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きつねのはなし
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きつねのはなしの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全94件 81~94 5/5ページ
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う〜ん、どうだろう? 『きつねのはなし』はわりに面白く読めたんだけど 他の作品がちょっと肌に合わないというか、 摩訶不思議な体験談ってだけで なかなか話の中に入り込めなかった、そんな感じがした。 入り込めないと言うか、 置き去りにされた感じですね。 こういう不思議系な話は嫌いではないけれど、 どの登場人物にも 感情移入ができなくて、 まぁ、どの登場人物もなんとなく影が薄い気がして しょうがなかったです。 しかし、森見さんのもつ独特さはこの作品でもしっかり健在で それはそれでよかったんだけど、 これまで読んだ作品のように 強烈なキャラクターがいない分、 物足りなかったのは気のせいではないはずです。 芳蓮堂をもっと前面に押し出して そこから人間の心の奥に潜む『魔』について 書いていくともっと面白かったかな〜と個人的には思いました。 | ||||
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京都はあやかしの町かもしれない。不思議なことが自然に起こるのだ。そのように思えるのだ。活字の世界の裏に潜んでいるだろう映像が、頭の中で構築される。あり得ない話が生まれてくる。塗り物の金魚が動き出したら叫んでしまうに違いない。 | ||||
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何かの雑誌で面白いとあったので期待して読んだのですが、 半分くらいで読むのを辞めてしまいました。 こういった不思議なストーリーは嫌いじゃないです。 好んで読んでいるほうだと思います。 ただ、この本は登場人物の気持ちが全然伝わってこないのです。 見たままを文字にしただけで、 ナレーションのないドキュメンタリーを見ているような感じでした。 | ||||
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不思議なことが不思議なままにある。きつねは、きつねの思惑で動いているのであって、人の思惑では推し量ることができない。 景色も綿密でほの暗く、感触は濃密で生ぬるく、嗅覚や聴覚が研ぎ澄まされる。 4編は、ゆるやかに繋がっているが、独立した物語として読んでもよい。 著者の独特の古風な文体は見られず、むしろ淡々とした語り口。圧倒的なインパクトには欠けるが、これはこれで好ましい。 ホラーという響きには不釣合いで、ひっそりと木陰にたたずむだけの白けた幽霊を見るような心地だった。 龍は、住むところに還れたのであろうか。淡い夢から醒めては忘れ去られる、物寂しさが残る。 | ||||
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夜は短し、太陽の塔と読んで、この「きつねのはなし」に進みました。 2作とは違う感じで、ポップさ・キラキラ感というよりも、ぼんやりと得体の知れない何か、という雰囲気です。暗いなかぼうっと光る神社のお祭り・長々と続く灯篭行列といったものを見たときの、心の中で感じる警告のようなものです。 何冊か読んでみて共通して思ったのは、装飾的なものを全て取り去って考えると、実は素朴でストレートで、なんか好感が持てます。 「京都」を濃く土俗的に表現してる、なんか京都に行ってみたくなる本です。 | ||||
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本を読むと時々「感触」のある本に出会うことがある。 「感触」は読んでいる途中に文章が視覚以外の感覚を通して、 体に入ってくるという感じでしょうか。 単純な「ホラー」ではなく「するり」というか「ぬるり」というか、 ページを通して、肌にそんな感覚を残していく本でした。 特に描写に関しては、そんな感覚が強かったように思います。 雨の描写では、鼻につんとくる雨の香りが漂い、 起こるであろう恐怖を予感させる。 そんな文章を超えた感覚が、この本にはあるように僕は感じました。 | ||||
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京都好きの方にはたまらない小説です。 京都という街がもつ不思議な雰囲気が存分に出ています。 どの話も少しずつリンクしているようで、していないような…。 同じ世界の話だけれど、どこかちょっとずつずれているような…。 というような構成です。 森見さんの他の話よりも少し笑い出してしまうような文体は少ないですが。 レビューのタイトルにも書いたとおり、京都という趣のある舞台+少し背筋がヒヤッとする奇妙な話、といった感じです。 京都好きにも、ちょっと不思議な話が好きな人にも、読みやすい小説だと思います。 | ||||
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心理的にジワジワと近付いてくる恐怖。これが意外と怖いことに気付かされました。 ふだんはあまりこういう類いの小説を読まないのですが、これは面白かった。 すべてを見透かしているかのような怪しい老人。 その老人により、得体の知れない恐怖にはまっていく青年。 老人の怖さをあおり立てる、暗く美しい骨董屋の女主人。 全体がじめっとした小説世界の空気(恐怖)は、現実にまでも浸透し始め、 寝る前に部屋の電気を消しデスク用のライトだけで読んでいた私は、 何となしに部屋の電気をつけ明るくして表題作を読み終えました。 本当は電気を絞って読んだ方が雰囲気でるかも。勇気があればですが…。 | ||||
