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アメリカの友人
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アメリカの友人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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(読んだ物が旧訳のエディションです) 前作でまた逃げ切ったリプリーに殺人の依頼が舞い込み・・・というお話。 またリプリーが活躍する話しですが、普通だと正義や道徳の良い人がキャラクターになるのに、ハイスミスのこのシリーズは悪い人が主人公になるのが、何だかなぁという感じもしますが、今回も殺人の依頼をうけたリプリーが死期の近い知り合いにその依頼をやらそうとし・・・という珍しい感じで話しが進んで行きます。 普通だとこういう主人公は良識で、あまり感情移入出来ない感じですが、ハイスミスの腕にかかると、こういうキャラクターも魅力のある感じになるのが不思議です。依頼をうけたキャラも死期が近いので、扶養している家族が心配で、こういう依頼を引き受ける所は説得力があります。 ハイスミスは作家として、善悪の彼岸を追求していたそうですが、確かに振り返ってみると、自分の中にも情緒的で曖昧な問題がある事を自覚しますが、自分には都合のいい様に思って、自分だけ例外にしてしまう部分があるので、嫌ですが、リプリーみたいな主人公も許容してしまいます。 という様な感想は個人的な物なので、一風変わったサスペンスとして推奨できます。 特異なキャラクターが活躍するシリーズ第三作。機会があったらシリーズ順に是非。 | ||||
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トム・リプリーを主人公とした三作目の作品。最初の「太陽がいっぱい」は、シリーズ化を想定していなかったと思われるので、シリーズものとしてトム・リプリーの生活ぶりや、ベロンブルの邸宅、妻や家政婦に愛着を持ちながら冷静にゲームでも楽しんでいるような悪党ぶりを楽しめるのは、前作「贋作」からでしょう。本作の原題は Repley's Game。前作と違うのは、リプリーと同格の主人公として、ゲームの共犯者となるジョナサンの存在。犯罪に巻き込まれていく(踏み込んでいく)二人の行方は如何に?例によって(?)、リプリーと、そしてジョナサンの内面の声によって、話は進んでいく。ちょっと「見知らぬ乗客」に似たような設定も面白いが、トム・リプリーという人物の性格がなければ、成り立たない奇妙な話にも思える。結構、ストレートな暴力シーンもある。でも、やはり登場人物の微細な心の動きを描くパトリシア・ハイスミスの筆の冴えが魅力の小説です。「贋作」の思わせぶりな終わり方が気になって読むと肩透かしを喰うかもしれないが、トム・リプリーに興味を持っていたら大いに楽しめると思う。家政婦マダム・アネットや妻エロイーズとのやりとり、絵を描いたり、ハープシコードを弾いたり、庭仕事をしたりのリプリーの生活も面白く読める。「アメリカの友人」というタイトルは、ドイツ人監督ヴィム・ベンダースが監督した映画からとられていると思うが、「リプリーのゲーム」の方がしっくりくるように思う。 | ||||
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とても面白かったです。 | ||||
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前作『贋作』から半年ほどたった時間軸ではじまるリプリーのゲーム。毎度毎度切り取り方がまったく違う犯罪小説なので、今回も『なるほど、、こういう導入なのか』と驚かされました。あらすじにも書いてありますが、今回リプリーは(危ない橋を渡ることのできる人物を手配してほしい)との要請を受けて、ある人物のことを頭に描きます。 それが近所に住むイギリス人男性ジョナサン。彼は妻と子どもと三人で暮らす、ごくごく平凡な…額縁商でした。 物語が怒涛の展開を見せるのは中盤から後半にかけて。リプリーの高邁な変態性と独自の道徳観は読者の遥か斜め前を突っ走り、『お前はなんなんだ…』という得体のしれなさを私たちにつきつけます。 本編だけだと星は満点でもいいのですが、解説がちょっと……という感じでしたので星4つにさせていただきます。 あと、個人的にリプリーはジョナサンに対して同じ異邦人としてのシンパシーがあるんじゃないかとか、それは少し同性愛的なものもあったんじゃないかとか(リプリーも気がつかないほどの)邪推もできますね…。。 | ||||
