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ザ・ロード
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ザ・ロードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全71件 21~40 2/4ページ
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純文学のすごさが実感できる作品なのは間違いない。 絵画で喩えると、子供が描いた絵のような印象である。 レンブラントのように整然とした印象ではなく、 ゴッホを思わせる荒削りな作風であると言える。 難しい語彙や難解な表現は一切なく、 日常で使用する平坦な言葉で構成されている。 句読点が存在しない文体には余裕が一切感じられず、 追い詰められた男の心情が痛いほど伝わって来る。 子に「善き者たれ」と訓示を垂れる父親ではあるが、 人間として強いわけではなく他人を見殺しにする。 実にリアルな人間像を描ききっており、読者の感情移入を誘う。 世界の終焉を生き延びる親子の旅は悲惨だが、 現代に生きる私たちの生活もまた、薄氷を踏むような危険と隣り合わせである。 たまたま運が良いから、平穏に暮らせているに過ぎない。 ほんの些細なきっかけで、昨日までの幸福が砕け散るかもしれないのだ。 だからこそ、この物語を「お話の中の出来事」で片付けられないのだろう。 ただ、この物語を愛せるかどうかは、愛するに値する家族がいるかいないかで違って来ると思う。 物語の子供は従順だが、そうではない子供を持つ親はたくさんいる筈だ。 この父親のように身を削ってまで家族に尽くしても、その愛情が裏切られることがある。 恩知らずな家族の世話に明け暮れている人が読んでも「所詮は作り話」と、思うだけかもしれない。 そういう意味では、現実の方が悲惨で残酷なのだ。 | ||||
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動物も植物も都市も完全に焼け尽くされ、厚い雲と灰と埃だけが支配する冷たい世界をただ南へ歩き続ける父と子の物語。「ブラッド・メリディアン」と同様の文体で描いたディストピアSFだが、あまり凝った文章ではないので読みやすい。 男の子は8~10歳くらいか。読み進むと、核戦争が起こった数日後に産まれたことが明かされる。文明の世界を知らずに育った無垢な子供の言葉が、人間本来の善の部分を象徴している。 「メリディアン」に比べると当然アクションシーンが少なく、核の冬の中を行くので自然叙景の魅力も乏しいが、父子の切ない会話がいい。 生き残った人間は食人鬼と化し、親子を襲う。父が殺した男は、その後、仲間に食われてしまう。彼らを取り巻く状況は危険に満ち、冬に追われて雪の中を震えながら歩む彼らの運命はいつ尽きるとも知れない。肺を冒され咳とともに血を吐きながら、父親は「希望」である息子を守り生き残るために、廃墟の中に食料と衣料を探す。 ようやく海に行き着いたものの父親は力尽き、幼い息子がひとり残される。しかし幸運にも同じように“火を運ぶもの”であり“子供を食わない”善きファミリーに息子は出会い、旅がさらに続くことが示唆される。 極限の環境下でも人間であるための条件は何かを追求した小説だが、ストーリーとしては救いがあるようでもあり、またないようでもある。 父子の名前は最後まで記されない。父の屍の傍らで息子は泣き続け、ファミリーに引き取られるとき「父の名を呼んで別れの言葉を言う」が、それでも父の名は記されない。 神に名がないように、この物語の主人公に名はなく、土地にも道にも、そして川や湾や海についても具体名はいっさい記されず、それがこの物語を原初的、神話的なものにしている。 | ||||
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まず、彼の作品は本当に映画を目の前で観ているかのような臨場感と素晴らしい言葉の表現力がある。 とても悲しい物語なので読まない方がいいと。言われたことがあり読まないでいましたが、ずっと気になっていました。 本当に悲しい物語ですが、親子の愛や登場人物の内面を表現する言葉の言い回しが美しい。静か過ぎるくらいに穏やかで愛情に溢れている。残酷な世界と親子愛との対比がそれを強めている。 環境が劣悪でもこんな優しい子が育つものなのか?とも。不思議な感覚と感動と悲しみが味わえる作品です。 読むべき。 | ||||
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崩壊した世界を歩く父と子を圧倒的な筆力で眼前に映し出す。 言葉による表現だけで、こうも立体的な世界が立ち上がるとは。 文章の巧さは、読者の想像を容易にさせる。 また、詩的な文章は芸術的で美しい。 残酷で変えることの出来ない世界の中に、脆い人間の情念を対比させることによって、 物語を強烈にドライブさせるマッカーシーの常套手段は、今作でも特に堪能できる。 翻訳者の黒原敏行氏の日本語訳も本当に素晴らしいと思う。 マッカーシーの訳出していない著作の刊行も切に願います。 | ||||
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既に世界規模に波及したChigurhに立ち向かう父の叡智を見出すべし。 | ||||
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何か破滅的なことが起こって、絶望的な状況下でさまよう父子の話である。 荒れ果てた世界の荒涼さはいいと思う。 だが人肉食に走る人間を自分のこととして書けてないと思った。こういう状況になってみなければ分からないことだ。だいたい、この父子がまともな食べ物を探し出して食べた分だけ、他の誰かが人肉食に走るようになるのかもしれない。 最後はハッピーエンドのつもりかもしれないが、もしこの破滅が人間のなしたことだとすれば、他の生物は、「我々をさんざん酷い目にあわせてまだ人類だけ生き延びるつもりか?」と言いたくなるのではないか。 | ||||
