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ラバー・ソウル



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【この小説が収録されている参考書籍】
ラバー・ソウル
ラバー・ソウル (講談社文庫)

ラバー・ソウルの評価: 3.38/5点 レビュー 65件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.38pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全31件 21~31 2/2ページ
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No.11:
(5pt)

心に染みる作品

本書『ラバー・ソウル』は、The Beatlesのアルバム『Rubber Soul』をモチーフとしたミステリ。

章立てがアナログ盤の『Rubber Soul』の曲名順となっていて、それぞれの章の内容が、詩とリンクするようになっている。『Rubber Soul』の発売時(1965年)にシングルでリリースされた「Day Tripper」と「We Can Work It Out」(恋を抱きしめよう)を、ボーナストラックとして本書の章に組み入れているのがニクイ演出だったりする。

結論から言ってしまうと大傑作である。

音楽雑誌に評論を寄稿するビートルズマニアの鈴木誠は、雑誌の撮影中に発生した事故で呆然自失のモデル 美縞絵里を自宅まで送り届けることになった。容貌にハンディキャップを背負っている誠は、初めて自分の車に乗った女性 絵里に好意を寄せてしまう。絵里のことが頭から離れられない誠。誠は絵里に気づかれないよう、彼女を監視しはじめる。除々にエスカレートしていく誠の行動。ついに、誠は絵里の男友達を殺害してしまうのだった。 ・・・

ストーリーは、警察の取り調べと思しき関係者の供述に、誠の視点の描写が挿入されるかたちで展開していく。病気のため怪異な容貌となった誠が、それを逆手に取りながらストーカー行為を正当化していく様は、背筋が寒くなってしまう。こういう理屈で、人は人を追い込んでいくのかという恐ろしさだ。苛立ちに似た怒りさえ感じてしまう。

本書は、ソシオパスものか ・・・

いやいや、全く違う。

ソシオパスものとしても面白くはあるのだが、それだけでは傑作とはいかない。秀逸なのはウルトラ級のどんでん返し。ラストに近くなって、実に悲しいものがたりに変わっていく。中盤までとの落差が大きいだけに、強烈な衝撃を感じるだろう。あざとくもありながら、ホロリとさせてくれる。全16曲を奏でて『Rubber Soul』の意味が、ようやく明らかになるのだ。実に心に染み入る作品である。

「Norwegian Wood」(ノルウェーの森)の詩の内容を、放火男の解釈で本書とリンクさせたり、絵里の高校時代のストーカー事件を、ボーナストラック「Day Tripper」として挿入しているのも面白い。私の見落としている仕掛けも相当ありそうだ。
ラバー・ソウルAmazon書評・レビュー:ラバー・ソウルより
4062177137
No.10:
(4pt)

Rubber Soulのアルバム借りに行かなきゃ(笑)

Rubber Soulのアルバム蔦谷に有るかな?借りに行かなきゃ(笑)

閑話休題。
なかなか読み応えありました。どんでん返しと謳われてしまっていたので、そのままストレートに読み進みながら、時折ハテ如何にどんでん返るのだろうと。。。
途中の文章の変化で、あれ?と思いつつははんと。
話は、事件を取り巻く人間と鈴木の尋問に答えるような章と、鈴木単独の章の組み合わせです。
これには、ストーカーの恐ろしさがまざまざと出ていて、読んでいて気持ち悪くなります。まさに思う壺。
気持ち悪くても、決して途中で読むのをやめること無かれです。
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4062177137
No.9:
(4pt)

これから読む人は一切のレビューを読まないこと

この小説のことをレビューしようとすればネタバレ必至なので、これから読もうという読者は一切のレビューを読まないことだ。
先入観まったく無しで読めた私は大いに楽しむことが出来たが、少しでも内容を示唆するような文言が目に触れれば楽しさもかなりトーンダウンしてしまうのではないか?

