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血と暴力の国
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血と暴力の国の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.05pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全42件 21~40 2/3ページ
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| 原作も素晴らしいけど、 映画を見ていなければ 原作の素晴らしさが 分からなかったと思う とにかく映画は傑作で 原作も素晴らしい この原作からあんな映画が生まれたことがすごい マッカーシーの想像力には恐れ入る けど他の作品はダメだ だからこの作品は最高傑作 なんやそれ | ||||
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| 著者の作品を初めて読んだのはザ・ロード (ハヤカワepi文庫)であり、その文体と作品の完成度の高さに感銘を受けた。その意味で著者作品の中で唯一、早川書房からではなくエンタテイメント性の強い扶桑社からでた本作はかなり楽しみにしていた。だが、これは厳しい・・・。 マッカーシー作品の中でもレビュー数も多く、絶賛されている方ばかりなのだが、正直僕には本作はかなりアン・リーダブルな小説だった。無論著者の文体を否定する気はない。前述の『ザ・ロード』ではそのストーリ・テリングに感嘆した記憶は今でも鮮明だ。だが、マッカーシーの文体は本作のようなオーソドックスな起承転結を語るには不向きなのではないか?リアリズムであれば小説の中で5W1Hが明確にしなければならないが、本作ではそれが非常にわかりにくい。かつ、それに基づいて全体通してもっと立体感をださねばならない場面が、どうしても平坦に流れてしまっている気がする。マッカーシーの小説はブラッド・メリディアンとすべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)を購入し未読のままなのだが、そちら二作品で吟味してみたい。 | ||||
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| マッカーシーの作品が最初に邦訳されたのは「すべての美しい馬」であり,会話文に「 」をつけない独特の文体に一発で魅了された。 そして本作品でも,その文体が生かされ,単なるクライムノベルに収まらない,ずしりと胸に残る重量感と余韻を味わうことができる。 マッカーシーのどの作品にも共通するテーマは「移動すること」なのではないかと思う。 そして,移動の過程で出会う曲がり角ごとに人は何かを選択し,前へと進んでいく。 この作品の後に書かれた傑作「ザ・ロード」や以前に書かれようやく邦訳された「ブラッドメリディアン」でも同様である。 さて,本作品はコーエン兄弟に映画化され,その出来はすばらしく,コーエン兄弟の最高傑作となったが,それはやはり,ほとんど原作をそのまま映像化したことから分かるとおり,原作の持つ力映像喚起力が強力で,映画的な脚本にあえてしなくても十分映画的であったためであろう。 マッカーシーの作品はこれからも読み続けていくだろう。 | ||||
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| ヘドナム帰還兵のモスはアメリカ国境付近で麻薬抗争がらみの殺人現場に出くわす。 現場には多額の現金が残されており、モスはそれを持ち逃げするが…。 それが発端となり、正体不明、冷酷非情な殺人者、シュガーに妻ともども命を狙われることになる。 こうあらすじを紹介すると、モスVSシュガーの犯罪小説という構図になるのだが、 実は主人公はその事件に絡んでくる老保安官のベル。 この辺がマッカシーの小説でクセのあるところ。 構成は明らかに犯罪小説そのものなのだが、殺人鬼シュガーに観念としての「悪」を体現させ、登場させることにより、 主人公たちを通じた人間性、人は何に向かって回帰していくのか、を問いかけている。 細部のディテールのみによって小説を紡いでいるようなストーリーは、やはりみごと。 | ||||
