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吸血蛾
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吸血蛾の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.82pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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<他作品にも絡むネタバレあり。注意!> 『講談倶楽部』で連載されていた『幽霊男』が終了して三カ月後から、同雑誌に連載された作品。 というわけで、中島河太郎は「『幽霊男』『悪魔の寵児』【注1】などのように、もっともサスペンスの効果を強く表面に出した系列の作品である」(P.293)と最大限に好意的なコメントwをしているが、死体から切断した脚をアドバルーンにぶら下げて飛ばすわ、ストリップ劇場のダンスに合わせて躍らせるわ、被害者候補の一群は順序良く殺され、警察は警護もつけずに毎回歯噛みし……、 つまり通俗エログロ作品であるw 一応「犯人」をうまく隠せてはいるのだが、これも著者がしばしば自嘲するところのこねこねくちゃくちゃのパターンで、最後に気が変わって犯人を変更しても、ちょいちょい文章を修正すれば、ストーリーが成立する類であった。 ムッシューQの登場には、腰が折れそうになった……ww 獣の牙を持つ謎の襲撃者とくれば、アルセーヌ・ルパンと明智小五郎が、それぞれ『虎の牙』という同名の作品で対決したので、まずはそのオマージュと言うか、パクった印象が浮かぶが、著者が本書でチャレンジしたかったのは、ディクスン・カーばりのホラー味の醸成だろう。金田一耕助にはなかなかそぐわない最新のファッション業界が背景の作品だが、それ以上に、西洋狼男伝説を装飾に持ってきているのが特徴である。 その意味では、虎の牙ならぬ“『狼の牙』”とすべき作品ではあったが、あまりに芸がないと考えたのか、死体に残されたり、被害者のもとに事前に送られてきた蛾の標本を題名に取っている。 しかし、この思わせぶりの手掛かりに対して、(かなり怖れたとおりに)表面的な誘導の裏に隠された深い意味などまるでなかった。さすがに少々コケ脅しがすぎる。少なくとも題名を背負える重みくらいはないと……。 そして、ホラー味の醸成がうまくいったかと云えば、甚だビミョー、正直云えばうまくいってない。 冒頭に登場する妖しい人物=いの一番に殺されているといういつものセオリーは、そこに双子の人物入れ代わりを組み合わせる工夫はあるものの、狼男伝説に関しては結局置いてけ堀である。狂犬病に寄せるのかと思ったがそうでもない。獣のような鋭い牙に関しても、生まれつきそうだったというだけ。あれでは、普通の食生活が難しいだろう……。 西洋狼男伝説ではなく、せめて和風の狼憑きを背景にすれば著者の持ち味も出しやすかったように思うが、当時は固定のイメージを払拭させる方向に苦慮していたのかもしれない。 というわけで、あまりストーリーテリングに感想はない。 村越徹は今で云うオネエだが、作中一貫して変性男子と形容されている。夢枕獏の『蒼獣鬼』のキーパーソンの少年が、変性女子と呼ばれていたのを思い出した。現代では差別用語にされそうだが、調べてみると仏教用語のようで、変性男子/女子はへんじょうなんし/にょしと読むらしい。 ついでながら、本書のキーパーソンの名前が、中後期の明智小五郎の登場作品(つまり通俗もの)に登場する明智の妻と同じ「文代」なのは、何らかの意味があるのかないのか……w 【注1】 『悪魔の寵児』の連載は、『面白倶楽部』。 | ||||
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「狼男」が登場する通俗もの。 他愛のない物語と言ってしまえば、それまでですが、 横溝作品に愛着を持っている人なら、 それなりに楽しめるでしょう。(私も、その一人です) 犯人を知った時、「アッ、コイツだったのか!!」という人と、 「なぁーんだ、やっぱりコイツか!!」という人に分かれると思いますが、 横溝作品を読み慣れている人は、気が付きやすいかも知れません。 この作品でも、沢山の人が殺されますが、 「生存者」が生きている喜びを噛みしめつつ、物語は終わります。 | ||||
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金田一の対決する怪人は明智小五郎の対決した怪人同様多い。 「雨男」(悪魔の寵児)「幽霊男」(幽霊男)「青蜥蜴」(夜の黒豹)・・・そして本作「狼男」。 明智の場合は怪人の名前と本のタイトルが一致する場合が多いのですが、金田一は何故かほとんど一致しません。一致しているのは少年物を除けば幽霊男くらいです。この「吸血蛾」は特に一致していません。怪人狼男が相手なのに。どうして吸血蛾?と首をひねりたくなります。象徴的に「蛾」も登場するのですが、途中でどこかに飛んでいってしまったみたいだし、そもそも傑作推理とは言い難い作です。 とはいえ明智小五郎の通俗物の世界に金田一を放り込んだ作品だと思うと興味深いです。明智小五郎だったらもっと華麗に立ち回るのでしょうが、そこはわれらが金田一の愛くるしさ。ラストの真犯人との対決は微笑まずにいられません。 | ||||
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人気デザイナー浅茅文子を中心に話が展開し、専属モデルたちを初め彼女にかかわった人たちが「狼男」と呼ばれる怪人に次々と惨殺されるというストーリーです。 殺されるお人数が半端ではなく、登場人物があらかた殺されてからようやく金田一耕介が一芝居うって解決してます。まあ意外といえば意外な真相ですが。 ある程度の人数が殺されないと解決しないというのが金田一さんの長編パターンですが、これはあんまりじゃないかな。それに輪をかけて警察の無能さが際立ちます。真相究明はともかくとして生き残ってる人たちの警護くらいはちゃんとしろよ。 あと浅茅文子にたいする犯人の感情はともかく、他の殺人の動機特にモデルの女の子たちが殺される理由が薄弱だと感じました。 猟奇大量殺人を(文字の上で)楽しみたい人向けかな。 | ||||
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