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(短編集)

最後の息子



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【この小説が収録されている参考書籍】
最後の息子
最後の息子 (文春文庫)

最後の息子の評価: 4.04/5点 レビュー 53件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.04pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全38件 1~20 1/2ページ
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No.38:
(5pt)

面白い。

面白いのでお勧めです。
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No.37:
(4pt)

最後の息子

頭の中に残らない本でした
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No.36:
(4pt)

年代の相違を超えて。

「最後の息子」は現代の若者らしさがよく描かれていると思った。年寄りの私には想像もつかない生活だが、テレビなどにも似たようなドラマがあるし今の時代の一面だろうと思う。
一番好きなのは「water」で若者の純情で熱い思いが伝わってくる。爽やかな青春賛歌。
本を読むとすぐ人に貸してしまうので今手元になくて題を忘れてしまったが、男3人所帯の物語も心に残っている。年代の相違を超えて印象に残った短編集である。
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No.35:
(4pt)

結局丸一日のはなし

表題作の「最後の息子」は、何回も読めば読むほど訳が分からなくなっていく奥深い作品だと思われる。ぼくと閻魔ちゃんと大統領とMKとマリネさんと佐和子と母親と父親と右近と朋子などなど、キャラの濃い人間たちがたくさん登場してきて、面白い作品だと読み初めのころは思っていた。しかし、何回も読んでいくうちに、このはなしは、きのうの夜母が突然新宿のホテルに家出してきて、佐和子を呼び出すはめとなり、三人で食事して、閻魔ちゃんを呼び出そうとするのだが......、その後、ぼくは部屋に帰り閻魔ちゃんの置き手紙を読んで、これまで閻魔ちゃんと一緒に撮ってきた全てのビデオを丸一日かけて観るということに私は気付くこととなった。この丸一日しか時間は経っていないことを、吉田修一という作家は、ビデオをとおして観た風景とそれに付随する風景というとても長い時間をほぼ全体の紙面を割いて描写している。「最後の息子」という言葉も、終わりに出てくる閻魔ちゃんの置き手紙の中にある言葉だ。この小説は、深く読むと非常に難しいように思われる。一見、読み易い言葉に誘われて読んだ気になるのだが、区切り区切りで、考えさせられる文章や言葉が沢山あるように思われる。この小説を完全に理解するのは、至難の業だと思われる。
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No.34:
(5pt)

Water

最後の短編が一番生き生きとして、面白かった。誰か、映像化してください。
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No.33:
(5pt)

吉田修一は、素晴らしい。芥川作家にふさわしい。

吉田修一は、素晴らしい。芥川作家にふさわしい。全部の短編は面白かった。
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No.32:
(4pt)

軽くてウィットに富んだ、悲しみ

吉田修一の「悪人」から読み出して、どんどん新刊を読み漁り、それから時間を逆行するようにこの短編集に辿り着いた。
みずみずしい。大胆な設定を、おそらく敢えて、サラッと描いている。
こうやって作家デビューをした吉田修一は、この作品で茶化したテーマを邂逅するように
最新刊「怒り」ではそのテーマの延長線を、重くて切実な想いに昇華させ、ど真ん中の気持ちを吐き出している。
恐るべし、吉田ワールド。
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No.31:
(5pt)

まさに追体験!

「WATER」が凄く良かった。まるで自分の中学時代を追体験をしてるような作品。小説同様、隣の学区の2中にライバルが居て、3つ程の市単位で行う大会では我が4中はメドレーでいつもその2中に負けて2位。そして3年生最後の大阪大会という大舞台で僕たち4中は見事、2中を抑えて4位入賞。入学してから水泳を始めたメンバーがバックを担当してたりでまさに部員皆で成長して勝ち取った勝利だった。部の雰囲気も小説そっくり。1年の頃は校内暴力、ヤンキー世代の最終年代の先輩がおり異常な緊張感があったけど、彼らが卒業して自分たちが3年になった頃には先輩後輩仲良く、いつも日が暮れるまで練習後に水球をして遊んでた。石ケリしながら固形塩素を投げ入れるのも大好きで最後は25m先のプールサイドに良く当ててたり、練習前の誰も入っていない水面が風でキラキラする感じとか。で、もしかしたら自分も人生最良の時だったかもしれない。
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No.30:
(4pt)

吉田修一さんのデビュー作

本書『最後の息子』は、タイトル作の他、『破片』、『Water』が収録された短編集だ。三篇とも趣きが随分と違うが、共通するのは、現実に目を背けている人が登場することだろうか。何気ない日常の風景に、ネガティブなものを投じると、忘れがたい物語に変じるから不思議である。特に、家族の中にネガティブさを持ち込まれると、居心地の悪さゆえに、かえって引き込まれてしまう。