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| 実をいうと小説そのものの感動はそれほどなかった。理由は簡単で、映画を先に見てしまっていたからだ。 映画そのものは非常に気に入った。両者をくらべると、映画はかなり忠実に小説を再現している。 その世界、セリフ、キャラクターの造形、シークエンス、保安官ベルの独白に至るまで、改変は最小限にとどめられている。 それらの魅力の多くは原作に負っているものだった。つまり映画のプロットとしてとても力のある、魅力的なものだったということだろう。 映画化にあたって、あえて改変されている部分は、 まずシュガーがより無目的に殺人を犯しているかのようになっており、より抽象化された純粋な暴力の象徴として描かれている。 モスは原作のある章がまるまる省かれて、より寡黙でプラクティカルな行動する男として描かれている。 ベルは原作よりさらに行動しない無力な男となっている。 モスの妻は、原作よりもすこし年上で、そしてラスト近くのシーンでは、より尊厳のある人物になっている。 そんな風に、コーエン兄弟は小説よりもキャラクターの複雑性をはぶき、ストーリーをシンプルにし、 映画的なテンションを盛り上げるようにアレンジしているようだ。 映画作家がどんな印象を強化したかったのか比べて読むのも一興なんじゃないだろうか。 | ||||
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| 先にコーエン兄弟の映画を拝見しましたが、原作も負けづ劣らず素晴らしい。 人生の絶望を、そして孤独を簡潔に描ききっているのに、相反するような美しさに満ちた詩的な部分があり 読後何とも言えない不思議な気持ちになりました。 | ||||
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| 何年か前のアカデミー賞を受賞した映画、『ノー・カントリー』(しかし、変な邦題。意味分らん。)の原作。 原作を読む前に、映画の方を先に観てしまったので、あの映像が頭から離れず、読みながら、少々混乱してしまった。 あの映画はかなりこの原作の雰囲気、世界観を再現しているように思う。 しかし、原作の方が強烈だ。特に後半のシュガーとモスの奥さんとの会話は読んでいて戦慄が走る。 甘ったるいところが一つもない荒涼たる現代のアメリカを描写した小説としては、傑作だと思う。アメリカのハードボイルド、特にダシール・ハメットの『血の収穫』を思い起こさせた。 コーマック・マッカーシーの小説は、『The Road』、『すべての美しい馬』に続いて三冊目だが、どれも読後感は良くない。でも不思議と引き込まれてしまう。なかなか入手できなかった『越境』も文庫化されたので、次はこれを読もう。 | ||||
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| 暴力に立ち向かいつつそれを食い止めきれなかった1人の老保安官。 時代の移り変わりの中で犯罪の理由は中身を失い、その理由無き不条理な犯罪を体現する謎の殺人者から救うべき者を救えず、ただ身を引くことしか出来なかった彼。 各章始めの彼の言葉は単なる愚痴ではなく悲しみと悔しさと怒りと困惑に満ちており、物語全体が単なる追走劇に終わらない、ある意味では彼自身の回顧録の様にも読めます。 そして時に殺人を悪運と定義付けるシュガーの言葉と行為は正に現代社会の病巣が垣間見える瞬間と言えるのでは。 人間的な感情の爆発ではなく、自己の法で他者の運命に決定を下す。 これは私達が生きる社会で起こる「ただ○○したかったから。」という加害理由に通ずるものがあると思い、同時にこれは憂うべき現代社会を描いた作品と思います。 | ||||
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| 村上春樹がチャンドラーの「ロング・グッバイ」あとがきにおいて、主人公のマーロウを「純粋に仮説的な存在」と定義していたが、その伝で言えば本書のメーンキャラクターのアントン・シュガーこそは悪の純粋仮説的な存在といえるだろう。「自分を信じる」という言葉は世の中にあふれかえっている。 しかし一個の悪が己の内にある戒律だけを信じて従順するという恐怖がどれだけのものであるかをこの作品は読者に差し出している。通奏低音のように漂う荒涼感、寂寞感を醸し出しながらも、往々にしてこの手の作品が陥りがちな単なる暴力、単なる破壊をうまく回避している。文章のスタイルも見事だ。コーエン兄弟による映画にしても、作品の世界を忠実に活かしており、こちらも鑑賞されたい。 | ||||
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| とにかくかっこいい、の一言。全ての登場人物のあらゆるせりふに、自分でもこんな風に考えたり喋ったりしてみたいと思わずにいられない。ベル、モス、シュガー、この三人の世界/人生に対する姿勢、態度はそれぞれに少しづつ異なっているが、誰のものも非常に説得力があり魅力的。しかし作品全体を貫いているのはおそらくは作者本人の、運命論的な謙虚さと潔さ(といっていいものかどうか)。そこにこの作品の深い感動があります。 映画版を見て「よくわからない」と感じた方はぜひ原作を読んで欲しい!映画ではベルの独白が端折られてたり、モスのヒッチハイカーの女の子とのやりとりが丸々カットされてたりして、そういったシーンを抜きに評価をするのはものすごく残念で勿体ない!と思います。 (もちろん映画もあの形以外考えられないと思わせるような仕上がりで何度見ても飽きませんね。映像、配役、演出、そしてコーエン・ジョーク。またメアリー・ゾフレス氏による衣装も素晴らしい!原作を読むと何倍にも楽しめます) マッカーシー氏の独特な文体のニュアンスを見事に掬い取った黒原氏の翻訳も完璧。ただこの邦題は、、、怖すぎませんか、これ。 | ||||
