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楽園の蝶
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楽園の蝶の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.82pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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読んでる間わくわく感がありました。しかし、後半になっても話は佳境に入ってこない。起承承承といった感じで、どうなっているんだ!次週に続くのか?と思っていたら、置いてけぼりにされてしまった。えっ!これで終わり?うそ!続きはどこ?もしや本に仕掛けがあるのではとひっくり返してみたり、火に炙ってみたりしたが、新たな文字が浮かび上がるはずもない。実は違うペンネームで続編を書いていてそれにつながる謎解きのヒントがあるのではと考えてみたが、思いもつかない。参りました。降参です。これ続編書けますよね。僕には壮大な謎のプロローグにしか思えませんでした。ぜひ続きをお願いします。 | ||||
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時代背景は日本軍の支配する満州国。無政府主義の学生運動にかかわったために逮捕され、釈放後日本で居場所を失った坊ちゃんシナリオライターが満州国の新京にできた最新映画撮影所で遭遇する事件の数々。ジャンルは推理小説といっていいかも。 | ||||
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京都旧家の出身ながら慶應義塾在学中に社会主義思想に染まり、拘留中の"転向"宣言を経て学業と実家から追われた23歳の朝比奈は、幼少に京都の映画撮影所に出入りしていた縁から、満洲映画協会に脚本家としての職を得る。 建国10年に沸き立つ独立国家、満洲帝国。超特急あじあ号から首都新京に降り立った彼は、大陸的な雰囲気と多国語の声高に混じり合う新興都市の活気に魅せられる。 意気揚々と新天地での活躍を夢想した朝比奈だったが、若き女性監督桐谷サカエ(ここ重要!)よりすべての自信作を否定され、新機軸の探偵ものの執筆を命じられる。 意気投合した中国人スタッフ陳雲と彼の妹、桂花との共同執筆作業を開始した彼は、桂花への恋慕を愉しみつつ、日本ではお目にかかれない最新の英米仏のフィルムを研究し、乱歩の20面相をネタに「中国人の愉しめる」脚本に取り組む。前途洋々、意気軒昂。 だが朝比奈は偶然にも、"日本の国策会社"満映の真実の姿を垣間見ることとなる。 対米英戦争一色の日本と対照をなす日常生活を満喫する彼が、新京の持つ"映画セットのハリボテのような"昼の姿と人の奥の闇を顕現化した夜の姿の二面性を認識したとき、それは満洲国の偽善性が顕わになった瞬間でもあった。 そして知る決定的で過酷な事実。目を閉じる。目眩。 「だって、おかしいだろう」(p232)には感情が揺さぶられた。 希望が絶望に変節した脳裏に浮かぶ蝶の群れ 「この世は本当は蝶が夢を見ているだけなのかもしれない」(p245) ・関東軍の人体実験こそ悪名高いが、満洲国の事実上の支配者=日本人官僚が現地住民を支配する道具として"阿片を活用"し、より多くの中国人の心身を蝕んだ事実。その舞台装置としての満洲映画協会の真の姿がえぐり出される。 ・歴史上の著名人、特にキーパーソンとなる元憲兵隊将校から満洲映画協会理事長職に就いた甘粕正彦と、満洲国より"国防を委託された"大日本帝国・関東の軍防疫給水部731部隊を率いる軍医少将、石井四郎の物言いと動作仕草が、いまそこに立つ人物のように活写されているのも本書の魅力のひとつとなっている。 ・李香蘭については、満映スターであったこと、似非中国人として日本人の観客から喝采を浴びたことが簡潔に述べられるに留まる。満映が舞台なのだから、できれば彼女と甘粕正彦の関わりについて一捻りほしかったな。 ・せめて映画好きの陳雲青年には、"解放後"の希望ある未来の展望あることを願ってやまない。 御参考までに満洲・満映と甘粕正彦氏についての図書です。(手持ちの分だけですが。) ■李香蘭と東アジア 四万田犬彦編、東京大学出版会・2001年12月発行 p108に掲載される甘粕理事長へのインタビュー記事に、満映機構改革と満洲至上主義に基づく映画国策の理念が現れています。 (『魅惑の姑娘スター李香蘭の転生−甘粕正彦と岩崎アキラ(漢字)、そして川喜多長政』牧野守) ■満洲国のビジュアル・メディア 貴志俊彦著、吉川弘文館・2010年6月発行 p176に、大衆の教化を強める目的で1941年12月に行われた満映の部門改正(製作部の啓民映画部、娯民映画部、作業管理所への分割)と、娯楽の統制のことが記載されています。 (『8章 決戦体制下における弘報独占主義」) 最後に。 プロローグの「ソーイチくん!」……お見事です。 | ||||
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「ジョーカー・ゲーム」とはまた違った味わいの作品。独特のユーモアがあり、ときおりくすりと笑わされた。読みやすく一気に読み終えてしまったが、あとで二重三重に物語が構築されていたことに気がつく。柳作品はいつも侮れない。 印象的だったのは、何人かの登場人物が突然姿を消すまたは死亡し、その後物語に一切登場しない点。恐らく意図的にやっているものと思われるが、これが軽い文体の中にも、全体に不穏なリズムと不思議な虚構感を与えている。 戦争前夜の混沌とした中で、登場人物の誰もが傷を負い、望んだような人生を送る事ができていない。その中で英一や桐谷監督が事態にどう対処し、何を選択したのか? 映画も人生も、胡蝶の夢のように儚いものなのかもしれないが、それでも(だからこそ)、我々は前を向いて生きるのである。 | ||||
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本当に面白かったです。 戦争が近づく気配を敏感に感じつつ、不穏な空気に不安を抱きながらも、目の前にある、自分が今守れるかもしれない、あるいは守りたいと思うものを、必死で守ろうとする主人公の英一。 「ジョーカー・ゲーム」シリーズの結城中佐のような超人ではないかもしれませんが、だからこその強さを魅せてくれていると感じました。 そんな英一は、現代という、ある意味不穏な空気の中を生きる私たちが強く共感できる人物だと思います。 英一を取り巻く人々も個性ある人たちばかりで、他の著作もいくつか読んでいますが、毎回、柳広司さんの筆力の高さに驚きます。 厳しい時代にあっても、未来への希望を持ち続ける、そんなラストも印象的でした。ユーモラスな場面もよかったです。 | ||||
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ジョーカーゲームシリーズのファンで、待ちに待った新刊でした。 期待を裏切らない内容で、読んでいる間も読み終えた後でも、自分の中でストーリーが広がる、そんな楽しみもあります。 表面的には静かな様でありながら、深い、そんな文章力には感嘆します。 現代に生きる私たちにも共感できる人物や状況の描写が丁寧にされてるというのも印象的です。 読み直したら、また違う発見ができる作品に違いありません。 柳広司さんの新たな傑作だと思います。 | ||||
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