■最後の息子
新宿のオカマ閻魔ちゃんと同棲しているぼく。ぼくは、閻魔ちゃんを愛しているわけではなく、ゆったりと本を読んで過ごしたいから一緒にいる。閻魔ちゃんに愛想をつかされるわけにいかないから、金をくすねたり、足蹴にしたり、ひどい夫を演じて気を引くのだ。

本作品は、ぼくのビデオ日記の体裁である。ホモ狩りで命をおとした友人を悼み、ビデオと撮りつづけるぼく。怠惰に過ごしたいから愛していない男と暮らすという欺瞞を、フィルターをとおして眺めているようだ。あたかも、映像に映ったものが、本当の自分ではないかのように。「最後の息子」という言葉に込められた閻魔ちゃんのぼくへの思いを知ったとき、ぼくはフィルターをはずして向き合うことができるのだろうか。愛とも友情とも違う心の機微が描かれた作品である。

なお、本作品は『春、バーニーズ』で後日譚を読むことができる。

■破片
一年ぶりに東京から故郷に帰ってきた大海と、実家の酒屋を継いだ弟 岳志。大海は東京での暮らしがパッとせず、岳志はストーカーまがいの行為をつづけている。大海と岳志は、幼い頃に、母親が目の前で土石流に飲まれてしまったのだが、これが、二人のしっくりいかない今を暗示しているようである。

大海と岳志の日々に、二人の幼い頃の出来事が挿入されるかたちで、ストーリーは展開していく。大海、岳志、そして父親。語りあうことが難しくなってしまった家族の微妙な距離感が伝わってくるようだ。彼らの関係は、岳志が、割ったビール瓶の破片で飾り立てながら、長い時間をかけて改装している廃屋に象徴されているのだろうか。

■Water
凌雲、浩介、拓次、圭一郎の高校水泳部員が、県大会を目指す日々をつづっている。友情あり恋愛ありの王道のスポーツ青春小説だ。この短編集では、一番、清清しく、アツい気持ちになれる作品である。

亡くなった兄に憧れ、水泳の道へ入った主将の凌雲。寝ても覚めても水泳一色だ。そんな凌運は、圭一郎の彼女 藤森さんに恋をしている。だが、圭一郎は、浩介に同性愛の感情を抱いているらしい。こういう瑞々しい関係がテンポ良く描れている。県大会の最終レースがクライマックス。思わず力が入ってしまうだろう。

凌雲の母は、兄が亡くなった事実を受け入れられず、情緒が不安定になっている。現実から目を背けている人だ。この短編集に通底するものはこの快活な作品にも見られるのである。
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No.29:
(5pt)

青春のひとしずく

ラストに収められている「WATER」という作品が一番好きだ。
中年にさしかかった小生には、自分の青春時代の思い出と重なり、
大事な青春のひとしずくのように思える。
友達の恋人が気になったり、
部活動にストイックにとりくんだり、
進路のことで悩んだり。
吉田修一は、こういうのを書かせたら天下一品だと思う。
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No.28:
(4pt)

“不穏な空気”を描かせると抜群にうまい

『最後の息子』の主人公は、自らのセクシャリティに悩むでもなく、かといってシラケ気分なわけでもなく、いとも身軽にバイセクシャルな生活を楽しんでいる。だから何?という話ではあるが…。
ところで、吉田修一の筆致には、男の描写に独特のエロティシズムがある。わかる人にだけウインクしているような書き方をする。『破片』はそれが顕著だ。この小説は進むにつれて、だんだん不穏な空気を帯びてくるのだが、吉田修一はこの“不穏な空気”を書かせても絶妙に巧い。“喪失”と“再生”を描く作家は数々あれど、吉田修一の場合は“喪失”の埋め合わせが“過剰”になる。その歪みから生じるものが、独特の不穏な空気となり、作品を覆う緊張感となる。この特徴は、やがて大傑作『悪人』でさらなる昇華を遂げる。
『Water』は爽やかな青春グラフィティ。でも、やはりパフェの中に少し砂が混じっているような、ザラリとした手触りがところどころ出てくる。友人のゲイ疑惑や、精神を病んだ母の話…そうした一瞬ハッと読者を立ち止まらせる力こそが、単なる「爽快感200%、とってもキュートな青春小説」という通り一遍の紹介文だけでは見えてこない、吉田修一の多面性を示す本質ではないだろうか。
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No.27:
(5pt)

