、そこまでは気にならなかった。30年という歳月の経過は、確実にヴァン・ダインへの耐性を高めていたのだ。内容もこれまた予想外にそこそこ楽しめたのだが、一方で「こりゃ欧米では廃れるわな」ということもしみじみ痛感させられた。殺人→尋問→殺人→尋問みたいな単調な展開は、現代の読者にはいささか退屈だろう。場面転換も舞台劇のように地味だ。

ところで、ヴァン・ダインといえばミステリ作法上のタブーを提唱した「二十則」が有名だけれど、本書を読了して改めてそれを眺めてみると、えーと自分自身が守れてないよね? という内容がちょこちょこある。例えばある殺人で、読者が知り得ない秘密の場所を活用した機械トリックが出てくるのだが、これなんかとてもフェアとは言いがたい。事件の謎を解く手がかりは、すべて明白に記述されなければならないのでは…。また、別のトリックでは、シャーロック・ホームズの某短編のそれをまんまパクッている。そもそもこんな人がフェアプレイの精神を説いてはいけませんね。

整合性があやふやな感じも散見された。僕が最も「は?」と思ったのは、ある殺人で毒がレモン炭酸水に混入されたというところ。聞き込みによる証言では「(被害者が)ひとりで、そんなものをのもうとしたことは、ついぞなかった」(P436)としておきながら、謎解きでは唐突に「(犯人は)いつも夜、あれを飲ませることにしていたのだから」(P455)と探偵に言わせている。ええっ、いつの間にそんな事実を突き止めたの? いい加減ついでに、本書の登場人物欄にも小さなミスがあることを書いておきたい。オブライエンという名前に「警視」とあるが、この人は看護婦としてグリーン家に潜入する婦人警官であって、警視ではない。警視はその下の、ウィリアム・M・モーランに付くべき役職名だ。どうでもいいことだけれど、悲しいかな見つけてしまった。
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4488103030
No.28:
(3pt)

古典的名作には違いないが

推理小説は好きだが、この作者の本は初めて読んだ。「真っ先に読まんかい!」と怒られそうだ。
文体が古いのは致し方がない。読み進めるうちに、一発で仕留められた被害者と、殺害にまで至らなかった被害者と、二通りあれば、常識的には後者の自作自演を疑うのは当然だろう。それにしても、犯人と目される「○い○○に、こういった計画的な残忍な犯行は可能だろうか?」、という疑問が当然わいてくる。
その答えが、「殺人教科書があった」、というのでは、どんな人物にでも犯人になりえる、という筋書きになってしまう。
古典的名作には違いないが、この「殺人教科書があった」、というオチは、いささか卑怯なような気もするので、星三つの評価とさせていただいた。
グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)Amazon書評・レビュー:グリーン家殺人事件 (創元推理文庫 103-3)より
4488103030

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