この話は書き出しの時点で、既に事件自体は終わっている。警察での取り調べに対する証言であったり、主人公のモノローグのような形で過去を振り返る形式で進んでいく。そしてそれにより事件の全貌が徐々に分かっていくという流れである。だから読んでる途中は「大体こういう話だよな」と大きな興奮もないまま進んでいくわけである。だからまあ途中では「特に面白いというほどではないな。普通だな。」などと思ってしまう。(なんの予備知識も無ければという前提で)
この小説を一番楽しむには私みたいに予備知識もなく、井上夢人の何たるかを知らないという読み方がベストなんだと思う。ミステリーマニアと呼ばれる方はおそらくこういったパターンなんかは分かってしまうだろうから面白くないだろうな。いや、読みが当たっていて「それ見たことか!」という楽しみ方をしているのかもしれないな。
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No.8:
(4pt)

久しぶりにやられた

本が自分を呼んでいた。

「読んでくれ!」と。

そうでなければ、この本と出会っていない。
まさに、プールアンカのあの歌のように。

圧倒的に美しい装丁と、ビートルズという構成に、強く、強く、惹かれた。

ところが、読み始めると嫌になった。
暗すぎる。おもしろくない。気分が悪い。

それは、そうだ。
異常犯罪者をはじめとする登場人物達の心情が、
ぽつぽつぽつぽつと、そして淡々と描かれているのだから。

しかし、最後にすべてがひっくり返った。
途中までは、なぜビートルズの「ラバーソウル」かよくわからなかったし、
ミステリとして構造的な致命的な欠陥があると思っていた。

しかし、違ったのだ。
すべては計算ずくだったのだ。

久しぶりにやられた。
そんな小説だ。
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4062177137
No.7:
(4pt)

純愛といえるのか?

井上夢人氏は好きな作家さんで全作品を追いかけています。久々の作品。わくわくして読みました。

単純な私は、東野圭吾の「容疑者Xの献身」をイメージして最初読んでいました。

ですが、最後のどんでん返し、という意味が本当に最後になってわかったのです。良い意味で裏切られたのですが、これは、さすが井上夢人と言うべきでしょう。ただ、あまりに技巧に走り過ぎているというか、そこまでやるのかという気持ちになったのも事実ですが。

ですから、もう一回読みました。読まずにはいられなかったのです、全てを分かった上で。結末が分かっているのに、二度読める作品なんてなかなかありません。お得かも。

そのどんでん返しに至るまでに、ちょっとおかしいなと思う点がないことはなかったのです。
例えば、彼が告白している体を取っている文章があることとか、主人公が自分の車をぶつけて、車を埠頭から落とし、殺人を犯したと告白しているのに、車に指紋がたくさんついていたということなど。

ところで、「空前の純愛小説」というキャッチコピーには違和感を覚えるなあ。ちょっと違うのではないか。強いて言うなら、一途な、いやこの言葉も美しすぎるな、一方的な愛とでも言うべきか。また、見ただけで人を愛せるのだろうか、しかもその人の欠点(ネタばれになるので、この表現でとどめておく)をまるごと含めて。とても想像できない。

そう言ったことすべてを含めて、井上夢人の次の作品また読みたいです。
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No.6:
(4pt)

ネタバレです

私はしばしば、結末を先に見るという読み方をするので、この作品を、東野圭吾の「容疑者Xの献身」に似ているなあ、と残念な気持ちで読んでいました

井上夢人さんの作品は、結構好きで「オルファクトグラム」を読んだときは、すごい発想の作家だとびっくりしました(こっちの方は逆に漫画「もやしもん」が二番煎じでは?)

単行本には、帯に結末を予想できるような感想が書いてあったし、ちょっと鼻につく納得できない感想があり、そんなものを載せるくらいなら、ビートルズの「ラバーソウル」の日本語訳を巻末に付けて欲しかったなあと切実に思いました(家にはビートルズのレコードはあるのですが、面倒くさくて歌詞カードまで出してくる気になれない…)

そしたら、二回目読めて、一回目より、さらに感動できるはず

扉絵は、最初手に取った時は、漫画チックというか、乙女チックというか、なんか好きになれなったのですが、読んでいる途中で、何回も見直しました

そして読んだ後、花をまとったような髪が、少しだけ見える目が、とても美しく感じられ、主人公の救い、そして読んだ私の救いになった気がして、ビートルズのラバーソウルと同じくらいこの絵がこの作品に不可欠のものだと思いました

すごい絵です!クールな絵なのに温かさを感じる(涙)
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4062177137
No.5:
(5pt)

面白い!