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ホラーとも言いがたいような幻想的で不思議なお話でした。 それぞれの短編に 「狐の面」「芳蓮堂という古道具屋」というキーワードが出てきて、 一瞬すべての話はリンクしているように思えるんだけど、 設定が微妙に違う・・・・ で、どれも謎が謎のままで解決していない。 腑に落ちないような不可思議な要素が多く、 全体的に曖昧な印象を醸し出しています。 著者、作品時代は多くを語らず、 それらは自分の想像力で解決納得してくれというタイプの作品なのかも。 世の中にははっきりとさせてはいけないことがある。 「狐は人間を騙す」だとか、 そういう言い伝えも本気になって証明したりはしてはならない。 謎は謎のままでのこしておかなくてはならない場合もある。 そのへんの境界線をゆらゆらと漂うような作品でした。 | ||||
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なんだか不思議でどうなるんだろうと、期待半分で読み進めても解決しなくてあれ??と思っているとなぜか繋がっていたり気が付けば、どっぷりと物語の世界にはまり込みました。 京都の持っている独特の雰囲気からか、こんなこともあるかもしれないと思えてしまえるのが不思議でした。 京都の竹林を揺らす風の音と共に異界の扉が開いて、なんだかココに住む人は違和感無くこの世界と異界とを行き来しているのでは?と思ってしまいました。 | ||||
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ホラーではありません。恐怖を正面に据えて、「ほら怖いでしょ?」と作者が語りかけてくるような作品ではありません。キング以降のモダンホラーとは、対極にあるのでしょう。伏線、登場人物の内面描写、謎解き、クライマックスといった約束事がないので、肩すかしにあう読者もいると思います。 ところが、なかなか面白いのです。 本作は幻想を語っています。たくさんの謎も提示されますが、どれも未解決のまま、放っておかれます。 京都の夜、さびれた古道具屋、血縁の謎、ミステリアスな女、竹薮に囲まれた屋敷、琵琶湖疎水。想像力をかき立てる小道具は揃っています。 連作ですが直接の関連はなく、次章を読む度「この古道具屋って?」と、物語の背景を想像させられます。 本書は、とにかく半分だけ出して、あとは想像しなさいという小説です。 本作は、若者が道に迷い、誰かと出会い、夢のように時間が過ぎたエピソードを描いています。 幻想として描かれてはいますが、描かれている感情って、結構普遍的なので、本作は面白いのだと思います。 って、ことは幻想小説でもありますが、青春小説でもありますね。(随分屈折した方のです・・・) | ||||
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幻想怪奇譚というジャンルであるのにミステリ的な要素を期待しすぎて読み始めたわたしが間違っていたと気付いたのは第二編の「果実の中の龍」に入ってから、でした。 第一編の「きつねのはなし」はそこそこ読めて、「骨董屋」を狂言回し的にプロットして展開していく・・・おっ面白そうじゃないですかと感じたのですが、伏線があって何か一つ(複数でもよいのですが)の謎解きや筋に収斂していく、という展開ではなく、それぞれのエピソードが「ゆるく」繋がって、物語の流れとして何となく「怪奇譚」。何せ「幻想」ですので。 ん?これは前の話(後の話)とどう繋がるの?と思っても微妙に繋がらなかったり、著者が終始読者を幻惑するような、そんな本。こういう「ユルさ」を楽しんで、かつ「放っておかれ感」がお好きな方なら楽しめるのかも。ぼくの趣味ではないです。 | ||||
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京都という舞台といくつかのキーワードを軸にして、時代や設定、人物を変えながらも巧みにリンクしていく四篇は、果実の中の龍で先輩が言っていた“神秘的な糸”が張り巡らされているよう。深読みしすぎたのか、伏線かと思っていたら以後全く触れられない箇所もありましたが、逆に意外なところが結び付いていたり、先へ先へ読みたくなる作品です。 読後感はまさしくきつねにつままれたよう。恐怖と言うよりもう少し毒気の無い、奇妙とか不可思議と言ったほうがしっくりくるような、月夜にひっそり読みたくなるような一冊です。 | ||||
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デビュー作『太陽の塔』では京都の大学生の日常と妄想を面白おかしく書いていたが、今回の作品はがらりと雰囲気を変えて京都という街の暗がりの部分に目を向けた。 京都は観光都市でありながら、どこか謎を秘めた街だ。いわば京都のB面とでも言おうか、そこに足を踏み入れてしまった人たちを主人公に据えた中篇が四つ収められている。伏見稲荷・吉田神社の節分祭・琵琶湖疏水など、京都人には馴染みの場所を舞台にしてひそやかに繰り広げられる、いわば京都のB面とでも言おうか、影絵のような妖しく美しく恐ろしい物語もまた、古都・京都のもつ秘密に新たに加わった。京都という街が書かせた話といってもいいかもしれない。個人的には「果物の中の龍」が気に入った。 ただ怖いだけでなく、時には華麗ですらある描写が読ませる。夏目漱石『夢十夜』、京極夏彦『巷説百物語』などの幻想怪奇譚が好きな方には是非手に取っていただきたい。 | ||||
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