十代終わりの、壊れやすい日常生活を描いた三編

自分の日常を撮ったビデオ日記を見ながら回想する、という斬新な設定の面白い表題作は、人生にまだ色々な戸惑いを抱えた主人公「ぼく」の自己相対化プロセスを描く。ある意味、その設定によって成り立っている小説。

二つ目の「破片」は、テレフォンセックスのバイトをする女と東京で同棲している兄大海と、長崎に残って家業を手伝いながら倉庫を改造して妙ちくりんな家を造り、しかも女性関係でしばしば気狂い沙汰を引き起こしてしまう弟岳志という二人の兄弟を描く。二人のどことなく狂った感じは、何かそれぞれの胸に突き刺さった破片のあることを思わせ、それが目の前で濁流に呑まれた母の死の記憶と関連しているらしいことも匂わされてはいる。しかし物語の〈語り〉は、三人称であるにもかかわらずそっと二人の兄弟のほうに寄り添っていて、温かい。彼らと、彼らを取り巻く人々と、長崎の町の空気とが、家族の懐かしいスライドのように浮かんでは消えて、印象に残る。

水泳部の高校生四人組を描いた「Water」は、ある意味では昨今の「ラノベ」の走りとも言える小説で、高校生の視線で見た「同性愛」とか「心の病気」とか、そういう道具立てをこれ以降のラノベに提供したという側面もありそう。この作家の作品としては異色だとする人も多いが、作者自身がメガホンを取って映画化もしており、吉田にとって鍵になる作品であることは間違いない。
常に一緒だった仲間達が別々の道を歩み出す時の困難、女の子を巡る微妙な状況、そしてそれぞれの家庭の問題といったものに、初めて大人として向き合わなければならなくなる年齢特有の危うさが、この作品の主題であろう。
ちなみに「ホモ」の圭一郎が読むコクトーの『白書』は、本作の発表数年前に、コクトーのポルノグラフィックなイラストをすべて収録した完全版の山上昌子訳が刊行されたもので、そのことが圭一郎のセクシュアリティの自覚に一役買っているらしいことが仄めかされている。ただ、まず地方の水泳部の高校生が自分のセクシュアリティに悩んだからといってコクトーの『白書』を読むかどうか、そして本作の読者のどれほどが果たしてこの挿絵完全収録版のことを連想できたか、そのあたりは疑問である。もっとも映画のほうではストーリーに大きな変更があり、この挿絵が一つの鍵になっているらしい。いずれ観てみたいと思う。
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No.26:
(4pt)

受け入れてもらえない者と受け入れなければならない者

「最後の息子」「破片」「Water」を収録した短篇集です。受け入れてもらえない者と、受け入れなければならない者とが、それぞれ持つ苦しみ。苦しみの矛先は、一体どこへ向いているのでしょうか。

「何かを始めるときの自分が、一番臆病で、そして一番勇敢だ」
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No.25:
(4pt)

これが原点だと言えるのでは??

著者の作品を色々読みながら、エッセンスの凝縮の仕方やキャラクター設定など他の作品よりも感度が高く、今尚この作品は秀逸だと思う。
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No.24:
(4pt)

はまってしまった

後輩に勧められて最初に読んだ吉田修一の本です。 これではまって吉田さんの本は10冊くらい読みました。
いろんな話題 登場人物 ストーリーがあるけど おかまちゃん 少年時代のホモセクシャルは彼の共通する
テーマですね。でもほんと知らず知らずに引き込まれる文章はとても魅力あります。
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No.23:
(5pt)

飾らない新鮮さが魅力

新人らしい実に新鮮さが伝わる作品。
「最後の息子」はおかまと同棲する青年の日常を「ビデオ」で振り返る回顧録。これまでにない構成でちょっと驚いた。
あまり馴染みのないおかまの心情や苦悩。そのおかまに食べさせてもらっている青年の気遣い。青年のまっすぐな気持ちとおかまの掛け合いは、妙に心地よく時に心理を付いてどきっとする。結末が少し寂しかったけど、この物語を終わらすとすればこんな終わり方でいいのかなと納得した。
「破片」は九州の父親と3人の男兄弟の生活を、何の飾りも付けずに見事に描いている。男達のぶつかり合う汗、少しの涙。なつかしい、まさに昭和の風を感じさせてくれる。
「Water」は高校の水泳部員の青春物語。個人的には一番良かった。題材的にはありきたりかもしれないが、高校生の生活にはあまり馴染みのないタブー視されてきた大人の問題を織り込ませながら単純な青春ものにしていない。それにも係わらず読み終えた後の爽快感は感嘆。
3編それぞれに個性があり、短くはあるものの今後の活躍が期待される1冊と言える。
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No.22:
(4pt)

