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(短編集)
最後の息子
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最後の息子の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.04pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 41~53 3/3ページ
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主人公自分の日常をなぜかビデオカメラに記録しており、ビデオカメラから覗く「切り取られた」生活と実際の生活とが交錯しながら物語は続く。主人公はオカマ・閻魔ちゃんのヒモという立場でもあり、そんなことからこの話は浮遊感たっぷり。とはいえ人の死や親、恋といった基本的な命題もそれなりに織り込まれていて、決して楽しい浮き草暮らし、という感じでもない。 他編「Water」も、『青春デンデケ~』を彷彿とさせるもそれほど明るくはなく、屈折している分現実的か。 | ||||
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おかまの「閻魔ちゃん」との共同生活をビデオカメラを通してえがいたもの。おかまのひも、という微妙な立場にもかかわらず、主人公はその生活をとても穏やかで、過ごしやすいと感じている。読む価値大有り!! 同時収録のwaterもお勧め! | ||||
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なんだか不思議な本だった。 首を傾げてしまう不思議さではなく、 不思議な暖かさに包まれる本だった。 閻魔ちゃんの無垢さに憧れながら「ぼく」の計算高さに共感してしまう。 他2編もあったかくてくすぐったいような世界と現実のちょっと汚れた世界の 両方が介在する作品だった。 | ||||
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表題作の「最後の息子」は、彼の世界観に入り込むまでにずいぶん時間がかかった。 よくできた話だったけれど、この先どうなるのだろう?みたいなドキドキ感はあまりなく、淡々と話は進行していく。 でも最後の最後でタイトルの意味がわかる仕組みになっている。 特に文体に癖があるというわけではないけれど、私はあまり文章に入り込めなかった。人物に感情移入しにくい作品かもしれない。 そこそこおもしろいのだけど、最後まで主人公が何を考えているのかよく理解できなかった。 破片」と「water」は、死によってもたらされた変化がどちらも淡々と書かれていて好感が持てる。 死を強調していないのに、強く残るところがいい。 私は「破片」が一番よかったと思う。 | ||||
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3篇あるうちのwater中心にレビューを書こうと思う。受験問題集にこの作品が使われていたことで出会った作品。 当時高校生だった私は、部活(水泳)に、いや高校生活に一生懸命な彼らを身近に思えずに入られなかった。第一印象はそんなかんじだったのだが、いざ読んでみると、これまた高校生のすべてといってもいいくらいの感情・生活が描かれている。エロ思考がやや多めだと感じたが、主人公が高校生男子なのだからそれも普通かもしれない。 最大の山場は水泳の大会で、部活特有の「勝利へのこだわり」「緊張」そして「終わった後の安堵感」などが読むことによって溢れてくる。読み終えたあと、続きが読みたい!と激しく思ったが、1日経った今は、こういう終わり方もありなのかな、と、その後の彼らを想像しながら思うとともに、これが『読み終えて何か残る感じ』とでもいうのか、としみじみ思っている。 | ||||
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読み終えたとき、これほど心地よい“虚無”を感じる本はありません。どれも自分とは近いようで遠い世界の話でした。しかし単なる状況説明的な作品が氾濫する中で吉田作品は、ひとりひとりの繊細な心理を美しく描写することで、艶やかさや厭わしさといった人間の深意をなぜか愛おしいと思わせてくれるのです。中でも、女を失った男家族を描いた「破片」は美しかった。透明と不透明が混同するようにお互いを見つめ、何かを求める心が私には切なく映りました。私は、これほど人間が情操だと思ってもいませんでした。思っていたのかもしれないけど、感じてはいなかった。それを気付かされたことが“虚無”につながったのかもしれません。吉田作品は、人間の情操、逆を言えば儚さを訴えているように思えます。個人的には、村上春樹のような後味の残る1冊だと思いました。 | ||||
