■スポンサードリンク
(短編集)
十二人の手紙
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
十二人の手紙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 21~40 2/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本文はない。 特に行間=舞台装置と読者の補助線からストーリーを浮かび上がらせる手法を突き詰めた「赤い手」は、深く胸に刺さった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
井上文学はすごい、この人にかかると自由自在ですね、、 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
手紙で構成された短編集である。ドンデン返しあり謎解きありで、一気に読み終えた。 どれがそうかを書くとネタバレするので、内容にはなるべく触れない。 手紙文を読むだけで様々な人生模様が浮かび上がってくる。 不幸で無残な結末が多いが、「そうきたか」とニヤリとさせられる洒落た明朗なコントも二編ほど含まれている。どれも夢中で読んだ。上手いなあ。 特に鮮やかなのは「赤い手」だ。 出生届や請願書といった無機質な手紙によって、ひとりの薄幸な女性の生涯を描き出す。 「桃」は善意を伝える難しさがテーマだ。養護施設で育った作者らしい秀逸な掌編である。 日本画家の鹿見木堂がいい。古式ゆかしい本格推理のような謎解きを披露してくれる。 井上ひさしはこういうのも書けるのか。多才な人だなあ。この先生を主役にした連作推理小説が読みたかったな。エピローグに嬉しい趣向が凝らされている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
古い小説ですが、書店の平台に積んであったので手に取ってみました。 ミステリーファンおすすめ、という宣伝文句で、「コメの話」の井上ひさしさんとミステリーがうまく結びつかなかったのですが、どんでん返しが実に見事で、ただただびっくりしました。また、必ずしもすべてのお話がミステリーというわけではなく、感動的な人間ドラマ的なお話しもけっこうあって、飽きずに楽しめました。 書簡スタイルの短編小説で、一見すると別々の物語ですが、微妙にお話がつながっているだけでなく、最後のエピソードで各短編の登場人物が登場して、しかもその物語が上質のミステリーになっている、という、今ははやりのミステリー連作短編集の原型のような本です。何十年も前にこのスタイルが確立されていたなんて!、と新鮮な驚きもありました。ぜひ読んでください! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
プロローグとエピローグを含む14の書簡体の短編で構成される短編集。世評ではミステリと呼ばれている様だが、意外なオチを用意してはいるものの、それが狙いではなく、作者らしい人情味と軽妙さに溢れた滋味溢れる短編集で、何より、作者の特長である丹念で練った創りが光る。 冒頭の「葬送歌」は、前例がある気もするが、軽妙な出だし。「赤い手」は驚く体裁の短編だが、事務的な体裁に反してヒロインへの哀れみとキリスト教への帰依という救いを感じさせる佳作。「ペンフレンド」は、仕掛けよりも、青年の心情を汲むべきだろう。「第三十番善楽寺」は、身体障害者のプライドと運命の縁を描いた佳作。作者自身の養護施設体験を基にしているらしい「桃」は、人間のエゴと慈悲とを対比させた味わい深い秀作。「玉の輿」は、奇想天外な傑作。これには騙された。「泥と雪」の構成も巧み。また、登場人物の幻想(妄想)に逃げた短編が幾つかあり、これにはガッカリした。更に、「里親」には「葬送歌」で登場した作家が再登場し、イヤな予感がした(→エピローグ)。 エピローグで全ての短編を繋ぎ合わせる試みをしているが、これは流石に無理がある(無茶だ!)と思った。冒頭で書いた事とは異なるが、作者は大トリックを用いたミステリを執筆する野心マンマンだったと思う。作者の凝り性が悪い方向に出た感が強く、ミステリは味付け程度に留めて、作者本来の味に徹した方が良かったという印象を受けた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
30 数年前読んで、人に勧めて差し上げたり、また読んで、何回も読み直して 最近本屋に平積みになっていて嬉しかったなあ 自分が認められたようで お勧めします | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