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| コーマック・マッカーシーは90年代のアメリカ文学を代表すると言われている「すべての美しい馬」の作者で、本作が最初のクライムノベルというのには驚愕です。 ベトナム帰還兵であるモスは猟に出かけた折に麻薬取引のもつれた後の凄まじい殺人現場を見つけてしまいます。何人も無残に殺されているのですが、瀕死のメキシコ人に水をやりに戻ったところ残された大金を見つけ、これを持ち帰ったばかりに名うての殺し屋アントン・シュガーの執拗な追跡を受けることになります。このシュガーが大変に印象的なキャラクターで、彼のセリフはこの手の小説では決してお目にかかれないような哲学的で暗示にとんだものとなり、この作品の魅力の一つになっています。 立ち寄ったガソリンスタンドの主人にシュガーがコイン投げを強要する場面、主人は既にすっかりシュガーを気味悪く思っています。(原作は引用符がありません) 「裏か表か」 「あたしゃ何も賭けちゃいないですよ」 「いや賭けたんだ。おまえは生まれたときから賭け続けてきたんだ。自分で知らなかっただけだ」 冷酷無比のシュガーの対極として登場するのが老保安官ベル、古きよきアメリカの保守精神を代表するように描かれ、各章の冒頭にある彼の独白も味があります。 「真実ってやつはいつだって単純なんだろうと思う。絶対そうに違いない。子供にも単純にわかるほど単純でなくちゃならないんだ。子供の時分に覚えないと手遅れだからね。理屈で考えるようになるともう遅すぎるんだ」 全編、モスとシュガー、シュガーとベルの緊迫した追跡劇が展開されるなかで、シュガーの殺人哲学とベルの正義哲学が含蓄のあるセリフで語られ、これら三人がそれぞれまことにハードボイルドな幕切れを迎えるまで、文字通り息もつかせず読ませられます。 この原作による映画「ノーカントリー」は本年度のアカデミー賞作品賞、監督賞などをとった、これもなかなかの作品とのことです。 | ||||
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| シュガーの印象が強烈だが、モスの選択とその後の逃亡劇が主たるストーリーだ。 モスは、金もなく、人生であまりいい思いをしていない。ある選択をし、その後、追われ続けることになる。結局はその選択は誤りで、踏み入ってはいけない人生のダークな方へ足を踏み入れてしまったということだ。 しかし、あのとき、「自分の全生涯が眼の前にあった」(文中の表現)とき、ほかの選択があり得ただろうか? かりにほかの選択をしたとして、そのことを一生、死ぬほど後悔せずに生きていられただろうか? あの場に行きあわせたことで、モスの不幸は決まってしまった。哀れでならない。 | ||||
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| 独特の文体を見事に日本語化している黒原敏行の翻訳が素晴らしい。William Givson / 黒丸尚に匹敵する。 | ||||
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| 本書は、08年のアカデミー賞4部門を獲得した映画「NO COUNTORY」の原作だが、レビュアーは、映画を見てどうしてもラストが腑に落ちなかったので、やはり原点に当たるべしと思って読んだ。 やはり映画では難しかったが(英語なので余計かもしれないが)、本書はそれなりに理会できた。 簡単に言えば、人は自分の運命を選ぶことはできない、したがって、変えることもできない。だからといって、いい加減に生きるのではなく、キチンと摂理をもって生きろ、いわんや殺し屋をや、といったところか。 これを踏まえると、さすがコーエン兄弟の映画である。賞を与えたアメリカの映画芸術科学アカデミーも立派だ。 | ||||