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父と子の会話が、シンプルな世紀末の描写の中に繰り返されていく。 時に残酷に。時に美しく。 「血と暴力の国」の方が圧倒的に面白かったけど、これもまた良かった。 | ||||
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大森望と北上次郎の対談形式の書評集でけっこう押していた作品だったのでちょっと期待して読んだのですが、何が高評価なのかさっぱりわからなかった作品です。趣味の問題といえばそれまでなんですが、、、 読み終えたとき、まず、アメリカ人には受ける話なのかもしれないなと思いました(ロードムービー的な話ですよね)。ああいう広大な土地に住んでいないと実感が湧きにくいかも。あと原文の英語だと、もっとドライでそっちのほうが、逆に感動する話なのかもしれない。 ほかのレビューアーの方も訳がいまいちといわれた方がおられますが、私もうまくいえないですが、原文の質感を生かした訳ではないような感じがしました。 | ||||
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映画も本もロード物って、結構観たり読んだりする事が多いと改めて 感じさせられた。 作者の本を読んだのは此れが最初である。総じて文学からは足が遠のいて しまった。 世界が終末を迎える様な状況の中で、南へ向かう父親と息子の物語が 静謐な描写で綴られて行く。名前も年齢も二人の会話から推測するしか 無い。セリフにも「 」が付けられて無い。「 」の無い文章がこれ程 読み易いと初めて知らされた。 世界は飢餓状態で極限に達しており、人肉さえ食べるしか無いあり様で 人間が敵である以上、父親は非情にならざるを得ないが、息子には 其の非情さを理解する事は出来ても、受け入れる事が難しい。 そんな息子を心配する父親の心境も読み手の胸に迫る。 途中から父親の体調が悪くなっていく。此の辺りから物語の最後を 作者が如何に終わらせるのか、気になって一気に読み進んでしまった。 読後、久しぶりに泣かされた。 最後の6行に作者の心境と思える文章が吐露されており、その文章が 美しいだけに胸が痛くなる。 此の小説を読んで、すぐに「血と暴力の国」」をAmazonで 購入した。 | ||||
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遅ればせながら初めて読みましたが、期待以上の作品でした。同趣向の作品として、訳者解説でも触れられているハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」や、昨年くらいに読んだマーセル・セローの「極北」等も思い出しましたが、題名通り、ひたすら南を目指して歩く父子の姿を描くだけでありながら、読み飽きさせることなく、緊張感をもって読了させる手腕に脱帽です。ところで、その訳者解説にある、とある日本のテレビドラマと映画との類似性については、たしかに言われてみればと納得できるものがありつつも、どうもその日本の映像作品には、申し訳ないですが、滑稽な印象があって、先に解説に目を通すことがなくて本当によかったです。 | ||||
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重く暗く何時終わるともしれない親と子の旅。何度読むのを止めようと思ったことか。知人に寒い曇った日に読むと良いと進められて読み始めたが、読み終わった時身体が強張った感じが残っていた。読み応えのある素晴らしい一冊だった。 | ||||
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「暗いなぁw」というのが印象です。 救いが無いっていうはいいんですが(私は嫌いですが^^;)、 「シュチュエーションもっとなんとかならないの?」って言いたい。 アメリカ人って、文明が崩壊すると銃器乱射して人肉食べるのが普通なの?って聞きたい。 『ザ・ウォーカー』が同じシュチュエーションだったし、近未来の作品は、悪党はびこる世界ばっかり出してくる。 そのほうが作品にしやすいっていうのは解るけど、助け合うとか協調して乗り切るって思想が無いのかなぁ? 読み終わりましたがキツかった・・・ | ||||
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標題通りです。 大きなアクション展開やドラマなどおこらず、割と淡々と進んでいく感が読者を選ぶかと思います。 ただ個人的には読み終えて1か月ほどは正解が一切わからないサバイバル生活の中、 生死をわける選択肢を繰り返し選んでいかなければならない状態にある主人公たちに投影し、 「自分ならどうしただろう」という思いにしばらく耽ることが出来た数少ない作品でした。 面白いですし、たぶん30〜40代男性が感情移入しやすい作品だと思います。 ただ訳が台無しにしています。詩的表現を訳せるスキルを一切持ち合わせてない訳者が グーグル翻訳でコピペしただけか???というレベルのものに仕上がっています。本当に酷い。 | ||||
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ひたすら南へ向かう親子。 設定も何もわからぬままに物語は進んでいく。 何の希望も見いだせないままなのだ。 それでも生きることを捨てるわけにはいかない。 父親の愛情は切ないほど伝わってくるけれども、それだけの物語だった。 | ||||