個人的にキュート

表題作「最後の息子」について

新宿でオカマの閻魔ちゃんと暮す若い男(主人公)のモラトリアムな日々。
物語は主人公が撮りためたビデオの映像を軸に進む。
映像に残された怠惰な暮らしの中には…。

現実にオカマと同棲経験のある人は多くないと思うけれど
一見、非日常的で同調しようもないと思えるこの話、
読み終えてみると思いの外に普遍的。
結局そこにあるのは、愛したい、愛されたいという人間の本質的な部分そのもので
そこに薄っすらとつきまとう物悲しさ、
またその物悲しさを皮肉に笑うことしか出来ない無力感、
それらは何ら特別なものではないからだ。
「何もしない時間を貢いでもらっている」主人公の
それ故の不自由さ、閉塞感のようなものが
部屋で過去のビデオを延々見直すという行為によって効果的に表現される。

最終場面で主人公が日記を開いてやったこと。
全てを一から受け入れようとしているようで清々しい。
必ずしも万人がキュートだと感じるかは疑問だけど
個人的にはお奨めの1冊。
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No.21:
(4pt)

『Water』は自分と重なる

作者の出身地である長崎が登場する中篇3作品を収録したもの。基本的には3作品

とも長崎或いは東京で、若干のイレギュラーが混ざった日常生活を描いたもの

なのだが、『最後の息子』は、首都圏に長いこと住んでいてもそうそう「動いて

いるオカマさん」に遭遇することも無いので、「オカマのヒモ」がどんな感じなのか

は良く分からず、それなりに面白く読み進める事は出来はしたが、残念ながら

あまり自分の中では残っていない。

『破片』については、倉庫を改造し、ガラスを埋め込んだ通路が全国ネットで

紹介されるように、基本的には何かに熱中するのは良い事なのだが、相手に

若干迷惑がられながらも「自分がいなければあの人はダメなんだ。」と思い込んで

自分より年上のスナックの女性に入れあげるさまは、誰かのことを好きになると

いうことの危うさについて色々考えさせられた。

『Water』に関しては、主人公の、水泳部の仲間との友情・切磋琢磨・麻雀等を

通じ、薄いながらも思いもがけずエロい感情を抱いてしまった時に、何かが

壊れてしまうような気がして「自制している自分」を演じている『童貞紳士』

ぶりが、同じ世代だった頃の自分自身と重なってくる感覚が良い。それに、

作者自らが監督をしながら映画化されていたことには気付きませんでした。

映画に関するレビューはDVDが出てから書きたいと思います。
最後の息子Amazon書評・レビュー:最後の息子より
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No.20:
(5pt)

心温まる短編集

本書には最後の息子、破片、Waterの3編の短編が収められています。特に私は「Water」が気に入りました。吉田氏の小説はどこと無く無気力な男が主人公であることが多く、それが現代っぽくって多くの人から支持されているのでしょうが、Waterに出てくる主人公は現代っぽさの中に非常に熱い情熱を感じる青年で、久しぶりにスッキリする青春小説でした。

他の2編についても吉田氏らしい描写の上手さや、過去と現在が場面場面で交差する独特のタッチで描かれています。吉田氏の小説の特徴を一言で言うなら「テレビドラマ小説」だと思います。テレビドラマはいきなり場面が変わり、出演者も変わるのにひとつのストーリーとして流れていきます。それと同じように吉田氏の小説もいきなり過去に飛んだり、主体が変わったりしますが、読んでいる方はまるでテレビを見ているように、その場面場面に引き込まれていきます。本書で吉田ワールドを堪能してみてください。
最後の息子Amazon書評・レビュー:最後の息子より
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No.19:
(4pt)

初期の吉田修一も、今読むと新鮮

吉田修一氏初期の作品。

「最後の息子」「破片」「Water」という三篇が収められており、

前2編は芥川賞候補作品。

個人的にはそのニ編より「Water」を読んで驚いた。

吉田修一というと繊細な叙景と心理描写に特徴があり、

洗練された文体の書き手というイメージがあるのだが、

Waterは直球勝負の爽快な青春小説。

巧妙な比喩や伏線を読み解く楽しみはないものの、

その分ニュートラルな気持ちで一気に読みきれ、

疾走感と爽やかな読後感があった。

こういう初期の吉田修一も、新鮮で印象に残った。

「最後の息子」「破片」は読み手によって印象の変わる作品と感じる。

人によっては、読み終わったあとも”何もない”と感じてしまうかも知れない。

個人的には微妙な心の隙間が行間からうまく伝わって来て、

押し付けがましくない読後感を心地良く感じた。

自分にとっては3編とも面白く読めた良作でした。
最後の息子Amazon書評・レビュー:最後の息子より
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