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某翻訳家さんの訳を読んであまりに酷くて、ハイスミ自体敬遠していたものですが、こちらは映画きっかけで読んでみたくなり、購入。 以前読んだ時の印象が全く変わりました。 現代的な言葉の言い回しも少ないし、きちんとハイスミスの文章に敬意を払っている印象があります。 内容もすんなり頭に入ってきて、これなら読み易い! リプリーシリーズの特別なファンではないですが、ハイスミス独特の、外科手術のような冷たい人物描写が日本語でもしっかり伝わります。 面白かったです♪秋の夜長にオススメ。 | ||||
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本書にはいったい何回「噂」という言葉がでてくるのだろう。35ページに6回、44ページに4回、後半部分に入ってからも226ページに3回。そう、本書は噂のダイナミズムで構成された小説である。 噂の発信者は主人公トム・リプリー。噂の犠牲者は、骨髄性白血病で長生きできる見込みのないジョナサン・トレバニー。ただ、こう書いてしまうとトムに不公平かもしれない。トレバニー家のパーティーで自己紹介した際、ジョナサンはトムに対して「お噂はかねがね・・」と冷笑するように応えた。過去に犯した殺人や犯罪(本書はシリーズ物の第三作目。トムは詐欺師で、第一作目『太陽がいっぱい』で二人を殺し、第二作目『贋作』で一人殺した)のことを言われているのかと、最初に不愉快なめにあわされたのはトムのほうだから。 折りしもリーヴス(トムはときどき彼のビジネスに協力している)から、マフィアが自分の縄張りを荒らそうとしている、マフィア同士の抗争にみせかけ始末したい、金目当てに殺しを請け負いそうな人物を誰か紹介してくれと頼まれたトムは悪ふざけを思いつく。ジョナサンの「お噂はかねがね」には噂で仕返しをして、ジョナサンにじき自分は死ぬと疑心暗鬼に陥らせ、残された妻と子のために金を残したいとリーヴスの殺しの依頼を引き受けるよう仕向けるのだ。 トムはゴーティエ(画材店をひらいていてトムはその店で絵具や絵筆を買っていた)に、ジョナサンは余命いくばくもないらしいと噂を振りまく。 「ゴーティエはたぶん、ほかの誰かにしゃべるだろう。近いうちに誰かが死にそうだというのは、誰にとってもおもしろい話題なのだ。」(40ページ) トムの目論んだ通り、ジョナサンは担当のペリエ医師の言葉を信じられず再診を要求する。妻シモーヌがペリエ医師から告知を受けながら隠しているのではと疑う。噂のターゲットになったら、弱みも持った人や病気持ちの人はどれだけもろいか。著者は現代医療と患者とその家族というテーマにも切り込んでくる。 トム⇒ゴーティエ⇒アラン(ジョナサンの親友)⇒ジョナサンの、噂の伝言ゲームがまんまと機能し、この噂が本人の耳にはいったことを知ったトムは、さっそくリーブスに手紙を書いてジョナサンを紹介する。まさに一石二鳥の悪ふざけ。なんという悪人!しかもトムというキャラクターが心底恐ろしいのは、この悪ふざけをゲーム感覚で楽しんでいることだ(本書の原題はRipley’s Game)。 ところが、ジョナサンが殺しに成功し、マフイアの復讐がはじまると、トムとジョナサンの関係は急変する。二人の関係は、シリーズ第二作目『贋作』でのトムとバーナードの関係と共通するものがある。トムが相手を悪事に巻き込む。相手はそれを渋々受け入れる。そのうちにトムの側から奇妙な友情が生まれる、という展開である。 はかないのは、ジョナサンは妻と子のために悪事に手を染めたが、何か隠し事をしているとシモーヌに気づかれ、夫婦関係がどんどん悪化していくことである。ジョナサンがシモーヌを騙し通すためにトムはいろいろ知恵(悪知恵?)をさずけるのだが、噂の伝言ゲームと違ってこちらは全く機能しない。稀代の詐欺師トムも、妻であり母であるシモーヌを手玉にとることなどできない。このあたりの女の心理、女の勘(なぜかシモーヌは夫を引きずり込んだのがトムだと早い段階で気づいている)を描くとき著者は嬉々としているようだ。 | ||||
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トム・リプリーはやむを得無いとはいえ、殺人を数多く犯している。 それなのに、バレないで欲しい、(犯罪が)露呈しないで欲しいと、 願いながら読んでしまう。 この小説の中で彼らが住んでいる家が素晴らしい。庭にはバラが、 家の中にはハープシコードが。料理上手の家政婦の存在といい 或る意味理想です。 パンを買うついでに新聞を買うのが最新の情報を得る手段であるという ところや、ロンドンとの電話を雑音が入ると言って誤魔化しながら切る ところなどは胸が詰まる感じ。 ハイスミスはどれも面白いが、同時にやるせなく切なくて身もだえする。 | ||||
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