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| 今年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞など4部門を受賞した映画『ノーカントリー』の原作である。’07年、「このミステリーがすごい!」海外編第12位にランクインしている。 時は1980年、舞台はテキサス州南西部。メキシコとの国境付近で、麻薬取引をめぐり殺し合いがあった現場をたまたま通りかかったモスは、240万ドルもの大金を持ち逃げする。そこに一切の人間的な感情から切り離された行動力で、執拗にモスを追う殺し屋シュガーがあらわれる。そしてこの事件に、引退を考えている地元の初老の保安官ベルが巻き込まれてゆく。 本書の読みどころは、ひとつは、“絶対悪”として描かれる殺し屋シュガーの強烈な存在感だろう。彼の行動は、事件にかかわった全員を絶望の淵へと追い込んでゆく。 もうひとつは、各章の冒頭での保安官ベルの独白であるが、次第にその調子も、この事件に影響され、哲学的なものになってくる。 とにかく本書からは、「心理描写がほとんどなく、会話に引用符をつけず、コンマを最小限に切り詰めた」マッカーシーの独特の文章から異様に乾いた空気が漂い、もはや普通のミステリーを超越したものを感じる。 | ||||
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| 原題は、“NO COUNTRY FOR OLD MEN”(老人の住む国にあらず)と言うことで、現代社会への作者の懐疑が「クライム小説」として結実しているという感があります。 物語は、1980年のアメリカ南部です。溶接工のモスが、麻薬取引のトラブルに出会い240万ドルを手に入れます。そのため、殺人のプロであるシュガーに追われる身になります。 小説は、このモスを追う保安官ベルの懐古の文章が、各賞の冒頭にあり、その後に壮絶なモスの逃亡劇が書かれています。 ところが、この文章には地の文と会話の文等、一切の区別が無く、ちょっととまどいを感じます。でも慣れてくれば、心地よいテンポを感じられるようになります。 シュガーの独特の哲学のようなものが、異常な感覚を与えてくれ、魅力的な物語になっています。 全体的には、タイトル通り、現代社会の持つ病根を感じさせてくれる作品でした。 | ||||
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| 「すべての美しき馬」のマッカーシーが、こんなクライムノベルを、しかも七十歳を越えて書くとは。 感情描写を完全に排して、魅力的な人物像を造り、そして「切る」。 アメリカという国のあり方に、深い懐疑と逃れられない「愛」を溢れさせた、アンチ純文学の傑作であり、アンチ・ミステリの傑作。 コーエン兄弟の映画化、日本公開が待たれる。 | ||||
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| アメリカの小説には時々、理屈なしに人を殺しまくる作品があるが、これもそのひとつ。 本書の解説によると著者はピューリッツァー賞作家で、現代の巨匠の一人に数えられる そうだが、どうしても付いて行けない。 追跡者のシュガーを“闇の象徴”に設定するにしても、その事の背景や説明がスッポリ 語られていない。この傾向は、ランズデールの「テキサス・ナイトランナーズ」でも そうだった。 純粋悪及び、狂気や暴力へ突き動かさられる姿は示されても、その衝動や葛藤の 描写(心のひだ)が無い。宗教や取り巻く状況の違いなのでしょうか。 | ||||
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| 人がゴミクズみたいに簡単に死ぬし、セリフが「」に入ってないし、登場人物の気持ちや行動を起こした理由について書いてないし、中心人物の殺し屋は意味不明なことばっかり言うし本当変わってる小説。 そのあたりを好きになれるかどうかが、この本を楽しめるかどうかのポイントだと思う。 勧善懲悪、センチ、トリック、泣き、劇的ビックリ要素なしで、っていうか、そーゆー不純物を取っ払って逃亡劇、追跡劇、人の生き死にを力強く書けるのが恐ろしく凄い。物語は調子が狂うほどのの書き手の禁欲的態度で書かれており、読者の心を深くエグってケムに巻く。読後感は科学の時間に宇宙もいつか消滅して全て無になると知った時の気持ちに近かった。 | ||||
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| 殺人はただの殺人。血はただ殺戮の血。最後まで私には少しも楽しめなかった。 殺人者シュガーを純粋悪だと後書きにあったけれど、純粋な悪などあるだろうか。どこかの書評にはシュガーに追われるという事は自然災害に会うようなものだとあったが、自然の脅威には「畏怖」を感じるが、シュガーにはそんなものはない。 私は、昨今の目を覆う様な事件が報じられると、何故こんな事になったのだろうと事件の背景や闇が気になって仕方ない。 犯罪者の過去や見えない裏側が知りたくて仕方なくなるのだ。 だからシュガーは気持ち悪いだけだった。 こういう本に星4つ以上つける人たちが沢山いると知った事は勉強になりました。私には向きませんでした。 | ||||
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