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「ザ・ロード」(コーマック・マッカーシー)を読み終わった。 読み通すためにはありったけの勇気と自制心をかき集める必要があった。 読む者の魂を直撃する作品である。善き者たちよ永遠であれ。 「おそらく世界は破壊されたときに初めてそれがどう作られているかが遂に見えるのだろう。」(本文より) | ||||
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邪道ですがB'zの稲葉さん(ボーカル)が好きな作品として あげていたので私は読んでみました。 読んでみたらB'zがどうというより素直に面白いと 感じる作品でした。 舞台は何らかの理由で生命がほとんどなくなった灰色の世界。 倫理観がほぼ死滅し暴力がはびこる世界。 そんな中で父と子が旅を続けます。理由は語られていますが、 私には理解できませんでした。 ただ読んでいて、将来訪れるかもしれない退廃世界の雰囲気と、 それでも存在し続ける善意という希望を感じ取ることができました。 個人的にはストーリーではなく雰囲気を読ませる小説だと思います。 上記のように退廃と希望を感じたい人やB'zが好きな人におすすめの 本だと思います。 | ||||
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登場人物に名前がない、会話がかぎかっこに入っていない、固有名詞の徹底した排除などスタイルからみても背景説明の排除といったプロットからみてもぎりぎりまで装飾を取り払った野心作。聖書、神話を読んでいるような気持ちになった。作者が自分への挑戦として書いたのではないかとも思われる。過剰なもの、情報にあふれた現在であるからこそ、こうした問題提議としてミニマリスティックなアプローチがすばらしい。carry the fireという謎めいたフレーズが詩の一節のように強烈。 | ||||
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ピューリッツア賞のSFってどういうのだろ?と思って購入しました。 読み始めで、なんとなく「ああ、核戦争後の親子の話か」と分かり、中盤で親子の過去が明かされます。 (世界がなぜそうなったのかは描かれないけど、描かないところがよかったのだと読後に思いました) 核戦争後の世界、略奪・殺人・共食いが横行する中、世界が荒廃した瞬間に生まれ落ちたわが子に、父親は必死に色んな事を教えようとします。 それは、この荒廃した世界で生きる術、逃げ伸びる術、身を守る術、同時に人間として持ち続けてほしい理想でした。 しかし父子が新天地への旅を続けて行くにつれ、理想と現実の矛盾の多さに苦しみ、時には衝突することとなります。 読んでる最中は「なーんか、ぱっとしなくて面白くないな」と思ったのが本音。 宗教的(?)な隠喩も多くて、仏教徒の私には、多分作者の意図が伝わっていない部分も多いのだと思います。 ほんとに終盤まで作品の良さが分からなかったのですが、ラスト数ページに差し掛かると急に感動が湧きあがってきました。小さな沢山の積み重ねが生んだラスト、そんな感じです。 似たような出来事が繰り返されますが、斜め読みせずに、しっかり最後まで読むことをお勧めします。 ちなみに、この本は映画にもなってます。そっちもいい作品に仕上がってます。(キャストの肉付きがいいので、荒廃した世界に生きる人に見えませんが、そこは目をつぶってください) | ||||
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最初の三行 森の夜の闇と寒さの中で眼を醒ますと彼はいつも手を伸ばしてかたわらで眠る子供に触れた。 夜は闇より暗く昼は日一日と灰色を濃くしていく。 まるで冷たい緑内障が世界を霞ませていくように。 彼の手はかけがえのない息に合わせて柔らかく上下した。 この文を読んで今までもこれからも私にとってこの作品が最高と思いました。 父親は最後の神である少年を連れて 灰色の世界をカートを押して「火を運ぶ人」(善き人)にならなければならない。 それは過酷な運命を背負うということ 句読点がなく。会話も詩のように「 」がなく感情も抑えられた文は たとえば感情的に歌う歌より感情を抑えて歌うほうが聞き手の感情に訴えかけるように 読者の心に深く浸透していきます、 とにかく美しい。奇跡的なほど美しい少年と、それを包み込み、守り、未来につなげていこうとする父親の姿はキリスト教的なにおいが強いかもしれませんが、 とにかく美しい。 | ||||
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(おそらく)核によるものとおもわれる世紀末を迎えた近未来のアメリカ(おそらく)。 すべてが死に絶え、灰色の雲と灰に覆われた地上を、ショッピングカートにわずかばかりの日常品を積み込んだ父子が南の土地を目指す。 子は世紀末後に誕生、それ以前の世界を、知らない。 生き延びた人々が生死をかけ、殺戮を繰り返す日常。 ひたすら歩き続ける父子。 …ストーリーは極めてシンプルなロード・ストーリーだが、衝撃的な読後感だ。 ほぼ、何の説明もなく、唐突に始まる世紀末の世界の不気味さ。 モノクロの、生物の死に絶えた地上の漠とした寂寥感。 ラストをどう迎えるのかハラハラものだ。 著者のほかの作品は、どうも肌にあわないのだが、 この作品は、評価はともかく、長くその読後感が刻み込まれ、記憶に残るだろうと確信した。 | ||||
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