物語の全編が、手紙や報告書のやり取りのみで構成される短編集。 井上ひさしは、放送作家、劇作家として有名であるが、この作品にはどれもミステリーの要素があり、むしろ推理小説ファンが充分に楽しめる内容となっている。 知る人ぞ知る名著かもしれないが、もっと有名になってもいいのかも。 読みやすく面白い! 第一級のエンターテイメント! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
それぞれの短編の持つ面白さ、多様さは、手紙という形式によるところが大きいと感じた。 手紙は、その内容が本当であれ嘘であれ、等身大の人間のあり様を相手に生々しく伝える。 誰かが誰かに、想いをもって丁寧に語り掛ける。手紙にしたためられた言葉に込められた ものの意味の大きさが、各短編にはふんだんに表されている。 まさに、手紙は書き手の「分身」だと思う。 三島由紀夫著『三島由紀夫のレター教室』にも、同様の味わいを持ったが、手紙を軸とした 「コミュニケーション小説」なるジャンルが、もっと広がってほしい。と同時に、「手紙」 のもつ価値への再評価が必要ではないか。ネット社会になり、なんとなく手紙の存在感が 薄れつつある現在だからこそ、そう感じるのかもしれない。 この作品については、エピローグがなくても十分魅力的だったと個人的には思っている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
たいへん美しく、版も新しいもので結構でした。価格も適切で、これがあるからアマゾンの中古本はやめられません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
晩年の泥沼私生活の話題しか知らなかった、井上ひさしが、こんなに才能ある方だとは、これを読むまで知らなかった。 手紙1つで、こんなに色んな形で、人の人生が表現出来ることに驚いた | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
手紙や公的文書(各種届け出書類とか)をツールに紡ぎ上げた作品集。 通常のストーリー展開と違う点(の一つ)は、手紙を書いている人物の“主観”しか読み得ない事。そこに悪意があっても精神的に破綻を来していても判別つけ難い。従って、それが判った時のカタストロフィーが、通常の小説とは違う味わいとなる。 社会的弱者や、世間ずれしていない人、日々の生活を懸命に生きる人々への作者の愛情は、悲劇を描いても、冷徹にはならない。ユーモア感覚のオブラートもあるだろうが、ストレートに生きる人間の生き様が筆から伝わるからだろう。手紙文という形式自体、然りである。 内容に触れられないのが残念だが、粋な趣向も凝らしてある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
どんでん返しの連続。手紙文の形式で情景やストーリーを紡いでいく手法は手がこんでいて感心させられる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文字通り12人の手紙であるが、手紙を書いた各人物の生活背景が、にじむように描かれている。 手紙という形式なので作中の人物が手紙を読んだときは?と、空想を巡らせながら、さらに空想の舞台が拡がっていく。 一編のみ手紙ではない記録が「見もの」である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
某所にて手紙だけで構成される小説と聞き、どんなもんかと思い手に取った。読んで驚き。本当に手紙の形式に則って物語が作られている。しかも十二篇それぞれ趣向が違い、最後にはっとさせられるものから、性的な要素を含むものまでさまざまであり、読んでいて飽きがこなかった。『普通』の小説に食傷気味の方におすすめです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文句なしに面白い。 手紙の形だけで編まれた13編の物語。 そのいずれも瞬く間に作品世界に引きずりこまれる面白さ。 とりわけ、役所の公的書類で物語を構成している「赤い手」、 手紙の書き方本の例文を使ってストーリーを展開する「玉の輿」は、 文章への興味と探求心が尋常ではない著者ならではの作品だろう。 こんな形式の本を、もっともっと作っていただきたかったと心から思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