571ページもある本ですが、引き込まれてしまい、一日で読みきりました。
登場人物がそれぞれ平易な語り口で物語を進めていく形式ですが、
大変読みやすい本です。
井上さんの小説が元々好きなのですが、
一言で言えば、傑作です。
最初はネチネチしたストーカーの話だと思って読んでいくうちに、
どんでん返しが。。
実は純愛小説だったのですね〜
装丁も凝っていますし、お勧めの一冊です。
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No.4:
(4pt)

醜くも美しい

作者の事もこの本の内容も全く知らずにタイトルのみに惹かれて手に取った。

「愛とは?幸福とは?」

最後の最後に驚愕と共に突きつけられる人生の根源とも言える問い。
それぞれの理由はどうあれ、手に取る価値のある圧倒的な傑作。

・・とりあえず読み終えた方は、
ビートルズ『Rubber Soul』の日本盤が欲しくなると思います(笑)
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No.3:
(5pt)

井上夢人の最高傑作!!

これは正直文句なしです。
井上夢人単独の作品としても、これまでで最高ではないでしょうか。

話としてはかなりストレートな嫌ミスです。
おそらく好き嫌いもあるんだと思いますが、他のレビュアーの方が100%共感出来ないと思ったようなところが、
個人的には非常にスムーズに受け入れられたのが高評価の要因ではないかと思います。
決して短い小説ではありませんが、一気読みでした。

また、正直ビートルズはそれほど良く聞いていたわけではないのですが、最後の解説を読んでこれは聞かずばなるまいと思いました。

とにかくまず読んで!
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No.2:
(4pt)

狂気の愛に引き込まれた

警察の事情聴取を受ける男女の対話と、主人公の男性の心情のみで描かれたミステリ小説。

鈴木誠の絵里への「狂気の愛」が事細かに描かれていて引き込まれた。自分の外見の醜さを誰よりも分かっている男が、それでも一人の女性のために何かをしたいという気持ちがくどいほど丁寧に描かれていた。よくここまで一方通行の愛を描けたと思う。ネタばれになるので触れないが、最後の終わり方も、納得できるものだった。

個人的には、鈴木誠に尽くす金山という男の、鈴木誠に対する純粋な気持ちが好きだった。

表紙も、全部読み終わってから見返すとちょっと恐くなるくらいよく描かれていると思う。
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No.1:
(4pt)

読解力不足なのかなあ…。

この著者の小説がもともと好きなのもありますが、面白いと思います。
10数年前に、井上さんの「プラスティック」を読んだときの驚きを思い出しました。
(今作と語りの形式も少し似ています。)

メインのトリックも、何か仕掛けがあると分かっていながら読み進めていく中での、いい意味でのもどかしさ
ときれいな落としどころがあり流石の仕上げ方という感じです。

ただ、今作には一つだけ疑問が残っていて、それがなければ迷いなく満点を付ける作品でした。
未読の方には、意味は分からないと思いますが、一応。

・なぜ鈴木がクライマックスのところで、想定外であったはずのその成り行きを受け入れたのか。
 そのまま受け入れてしまうと、それまでの行動を無に帰してしまう可能性がある状況なのに。
 (最終的に似たような結末を想定していた気もしますが、まだ仕上げができていない段階であったと明記されている。)
 想定外であっても、鈴木にとっての最高の「幸福」を目の前にして、ただそれに手を伸ばした、ということなのでしょうか。

最後に、作品の良し悪しとは無関係ですが、帯に「空前の純愛小説」というコピーがあります。
しかし、個人的には全く、「純愛小説」であるとは感じられませんでした。
「容貌の美醜」というのは世の現実としてキレイごとで済まないものであり、この設定で、かつこの内容で純愛と言ってしまうのは
キレイごと過ぎるというか、言葉が軽すぎる気がして、そぐわないと思います。

ミステリーとして優れた作品であることは間違いありませんので、素直にミステリーとして読まれることをおすすめします。
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4062177137

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