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神様が殺してくれる Dieu aime Lion



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神様が殺してくれる Dieu aime Lionの評価: 3.72/5点 レビュー 18件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.72pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

森ファンなら○だが、ミステリィとしては×かも

いわゆる「ジャケ買い」をした人が多いみたいなので、本書のタイトルを考えた森先生と、カバーデザインを手がけた鈴木成一デザイン室の見事な勝利ではないでしょうか。内容がどうであれ、ビジネスの観点では売れたもの勝ちですから。

ただし、その内容に関しては森先生の代表作となる作品でないと断言できます。事件の解決に関わる重要事項が、最後の最後まで明かされない点において、「夢オチ」に匹敵するぐらいのオキテやぶりだからです。

物語の中に伏線をはるでもなく、唐突に最後の最後で重要情報が開示されるので、「なんだそりゃ、そんなの絶対わかるわけないじゃん」という印象です。

重ねて言えば、フランス、ベルギー、スイス、ドイツ、イタリア、台湾、日本と世界各国を舞台にするのですが、各都市の描写が浅く、各国の刑事のキャラクターの違いも感じられなかったので、その必然性が感じられませんでした。

もしかして、物語の中心的役割を果たす“ものすごく美してくて、男性なのにまるで女性のように見える人物”を日本人で成立させるのが難しく、その人物を白人に設定するために舞台を外国にしたかったのでしょうか。

それならそれで、もう少し取材して、各国の描き込みをするべきだったのではないかと思いました。

いろいろ書きましたが、要するにタイトルとカバーデザインの出来映えに内容が追いついていないということです。森先生は以前に幻冬舎に印税をちょろまかされたことがあると書いていたので、幻冬舎の本は真剣に書くつもりがないのかもしれません。
神様が殺してくれるAmazon書評・レビュー:神様が殺してくれるより
4344024095
No.2:
(3pt)

〈ジャッロ〉としての萩尾望都的世界

森博嗣が萩尾望都の漫画を新しい視点から小説化した『トーマの心臓』は、僕の好きな小説だ。だからこそ本書『神様が殺してくれる』を書店で発見したときは、迷うことなく購入した。なぜなら解説が萩尾望都だし、裏表紙のあらすじもとても面白そうだったから。実際に、読んでいる間はとても面白かった。ここで描かれるヨーロッパは、いわばひとつのパラレルワールドである。萩尾望都が創り出した世界観の中で展開する殺人事件、といってもいい。

うーむ、と思わず呻吟してしまったのは、ラストで明かされる真相とトリックだ。一個のミステリーとして眺めれば、これは『アクロイド殺し』にも匹敵する破壊的なトリックである。有名なあるタブーを堂々と冒しているし、叙述にもアンフェアのそしりを免れないものがある。しかしその仕掛け方はなかなか凝っているし、まあこれはこれでアリだろう、と今は思う。逆にいえば、このトリックを成立させるために一種のパラレルワールドが用意されたのかもしれない。

それよりも気になるのは、動機の問題だ。これから読む方のために詳細は伏せておきたいけれど、僕としてはかなりモヤッと感が残った、とだけ書いておこう。もちろん、本書を〈ジャッロ〉として楽しめばいささかの問題もない。しかし気がかりなのは、セックスやジェンダーのことばかりに目を奪われて、セクシャリティというものがあまりに置き去りにされているのではないか、ということだ。まあ、それも含めてのパラレルワールドなのかもしれないけれど…。

ちなみに、萩尾望都による解説はネタバレ全開なので、必ず本編を読み終えてからお読みいただきたい(と萩尾先生も冒頭で書いておられる)。しかし、ここでもやはりセクシャリティの問題が形而上的にしか語られないのが、僕には少々不満だった。もうひとつ、P353の9~10行目の文章はちょっとした萩尾先生の勘違いなのか、単に分かりにくい文章なのか。ここで語られる「母親」の文脈には、「リオンから」とか「リオンの」という表記が欠かせないと思う。
神様が殺してくれるAmazon書評・レビュー:神様が殺してくれるより
4344024095
No.1:
(3pt)

トリックは、ベタ

最近の、Gシリーズのような、言い方は悪いけれど「とりあえず出版してお茶を濁す」ようなミステリィとは違い、
久しぶりのような感さえする「正統派森ミステリィ」。

内容は海外を舞台にした殺人事件。
個人的には日本人があまり登場しないミステリィはあまり好きではないのだけれど(日本も舞台ではある)、
幻冬舎からの出版ということもあり、真賀田四季に振り回されることのない(というのも少し嫌味な言い方だけれど)森ミステリィの初心者向けとしては良作なのかもしれないと感じた。

基本的にシンプルな内容。ネタバレにならない範囲でのレビューだが、トリックを含め「誰にも理解ができない」という性質の作品ではない。
それでも「え!?」と驚くような展開もあるし、森博嗣を待ち続けているファンにとってはちょっとした小休止、初めて森作品に触れる人にとっては入り口になるような作品だと思う。
神様が殺してくれるAmazon書評・レビュー:神様が殺してくれるより
4344024095

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