井上ひさし作品はどれを読んでも損はないが、とりわけ、『十二人の手紙』(井上ひさし著、中公文庫)は小説の醍醐味を味わわせてくれる。 キャバレーに勤める元・修道女の身も心もボロボロの手紙。上京し、就職した小さな会社の社長の毒牙にかかった少女から弟らへの手紙。家出し、演劇スクールに通い、新人公演の主役を射止めた女性から高校の恩師への手紙。人妻に突然送られてきた、25年前に夫と同期だった男からの手紙。鞍馬山中で仕事に励む初老の画家への留守宅の妻からの驚くべき手紙。ペンフレンドを求める若き女性に寄せられた恐るべき手紙など、12人の手紙だけで構成されたこの書簡集には、悲しみと笑いが詰まっているが、さらにエピローグでこれらの登場人物たちが一堂に会するという、いかにも井上らしい趣向が凝らされている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者・井上ひさし氏の、「十二人の手紙」というタイトル に目を惹かれた。十二人の手紙によって、ストーリーが 展開する少し変わった、短編集なのである。 昭和という高度経済成長期のまっただ中でありながら、 著者・井上ひさし氏の視点は、悲哀な人生を背負う人たち、 にスポットライトが当てられているのだ。 どちらかといえば社会の底辺に追いやられながらも、何とか 精一杯生きようとする、社会的弱者なのだ。 「赤い手」は、役所に届ける「申請書」や「届け出書」の 記述だけなのだが、その単純な書類の記載内容だけで、 その悲しい生涯が、読者脳裏に焼き付けられてしまうのだ。 そして、最後の「人質」では・・・。 本書の最後には、思いがけぬ仕掛けがあったのだ。 今の日本では、こんな生活はあるのだろうか?昭和という 時代が、懐かしく思える一冊である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読売新聞の書評欄(2010年8月9日)で女優の小泉今日子が「最近、久しぶりに読み返してみて、やはり名作だと再確認できた」と「私のイチオシ文庫」に選んでいました。 二十数年来、KYON2が面白いと言った本で、ハズレがあったためしはありません。彼女の言葉を読んで、これは手にしないわけにはいきません。 そして今回もまた、彼女の書を読む力に間違いがないことが「再確認」できた思いがしています。 書簡ないし公文書の類い、つまり誰かが誰かにあてた文書で紡ぎあげた13の短編を集めた一冊です。「十二人の手紙」とありながら13の短編がある理由については実際にこの本を手にすれば分かります。確かに12人が、というより正確には縁づいた12組の人々の手紙によって紡がれる物語が詰まった一冊です。 ここに掲げられた書簡があぶりだす物語の妖しさと不気味さに悪寒を覚える読書でした。 ほとんどの短編は、便りの書き手が「信頼できない語り手(unreliable narrator)」であることが最後に明らかになります。そのとき、登場人物たちに対する私の<信頼>がいかに無邪気なものであったかを思い知り、そしてその私の信頼が大きく裏切られたことの衝撃の強さに色を失うのです。 そう、まさに人と人との間にこの信頼というものを生み、育み、つなぎとめんと努める思いがこの手紙には込められています。ですがその思いが、つなぎとめんがためのいじきたない嘘に堕していることがあります。そこに私は言葉というものが持つ偽ることの力をまざまざと見せつけられ、怖気づいてしまうのです。 それでもわずかにいくつかの短編は、嘘は嘘でも、微苦笑をもって読まざるをえない方便の嘘が散りばめられた作品があります。(『ペンフレンド』『鍵』) その嘘が人と人との間に温もりを生む手ごたえを感じないではいられません。 言葉が偽り以外の何かを生む力がまだあることをどこかに思い、安堵の念も抱く作品群です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
井上ひさしが亡くなったと聞いて、最初に思い出したのはこの本。再読したいと探してみると2009年に中公文庫から新装版が出ている。単行本の出版が 1978年だから30年以上読者に支持されていることになる。 題名の通り手紙で綴られた短編集なのだが、それぞれに様々な趣向が凝らしておりそれだけでも十分楽しめる。だが、本書の面白いところは、それぞれの短編が少しずつリンクし、エピローグで昇華する長編小説にもなっているところ。このようなスタイルは最近でもよくあるが、30年以上前に書かれた本書は今でも全く色あせていない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
連作書簡体小説とでも言うべきか、12人の、どちらかといえば貧しい、あるいは不幸な人々の手紙だけで構成された作で、最後にそのうち何人かの人生が交錯する。近ごろの直木賞受賞作などよりよほど面白い、といっては、それはこれを書いた時の井上は直木賞作家だったのだから当然ともいえようが、直木賞受賞作はせめてこれくらいのレベルのものを望みたい。概して直木賞は、こうしたトリッキーな作品に冷淡であるような気がする。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!