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読み終えたとき、これほど心地よい“虚無”を感じる本はありません。どれも自分とは近いようで遠い世界の話でした。しかし単なる状況説明的な作品が氾濫する中で吉田作品は、ひとりひとりの繊細な心理を美しく描写することで、艶やかさや厭わしさといった人間の深意をなぜか愛おしいと思わせてくれるのです。中でも、女を失った男家族を描いた「破片」は美しかった。透明と不透明が混同するようにお互いを見つめ、何かを求める心が私には切なく映りました。私は、これほど人間が情操だと思ってもいませんでした。思っていたのかもしれないけど、感じてはいなかった。それを気付かされたことが“虚無”につながったのかもしれません。吉田作品は、人間の情操、逆を言えば儚さを訴えているように思えます。個人的には、村上春樹のような後味の残る1冊だと思いました。 | ||||
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3編の中では『water』が良かった。水泳部という夏限定みたいな、更に主人公にとって最後の大会になるかもといったあたりも、夏のひとときを切り取ったような物語に、一役買っている気がする。 最近涙もろいとはいえ、女子部キャプテンの大会後の挨拶の所で、涙してしまいました。短い中に、それぞれの悩みや傷なんかも織り込んで、お見事だと思いました。表題作『最後の息子』は、淡々と描かれていたのが、かえって哀しかった。人の弱さというものを、思ってしまいました。 | ||||
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表題作の主人公「ぼく」は、オカマの閻魔ちゃんのヒモ。「体調の良い病人」のような一見気ままな生活の中で、「ぼく」は自分の演じるべき役を模索している。そして同時に自らの努力を、苦笑いしながら眺めているのだ。 収められた三篇の作品はどれも、映像的な印象。一人称の語り手は、自分自身の姿をも場面全体の情景の中で捉えるような、客観的な視点を持っていて、それが語りをクールなものにしている。三篇の作品すべての中心には身近な人の死が横たわり、主人公たちの生はいやおうなくその影響を受け歪められているのだが、語りのクールさゆえに、作品の味わいは陰惨なものではなく、軽やかで洒脱である。 表題作で「ぼく」が、ビデオカメラを通して自らの映像化(客観視)を行っているのが象徴的だ。 | ||||
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文章は読みやすい。描写力もあると思う。 『パークライフ』でも思ったけど、1つの世界を主人公の目で追体験させるのが上手い作家。 けど、読後にいつも「だから何?」て感想になってしまう。テーマらしきものをポンと意味ありげに提示して、そのうち何か起こるのかな、この主題が後で大きく展開するのかな、と思わせておいて、放り投げたまま終わり、て感じ。 ページをめくるのがもどかしくなるような、そういう小説の楽しみ方が好きな人にはお勧めしない。 作者の「これが伝えたい、書きたい!」て気持ちが希薄な気がする。私の読み込みが足りないか、波長が合わないだけかもしれないが。「破片」は良かったと思う。長崎弁のリズムのせいかもしれないけど。 | ||||
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何だこの始まり方は? 何が作品の核だ? これから何があるんだろう。……と、読み始めから不安いっぱいになった。繰り返し描写されていく日常のエピソード。その一つ一つが雑学的知識にあふれたもので(例えばグロテスクという言葉の由来とか)、読んでいて為になった。けれど、話が「進んでいる」という感じがしない。そのうちに、「いつまでこの展開が続くんだ?」と不安になり、飽き始め、投げ出したくなったときにふっと話が終わった……という感じ。読みやすくて、考えさせられるお話たちだけれど、主人公と同化して読者が一緒に楽しめるものではないように思う。 | ||||
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収録されている3つの短篇共に、現実の話として存在することだろう。ただ、いずれも私とは離れた世界の出来事だったからなのかも知れないが、著者が本当に言いたいと考えていたであろうことを理解できたとは思えなかった。物語はたんたんとしており、文体も読みやすいが、小山をいくつも乗り越えていくものの大きな山や谷は出てこない。ある程度先が読める展開、しかし全く予測できないラスト。著者の訴えたいことがストレートに表現されていれば、共感しやすいのかもしれないが、著者独特の終わらせ方に欲求不満を感じた。自分ではこれが主題であり、これを感じて欲しかったのだろうと想像するが、誰もがそれを同じように主題だと感じるかどうかはわからない。読み終わった後に、誰かと語り合い、確認したくなってしまった。吉田氏の作品は初めて読んだが、まだ私には読みこなせなかった。 | ||||
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著者のデビュー作。軽快、爽やかでありながら、何となく訴えかけてくるものがある。私の大好きなのはこの本にある「ウォーター」高校の水泳部の青春系の小説にみえるが、その奥底にはもっと違った概念、『本当の高校生』というものがかいま見える。芥川賞も取り、登り調子の作家のデビュー作は必読である。 | ||||
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